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ヒロイン襲来とムカつく男
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それから新学期最初の授業が終わり、昼休憩の時間になった。
授業とはいっても、初日なので自己紹介のみだったが。
(シャルロッテの自己紹介する姿可愛かったなぁ……)
恥ずかしがり屋な彼女はめちゃくちゃ緊張していた。
そんな姿が愛らしくて、クラスにいる男子たちはみんなして頬を染めていた。
(シャルロッテはレオンハルトのものよ!)
この昼休憩の時間に生徒たちはそれぞれで昼食を食べることとなる。
(シャルロッテは……レオンハルトと食べるかな)
そう思い、シャルロッテの方を振り返ったそのとき―
「レオンハルト様ぁっ!」
どこからか甘ったるい声がした。
(この声はまさか……!)
声のする方に目を向けると、案の定そこにはレイチェルがいた。
レオンハルトはレイチェルを見て眉をひそめた。
(うわぁ……すごい嫌そうな顔してる……)
「レオンハルト様っ!あの、よろしければお昼一緒にいかがですか?」
レイチェルはDクラスの生徒であるにもかかわらず、Aクラスの教室にズカズカと踏み込んでクラス全員が見ている前でレオンハルトを昼食に誘ったのだ。
周囲からは、当然彼女を非難する声が殺到した。
「あれってDクラスの子でしょう?ありえないわ……」
「たしか男爵家の庶子じゃなかった?」
「いくらマナーに疎いとはいってもあれはないだろ~」
「レオンハルト殿下の婚約者であらせられる皇女殿下の目の前で堂々と誘うだなんて信じられない」
隣で見ていたシャルロッテに関しては、その光景を見て顔面蒼白になっている。
(普通婚約者であれば文句の一つでも言うけどそれが出来ないのがシャルロッテなのよね……)
みんながレイチェルの行動を批判するが、当の本人はそんなことまるで気にしていない様子だった。
「そうだ!私、お弁当を作って来たんですっ!」
――弁当。
(そういえばレオンハルトがレイチェルを好きになる要素の一つとして料理上手ってのも入ってたっけ……)
シャルロッテがその場から逃げるようにして席から立ったそのとき。
隣にいたレオンハルトが、彼女の腕を掴んで引き留めた。
「で、殿下……!?」
レオンハルトに触れられて、顔が赤くなるシャルロッテ。
彼はそんな彼女の腕を掴んだまま、レイチェルに厳しい視線を向けた。
「――君は、もう少し立場を弁えるべきだ」
「……え?」
レイチェルが拍子抜けしたような声を出した。
「婚約者のいる男に気安く近付いてはいけないと男爵家では教わらなかったのか?」
「こ、婚約者……?」
”婚約者”というその言葉を聞いて、レイチェルの顔はみるみるうちに真っ青になっていった。
「その様子だと、私に婚約者がいることすら知らなかったようだな」
「そ、そんな……!」
レイチェルはガックリと項垂れた。
レオンハルトに婚約者がいたことがよほど悔しかったようだ。
「昼食は婚約者と食べることにするよ。君はDクラスにいる友人たちと食べるんだな」
そして、レイチェルは泣きそうな顔になってレオンハルトたちの前から走り去って行った。
その一方で、彼に腕を掴まれたままのシャルロッテは驚いた顔をしていた。
「殿下……」
「あっ……すまない……約束が、あっただろうか?」
レオンハルトは慌てて手を離した。
そんな彼の耳は赤く染まっている。
「い、いえ!私も、その……殿下とお昼を共にしたいです……」
「そうか……嬉しいよ。じゃあ、行こうか」
レオンハルトがシャルロッテに手を差し伸べる。
シャルロッテは顔を真っ赤にしながらも、手を重ねてレオンハルトと共に教室を出て行った。
(こ、これは付いて行くしかないでしょ!)
私は気付かれないようにそっと付いて行き、二人の会話をこっそり聞いていた。
「殿下、食堂へ行かれるのですか?」
「いや、王族専用の場所があるんだ。他の生徒は誰も知らない」
「そんな場所に私が行っていいのですか?」
「君は私の婚約者なのだから問題ない。どうやら私はずっと君を誤解していたようだ。――君のことをもっと知りたいんだ」
王族専用の場所。
そこに連れて行ってくれるということは、つまり自分の未来の妻だと認めたも同然である。
(シャルロッテ、いつの間にかレオンハルトの前で普通に喋れるようになってるし!我ながらいい作戦だったわ)
うんうんとうなずいていると苛立ちを含んだ声が頭上から聞こえてきた。
「――立ち聞きとは悪趣味だな」
(ッ!?)
顔を上げると、不機嫌そうな黒い瞳と目が合った。
「うわぁ……」
そこにいたのは、私の大嫌いなカイル・フォースだった。
(何でコイツがここにいんのよーーー!!!)
「何でここにいんのよ」
「お前が教室から出て行くのを見たんだ」
「だからって何でアンタが付いて来るわけ?」
「……」
私がそう尋ねると、カイル・フォースは黙り込んだ。
(まさか私がレオンハルトやシャルロッテに危害を加えるんじゃないかって心配してるのかな?)
もしそうなら非常に不愉快だ。
レオンハルトはともかく、シャルロッテは私の一番の友達なのに。
「それよりアンタ、お昼はもう食べたの?」
「いや、まだ」
「じゃあ早く食べに行きなさいよ」
「……」
カイルは何故か視線を逸らした。
(何?食べる友達いないのかな?)
もしかすると、レオンハルトがシャルロッテと行ってしまったから一緒に食べる人がいなくて困っているのかもしれない。
(へぇ、なかなか可愛いとこあんじゃん!)
前世アラサーの私は、年の離れた弟に話しかけるようにして口を開いた。
「一緒に食べる友達いないなら私が食べてあげようか?」
「……ッ!」
それを聞いたカイルは何故か顔を赤くした。
(ん?何か顔赤くするやつ多いな)
シャルロッテにレオンハルトに、カイルまで。
一体どうしたというのだろうか。
「お、俺がお前と一緒に食べるわけないだろ!」
「……」
(可愛いと思ったけど……やっぱりムカつくやつね)
決めた、後で本当にしばこう。
カイルは息を荒くしながら私の前から立ち去った。
(アイツとだけは絶対仲良くなれそうにないわ)
もういっそ、カイルがレイチェルの相手になればいいのに。
そうすれば少なくとも戦争にはならないんじゃないか?
レオンハルトと違って婚約者いないし。
(うんうん、良い案だ!)
――――――――――――――
長い間お待たせして申し訳ありませんでした。
ゆっくりペースになるとは思いますが、更新再開するのでよろしくお願いいたします。
1~5話を改稿しました。
授業とはいっても、初日なので自己紹介のみだったが。
(シャルロッテの自己紹介する姿可愛かったなぁ……)
恥ずかしがり屋な彼女はめちゃくちゃ緊張していた。
そんな姿が愛らしくて、クラスにいる男子たちはみんなして頬を染めていた。
(シャルロッテはレオンハルトのものよ!)
この昼休憩の時間に生徒たちはそれぞれで昼食を食べることとなる。
(シャルロッテは……レオンハルトと食べるかな)
そう思い、シャルロッテの方を振り返ったそのとき―
「レオンハルト様ぁっ!」
どこからか甘ったるい声がした。
(この声はまさか……!)
声のする方に目を向けると、案の定そこにはレイチェルがいた。
レオンハルトはレイチェルを見て眉をひそめた。
(うわぁ……すごい嫌そうな顔してる……)
「レオンハルト様っ!あの、よろしければお昼一緒にいかがですか?」
レイチェルはDクラスの生徒であるにもかかわらず、Aクラスの教室にズカズカと踏み込んでクラス全員が見ている前でレオンハルトを昼食に誘ったのだ。
周囲からは、当然彼女を非難する声が殺到した。
「あれってDクラスの子でしょう?ありえないわ……」
「たしか男爵家の庶子じゃなかった?」
「いくらマナーに疎いとはいってもあれはないだろ~」
「レオンハルト殿下の婚約者であらせられる皇女殿下の目の前で堂々と誘うだなんて信じられない」
隣で見ていたシャルロッテに関しては、その光景を見て顔面蒼白になっている。
(普通婚約者であれば文句の一つでも言うけどそれが出来ないのがシャルロッテなのよね……)
みんながレイチェルの行動を批判するが、当の本人はそんなことまるで気にしていない様子だった。
「そうだ!私、お弁当を作って来たんですっ!」
――弁当。
(そういえばレオンハルトがレイチェルを好きになる要素の一つとして料理上手ってのも入ってたっけ……)
シャルロッテがその場から逃げるようにして席から立ったそのとき。
隣にいたレオンハルトが、彼女の腕を掴んで引き留めた。
「で、殿下……!?」
レオンハルトに触れられて、顔が赤くなるシャルロッテ。
彼はそんな彼女の腕を掴んだまま、レイチェルに厳しい視線を向けた。
