【本編完結】年下料理男子と社畜ラノベ作家の恋ごはん

藍沢真啓/庚あき

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番外編:ちらし寿司と甘いキス② *

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「やだぁ……ダメだって……んっ」

 「ここでは姉さんに可愛い健一さんを見せちゃうかもしれないから」と、一気にまくし立てられて、担がれて連れてこられたのは、ふたりが寝起きを共にしている寝室。
 否応なしにベッドに放り投げられて、涼さんに乳首なめられてる最中です。なんてこった。

 特に有給休暇中でほぼ俺が出歩かないのをいいことに、夜はしつこくたっぷりと愛されてるにも拘らず、俺に跨る涼さんのアレが、ジーンズを通してでもはっきり分かる程膨らんでて……
 本当に俺のこと好きなんだな、という感動と、身が持たない、という苦悩で葛藤しながらも、与えられる刺激に身悶えてしまう訳で。

 涼さんの分厚い舌が胸の尖がりを刷く度に、腰に熱が溜まっていく。
 自分でたまーに自慰しても胸を触るなんてなかったから、こんなに感じるようになったのは、涼さんが開発したせいだ。
 左を口で愛撫を施しながら、右は器用な指が捏ねたり、スリスリしたりする。
 ジンジン、ゾクゾクと快感が波紋のように広がっていき、俺の頭は涼さんだけで占められる。

 比較対象が緑川と涼さんというふたりだけだから、何ていうかアレなんだけど、涼さんの愛撫は結構ねちっこい系かもしれないと最近気づいた。

 よく体の隅々まで~とかエロ系の小説とかで見るけど、まさに涼さんの愛撫はソレ。
 舐める所は全て舐められて、それだけで達したこともあるほど。
 もちろん、尻の穴のナカも舐められたことがある。毎回「汚いから」と拒んでいるんだけど、数回に一回の割合で舐められ、挿入されてしまう。
 丹念に解すように襞に唾液を染みこませ、指ともアレとも違う柔らかくて硬いものがナカを蠢く。指よりも浅い部分を出し入れする塊がもたらす快感は、もどかしさがじんわりとお腹に広がって、ソコが排泄器官だと頭では理解しているのに腰が揺らめく。

「やっ……、そこ……きたな……」
「健一さんは、どこもかしこも、綺麗ですよ。……あぁ、今、ナカがキュンって締まりましたよ」

 あと、言葉責めが多い。いや、どちらかと言うと、実況的な?

「ほら、健一さん聞こえます? 健一さんのナカがオレの指美味しいってチュウチュウするから、出し入れするとクチュクチュやらしい音するの」

 とか。

「ああ、健一さんの、先っぽからトロトロ蜜が垂れて、お腹に溜まってますよ。これ、舐めたら甘くて幸せになりそう」

 とか。

「乳首もぷっくりと膨らんで、今にも食べてって震えてるの、愛らしいですね。あ、今ナカが締まりましたね。想像して感じちゃいましたか?」

 なんていうか、羞恥のオンパレードでいたたまれない。しかもねっちりと責められる。
 だから、挿入時点でいつも俺は声も出ない程グテグテになり、更に挿入してからは昇ったまま降りれない状態が続いて、最終的には気を失ってしまうのだ。

 さすがに今はいつ文さんが戻ってくる状態か分からないから、性急に俺の服を剥がして、ローションの滑りを借りて事に及ぼうとしていた。

「あ……おっ、きぃ」

 いつもはグズグズに蕩かされた上で挿ってくるから、割と快感に浸されるには時間がかかららないけど、涼さんの大きなアレを受け入れるには今の状態では結構キツイ。
 背中を反らして深い息を吐きながら圧迫感を逃そうとするも、ミチミチと腸壁を押し広げて侵入してくる涼さんの存在感が勝る。
 慎重に進めてくるせいか、焦れったくて辛い。自然と腰が揺れてしまうのは俺のせいじゃないと、言い訳したい。

「あー、健一さん、そんなに締め付けない、で」
「んな、こと……いわれてもっ」
「でも、オレのを、好きすきってチュウしてる」

 脇に置いてる涼さんの腕にしがみつき「ばかぁ」と甘ったるい声で暴言を吐く。だけど、涙でぼやけた視線の先では、涼さんの嬉しそうな顔があった。

「健一さん、かーわいい。オレ、健一さんとこうなれて、世界一幸せですよ」
「っ!」

 そ、そんなの俺だって同じ気持ちだ。

 緑川と別れてから、こっちに来て、それから何度か一晩限りの体の関係をしようとした。でもできなかった。
 みんなこんなヘタレな俺に優しかった。中には俺と恋人になって欲しいって言ってくれた人もいた。
 だけどまた傷つくのが怖くて、全部お断りしていたんだ。

 もう二度と大事な人を作れないって決めた頃、涼さんに出会った。ご飯に一目惚れして、本人に二目惚れした。
 顔も体つきもいいが、それよりも俺の健康を第一とした体にも心にも優しいご飯を作ってくれ、倒れた時にはかいがいしく世話もしてくれた。
 普通なら……男も女も関係なく、コロリと参ってしまっただろう。
 しかし、俺は恋に怯えるようになった。寂しくて温もりを求めて埋めて、好きだと言われても疑心暗鬼になって拒絶していた。
 にも拘らず、どうしてこうも涼さんの言葉は胸の奥にまですっと染み込んでいくのだろう。

「俺も……俺も涼さんとこうして触れてるだけで、泣けるほど幸せだ」

 俺のナカに涼さんの長大な楔を埋めたまま、激しく唇を奪ってきた。

「ん……ふは……りょ……さ、んっ」

 何度も角度を変え、その合間に涼さんの腕をタップするけども、俺の片足を肩にかかえた涼さんは荒々しく腰を振るう。
 唐突に訪れた濁流のような猛烈な快感に、俺はただひたすら揺らされ、喘ぐばかりだ。

「あっ、そ、こ……ダ、ダメっ」
「ここを、オレのカリでコチュコチュするの、好きですよね。声が一段と甘く、なる」
「はっ! あぁ、やぁぁんっ!

 快感の塊を執拗に責められ、涼さんいわく「甘い声」を断続的に溢れさせる。
 きっと、涼さんには俺が知らない俺の体を、全て知ってる気がしてならない。
 そんな全てを委ねてる感覚に、俺はただひたすらに涼さんの愛に溺れ続ける。

「りょ……さっ、も、イ……クっ」
「オレも、イキそうです……っ」

 入口ギリギリまで引き抜き、力任せに最奥へと突き入れられるを繰り返され、俺はひたすら涼さんの腕に縋るように掴んだまま意味のない声を張り上げる。
 快感の坩堝とはこれをいうのかもしれない、と頭の中も体も涼さんに支配された俺は、奥で熱い飛沫を感じながら意識を落としていた。
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