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狙われたエルシア
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「シャルロッテ様!おはようございます!」
「まぁ、エルシア様!おはようございます!」
次の日。
登校した私は朝一番にシャルロッテに挨拶をした。
いつもよりイキイキしている私を見たシャルロッテがきょとんと首をかしげた。
「何だか機嫌が良さそうですわね、エルシア様」
「ふふふ、それがですね……」
私はシャルロッテにこの学園で結婚相手を探すことを打ち明けた。
私の言葉にシャルロッテは分かりやすく顔を赤く染めた。
「け、結婚相手ですか!?」
「はい、私ももう婚約していてもおかしくはない年齢ですから。今のうちに良い男性を見つけておこうと思いまして」
「結婚……」
結婚と聞いてシャルロッテは自分とレオンハルトが夫婦になる姿を想像したのか、さらに顔を赤くした。
(相変わらず可愛いなぁもう!)
そんなシャルロッテに、思わず笑みが零れた。
「エルシア様、良い考えだと思いますわ。幸せな結婚生活というのは貴族令嬢の憧れですから」
「シャルロッテ様もそう思います!?」
「もちろんですわ」
どうやらシャルロッテには私の気持ちが分かるようで、手をギュッと握って微笑んだ。
「今日から始めるつもりなんです!素敵な男性と出会えるかな~」
「エルシア様は素晴らしい方ですもの。きっと良い縁がありますわ」
「え、そうですかね?そう言ってもらえて嬉しいです」
(素晴らしい方だなんて……皇女にそう言われると何だか照れるなぁ)
「シャルロッテ様、卒業後はお互いに幸せな結婚生活を送れたらいいですね」
「そうですわね」
「まぁ、シャルロッテ様はもう既に確約されてるようなものですけど」
「そ、それはどういう意味ですか!?」
「そのままの意味ですよ」
私の言葉に慌てふためくシャルロッテ。
(卒業後もシャルロッテ様とは友達でいれたらいいな。それと、婿探しが穏便に終わりますように!)
私は心の中でそう願った。
しかし、このときの私は気付かなかった。
この会話が原因で、後にあんな事件が起きるということを――
***
私が婿探しを開始してから数日後。
何だか学園の雰囲気が変だった。
学園に通う貴族子息たちが私をチラチラと見てはザワザワしているのだ。
(何?私の顔に何か付いてるの?)
そう思って鏡で確認してみるも何もおかしなところはない。
それなら一体何故彼らは私を見ていつもと違う反応をしているのだろうか。
「エルシア様!」
「シャルロッテ様……」
廊下の真ん中で困惑していた私に声をかけてきたのはシャルロッテだった。
彼女は少し焦ったような顔をしていた。
急いで来たのか、額には汗がにじんでいる。
(どうしたんだろう?シャルロッテらしくない……)
そんな彼女を見て不思議に思いながらも私は尋ねた。
「シャルロッテ様?そんなに急いでどうかなさったのですか?」
「エルシア様、それが……」
シャルロッテ様が次に放った一言に、私は驚愕することとなる。
「どうやら今、学園中の男性がエルシア様のことを狙っているようなのです!!!」
「………………へ?」
(学園中の男性が私を狙っている?どういうこと?)
その言葉の意味が分からなかった私は、固まった。
シャルロッテ様はそんな私に詳しい説明をしてくれた。
「エルシア様が結婚相手を探しているという話が何故だか学園中に広まっているのです。それで殿方はエルシア様の結婚相手になろうとしているようで……」
「…………ええ!?」
(ど、どうしてその話が広まってるのよ!)
私は頭を抱えた。
エルシアは社交界の華と謳われた母親譲りの美貌を持つ上に、王国屈指の名門ハワンズ公爵家の令嬢だった。
たしかに、彼女の婚約者になりたいと思う貴族子息は多いだろう。
だけど私からしたら家柄と外見だけで近付いてくる男など御免だ。
(私は優しくて誠実な方とお付き合いしたいのよ……)
「きっとこれから男性の方々に言い寄られることが増えるでしょう」
「うっ……た、たしかに……」
シャルロッテのその言葉で私は一気に現実へと引き戻された。
(ちょ、ちょっと待ってよ……)
私の婿探し、一体どうなる――!?
穏便に終わらせるというのは不可能かもしれない。
「まぁ、エルシア様!おはようございます!」
次の日。
登校した私は朝一番にシャルロッテに挨拶をした。
いつもよりイキイキしている私を見たシャルロッテがきょとんと首をかしげた。
「何だか機嫌が良さそうですわね、エルシア様」
「ふふふ、それがですね……」
私はシャルロッテにこの学園で結婚相手を探すことを打ち明けた。
私の言葉にシャルロッテは分かりやすく顔を赤く染めた。
「け、結婚相手ですか!?」
「はい、私ももう婚約していてもおかしくはない年齢ですから。今のうちに良い男性を見つけておこうと思いまして」
「結婚……」
結婚と聞いてシャルロッテは自分とレオンハルトが夫婦になる姿を想像したのか、さらに顔を赤くした。
(相変わらず可愛いなぁもう!)
そんなシャルロッテに、思わず笑みが零れた。
「エルシア様、良い考えだと思いますわ。幸せな結婚生活というのは貴族令嬢の憧れですから」
「シャルロッテ様もそう思います!?」
「もちろんですわ」
どうやらシャルロッテには私の気持ちが分かるようで、手をギュッと握って微笑んだ。
「今日から始めるつもりなんです!素敵な男性と出会えるかな~」
「エルシア様は素晴らしい方ですもの。きっと良い縁がありますわ」
「え、そうですかね?そう言ってもらえて嬉しいです」
(素晴らしい方だなんて……皇女にそう言われると何だか照れるなぁ)
「シャルロッテ様、卒業後はお互いに幸せな結婚生活を送れたらいいですね」
「そうですわね」
「まぁ、シャルロッテ様はもう既に確約されてるようなものですけど」
「そ、それはどういう意味ですか!?」
「そのままの意味ですよ」
私の言葉に慌てふためくシャルロッテ。
(卒業後もシャルロッテ様とは友達でいれたらいいな。それと、婿探しが穏便に終わりますように!)
私は心の中でそう願った。
しかし、このときの私は気付かなかった。
この会話が原因で、後にあんな事件が起きるということを――
***
私が婿探しを開始してから数日後。
何だか学園の雰囲気が変だった。
学園に通う貴族子息たちが私をチラチラと見てはザワザワしているのだ。
(何?私の顔に何か付いてるの?)
そう思って鏡で確認してみるも何もおかしなところはない。
それなら一体何故彼らは私を見ていつもと違う反応をしているのだろうか。
「エルシア様!」
「シャルロッテ様……」
廊下の真ん中で困惑していた私に声をかけてきたのはシャルロッテだった。
彼女は少し焦ったような顔をしていた。
急いで来たのか、額には汗がにじんでいる。
(どうしたんだろう?シャルロッテらしくない……)
そんな彼女を見て不思議に思いながらも私は尋ねた。
「シャルロッテ様?そんなに急いでどうかなさったのですか?」
「エルシア様、それが……」
シャルロッテ様が次に放った一言に、私は驚愕することとなる。
「どうやら今、学園中の男性がエルシア様のことを狙っているようなのです!!!」
「………………へ?」
(学園中の男性が私を狙っている?どういうこと?)
その言葉の意味が分からなかった私は、固まった。
シャルロッテ様はそんな私に詳しい説明をしてくれた。
「エルシア様が結婚相手を探しているという話が何故だか学園中に広まっているのです。それで殿方はエルシア様の結婚相手になろうとしているようで……」
「…………ええ!?」
(ど、どうしてその話が広まってるのよ!)
私は頭を抱えた。
エルシアは社交界の華と謳われた母親譲りの美貌を持つ上に、王国屈指の名門ハワンズ公爵家の令嬢だった。
たしかに、彼女の婚約者になりたいと思う貴族子息は多いだろう。
だけど私からしたら家柄と外見だけで近付いてくる男など御免だ。
(私は優しくて誠実な方とお付き合いしたいのよ……)
「きっとこれから男性の方々に言い寄られることが増えるでしょう」
「うっ……た、たしかに……」
シャルロッテのその言葉で私は一気に現実へと引き戻された。
(ちょ、ちょっと待ってよ……)
私の婿探し、一体どうなる――!?
穏便に終わらせるというのは不可能かもしれない。
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