11 / 32
先代公爵夫人がやってきました
しおりを挟む
次の日。
父であるオズワルドは昨日久しぶりに帰って来たばかりだというのに朝早くから仕事へ行き、公爵邸にはいつも通りの日常が戻って来た。
昨日これでもかとアピール合戦を繰り広げていた三人はつまらなさそうにしていたが、ただ一人リデルにとっては好都合だった。
(平穏が戻ってきた!)
父親がいる日といない日で公爵邸はまるで違う。
まず普段から女遊びに耽っているライアスは滅多に帰って来なくなり、マリナやクララもお茶会に参加したり王宮へ行ったりで外出が一気に増える。
つまり、公爵邸にシルフィーラの敵がいなくなるのだ。
(今日はお義母様と一緒に何をしようかなあ?庭園へ行ってもいいし……お出かけしても良さそうだなぁ)
リデルが一人楽しく考えを巡らせていたとき、部屋の扉がノックされた。
「――リデルお嬢様、奥様がお見えです」
「お義母様が!?」
ちょうどいいところに来てくれたようだ。
それからすぐに扉からシルフィーラが入って来た。
「リデル!」
「お義母様!」
シルフィーラは両手を広げてリデルの元へと駆け寄って来る。
「忙しいところ邪魔しちゃったかしら?」
「いえ、全然そんなことありません!お義母様に会えて嬉しいです!」
「まぁ、そんなこと言ってくれるだなんて私も嬉しいわ」
そこでシルフィーラはリデルの机の上に置かれている本にチラリと目をやった。
それらは今日の授業で使ったものだ。
「そうだわリデル、せっかくだから今日はお勉強をしましょうか」
「え、お、お勉強ですか……?」
”お勉強”
その言葉を聞いた途端、リデルのテンションが一瞬にして急降下した。
「遊ぶのもいいけれど、リデルはもう公爵令嬢なんだから。この先他の貴族家の方々と関わる機会も増えると思うし、ね?」
「それもそうですね……」
渋々納得したリデルは、自室に備えられている勉強机に向かった。
「お義母様、どうぞ」
「あら、ありがとう」
近くにあった椅子を自身の隣に置いたリデルはシルフィーラに席を勧めた。
「今日はどんな授業をしたのかしら?」
「えっと……テーブルマナーとピアノと…………あと、公爵家の歴史についてを学びました!」
「じゃあこの本はベルクォーツ公爵家について書かれているのね」
「はい!」
シルフィーラはリデルの手元にあった本を覗き込んだ。
「私もどんなことが書かれているのか見てみたいわ」
「じゃあ一緒に読みましょう!」
「あら、読んでくれるの?」
「はい!」
リデルは自信満々にそう言い、ベルクォーツ公爵家の歴史についての本を読み始めた。
が、しかし――
「ぜ、全然読み終わらない……」
「ベルクォーツ家の歴史は長いから……」
いくら読み進めても終わりが見えない本に挫けそうになっているリデルを見て、シルフィーラが苦笑いを浮かべた。
「……私も立派な貴族令嬢になれるでしょうか」
「努力していれば、きっとなれるわよ」
「お義母様……」
シルフィーラの言葉にリデルが笑顔になりかけたそのとき、再び部屋の扉がコンコンとノックされた。
「失礼致します」
扉から顔を覗かせたのは先ほどの侍女では無く、シルフィーラの専属侍女であるミーアだった。
「奥様、お客様がいらっしゃっているそうです」
「あら、今日は来客の予定は無いはずだけれど……一体どなたかしら?」
「さぁ、私も詳しくは聞いておりませんので……」
「とにかく行きましょう、お客様をお待たせするわけにはいかないわ」
シルフィーラ、リデル、そしてミーアの三人は突然の来客を出迎えるために部屋を出てエントランスへと向かった。
「先触れも無く訪問するだなんて、無礼な方ですね」
「まあまあ落ち着いて」
不満そうなミーアをシルフィーラが宥めた。
少し歩くと、公爵邸の立派なエントランスが見えてくる。
(一体誰だろう……?)
