【本編完結】年下料理男子と社畜ラノベ作家の恋ごはん

執着するホットミルク③ ＊

　先ほどまで指が堪能した健一さんのナカの感触を反芻しながら、腰を前後させる。
　ヌチャヌチャとジェルが捏ねる音と、パツパツと汗で湿る肌をぶつける音が寝室に広がっていく。

　正直、素股って気持ちよくない。何度か処女の子相手に怖いからと懇願されて素股したけど、脂肪が多い女の子の足の間で擦っても全然締まったりしないのもあって、例えるならマシュマロに突っ込んでる気がするんだよね。
　当時のオレ、よくアレで射精できたの凄いわ。

　それに比べて、健一さんの足は細くとも営業で鍛えられた足のおかげか、足の付け根の筋肉が出し入れする度にキュッキュッと引き締まって、オレのモノを抱きしめてくれる。
　難を言えば、ジェルの助けがないと、多分辛いだろうなとは思う。男のアレは皮膚が薄いから、あんまりゴシゴシ力任せにやると痛いのだ。
　ま、健一さんの気持ちよさそうな顔見ながら腰振ってるだけで、オレのも健一さんのもカウパー出て滑りがよくなるんだけども。あー、ヌルヌルしてて気持いい。

「んっ……んんっ、ぁ……ふっ」
「寝ててもキモチイイみたいだね、健一さん。ココもさっきから口をパクパクさせてるし」

　俯瞰で見下ろすと、健一さんの花芯の先端は射精が近いのか、物欲しげに口を開いて訴えている。
　あの状態の時に指でグリグリほじくると、すっごく気持ちよくてイッちゃうんだよね。でも、それだとオレが健一さんの自慰を手伝うようなものだから、片手を輪っかにしてふたりぶんのアレを握りこむ。

「イクなら、一緒でしょ？　健一さん」

　オレはそう宣言すると、片手は健一さんの細い足を抱え、もう片手は互いの怒張を重ねるように握って、抽挿を高める。
　パンパンと打擲する音と刺激、お互いの裏スジがぬめったジェルで擦られる感覚に、オレは無我夢中で絶頂へと向けてひたすら腰を動かす。
　更には健一さんの喘ぎ声が射精欲を高め、頭が狂いそう。

「んっ、けん、いちさ、オレ、イクッ。いっしょ、に、」
「はぁ、っ、あ、あ」
「あ！　も、イクッ！　んあっ」

　同時に健一さんの白い腹と胸に白濁を飛ばす。だが、健一さんの射精が収まってもオレのがまだ終わらない。こめかみにドクドクと脈動するのを感じながら、オレの精液が健一さんの綺麗な体を汚すのを、うっとりと眺める。
　最終的には、健一さんの薄い腹にオレのと健一さんのが混じった精液溜りが出来ていた。
　毎日こうして健一さんを堪能しているのに、オレの精嚢頑張りすぎだろと呆れる位に、射精量が半端ない。
　オレはふたりぶんの精液に指を伸ばし何となしにクルクルと掻き混ぜる。まだ出したばかりで仄かに温かいソレを指に絡ませると、不意にイタズラ心が芽生える。
　健一さんが風邪ひくといけないから、いつもならすぐに処理してるのに、オレは精液の絡んだ指を健一さんの口元にそっと持っていった。

「健一さん、喉、乾いたでしょ？　ホットミルクですよ、口、開けてください」
「ん……」
「オレと健一さんの特製ホットミルクだから、きっとおいしいですよ？」

　薄く開いた唇に指を押し込む。
　ぶっちゃけ精液なんて美味しくないだろう。苦くてエグみがあるって聞いたことあるし。しかし、健一さんはオレの指にチュウチュウと吸い付いて、時折舌が指先をくすぐる。

　うっわ、ヤバイ、コレ。めっちゃ可愛くて、エロすぎる。

「……ん、ちゅっ、ふ……ん」

　もう出ないのか、と吸っては甘噛みし、舌先で残滓を必死で舐め尽くそうとしている。
　抵抗なく精液を口に含んだのを、少しだけ過去の男の影がちらついて不快な気持ちになるも、今健一さんが飲んだのはオレのものだという優越感で押しのける。
　正直、擬似フェラでオレのが再び頭をもたげて辛い。

「ごめんね、健一さん。もしかしたら明日の朝、腰が辛くなるかも……」

　オレは腰を持ち上げ、尻たぶの間に固くなった自身を挟み込むと、ジェルと精液の滑りを借りて再び腰を動かす。綻んだ蕾がカリ首に引っかかって、えも言われれぬ快感が腰を震わせる。
　自分は淡白だと思ってたんだけど。何故か健一さん限定で何度でも射精できそう。
　これ、本当に健一さんと致す事になった時、健一さんを抱き潰さないか心配になるレベルだ。

　薄く開いた口、色づく肌にオレたちの白濁で汚し、艶かしい肌を打つ音にあえかな喘ぎ声。
　絶頂はすぐに訪れ、勢いよく飛んだ精は健一さんのふっくらとした唇までを濡らしていた。
　しかも健一さんは無意識に唇についたオレの精液をペロリと舐め、満足げに微笑むものだから、オレ試されてるのかと頭を抱える事になった。無自覚小悪魔怖い……

　また襲いかねないので、虚無の心境で健一さんに付着した精液とかジェルを温めたタオルで清め、さくさくとパジャマを着せて首元まで布団を掛けると浴室に飛び込んだ。
　それから五回ほど自分の手で慰めるなんてどんだけ猿なんだオレ、と虚しさ全開で出した白濁が、水の流れを借りて排水口に消えていくのをぼんやりと眺めていた。


「おはよう」
「おはようございます、健一さん」

　朝の六時半。テーブルにはタイマーセットした炊きたてのご飯、大根と油揚げのお味噌汁、塩シャケの焼いたもの、常備菜の小松菜と人参と豚肉の炒め煮、白菜の浅漬け。
　三十分で作ったにしては、十分とも言える朝食だろう。

「お、今日も美味しそう」
「お昼のお弁当は、おにぎりと卵焼きと朝食と同じ小松菜の炒め煮と鰆の西京味噌漬けです。汁物も朝食のと同じ味噌汁です」
「涼さんが朝食と昼食かぶせるの珍しいよな」
「すみません、今日ちょっと寝坊しちゃって」

　内心冷や汗タラタラ流しながら言い訳をする。
　自慰のしすぎで疲れ果てて寝坊してしまったのだ。出しすぎて疲れるとか、どこのガキだと自問自答したい。

「そっか。家の事も色々やってくれてるみたいだし、もし、調子悪い時には外で昼取る事もできるから、気軽に言って欲しい」
「いえっ、これは全部好きでやってる事なので！　できれば健一さんには、オレの作ったご飯を三食、食べてもらいたいし……」
「ははっ、今までいっぱい心配かけちゃったからなぁ。涼さんのご飯、すごく好きだから、そう言ってもらえると嬉しい」

　にっこり微笑む健一さん。もう本気で可愛すぎて煩悩弾け飛びそう。
　いずれはオレの膝の上で給餌したい。それまでは我慢と、己に言い聞かせる。ここで襲ってはダメだ。
　おりしも世間はそろそろバレンタイン。
　このイベントに乗じて、健一さんに告白して、あわよくば美味しく健一さんをいただきたい。

　腰がだるいのか、何度も手でさすりながら「いただきます」と言って食事を始める健一さんに、オレは胸の内で闘志を燃やしていた。