14 / 32
父と母なかよし大作戦
しおりを挟む
リデルはその日から早速行動に移した。
「カイゼルさん、お父様が次に公爵邸に帰ってくるのはいつ頃ですか?」
「そうですね、三日後になられるかと……」
リデルはオズワルドの侍従であるカイゼルを味方に付け、父親のこれから先の予定を全て聞き出した。
(三日後か……なら大丈夫そう!)
そして、オズワルドが帰ってきた日の夜。
「お父様!」
「……?」
マリナたちがいない隙を見計らってリデルは帰宅したオズワルドに声をかけた。
そしてキラキラした眼差しで父親を見上げながら言った。
「私、もっとお父様と仲良くなりたいんです!明日一緒にお茶しませんか!」
「……」
突然の提案に、もちろんオズワルドは思い迷った。
しかし、こんなときは彼の侍従であるカイゼルの出番である。
「旦那様、リデルお嬢様は実の母親を亡くされたばかりで寂しい思いをされていらっしゃるのです。どうかお嬢様のお願いを聞き入れていただけませんか」
「……」
その言葉に、オズワルドは渋々お茶会に参加することを承諾した。
(よし!)
それから次にリデルが向かったのはシルフィーラの元だ。
「お義母様!」
「あら、リデル。どうしたの?」
リデルは部屋を出たシルフィーラにギュッと抱き着いた。
「お義母様、明日一緒にお茶でもしませんか?」
「リデルから誘ってくるだなんて珍しいわね。もちろんいいわよ」
「やった!」
シルフィーラはいつものように快くリデルの提案を受け入れた。
(完璧完璧!)
二人から承諾の返事を貰ったリデルは内心、ニヤリとほくそ笑んだ。
***
そしてお茶会当日。
「お父様!お義母様!さぁ、座ってください!」
お茶会に参加するため、リデルに指定された場所へ来た二人は互いの姿を見て見事に固まった。
「……」
「……」
ここは王都にあるカフェテリアの一室である。
何故二人をこの場所に来させたのかというと、それはこの近辺が有名な縁結びスポットだからだ。
お茶会を終えたオズワルドとシルフィーラが二人きりでデートをする……というシチュエーションを考えたリデルが二人をここへ誘導したのだ。
「リデル……これは一体……」
シルフィーラが青褪めた表情でリデルの方を見た。
リデルはそんな義母にニッコリと笑い返す。
(ごめんなさいお義母様。あなたを嵌めました)
顔色の悪くなったシルフィーラを見てオズワルドが口を開いた。
「――俺は帰る」
「えっ!お父様!?」
それだけ言うとオズワルドはすぐにこの場を立ち去ろうとする。
(ちょ、ちょっと待ってよ!これじゃ意味無いじゃない!)
リデルは早足で歩くオズワルドの後を必死で追いかけ、上着の裾をギュッと掴んだ。
「待ってくださいお父様!」
「……」
オズワルドは立ち止まりはしたものの、リデルとシルフィーラの方を振り返ろうとはしなかった。
「お父様!行かないでください!」
「……」
そう言っても、オズワルドは黙ったままだ。
もしかすると自分がいることでシルフィーラが嫌な思いをすると思っているのかもしれない。
もしそうならとんだ勘違いだ。
何故なら彼女は今でもオズワルドを愛しているのだから。
「お義母様!お義母様もお父様に参加してほしいですよね!」
焦ったリデルは後ろでこの光景をじっと見つめていたシルフィーラに同意を求めた。
こうするのが一番手っ取り早いと思ったからだ。
突然そんなことを聞かれたシルフィーラは、顔を引きつらせながらも頷いた。
「え……ええ、そうね……」
「……」
それを聞いたオズワルドはしばらくの間立ち尽くしていたが、突然振り返ったかと思うとゆったりとした歩みで席へと戻った。
(やった!作戦成功!)
オズワルドが座るのを見たリデルとシルフィーラも席に着き、三人で一つのテーブルを囲んでのお茶会が始まった。
「お父様!お義母様!この紅茶、とっても美味しいですね!」
「ええ、そうね」
「……」
お茶会が始まってからというもの、リデルは積極的に二人に話しかけた。
そんなリデルを温かい目で見守りながら言葉を返すシルフィーラ。
二人の会話に耳を傾けながらも一言も発しないオズワルド。
「お父様とお義母様もお一ついかがですか!」
「あら、じゃあいただこうかしら」
「……」
シルフィーラはリデルの差し出したクッキーを受け取って口に運んだ。
彼女の食べる姿はいつ見ても美しい。
そんなシルフィーラを、オズワルドは本人に気付かれないように横目でチラチラと見ていた。
(ああ、もうじれったい!見てないで話しかければいいのに!)