エントランスの扉のすぐ傍に立っていたのは黒い髪と青い瞳を持つご夫人だった。
かなりお年を召しているように見える。
(黒い髪に……青い瞳……私やお父様たちと同じ……)
リデルはその夫人を見て内心驚いた。
夫人の髪と瞳の色。
それは紛れもなくベルクォーツ公爵家の象徴だったから。
「お、大奥様……!」
「お義母様……」
突然の来訪者にシルフィーラと侍女はしばらくの間固まっていた。
「――ベルクォーツ家の公爵夫人と侍女は先代公爵夫人である私に挨拶も出来ないのかしら?」
「「!」」
苛立ちを含んだその声に、我を取り戻したシルフィーラが夫人の前に歩み出た。
「申し訳ありません、お義母様。しかし、いらっしゃるのなら前もって知らせていただければ……」
「黙りなさい!」
自身の非を認めて頭を下げるシルフィーラに、夫人が突然声を荒らげた。
「私に非があると言いたいの!?」
「い、いえ……そうではなく……前もって知らせていただければ迎えの者を……」
「何て嫌味な女なの!」
「お、お義母様……」
夫人はシルフィーラの話にまるで聞く耳を持たなかった。
(先代公爵夫人……ってことはお父様のお母様……!?)
リデルは会ったことこそ無かったが、名前だけは本で見たことがあった。
――先代公爵夫人エリザベータ・ベルクォーツ
元ベルクォーツ公爵令嬢。
公爵家の唯一の後継者だったが、女だったため当主にはなれなかった人物である。
ベルクォーツ公爵家の象徴である黒い髪と青い瞳を持っていたため何となく予想はしていたが、これほど頭の固い人だったとは。
初対面から既に仲良くなるのは無理そうだとリデルは瞬時に悟った。
「あの……お義母様……本日はどのようなご用件でいらっしゃったのですか……?」
シルフィーラが遠慮がちに尋ねた。
しかし、その言葉にもまた気を悪くしたのかエリザベータは嫌味ったらしく言った。
「あら、用事が無いと来てはいけないのかしら?私はこの家の当主の母親なのに?」
「も、申し訳ありません……そういう意味で言ったわけでは……」
シルフィーラは頭を下げるしかなかった。
エリザベータはたしかにベルクォーツ公爵家の当主の母親だったから。
父公爵ですら強く出れない相手だろう。
「……旦那様は今外出中でございます」
「そんなの知ってるわ」
控えめに言ったシルフィーラに対してエリザベータは素っ気なく答えた。
「それでは一体……」
「ベルクォーツ公爵家の新しい養女を見るためにここへ来たのよ」
「あ……そうでしたか……」
エリザベータはそこでシルフィーラの後ろでじっとしていたリデルを視界に入れた。
その冷たい青い瞳にビクッとしたが、もう以前のような臆病で身を潜めながら生きているリデルでは無い。
(大丈夫、大丈夫。きっと上手く出来る)
リデルは心の中で自分にそう言い聞かせながら、授業で習った通りにスカートの裾を手で持ち上げた。
「お初にお目にかかります。リデル・ベルクォーツと申します」
「……」
エリザベータはそんなリデルを無言で見下ろしていた。
しかし突然、興味の無さそうに顔を背けたかと思うと忠告のような形でリデルに言った。
「ふん、せいぜい目立たずに生きることね。それと絶対にライアスの邪魔はしないでちょうだい」
「あ、は、はい……」
リデルは反射的に頷いていたが、実際はエリザベータの言葉の意味を理解することが出来なかった。
(ライアス様の邪魔はしないでって一体どういう意味だろう……?)
しかしエリザベータは既にリデルに対する興味は失せているらしく、誰かを探すかのようにキョロキョロと辺りを見回している。
「あ、あの……お義母様……」
「――お祖母様!」
そんなエリザベータを不思議に思ってシルフィーラが尋ねようとしたそのとき、突如今の雰囲気には似つかわしくない明るい声が割り込んだ。
「……ライアス様?」
こちらに駆け寄ってきたのはエントランスの扉から中へ入ってきたライアスだった。
(ライアス様……滅多に帰って来ない人のに……)
「まぁ、ライアス!」
ライアスを見てエリザベータは嬉しそうに目を輝かせた。
その姿はまるで孫を心底愛する優しい祖母のようだった。
「お祖母様、来ていらしたんですね」
「ライアス、また背が伸びたんじゃないかしら?立派になったわね」
「俺はもう二十歳です。成長期はとっくに過ぎてますよ」
「もう、そんなこと言って!」
(な……冗談でしょう……?)
