49 / 61
腐女子とバノフィーパイ⑥
しおりを挟む
涼さんの従兄弟だという男性──彼からは「気軽に博貴って呼んでください」とハートマークつきで言われたが、初対面で呼び捨てできるほど心臓に毛が生えてない──の案内で、広大な屋敷の中を涼さんと並んで歩く。
「う……わぁ……」
時間経過でうっすらと灰色が乗った生成りの壁と、白いペンキが何度も塗り重ねられた腰板。ワックス油が染み込んでねっとりとした焦げ茶に鈍く光る床板。窓のガラスは、ところどころレンズのように外の景色を歪ませてるのを見るに、これも当時のガラスなのだろう。
「この建物は明治二十年に、早くして亡くなった愛息子を偲んで、オランダ人牧師が作らせた物なんです。その後こちらにある某学園の学舎として使用されていたんですが、今回のプロジェクトを機に交渉して移築が叶ったわけです」
スラスラと流れるように説明をする青年の言葉が、右から左へと流れて入ってこない。俺の頭は、長い時間を経て積み重ねられた歴史が滲む空間に心奪われていたから。
「……おや、僕の声が届いてないみたいですね」
「だから黙っていろと、何度言えば……」
「新入生が先輩に楯突くなんて……涼ちゃんは悪い子ですね」
建物に魅了されていた俺の後ろでは、犬と猿がああだこうだやり合ってたけど、俺の耳には全く入っていなかった。
俺の実家がある県にも、こういった西洋建築が割と多く残されていて、有名なところでは市役所や県庁。和洋折衷の古いながらも存在感がある建物が好きで、時々用事のついでに訪ねてはホクホクしていたのを思い出す。
他にも、こういった洋館などを集めたテーマパークがあり、旧帝国ホテルの正門が移築されていたりと有名だった。ただ、あそこは車がないと結構不便な場所にあって、年に一回くらいしか行けなかったけども。
そういや、一度だけ緑川と大学時代に行ったことあったけど、古いの好きじゃないヤツはひたすらに飯を食ってる姿しか記憶に残ってなかった。多分、ほとんどひとりで回ってたかもしれない。
そういった点では、涼さんが凄く気が合う。俺、こういった古いもの好きだって言ってないのに、わざわざ予約までしてくれたんだから。
現代建築ではあまり見ることのない、遊びを取り入れた装飾のすみずみまで観察し、喜色満面の俺は一階の端にある部屋へと通される。
広く取られた部屋に入ると、またも感嘆の声を上げそうになるも、中にマスクをした白い制服を着たふたりの青年たちがいたため必死で声を飲み込む。
よく見ると、彼らのネクタイは深緑だ。案内してくれた青年と学年が違うのだろう。……ってことは、二年生でいいのか?
「では、あとは同室の二年の彼らにお任せします。どうぞごゆっくりお時間を過ごしてくださいね」
「あ、はい。ありがとうございます」
「……」
慌てて返事をすると、案内役の青年が困ったように笑う。ふと隣を見れば、涼さんがむっすりと黙り込んでいて、不機嫌が全身からにじみ出ていた。
「涼さん? どうかした?」
「え?」
はっ、と全身をまとう空気が変わった涼さんが、目をパチパチさせながらそう応えてくる。
「え?」って聞きたいのはこちらの方なんだけど……まあ、いいか。
「ううん。それよりも、ふたりがどう対応したらいいのか分からなくて、困ってるみたいだけど……」
視線をオロオロしてる在校生たちに向けると、彼らは明らかにホッとした顔のあと笑顔を取り繕う。
「よ、ようこそローズ・カレッジへ。新入生である君たちを歓迎するよ」
「さあさあ、ふたりともこちらへ。ささやかながらお茶会の用意をしたんだ」
顔も声も引きつらせて席に誘導しようとする仕事熱心な彼らに、俺たちも「ありがとうございます」と言い、彼らのエスコートでセッティングされたテーブルへと着いた。
当然ながらここでもアルコール除菌ジェルや、話す時はマスク着用で等の滞在中の基本的な注意を受け、やっとのことメニューを手渡される。
「決まったら教えてくれるかな。学園専属のフットマンに持ってきてもらうようにするから」
テーブルを挟んでソファに優雅に腰かけるふたり──今話したのが「周防」さんで、もうひとりが「枳殻」さんというらしい──は、穏やかにそう言って、軽くベルを掲げてみせた。結構凝ってるんだなぁ。