しかし、そんなリデルの思いとは裏腹に二人はいつまで経っても言葉を交わそうとはしなかった。
「お、お父様……お義母様……」
「……」
「……」
そしてリデルが喋らなくなると、すぐに部屋に沈黙が流れた。
(な、何か私ばかり喋ってる気が……)
二人に仲良くなってほしくてお茶会を開いたというのに、これでは意味がない。
そこでリデルはとある作戦を決行することを決めた。
「う……うう……」
「リデル!?どうしたの!?」
リデルは突然腹を押さえながら苦しそうにうめき声を上げた。
それを見たシルフィーラは、すぐに椅子から立ち上がって駆け寄った。
「お、お腹が……」
「ま、まさか毒!?」
顔が青くなっていくシルフィーラに、オズワルドは冷静に告げた。
「ただの食べ過ぎだろう」
「……!」
父親の言葉にリデルはギクリとなった。
(な、何かそう言われると恥ずかしい……!)
まさかオズワルドに食い意地が張っていると思われていたとは。
公爵邸で口にする食事が美味しすぎてつい食べ過ぎてしまっていたようである。
自覚が無いことは無かった。
「で、ですが旦那様……医者を呼んだほうがよろしいのでは?」
シルフィーラはオズワルドの方を見ながらそう言った。
(医者!?ちょっと待ったー!)
医者という言葉を聞いて焦ったリデルは慌てて口を開いた。
「お、お義母様!私、大丈夫だよ!」
「ダメよ!そんなこと言って悪化したらどうするの!」
しかし、リデルに対して早くも過保護になっているシルフィーラはなかなか退かない。
「ちょ、ちょっとトイレ行ったら治るだろうから……」
「……本当に?」
「うん!」
シルフィーラはようやく納得してくれたようだった。
しかし――
「そう、じゃあ今日のお茶会はこれで終わりにしましょう」
「え!?」
「リデルがそんな風になっているのに呑気にお茶なんてしていられないわ」
(待って待って!どうしてそうなるの!)
シルフィーラとオズワルドを二人きりにしようとしたのにとんだ誤算だった。
「あーやっぱり治ったみたい!もう何ともないよ!」
「え、本当に?」
「うん!もう元気!」
リデルはそう言いながらシルフィーラとオズワルドの周辺を走り回った。
淑女らしからぬ行動だが、今はリデルにとってそれどころではなかった。
自分がどれほど健康体であるかの証明をしなければいけなかったから。
「本当かしら?」
それでもシルフィーラはまだ訝し気にリデルの体を上から下まで見ていた。
そして、ハァとため息をついて席に着いた。
「念のため、後でお医者さんに診てもらいましょうね」
「は、はーい……」
シルフィーラは心配性なようだ。
ふと父親の方を見てみると、オズワルドは机に肘をつきながら興味の無さそうに一連の事態を眺めていた。
「あ……お、お父様……」
「……」
オズワルドはリデルと目が合うなりプイッと顔を背けた。
リデルはそんな父親に慌てて話しかけた。
「あ、あの!お父様とお義母様、この後散歩でもしませんか?」
「良い提案だけれど、この後は侯爵夫人のお茶会があるのよ」
「俺も仕事がある」
「あ……そ、そうですか……」
(さ、作戦失敗……!)
作戦を開始してから早くも、リデルの心は折れそうになっていた。
「カイゼルさん、お父様が次に公爵邸に帰ってくるのはいつ頃ですか?」
「そうですね、三日後になられるかと……」
リデルはオズワルドの侍従であるカイゼルを味方に付け、父親のこれから先の予定を全て聞き出した。
(三日後か……なら大丈夫そう!)