「――君は、もう少し立場を弁えるべきだ」
「……え?」
レイチェルが拍子抜けしたような声を出した。
「婚約者のいる男に気安く近付いてはいけないと男爵家では教わらなかったのか?」
「こ、婚約者……?」
”婚約者”というその言葉を聞いて、レイチェルの顔はみるみるうちに真っ青になっていった。
「その様子だと、私に婚約者がいることすら知らなかったようだな」
「そ、そんな……!」
レイチェルはガックリと項垂れた。
レオンハルトに婚約者がいたことがよほど悔しかったようだ。
「昼食は婚約者と食べることにするよ。君はDクラスにいる友人たちと食べるんだな」
そして、レイチェルは泣きそうな顔になってレオンハルトたちの前から走り去って行った。
その一方で、彼に腕を掴まれたままのシャルロッテは驚いた顔をしていた。
「殿下……」
「あっ……すまない……約束が、あっただろうか?」
レオンハルトは慌てて手を離した。
そんな彼の耳は赤く染まっている。
「い、いえ!私も、その……殿下とお昼を共にしたいです……」
「そうか……嬉しいよ。じゃあ、行こうか」
レオンハルトがシャルロッテに手を差し伸べる。
シャルロッテは顔を真っ赤にしながらも、手を重ねてレオンハルトと共に教室を出て行った。
(こ、これは付いて行くしかないでしょ!)
私は気付かれないようにそっと付いて行き、二人の会話をこっそり聞いていた。
「殿下、食堂へ行かれるのですか?」
「いや、王族専用の場所があるんだ。他の生徒は誰も知らない」
「そんな場所に私が行っていいのですか?」
「君は私の婚約者なのだから問題ない。どうやら私はずっと君を誤解していたようだ。――君のことをもっと知りたいんだ」
王族専用の場所。
そこに連れて行ってくれるということは、つまり自分の未来の妻だと認めたも同然である。
(シャルロッテ、いつの間にかレオンハルトの前で普通に喋れるようになってるし!我ながらいい作戦だったわ)
うんうんとうなずいていると苛立ちを含んだ声が頭上から聞こえてきた。
「――立ち聞きとは悪趣味だな」
(ッ!?)
顔を上げると、不機嫌そうな黒い瞳と目が合った。
「うわぁ……」
そこにいたのは、私の大嫌いなカイル・フォースだった。
(何でコイツがここにいんのよーーー!!!)
「何でここにいんのよ」
「お前が教室から出て行くのを見たんだ」
「だからって何でアンタが付いて来るわけ?」
「……」
私がそう尋ねると、カイル・フォースは黙り込んだ。
(まさか私がレオンハルトやシャルロッテに危害を加えるんじゃないかって心配してるのかな?)
もしそうなら非常に不愉快だ。
レオンハルトはともかく、シャルロッテは私の一番の友達なのに。
「それよりアンタ、お昼はもう食べたの?」
「いや、まだ」
「じゃあ早く食べに行きなさいよ」
「……」
カイルは何故か視線を逸らした。
(何?食べる友達いないのかな?)
もしかすると、レオンハルトがシャルロッテと行ってしまったから一緒に食べる人がいなくて困っているのかもしれない。
(へぇ、なかなか可愛いとこあんじゃん!)
前世アラサーの私は、年の離れた弟に話しかけるようにして口を開いた。
「一緒に食べる友達いないなら私が食べてあげようか?」
「……ッ!」
それを聞いたカイルは何故か顔を赤くした。
(ん?何か顔赤くするやつ多いな)
シャルロッテにレオンハルトに、カイルまで。
一体どうしたというのだろうか。
「お、俺がお前と一緒に食べるわけないだろ!」
「……」
(可愛いと思ったけど……やっぱりムカつくやつね)
決めた、後で本当にしばこう。
カイルは息を荒くしながら私の前から立ち去った。
(アイツとだけは絶対仲良くなれそうにないわ)
もういっそ、カイルがレイチェルの相手になればいいのに。
そうすれば少なくとも戦争にはならないんじゃないか?
レオンハルトと違って婚約者いないし。
(うんうん、良い案だ!)
――――――――――――――
長い間お待たせして申し訳ありませんでした。
ゆっくりペースになるとは思いますが、更新再開するのでよろしくお願いいたします。
1~5話を改稿しました。
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