俺と涼さんはメニューを見つつしばらく思案したあと。
「俺は……ローストビーフとヨークシャープティングのセットと、スティッキートッフィープティング。で、アッサムのミルクティ」
「オレは鮭のフィッシュパイと、ハムのマフィンに、バノフィーパイ。ダージリンで」
メニューに視線を落としたまま、つらつらとふたりで注文するものを口にすると、周防さんがベルとチリンと鳴らす。ほどなくして姿を見せた、黒スーツに蝶ネクタイ姿の青年へと、俺たちが注文したメニュー名を淀みなく言っていた。あんな呪文のような名前をスラスラ言えるとか凄いな。
「健一さん。スティッキートッフィープティングって、結構激甘ですけど」
「でもイギリスのお菓子ってどれも甘いって聞いたことあるから、紅茶は砂糖入れずに飲むことにしようかなって」
「あぁ、だからアッサムなんですね」
「コーヒーだと雰囲気に合わないだろ?」
そうですね、と苦笑する涼さんと微笑み合っていると、離れた場所からコホンと咳をする音に気づいた。あ、そうだ。居心地よすぎて忘れてたけど、ここ家じゃないんだった。
「……なにか?」
「い、いえ。一応、会話と楽しむのもここの醍醐味のひとつなので、あまり無視されると寂しいな……と」
「だったら、隣の人と話せばいいのでは?」
「それはちょっと……」
「ですね……」
カッと顔を赤くした俺を、涼さんは愛おしいと言わんばかりに見て、そっと俺の肩を引き寄せる。頭上で舌打ちする音が聞こえたのは気のせいだ。
「……守秘義務ってご存じですよね?」
「もちろん!」
「当然です!」
「では、今見たのも忘れてくださいね?」
「「はい!」」
すうっと目を細めて艶然と微笑むその目は、全く笑ってはおらず、正面に座る周防さんと枳殻さんは顔を青ざめながらもコクコクと頷いていた。
……店の人を脅してどうする。
「う……わぁ……」
時間経過でうっすらと灰色が乗った生成りの壁と、白いペンキが何度も塗り重ねられた腰板。ワックス油が染み込んでねっとりとした焦げ茶に鈍く光る床板。窓のガラスは、ところどころレンズのように外の景色を歪ませてるのを見るに、これも当時のガラスなのだろう。
「この建物は明治二十年に、早くして亡くなった愛息子を偲んで、オランダ人牧師が作らせた物なんです。その後こちらにある某学園の学舎として使用されていたんですが、今回のプロジェクトを機に交渉して移築が叶ったわけです」
スラスラと流れるように説明をする青年の言葉が、右から左へと流れて入ってこない。俺の頭は、長い時間を経て積み重ねられた歴史が滲む空間に心奪われていたから。
「……おや、僕の声が届いてないみたいですね」
「だから黙っていろと、何度言えば……」
「新入生が先輩に楯突くなんて……涼ちゃんは悪い子ですね」
建物に魅了されていた俺の後ろでは、犬と猿がああだこうだやり合ってたけど、俺の耳には全く入っていなかった。
俺の実家がある県にも、こういった西洋建築が割と多く残されていて、有名なところでは市役所や県庁。和洋折衷の古いながらも存在感がある建物が好きで、時々用事のついでに訪ねてはホクホクしていたのを思い出す。
他にも、こういった洋館などを集めたテーマパークがあり、旧帝国ホテルの正門が移築されていたりと有名だった。ただ、あそこは車がないと結構不便な場所にあって、年に一回くらいしか行けなかったけども。
そういや、一度だけ緑川と大学時代に行ったことあったけど、古いの好きじゃないヤツはひたすらに飯を食ってる姿しか記憶に残ってなかった。多分、ほとんどひとりで回ってたかもしれない。
そういった点では、涼さんが凄く気が合う。俺、こういった古いもの好きだって言ってないのに、わざわざ予約までしてくれたんだから。
現代建築ではあまり見ることのない、遊びを取り入れた装飾のすみずみまで観察し、喜色満面の俺は一階の端にある部屋へと通される。
広く取られた部屋に入ると、またも感嘆の声を上げそうになるも、中にマスクをした白い制服を着たふたりの青年たちがいたため必死で声を飲み込む。
よく見ると、彼らのネクタイは深緑だ。案内してくれた青年と学年が違うのだろう。……ってことは、二年生でいいのか?
「では、あとは同室の二年の彼らにお任せします。どうぞごゆっくりお時間を過ごしてくださいね」
「あ、はい。ありがとうございます」
「……」
慌てて返事をすると、案内役の青年が困ったように笑う。ふと隣を見れば、涼さんがむっすりと黙り込んでいて、不機嫌が全身からにじみ出ていた。
「涼さん? どうかした?」
「え?」
はっ、と全身をまとう空気が変わった涼さんが、目をパチパチさせながらそう応えてくる。
「え?」って聞きたいのはこちらの方なんだけど……まあ、いいか。
「ううん。それよりも、ふたりがどう対応したらいいのか分からなくて、困ってるみたいだけど……」
視線をオロオロしてる在校生たちに向けると、彼らは明らかにホッとした顔のあと笑顔を取り繕う。
「よ、ようこそローズ・カレッジへ。新入生である君たちを歓迎するよ」
「さあさあ、ふたりともこちらへ。ささやかながらお茶会の用意をしたんだ」
顔も声も引きつらせて席に誘導しようとする仕事熱心な彼らに、俺たちも「ありがとうございます」と言い、彼らのエスコートでセッティングされたテーブルへと着いた。
当然ながらここでもアルコール除菌ジェルや、話す時はマスク着用で等の滞在中の基本的な注意を受け、やっとのことメニューを手渡される。
「決まったら教えてくれるかな。学園専属のフットマンに持ってきてもらうようにするから」
テーブルを挟んでソファに優雅に腰かけるふたり──今話したのが「周防」さんで、もうひとりが「枳殻」さんというらしい──は、穏やかにそう言って、軽くベルを掲げてみせた。結構凝ってるんだなぁ。
俺と涼さんはメニューを見つつしばらく思案したあと。
「俺は……ローストビーフとヨークシャープティングのセットと、スティッキートッフィープティング。で、アッサムのミルクティ」
「オレは鮭のフィッシュパイと、ハムのマフィンに、バノフィーパイ。ダージリンで」
メニューに視線を落としたまま、つらつらとふたりで注文するものを口にすると、周防さんがベルとチリンと鳴らす。ほどなくして姿を見せた、黒スーツに蝶ネクタイ姿の青年へと、俺たちが注文したメニュー名を淀みなく言っていた。あんな呪文のような名前をスラスラ言えるとか凄いな。
「健一さん。スティッキートッフィープティングって、結構激甘ですけど」
「でもイギリスのお菓子ってどれも甘いって聞いたことあるから、紅茶は砂糖入れずに飲むことにしようかなって」
「あぁ、だからアッサムなんですね」
「コーヒーだと雰囲気に合わないだろ?」
そうですね、と苦笑する涼さんと微笑み合っていると、離れた場所からコホンと咳をする音に気づいた。あ、そうだ。居心地よすぎて忘れてたけど、ここ家じゃないんだった。
「……なにか?」
「い、いえ。一応、会話と楽しむのもここの醍醐味のひとつなので、あまり無視されると寂しいな……と」
「だったら、隣の人と話せばいいのでは?」
「それはちょっと……」
「ですね……」
カッと顔を赤くした俺を、涼さんは愛おしいと言わんばかりに見て、そっと俺の肩を引き寄せる。頭上で舌打ちする音が聞こえたのは気のせいだ。
「……守秘義務ってご存じですよね?」
「もちろん!」
「当然です!」
「では、今見たのも忘れてくださいね?」
「「はい!」」
すうっと目を細めて艶然と微笑むその目は、全く笑ってはおらず、正面に座る周防さんと枳殻さんは顔を青ざめながらもコクコクと頷いていた。
……店の人を脅してどうする。
12
お気に入りに追加
360
あなたにおすすめの小説
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

「じゃあ、別れるか」
万年青二三歳
BL
三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。
期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。
ケンカップル好きへ捧げます。
ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

悪役令息になる前に自由に生きることにしました
asagi
BL
【本編完結。番外編更新予定】
目覚めた時、アリエルは七歳から十五歳までの記憶を失っていた。
父親から冷遇され、一人領地に追いやられた悲しみに、人格が眠りについていたようだ。
失った記憶を探る中で、将来自分が【悪役令息】と呼ばれる可能性があることを知る。
父親への愛情も、家族への未練もなくなったアリエルは、自由に生きることを求めて行動を始めた。
そんなアリエルを支えてくれるのは、父親から家庭教師として送られてきたブラッド。
一心に愛を告げるブラッドに、アリエルの心が動かされていく。
※家庭教師×貴族令息。
※短編なのでサクサク進んでいきます。
【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
第12回BL大賞奨励賞いただきました!ありがとうございます。僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して、公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…我慢の限界で田舎の領地から家出をして来た。もう戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが我らが坊ちゃま…ジュリアス様だ!坊ちゃまと初めて会った時、不思議な感覚を覚えた。そして突然閃く「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけにジュリアス様が主人公だ!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。だけど何で?全然シナリオ通りじゃないんですけど?
お気に入り&いいね&感想をいただけると嬉しいです!孤独な作業なので(笑)励みになります。
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる