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作戦

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「あ、シャルロッテ様おかえりなさい!」
「エルシア様!」


レオンハルトと共に教室に戻って来たシャルロッテはどこか嬉しそうだった。
そして隣にいるレオンハルトも優しい瞳で彼女を見つめていた。
そんな二人は、以前とは違ってとても仲の良い婚約者のように見える。


(シャルロッテとレオンハルトの進展はどうなってるかな……)


私はそのことを聞くため、レオンハルトと一度別れたシャルロッテに声を掛けた。


「シャルロッテ様!レオンハルト殿下と昼食を食べたんですよね?どうでしたか?」
「エルシア様……それが……今日殿下と一緒に帰ることになったんです……」


シャルロッテは頬を赤く染めながら言った。
その顔はとても幸せそうで、見てるこっちまで嬉しくなってくる。


「まぁ!それは良かったですね!」
「はい……どうやら殿下は私がずっと殿下のことを嫌っていると誤解していたようなのです……」
「あら、まぁ」


どうやらシャルロッテも婚約者が自分に無関心だった理由に気が付いたようだ。
きっと昼休憩のときに二人きりで話し合ったのだろう。
婚約者同士、しっかりお互いと向き合うというのは大事なことである。


「たしかに、今までの私の殿下に対する態度は良いものとは言えませんでしたわ……反省しています……」
「まぁまぁ!そうかもしれないですけど、こうやって誤解が解けたんだから良かったじゃないですか!」
「それはそうですが……」


それでもシャルロッテは未だに申し訳なさそうな顔をしている。
そんな顔もまた可愛らしい。


(これからは二人で仲良くやってね!そうすればシャルロッテは幸せになれるんだから!)


そんなことを思っていたそのとき、シャルロッテが遠くにいるレオンハルトの方をチラリと見た。
ちょうどレオンハルトも彼女を見ていたらしく、二人の視線がぶつかった。


「……」
「……」


お互いにどこか恥ずかしそうにしながらも、二人はクスッと笑い合った。
どうやら私が思っている以上に、シャルロッテはレオンハルトと仲を深めていたようだ。
それを見た私はふぅと安堵の息を吐いた。


(シャルロッテの死亡フラグに関してはもう大丈夫そうね……)


こんなに仲が良いなら、少なくとも公衆の面前で婚約破棄されるというようなことにはならないだろう。
しかし、ヒロインであるレイチェルがレオンハルトに恋をしているということが少し気に掛かる。
もしかしたら、物語の強制力というものが存在するかもしれない。
警戒を怠るに越したことはないだろう。


「……だけど」


(シャルロッテの死亡フラグは無くなったけど、私の死亡フラグはまだ消えていないのよね)


そう、私の死亡フラグは未だに残っている。


何故ならカイル・フォースが遠くから鋭い目で私を見つめているからだ。
もちろん私は何もしていない。


(アイツ怖すぎ!何であんな目で見てくるわけ?)


さっきは友達のいないカイルを可愛いと思ったが、やっぱり全然可愛くない。


(しばきたいけど、返り討ちに遭いそうね……)


相手は男で、しかも騎士だ。
少なくとも私がどうにかして敵う相手ではないだろう。
私がアイツと同じ騎士なら喜んでしばいてやったのに。


(でも、どうにかしてアイツを私から引き離せないかな……)


自分の死亡フラグを潰すため、私は必死で考えた。
そして、あることを思い付いた。


(そうだわ!ヒロインのレイチェルと恋敵だったカイルをくっつけちゃえばいいじゃない!)


ついさっきも考えていたことだが、私がレイチェルとカイル・フォースの仲を取り持てばいいのではないだろうか。
そうすればレイチェルもレオンハルトを諦めるかもしれない。
小説の中だとカイルもレイチェルに惚れていたのだから、案外上手くいくかもしれない。


(戦争は無くなるし、カイルも愛する人と結婚出来る!何て最高なの!)


良い案だと思った私はすぐにそれを実行に移すことにした。

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