そして、オズワルドが帰ってきた日の夜。
「お父様!」
「……?」
マリナたちがいない隙を見計らってリデルは帰宅したオズワルドに声をかけた。
そしてキラキラした眼差しで父親を見上げながら言った。
「私、もっとお父様と仲良くなりたいんです!明日一緒にお茶しませんか!」
「……」
突然の提案に、もちろんオズワルドは思い迷った。
しかし、こんなときは彼の侍従であるカイゼルの出番である。
「旦那様、リデルお嬢様は実の母親を亡くされたばかりで寂しい思いをされていらっしゃるのです。どうかお嬢様のお願いを聞き入れていただけませんか」
「……」
その言葉に、オズワルドは渋々お茶会に参加することを承諾した。
(よし!)
それから次にリデルが向かったのはシルフィーラの元だ。
「お義母様!」
「あら、リデル。どうしたの?」
リデルは部屋を出たシルフィーラにギュッと抱き着いた。
「お義母様、明日一緒にお茶でもしませんか?」
「リデルから誘ってくるだなんて珍しいわね。もちろんいいわよ」
「やった!」
シルフィーラはいつものように快くリデルの提案を受け入れた。
(完璧完璧!)
二人から承諾の返事を貰ったリデルは内心、ニヤリとほくそ笑んだ。
***
そしてお茶会当日。
「お父様!お義母様!さぁ、座ってください!」
お茶会に参加するため、リデルに指定された場所へ来た二人は互いの姿を見て見事に固まった。
「……」
「……」
ここは王都にあるカフェテリアの一室である。
何故二人をこの場所に来させたのかというと、それはこの近辺が有名な縁結びスポットだからだ。
お茶会を終えたオズワルドとシルフィーラが二人きりでデートをする……というシチュエーションを考えたリデルが二人をここへ誘導したのだ。
「リデル……これは一体……」
シルフィーラが青褪めた表情でリデルの方を見た。
リデルはそんな義母にニッコリと笑い返す。
(ごめんなさいお義母様。あなたを嵌めました)
顔色の悪くなったシルフィーラを見てオズワルドが口を開いた。
「――俺は帰る」
「えっ!お父様!?」
それだけ言うとオズワルドはすぐにこの場を立ち去ろうとする。
(ちょ、ちょっと待ってよ!これじゃ意味無いじゃない!)
リデルは早足で歩くオズワルドの後を必死で追いかけ、上着の裾をギュッと掴んだ。
「待ってくださいお父様!」
「……」
オズワルドは立ち止まりはしたものの、リデルとシルフィーラの方を振り返ろうとはしなかった。
「お父様!行かないでください!」
「……」
そう言っても、オズワルドは黙ったままだ。
もしかすると自分がいることでシルフィーラが嫌な思いをすると思っているのかもしれない。
もしそうならとんだ勘違いだ。
何故なら彼女は今でもオズワルドを愛しているのだから。
「お義母様!お義母様もお父様に参加してほしいですよね!」
焦ったリデルは後ろでこの光景をじっと見つめていたシルフィーラに同意を求めた。
こうするのが一番手っ取り早いと思ったからだ。
突然そんなことを聞かれたシルフィーラは、顔を引きつらせながらも頷いた。
「え……ええ、そうね……」
「……」
それを聞いたオズワルドはしばらくの間立ち尽くしていたが、突然振り返ったかと思うとゆったりとした歩みで席へと戻った。
(やった!作戦成功!)
オズワルドが座るのを見たリデルとシルフィーラも席に着き、三人で一つのテーブルを囲んでのお茶会が始まった。
「お父様!お義母様!この紅茶、とっても美味しいですね!」
「ええ、そうね」
「……」
お茶会が始まってからというもの、リデルは積極的に二人に話しかけた。
そんなリデルを温かい目で見守りながら言葉を返すシルフィーラ。
二人の会話に耳を傾けながらも一言も発しないオズワルド。
「お父様とお義母様もお一ついかがですか!」
「あら、じゃあいただこうかしら」
「……」
シルフィーラはリデルの差し出したクッキーを受け取って口に運んだ。
彼女の食べる姿はいつ見ても美しい。
そんなシルフィーラを、オズワルドは本人に気付かれないように横目でチラチラと見ていた。
(ああ、もうじれったい!見てないで話しかければいいのに!)
しかし、そんなリデルの思いとは裏腹に二人はいつまで経っても言葉を交わそうとはしなかった。
「お、お父様……お義母様……」
「……」
「……」
そしてリデルが喋らなくなると、すぐに部屋に沈黙が流れた。
(な、何か私ばかり喋ってる気が……)
二人に仲良くなってほしくてお茶会を開いたというのに、これでは意味がない。
そこでリデルはとある作戦を決行することを決めた。
「う……うう……」
「リデル!?どうしたの!?」
リデルは突然腹を押さえながら苦しそうにうめき声を上げた。
それを見たシルフィーラは、すぐに椅子から立ち上がって駆け寄った。
「お、お腹が……」
「ま、まさか毒!?」
顔が青くなっていくシルフィーラに、オズワルドは冷静に告げた。
「ただの食べ過ぎだろう」
「……!」
父親の言葉にリデルはギクリとなった。
(な、何かそう言われると恥ずかしい……!)
まさかオズワルドに食い意地が張っていると思われていたとは。
公爵邸で口にする食事が美味しすぎてつい食べ過ぎてしまっていたようである。
自覚が無いことは無かった。
「で、ですが旦那様……医者を呼んだほうがよろしいのでは?」
シルフィーラはオズワルドの方を見ながらそう言った。
(医者!?ちょっと待ったー!)
医者という言葉を聞いて焦ったリデルは慌てて口を開いた。
「お、お義母様!私、大丈夫だよ!」
「ダメよ!そんなこと言って悪化したらどうするの!」
しかし、リデルに対して早くも過保護になっているシルフィーラはなかなか退かない。
「ちょ、ちょっとトイレ行ったら治るだろうから……」
「……本当に?」
「うん!」
シルフィーラはようやく納得してくれたようだった。
しかし――
「そう、じゃあ今日のお茶会はこれで終わりにしましょう」
「え!?」
「リデルがそんな風になっているのに呑気にお茶なんてしていられないわ」
(待って待って!どうしてそうなるの!)
シルフィーラとオズワルドを二人きりにしようとしたのにとんだ誤算だった。
「あーやっぱり治ったみたい!もう何ともないよ!」
「え、本当に?」
「うん!もう元気!」
リデルはそう言いながらシルフィーラとオズワルドの周辺を走り回った。
淑女らしからぬ行動だが、今はリデルにとってそれどころではなかった。
自分がどれほど健康体であるかの証明をしなければいけなかったから。
「本当かしら?」
それでもシルフィーラはまだ訝し気にリデルの体を上から下まで見ていた。
そして、ハァとため息をついて席に着いた。
「念のため、後でお医者さんに診てもらいましょうね」
「は、はーい……」
シルフィーラは心配性なようだ。
ふと父親の方を見てみると、オズワルドは机に肘をつきながら興味の無さそうに一連の事態を眺めていた。
「あ……お、お父様……」
「……」
オズワルドはリデルと目が合うなりプイッと顔を背けた。
リデルはそんな父親に慌てて話しかけた。
「あ、あの!お父様とお義母様、この後散歩でもしませんか?」
「良い提案だけれど、この後は侯爵夫人のお茶会があるのよ」
「俺も仕事がある」
「あ……そ、そうですか……」
(さ、作戦失敗……!)
作戦を開始してから早くも、リデルの心は折れそうになっていた。
136
お気に入りに追加
2,108
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
旦那様、離婚しましょう
榎夜
恋愛
私と旦那は、いわゆる『白い結婚』というやつだ。
手を繋いだどころか、夜を共にしたこともありません。
ですが、とある時に浮気相手が懐妊した、との報告がありました。
なので邪魔者は消えさせてもらいますね
*『旦那様、離婚しましょう~私は冒険者になるのでお構いなく!~』と登場人物は同じ
本当はこんな感じにしたかったのに主が詰め込みすぎて......
さようなら、家族の皆さま~不要だと捨てられた妻は、精霊王の愛し子でした~
みなと
ファンタジー
目が覚めた私は、ぼんやりする頭で考えた。
生まれた息子は乳母と義母、父親である夫には懐いている。私のことは、無関心。むしろ馬鹿にする対象でしかない。
夫は、私の実家の資産にしか興味は無い。
なら、私は何に興味を持てばいいのかしら。
きっと、私が生きているのが邪魔な人がいるんでしょうね。
お生憎様、死んでやるつもりなんてないの。
やっと、私は『私』をやり直せる。
死の淵から舞い戻った私は、遅ればせながら『自分』をやり直して楽しく生きていきましょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる