愛人の子を寵愛する旦那様へ、多分その子貴方の子どもじゃありません。

ましゅぺちーの

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34 エピローグ

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アルフ様のプロポーズから五年後。
グクルス公爵邸では賑やかな父娘の声が響いていた。


「お父様!早く早く!」
「リア、そんなに走ると危ないぞ」
「お母様とお兄様が待ってるんです!早く行かないと!」


部屋でお茶の準備をしていた私たちの耳に聞き慣れた家族の声が入った。


「あら、アルフ様とリアがもうすぐ来るみたい」
「そのようですね」


あれから私とアルフ様は籍を入れ、正式に夫婦となった。
今はアルフ様が代理でグクルス公爵となっているが、ルヴァンが成人したらすぐに爵位を継承するつもりだ。


とても悩んだことだったが、私よりもアルフ様の方が当主としては相応しいだろうと考えた。
そして、私たちが結婚したことによりアルフ様はリアとルヴァンの継父となった。
血が繋がっていないということを感じさせないくらい彼は子供に優しい父親だった。


「――お義母様」
「どうかしたの、ルヴァン」


茶を注いでいた私に、ルヴァンが声をかけた。


「血の繋がりの無い僕を引き取り、大事に育ててくださって、本当にありがとうございます」
「ルヴァン……」


ドロシー処刑の後、ルヴァンは母親が犯した罪や自分が父親の実子では無かったこと、父にもう一つの家庭が存在していたことを知った。
当時まだ幼かったルヴァンにとってその事実は耐えがたいものだった。


最初こそ酷く落ち込んでいた彼だったが、今ではだいぶ受け入れられているようだった。


「そんな風に言わなくていいのよ。貴方は誰が何と言おうと、私たちの息子なんだから」
「……ありがとうございます」


彼は嬉しそうに微笑んだ。
かつては幼かったルヴァンも今では立派な公爵家の後継者だ。


「――お母様!お兄様!」
「リア!」


ちょうどそのとき、リアとアルフ様が部屋に入ってきた。


「よく来たわね、リア、アルフ様も」


既にお茶の準備が出来ていた私は、三人に席を勧めた。
私とリアが隣同士で座り、正面にはアルフ様とルヴァンが腰を下ろした。
何よりも大切な家族の時間だ。


「お母様、今日のお勉強はお父様が教えてくださったんです!」
「まぁ……お父様が」


アルフ様は昔からとても優秀で、私もよく勉強を教えてもらっていた。


「そういえばルヴァンはこの後アルフ様と剣術の稽古をするそうね?」
「あ……はい」


ルヴァンが照れ臭そうに頷いた。
誰よりも強くて優しい継父は彼にとって憧れの存在となっていた。


「ならリアはお母様と一緒にお父様とお兄様の見学でもしましょうか」
「はい、お母様!」


よほど楽しみなのか、リアは満面の笑みで首を縦に振った。


「え、は、恥ずかしいです……!」


顔を真っ赤にするルヴァン。
アルフ様はそんなルヴァンの肩に手を置いてハハハと笑った。


(すっかり仲の良い親子ね)


そんな二人の様子に私とリアは顔を見合わせて笑った。


「お母様、私この四人でずっとずっと一緒にいたいです!」


私の手を握り、満面の笑顔でそう言った愛娘に、私も笑顔を返した。


「ええ、私もよ」


――どうかこの平穏な日々が永遠に続くようにと願いながら。





***


これで本編は完結となります!
ここまで見てくださってありがとうございました!
番外編でディアンのその後をやる予定です!



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