先ほどまでの冷たい口調が嘘のようだ。
頭が固いと思っていたエリザベータは、ライアスの体に触れながらニコニコしている。
「それよりお祖母様、実は買っていただきたい物があるのですが……」
「あら、何かしら?」
そんな会話をしながら、エリザベータとライアスは二人一緒に公爵邸を出てどこかへ歩いて行く。
リデルはその光景をただポカンと見つめていた。
(気難しい方だと思っていたのに……)
エリザベータの変貌に、リデルは開いた口が塞がらなかった。
父であるオズワルドは昨日久しぶりに帰って来たばかりだというのに朝早くから仕事へ行き、公爵邸にはいつも通りの日常が戻って来た。
昨日これでもかとアピール合戦を繰り広げていた三人はつまらなさそうにしていたが、ただ一人リデルにとっては好都合だった。
(平穏が戻ってきた!)
父親がいる日といない日で公爵邸はまるで違う。
まず普段から女遊びに耽っているライアスは滅多に帰って来なくなり、マリナやクララもお茶会に参加したり王宮へ行ったりで外出が一気に増える。
つまり、公爵邸にシルフィーラの敵がいなくなるのだ。
(今日はお義母様と一緒に何をしようかなあ?庭園へ行ってもいいし……お出かけしても良さそうだなぁ)
リデルが一人楽しく考えを巡らせていたとき、部屋の扉がノックされた。
「――リデルお嬢様、奥様がお見えです」
「お義母様が!?」
ちょうどいいところに来てくれたようだ。
それからすぐに扉からシルフィーラが入って来た。
「リデル!」
「お義母様!」
シルフィーラは両手を広げてリデルの元へと駆け寄って来る。
「忙しいところ邪魔しちゃったかしら?」
「いえ、全然そんなことありません!お義母様に会えて嬉しいです!」
「まぁ、そんなこと言ってくれるだなんて私も嬉しいわ」
そこでシルフィーラはリデルの机の上に置かれている本にチラリと目をやった。
それらは今日の授業で使ったものだ。
「そうだわリデル、せっかくだから今日はお勉強をしましょうか」
「え、お、お勉強ですか……?」
”お勉強”
その言葉を聞いた途端、リデルのテンションが一瞬にして急降下した。
「遊ぶのもいいけれど、リデルはもう公爵令嬢なんだから。この先他の貴族家の方々と関わる機会も増えると思うし、ね?」
「それもそうですね……」
渋々納得したリデルは、自室に備えられている勉強机に向かった。
「お義母様、どうぞ」
「あら、ありがとう」
近くにあった椅子を自身の隣に置いたリデルはシルフィーラに席を勧めた。
「今日はどんな授業をしたのかしら?」
「えっと……テーブルマナーとピアノと…………あと、公爵家の歴史についてを学びました!」
「じゃあこの本はベルクォーツ公爵家について書かれているのね」
「はい!」
シルフィーラはリデルの手元にあった本を覗き込んだ。
「私もどんなことが書かれているのか見てみたいわ」
「じゃあ一緒に読みましょう!」
「あら、読んでくれるの?」
「はい!」
リデルは自信満々にそう言い、ベルクォーツ公爵家の歴史についての本を読み始めた。
が、しかし――
「ぜ、全然読み終わらない……」
「ベルクォーツ家の歴史は長いから……」
いくら読み進めても終わりが見えない本に挫けそうになっているリデルを見て、シルフィーラが苦笑いを浮かべた。
「……私も立派な貴族令嬢になれるでしょうか」
「努力していれば、きっとなれるわよ」
「お義母様……」
シルフィーラの言葉にリデルが笑顔になりかけたそのとき、再び部屋の扉がコンコンとノックされた。
「失礼致します」
扉から顔を覗かせたのは先ほどの侍女では無く、シルフィーラの専属侍女であるミーアだった。
「奥様、お客様がいらっしゃっているそうです」
「あら、今日は来客の予定は無いはずだけれど……一体どなたかしら?」
「さぁ、私も詳しくは聞いておりませんので……」
「とにかく行きましょう、お客様をお待たせするわけにはいかないわ」
シルフィーラ、リデル、そしてミーアの三人は突然の来客を出迎えるために部屋を出てエントランスへと向かった。
「先触れも無く訪問するだなんて、無礼な方ですね」
「まあまあ落ち着いて」
不満そうなミーアをシルフィーラが宥めた。
少し歩くと、公爵邸の立派なエントランスが見えてくる。
(一体誰だろう……?)
エントランスの扉のすぐ傍に立っていたのは黒い髪と青い瞳を持つご夫人だった。
かなりお年を召しているように見える。
(黒い髪に……青い瞳……私やお父様たちと同じ……)
リデルはその夫人を見て内心驚いた。
夫人の髪と瞳の色。
それは紛れもなくベルクォーツ公爵家の象徴だったから。
「お、大奥様……!」
「お義母様……」
突然の来訪者にシルフィーラと侍女はしばらくの間固まっていた。
「――ベルクォーツ家の公爵夫人と侍女は先代公爵夫人である私に挨拶も出来ないのかしら?」
「「!」」
苛立ちを含んだその声に、我を取り戻したシルフィーラが夫人の前に歩み出た。
「申し訳ありません、お義母様。しかし、いらっしゃるのなら前もって知らせていただければ……」
「黙りなさい!」
自身の非を認めて頭を下げるシルフィーラに、夫人が突然声を荒らげた。
「私に非があると言いたいの!?」
「い、いえ……そうではなく……前もって知らせていただければ迎えの者を……」
「何て嫌味な女なの!」
「お、お義母様……」
夫人はシルフィーラの話にまるで聞く耳を持たなかった。
(先代公爵夫人……ってことはお父様のお母様……!?)
リデルは会ったことこそ無かったが、名前だけは本で見たことがあった。
――先代公爵夫人エリザベータ・ベルクォーツ
元ベルクォーツ公爵令嬢。
公爵家の唯一の後継者だったが、女だったため当主にはなれなかった人物である。
ベルクォーツ公爵家の象徴である黒い髪と青い瞳を持っていたため何となく予想はしていたが、これほど頭の固い人だったとは。
初対面から既に仲良くなるのは無理そうだとリデルは瞬時に悟った。
「あの……お義母様……本日はどのようなご用件でいらっしゃったのですか……?」
シルフィーラが遠慮がちに尋ねた。
しかし、その言葉にもまた気を悪くしたのかエリザベータは嫌味ったらしく言った。
「あら、用事が無いと来てはいけないのかしら?私はこの家の当主の母親なのに?」
「も、申し訳ありません……そういう意味で言ったわけでは……」
シルフィーラは頭を下げるしかなかった。
エリザベータはたしかにベルクォーツ公爵家の当主の母親だったから。
父公爵ですら強く出れない相手だろう。
「……旦那様は今外出中でございます」
「そんなの知ってるわ」
控えめに言ったシルフィーラに対してエリザベータは素っ気なく答えた。
「それでは一体……」
「ベルクォーツ公爵家の新しい養女を見るためにここへ来たのよ」
「あ……そうでしたか……」
エリザベータはそこでシルフィーラの後ろでじっとしていたリデルを視界に入れた。
その冷たい青い瞳にビクッとしたが、もう以前のような臆病で身を潜めながら生きているリデルでは無い。
(大丈夫、大丈夫。きっと上手く出来る)
リデルは心の中で自分にそう言い聞かせながら、授業で習った通りにスカートの裾を手で持ち上げた。
「お初にお目にかかります。リデル・ベルクォーツと申します」
「……」
エリザベータはそんなリデルを無言で見下ろしていた。
しかし突然、興味の無さそうに顔を背けたかと思うと忠告のような形でリデルに言った。
「ふん、せいぜい目立たずに生きることね。それと絶対にライアスの邪魔はしないでちょうだい」
「あ、は、はい……」
リデルは反射的に頷いていたが、実際はエリザベータの言葉の意味を理解することが出来なかった。
(ライアス様の邪魔はしないでって一体どういう意味だろう……?)
しかしエリザベータは既にリデルに対する興味は失せているらしく、誰かを探すかのようにキョロキョロと辺りを見回している。
「あ、あの……お義母様……」
「――お祖母様!」
そんなエリザベータを不思議に思ってシルフィーラが尋ねようとしたそのとき、突如今の雰囲気には似つかわしくない明るい声が割り込んだ。
「……ライアス様?」
こちらに駆け寄ってきたのはエントランスの扉から中へ入ってきたライアスだった。
(ライアス様……滅多に帰って来ない人のに……)
「まぁ、ライアス!」
ライアスを見てエリザベータは嬉しそうに目を輝かせた。
その姿はまるで孫を心底愛する優しい祖母のようだった。
「お祖母様、来ていらしたんですね」
「ライアス、また背が伸びたんじゃないかしら?立派になったわね」
「俺はもう二十歳です。成長期はとっくに過ぎてますよ」
「もう、そんなこと言って!」
(な……冗談でしょう……?)
先ほどまでの冷たい口調が嘘のようだ。
頭が固いと思っていたエリザベータは、ライアスの体に触れながらニコニコしている。
「それよりお祖母様、実は買っていただきたい物があるのですが……」
「あら、何かしら?」
そんな会話をしながら、エリザベータとライアスは二人一緒に公爵邸を出てどこかへ歩いて行く。
リデルはその光景をただポカンと見つめていた。
(気難しい方だと思っていたのに……)
エリザベータの変貌に、リデルは開いた口が塞がらなかった。
99
お気に入りに追加
2,108
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
【本編完結】番って便利な言葉ね
朝山みどり
恋愛
番だと言われて異世界に召喚されたわたしは、番との永遠の愛に胸躍らせたが、番は迎えに来なかった。
召喚者が持つ能力もなく。番の家も冷たかった。
しかし、能力があることが分かり、わたしは一人で生きて行こうと思った・・・・
本編完結しましたが、ときおり番外編をあげます。
ぜひ読んで下さい。
「第17回恋愛小説大賞」 で奨励賞をいただきました。 ありがとうございます
短編から長編へ変更しました。
62話で完結しました。
虐げられ令嬢、辺境の色ボケ老人の後妻になるはずが、美貌の辺境伯さまに溺愛されるなんて聞いていません!
葵 すみれ
恋愛
成り上がりの男爵家に生まれた姉妹、ヘスティアとデボラ。
美しく貴族らしい金髪の妹デボラは愛されたが、姉のヘスティアはみっともない赤毛の上に火傷の痕があり、使用人のような扱いを受けていた。
デボラは自己中心的で傲慢な性格であり、ヘスティアに対して嫌味や攻撃を繰り返す。
火傷も、デボラが負わせたものだった。
ある日、父親と元婚約者が、ヘスティアに結婚の話を持ちかける。
辺境伯家の老人が、おぼつかないくせに色ボケで、後妻を探しているのだという。
こうしてヘスティアは本人の意思など関係なく、辺境の老人の慰み者として差し出されることになった。
ところが、出荷先でヘスティアを迎えた若き美貌の辺境伯レイモンドは、後妻など必要ないと言い出す。
そう言われても、ヘスティアにもう帰る場所などない。
泣きつくと、レイモンドの叔母の提案で、侍女として働かせてもらえることになる。
いじめられるのには慣れている。
それでもしっかり働けば追い出されないだろうと、役に立とうと決意するヘスティア。
しかし、辺境伯家の人たちは親切で優しく、ヘスティアを大切にしてくれた。
戸惑うヘスティアに、さらに辺境伯レイモンドまでが、甘い言葉をかけてくる。
信じられない思いながらも、ヘスティアは少しずつレイモンドに惹かれていく。
そして、元家族には、破滅の足音が近づいていた――。
※小説家になろうにも掲載しています
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる