7 / 58
作戦
しおりを挟む
「あ、シャルロッテ様おかえりなさい!」
「エルシア様!」
レオンハルトと共に教室に戻って来たシャルロッテはどこか嬉しそうだった。
そして隣にいるレオンハルトも優しい瞳で彼女を見つめていた。
そんな二人は、以前とは違ってとても仲の良い婚約者のように見える。
(シャルロッテとレオンハルトの進展はどうなってるかな……)
私はそのことを聞くため、レオンハルトと一度別れたシャルロッテに声を掛けた。
「シャルロッテ様!レオンハルト殿下と昼食を食べたんですよね?どうでしたか?」
「エルシア様……それが……今日殿下と一緒に帰ることになったんです……」
シャルロッテは頬を赤く染めながら言った。
その顔はとても幸せそうで、見てるこっちまで嬉しくなってくる。
「まぁ!それは良かったですね!」
「はい……どうやら殿下は私がずっと殿下のことを嫌っていると誤解していたようなのです……」
「あら、まぁ」
どうやらシャルロッテも婚約者が自分に無関心だった理由に気が付いたようだ。
きっと昼休憩のときに二人きりで話し合ったのだろう。
婚約者同士、しっかりお互いと向き合うというのは大事なことである。
「たしかに、今までの私の殿下に対する態度は良いものとは言えませんでしたわ……反省しています……」
「まぁまぁ!そうかもしれないですけど、こうやって誤解が解けたんだから良かったじゃないですか!」
「それはそうですが……」
それでもシャルロッテは未だに申し訳なさそうな顔をしている。
そんな顔もまた可愛らしい。
(これからは二人で仲良くやってね!そうすればシャルロッテは幸せになれるんだから!)
そんなことを思っていたそのとき、シャルロッテが遠くにいるレオンハルトの方をチラリと見た。
ちょうどレオンハルトも彼女を見ていたらしく、二人の視線がぶつかった。
「……」
「……」
お互いにどこか恥ずかしそうにしながらも、二人はクスッと笑い合った。
どうやら私が思っている以上に、シャルロッテはレオンハルトと仲を深めていたようだ。
それを見た私はふぅと安堵の息を吐いた。
(シャルロッテの死亡フラグに関してはもう大丈夫そうね……)
こんなに仲が良いなら、少なくとも公衆の面前で婚約破棄されるというようなことにはならないだろう。
しかし、ヒロインであるレイチェルがレオンハルトに恋をしているということが少し気に掛かる。
もしかしたら、物語の強制力というものが存在するかもしれない。
警戒を怠るに越したことはないだろう。
「……だけど」
(シャルロッテの死亡フラグは無くなったけど、私の死亡フラグはまだ消えていないのよね)
そう、私の死亡フラグは未だに残っている。
何故ならカイル・フォースが遠くから鋭い目で私を見つめているからだ。
もちろん私は何もしていない。
(アイツ怖すぎ!何であんな目で見てくるわけ?)
さっきは友達のいないカイルを可愛いと思ったが、やっぱり全然可愛くない。
(しばきたいけど、返り討ちに遭いそうね……)
相手は男で、しかも騎士だ。
少なくとも私がどうにかして敵う相手ではないだろう。
私がアイツと同じ騎士なら喜んでしばいてやったのに。
(でも、どうにかしてアイツを私から引き離せないかな……)
自分の死亡フラグを潰すため、私は必死で考えた。
そして、あることを思い付いた。
(そうだわ!ヒロインのレイチェルと恋敵だったカイルをくっつけちゃえばいいじゃない!)
ついさっきも考えていたことだが、私がレイチェルとカイル・フォースの仲を取り持てばいいのではないだろうか。
そうすればレイチェルもレオンハルトを諦めるかもしれない。
小説の中だとカイルもレイチェルに惚れていたのだから、案外上手くいくかもしれない。
(戦争は無くなるし、カイルも愛する人と結婚出来る!何て最高なの!)
良い案だと思った私はすぐにそれを実行に移すことにした。
「エルシア様!」
レオンハルトと共に教室に戻って来たシャルロッテはどこか嬉しそうだった。
そして隣にいるレオンハルトも優しい瞳で彼女を見つめていた。
そんな二人は、以前とは違ってとても仲の良い婚約者のように見える。
(シャルロッテとレオンハルトの進展はどうなってるかな……)
私はそのことを聞くため、レオンハルトと一度別れたシャルロッテに声を掛けた。
「シャルロッテ様!レオンハルト殿下と昼食を食べたんですよね?どうでしたか?」
「エルシア様……それが……今日殿下と一緒に帰ることになったんです……」
シャルロッテは頬を赤く染めながら言った。
その顔はとても幸せそうで、見てるこっちまで嬉しくなってくる。
「まぁ!それは良かったですね!」
「はい……どうやら殿下は私がずっと殿下のことを嫌っていると誤解していたようなのです……」
「あら、まぁ」
どうやらシャルロッテも婚約者が自分に無関心だった理由に気が付いたようだ。
きっと昼休憩のときに二人きりで話し合ったのだろう。
婚約者同士、しっかりお互いと向き合うというのは大事なことである。
「たしかに、今までの私の殿下に対する態度は良いものとは言えませんでしたわ……反省しています……」
「まぁまぁ!そうかもしれないですけど、こうやって誤解が解けたんだから良かったじゃないですか!」
「それはそうですが……」
それでもシャルロッテは未だに申し訳なさそうな顔をしている。
そんな顔もまた可愛らしい。
(これからは二人で仲良くやってね!そうすればシャルロッテは幸せになれるんだから!)
そんなことを思っていたそのとき、シャルロッテが遠くにいるレオンハルトの方をチラリと見た。
ちょうどレオンハルトも彼女を見ていたらしく、二人の視線がぶつかった。
「……」
「……」
お互いにどこか恥ずかしそうにしながらも、二人はクスッと笑い合った。
どうやら私が思っている以上に、シャルロッテはレオンハルトと仲を深めていたようだ。
それを見た私はふぅと安堵の息を吐いた。
(シャルロッテの死亡フラグに関してはもう大丈夫そうね……)
こんなに仲が良いなら、少なくとも公衆の面前で婚約破棄されるというようなことにはならないだろう。
しかし、ヒロインであるレイチェルがレオンハルトに恋をしているということが少し気に掛かる。
もしかしたら、物語の強制力というものが存在するかもしれない。
警戒を怠るに越したことはないだろう。
「……だけど」
(シャルロッテの死亡フラグは無くなったけど、私の死亡フラグはまだ消えていないのよね)
そう、私の死亡フラグは未だに残っている。
何故ならカイル・フォースが遠くから鋭い目で私を見つめているからだ。
もちろん私は何もしていない。
(アイツ怖すぎ!何であんな目で見てくるわけ?)
さっきは友達のいないカイルを可愛いと思ったが、やっぱり全然可愛くない。
(しばきたいけど、返り討ちに遭いそうね……)
相手は男で、しかも騎士だ。
少なくとも私がどうにかして敵う相手ではないだろう。
私がアイツと同じ騎士なら喜んでしばいてやったのに。
(でも、どうにかしてアイツを私から引き離せないかな……)
自分の死亡フラグを潰すため、私は必死で考えた。
そして、あることを思い付いた。
(そうだわ!ヒロインのレイチェルと恋敵だったカイルをくっつけちゃえばいいじゃない!)
ついさっきも考えていたことだが、私がレイチェルとカイル・フォースの仲を取り持てばいいのではないだろうか。
そうすればレイチェルもレオンハルトを諦めるかもしれない。
小説の中だとカイルもレイチェルに惚れていたのだから、案外上手くいくかもしれない。
(戦争は無くなるし、カイルも愛する人と結婚出来る!何て最高なの!)
良い案だと思った私はすぐにそれを実行に移すことにした。
101
お気に入りに追加
485
あなたにおすすめの小説
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
悪役令嬢に転生したら溺愛された。(なぜだろうか)
どくりんご
恋愛
公爵令嬢ソフィア・スイートには前世の記憶がある。
ある日この世界が乙女ゲームの世界ということに気づく。しかも自分が悪役令嬢!?
悪役令嬢みたいな結末は嫌だ……って、え!?
王子様は何故か溺愛!?なんかのバグ!?恥ずかしい台詞をペラペラと言うのはやめてください!推しにそんなことを言われると照れちゃいます!
でも、シナリオは変えられるみたいだから王子様と幸せになります!
強い悪役令嬢がさらに強い王子様や家族に溺愛されるお話。
HOT1/10 1位ありがとうございます!(*´∇`*)
恋愛24h1/10 4位ありがとうございます!(*´∇`*)
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を庇おうとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
盲目のラスボス令嬢に転生しましたが幼馴染のヤンデレに溺愛されてるので幸せです
斎藤樹
恋愛
事故で盲目となってしまったローナだったが、その時の衝撃によって自分の前世を思い出した。
思い出してみてわかったのは、自分が転生してしまったここが乙女ゲームの世界だということ。
さらに転生した人物は、"ラスボス令嬢"と呼ばれた性悪な登場人物、ローナ・リーヴェ。
彼女に待ち受けるのは、嫉妬に狂った末に起こる"断罪劇"。
そんなの絶対に嫌!
というかそもそも私は、ローナが性悪になる原因の王太子との婚約破棄なんかどうだっていい!
私が好きなのは、幼馴染の彼なのだから。
ということで、どうやら既にローナの事を悪く思ってない幼馴染と甘酸っぱい青春を始めようと思ったのだけどーー
あ、あれ?なんでまだ王子様との婚約が破棄されてないの?
ゲームじゃ兄との関係って最悪じゃなかったっけ?
この年下男子が出てくるのだいぶ先じゃなかった?
なんかやけにこの人、私に構ってくるような……というか。
なんか……幼馴染、ヤンデる…………?
「カクヨム」様にて同名義で投稿しております。
帝国の第一皇女に転生しましたが3日で誘拐されました
山田うちう
ファンタジー
帝国の皇女に転生するも、生後3日で誘拐されてしまう。
犯人を追ってくれた騎士により命は助かるが、隣国で一人置き去りに。
たまたま通りかかった、隣国の伯爵に拾われ、伯爵家の一人娘ルセルとして育つ。
何不自由なく育ったルセルだが、5歳の時に受けた教会の洗礼式で真名を与えられ、背中に大きな太陽のアザが浮かび上がる。。。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる