14 / 37
一章
診察
しおりを挟む
嫌な夢を見た。
いや、これは夢ではなく、実際にあった過去だ。
エミリオは布団を蹴飛ばすように起き上がると、まだ生々しい感覚の残る体を自身の腕で抱きしめる。唇を噛み締め悲鳴を飲み込み、何度も襲う衝撃と腹に感じる自分とは違う熱に吐き気がこみ上げ、跳ねるようにベッドから飛び出すと、浴室にある洗面台に胃液を吐きだした。
吐いても吐いても出てくるのは体液だけだ。騎士訓練施設を出てからというもの、まともに食事が喉を通らなず、スープか温かいミルク位しか受け付けなかったから。
旅立つ前に祖母に教えてもらいながら作った食あたりの薬草を、侍女に頼んで煎じて貰ったが、全く効果が出ずすぐに吐き出してしまった。
自分がこんなに体も心も弱ってるなんて、全然気付かなかった。
この身が他の男と違うと知ってから、誰かに頼るなんてできなかった。痛いのも苦しいのも全部体を丸めて耐えて、嵐が過ぎるのを待つしかできなかった。
両親も、クライドもみんなみんな自分を助けてくれなかった――
「エミリオ? 起きてるのかな?」
コンコンと小さなノックと、フレデリクの気遣う声が問いかけてくる。
エミリオはそちらに意識を向ける余裕もなく、喉が灼けそうな胃液を吐き続けた。
「エミリオ、入るよ」
そう前置きして入室したフレデリクは、乱れたベッドと開け放たれた浴室の扉を怪訝に思い、そちらへと足を向ける。すると洗面台にしがみつくように全身を震わせるエミリオの姿を見つけ、フレデリクは大声で家令に侍医の手配を叫んだ。
街道での襲撃があってから五日。要塞を出たエミリオはスーヴェリア家のタウンハウスに行く事を拒絶した為、フレデリクの手配で王妃の生家であるファストス公爵家へと身を寄せていた。
しきりに何度も自分の責任だから御者を領地に連れて帰りたいと訴えたが、フレデリクがただでさえ療養中の体で王都に来たというのに、更に酷くなった状態で戻す訳にはいかない。せめて前と同じまで体調が戻るまでは、無理をしないで欲しいと訴えたのだ。
渋々了承したエミリオは、宿屋を探すと言って聞かなかった。それをファストス公爵のタウンハウスへと連れて行ったのはフレデリクだった。宿屋はレベルで変わってくるが、祖父母から預かったお金を無駄遣いするような人ではない。きっと安宿を探すだろう。ああいった場所は基本的に寝る場所だけを提供するのが常である。病に倒れても医師を呼んでくれと安易に言えないエミリオには酷だろう。
ゆえにフレデリクは先手を打ってなかば強引にエミリオをファストス公爵のタウンハウスへと連れて行った。そして有無を言わさずベッドに押し込んだ。
何度も押し問答を繰り返したが、結局王子であるフレデリクに逆らえず、ベッドに収まってくれたが……権力で押し切った気がしてモヤっとしてしまったのは言うまでもない。
ぼんやりと屋敷に連れてきた時の事を思い馳せていたフレデリクに、ファストス公爵が侍医から話があると呼ばれ、後ろ髪引かれる気持ちでエミリオの部屋を後にした。
ファストス公爵はフレデリクにとっては叔父と甥という関係だ。現在王太子の兄が即位したらファストス公爵家に養子にと請われたものの、現在フレデリクが騎士団に所属している事などを考えクヴァンツ大公とイオの養子として入る事が先日決まったばかりだった。
それもあり、離縁したばかりのエミリオにプロポーズした次第なのだ。多分王族のままだったら、フレデリクとエミリオの婚姻は許されなかっただろう。
エミリオの特異体質――彼が妊娠と出産が男性でありながら可能だという事実は、エミリオの家族と祖父母、彼の元夫だったクライドとレッセン伯爵、それからエミリオから秘密を打ち明けられたフレデリクだけだったからだ。
『殿下。僕がこんな体になったせいで、壊れかけの家族が、本当に壊れちゃいました……』
泣きそうな、笑い顔で、そう呟いた幼いエミリオ。あんなに小さな体に周囲の人間の思惑や欲望を溜め込み、今にも壊れそうだった少年。できるならすぐにでもフレデリクが保護したかった。しかし、下手に王である父に報告すれば、王族や貴族の汚い争いに巻き込まれても守りきる自信がなかった。
だから、友人であったクライドとエミリオを引き合わせて婚約させた。それが間違いだったと後悔するのに時間がかからなかった……
「フレデリク殿下?」
「っ!?」
不安げに緑の瞳を揺らして自分を見ていたエミリオの残像が、名前を呼ばれて霧散する。はっ、と顔を上げると、正面には侍医が、右の一人がけのソファにはファストス公爵が顔を曇らせこちらを見ていた。
「あー、すみません。少しぼんやりしてました」
「臣下の前で腑抜けるのは感心しないですね、フレデリク殿下」
「……申し訳ありません。それで、エミリオの様子は?」
侍医の診断によると過労とストレス、それから貧血との事だった。一応秘匿扱いで侍医にはエミリオの体質について説明してあった。それを鑑みての判断らしい。
「体質による不安と、離婚によるストレス。不眠も長年あったようです。最近は、スーヴェリアの薬草のおかげで少しずつ改善していたみたいですが。貧血は、女性の生理と同じです。月に一度程血の混じった排便が数日続いてると聞いてます」
「生理……?」
「ええ、エミリオ様の子宮は女性とは違い、直腸の奥にあります。女性は子宮から膣と排出されますが、あの方はそういった器官がなく、経血が便と一緒に排出されるようですね」
「それはつまり……」
フレデリクが呆けて呟くと、侍医はコクリと頷き返す。それはつまり、エミリオには子供を腹で育て生み出す事が可能であると言っている。
「エミリオ様のような特殊な体質については例がありません。ですので、あまり無理をされませんように。それから、あの方には心穏やかに過ごされる事をお勧め致します」
それはつまりフレデリクが関わるな、と暗に示しているに違いない。
エミリオの安寧を考えれば、フレデリクが離れるのが一番だろうと自覚している。だけど自分が耐えられない。
長年思い、政権争いに巻き込まないよう友人に託した。まさかその友人が裏切りエミリオを傷つけるなんて想像もできなかったが……
だけどその無為にも見えた時間も、友人の裏切りもフレデリクがエミリオを手に入れる為の布石だったと考えるようにした。
王とも話し、兄が王に継承されれば自分の役割は終わりだ。そうなれば臣下にくだる為に王族のどこかに養子として入る。フレデリクは母の勧めでファストス公爵の養子にと請われたものの、彼はフレデリクがエミリオと結婚するのに良い顔をしなかった。
それならばと王弟であるクヴァンツ大公に打診したところ、彼はイオという異世界人である男性と結婚をしていたのもあり、快く応じてくれた。
そして少し前にエミリオにプロポーズをした。まさか長年音信不通だった自分がプロポーズしてきてエミリオの心情はどうだったか。驚き? 戸惑い? 不快……はないと思いたい。いや、それはないと思っている。フレデリクと接するエミリオの表情が物語っているのだ。彼が少しずつ自分に心を傾けてくれていると。
フレデリクが思う以上にエミリオの闇は奥深い。急速に光を当てればエミリオは壊れてしまうだろう。ただでさえ体も心も弱っているのだ。ゆっくりと癒しながらエミリオに愛を注ごうとフレデリクは心に強く刻んだ。
いや、これは夢ではなく、実際にあった過去だ。
エミリオは布団を蹴飛ばすように起き上がると、まだ生々しい感覚の残る体を自身の腕で抱きしめる。唇を噛み締め悲鳴を飲み込み、何度も襲う衝撃と腹に感じる自分とは違う熱に吐き気がこみ上げ、跳ねるようにベッドから飛び出すと、浴室にある洗面台に胃液を吐きだした。
吐いても吐いても出てくるのは体液だけだ。騎士訓練施設を出てからというもの、まともに食事が喉を通らなず、スープか温かいミルク位しか受け付けなかったから。
旅立つ前に祖母に教えてもらいながら作った食あたりの薬草を、侍女に頼んで煎じて貰ったが、全く効果が出ずすぐに吐き出してしまった。
自分がこんなに体も心も弱ってるなんて、全然気付かなかった。
この身が他の男と違うと知ってから、誰かに頼るなんてできなかった。痛いのも苦しいのも全部体を丸めて耐えて、嵐が過ぎるのを待つしかできなかった。
両親も、クライドもみんなみんな自分を助けてくれなかった――
「エミリオ? 起きてるのかな?」
コンコンと小さなノックと、フレデリクの気遣う声が問いかけてくる。
エミリオはそちらに意識を向ける余裕もなく、喉が灼けそうな胃液を吐き続けた。
「エミリオ、入るよ」
そう前置きして入室したフレデリクは、乱れたベッドと開け放たれた浴室の扉を怪訝に思い、そちらへと足を向ける。すると洗面台にしがみつくように全身を震わせるエミリオの姿を見つけ、フレデリクは大声で家令に侍医の手配を叫んだ。
街道での襲撃があってから五日。要塞を出たエミリオはスーヴェリア家のタウンハウスに行く事を拒絶した為、フレデリクの手配で王妃の生家であるファストス公爵家へと身を寄せていた。
しきりに何度も自分の責任だから御者を領地に連れて帰りたいと訴えたが、フレデリクがただでさえ療養中の体で王都に来たというのに、更に酷くなった状態で戻す訳にはいかない。せめて前と同じまで体調が戻るまでは、無理をしないで欲しいと訴えたのだ。
渋々了承したエミリオは、宿屋を探すと言って聞かなかった。それをファストス公爵のタウンハウスへと連れて行ったのはフレデリクだった。宿屋はレベルで変わってくるが、祖父母から預かったお金を無駄遣いするような人ではない。きっと安宿を探すだろう。ああいった場所は基本的に寝る場所だけを提供するのが常である。病に倒れても医師を呼んでくれと安易に言えないエミリオには酷だろう。
ゆえにフレデリクは先手を打ってなかば強引にエミリオをファストス公爵のタウンハウスへと連れて行った。そして有無を言わさずベッドに押し込んだ。
何度も押し問答を繰り返したが、結局王子であるフレデリクに逆らえず、ベッドに収まってくれたが……権力で押し切った気がしてモヤっとしてしまったのは言うまでもない。
ぼんやりと屋敷に連れてきた時の事を思い馳せていたフレデリクに、ファストス公爵が侍医から話があると呼ばれ、後ろ髪引かれる気持ちでエミリオの部屋を後にした。
ファストス公爵はフレデリクにとっては叔父と甥という関係だ。現在王太子の兄が即位したらファストス公爵家に養子にと請われたものの、現在フレデリクが騎士団に所属している事などを考えクヴァンツ大公とイオの養子として入る事が先日決まったばかりだった。
それもあり、離縁したばかりのエミリオにプロポーズした次第なのだ。多分王族のままだったら、フレデリクとエミリオの婚姻は許されなかっただろう。
エミリオの特異体質――彼が妊娠と出産が男性でありながら可能だという事実は、エミリオの家族と祖父母、彼の元夫だったクライドとレッセン伯爵、それからエミリオから秘密を打ち明けられたフレデリクだけだったからだ。
『殿下。僕がこんな体になったせいで、壊れかけの家族が、本当に壊れちゃいました……』
泣きそうな、笑い顔で、そう呟いた幼いエミリオ。あんなに小さな体に周囲の人間の思惑や欲望を溜め込み、今にも壊れそうだった少年。できるならすぐにでもフレデリクが保護したかった。しかし、下手に王である父に報告すれば、王族や貴族の汚い争いに巻き込まれても守りきる自信がなかった。
だから、友人であったクライドとエミリオを引き合わせて婚約させた。それが間違いだったと後悔するのに時間がかからなかった……
「フレデリク殿下?」
「っ!?」
不安げに緑の瞳を揺らして自分を見ていたエミリオの残像が、名前を呼ばれて霧散する。はっ、と顔を上げると、正面には侍医が、右の一人がけのソファにはファストス公爵が顔を曇らせこちらを見ていた。
「あー、すみません。少しぼんやりしてました」
「臣下の前で腑抜けるのは感心しないですね、フレデリク殿下」
「……申し訳ありません。それで、エミリオの様子は?」
侍医の診断によると過労とストレス、それから貧血との事だった。一応秘匿扱いで侍医にはエミリオの体質について説明してあった。それを鑑みての判断らしい。
「体質による不安と、離婚によるストレス。不眠も長年あったようです。最近は、スーヴェリアの薬草のおかげで少しずつ改善していたみたいですが。貧血は、女性の生理と同じです。月に一度程血の混じった排便が数日続いてると聞いてます」
「生理……?」
「ええ、エミリオ様の子宮は女性とは違い、直腸の奥にあります。女性は子宮から膣と排出されますが、あの方はそういった器官がなく、経血が便と一緒に排出されるようですね」
「それはつまり……」
フレデリクが呆けて呟くと、侍医はコクリと頷き返す。それはつまり、エミリオには子供を腹で育て生み出す事が可能であると言っている。
「エミリオ様のような特殊な体質については例がありません。ですので、あまり無理をされませんように。それから、あの方には心穏やかに過ごされる事をお勧め致します」
それはつまりフレデリクが関わるな、と暗に示しているに違いない。
エミリオの安寧を考えれば、フレデリクが離れるのが一番だろうと自覚している。だけど自分が耐えられない。
長年思い、政権争いに巻き込まないよう友人に託した。まさかその友人が裏切りエミリオを傷つけるなんて想像もできなかったが……
だけどその無為にも見えた時間も、友人の裏切りもフレデリクがエミリオを手に入れる為の布石だったと考えるようにした。
王とも話し、兄が王に継承されれば自分の役割は終わりだ。そうなれば臣下にくだる為に王族のどこかに養子として入る。フレデリクは母の勧めでファストス公爵の養子にと請われたものの、彼はフレデリクがエミリオと結婚するのに良い顔をしなかった。
それならばと王弟であるクヴァンツ大公に打診したところ、彼はイオという異世界人である男性と結婚をしていたのもあり、快く応じてくれた。
そして少し前にエミリオにプロポーズをした。まさか長年音信不通だった自分がプロポーズしてきてエミリオの心情はどうだったか。驚き? 戸惑い? 不快……はないと思いたい。いや、それはないと思っている。フレデリクと接するエミリオの表情が物語っているのだ。彼が少しずつ自分に心を傾けてくれていると。
フレデリクが思う以上にエミリオの闇は奥深い。急速に光を当てればエミリオは壊れてしまうだろう。ただでさえ体も心も弱っているのだ。ゆっくりと癒しながらエミリオに愛を注ごうとフレデリクは心に強く刻んだ。
70
お気に入りに追加
2,439
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
愛しの妻は黒の魔王!?
ごいち
BL
「グレウスよ、我が弟を妻として娶るがいい」
――ある日、平民出身の近衛騎士グレウスは皇帝に呼び出されて、皇弟オルガを妻とするよう命じられる。
皇弟オルガはゾッとするような美貌の持ち主で、貴族の間では『黒の魔王』と怖れられている人物だ。
身分違いの政略結婚に絶望したグレウスだが、いざ結婚してみるとオルガは見事なデレ寄りのツンデレで、しかもその正体は…。
魔法の国アスファロスで、熊のようなマッチョ騎士とツンデレな『魔王』がイチャイチャしたり無双したりするお話です。
表紙は豚子さん(https://twitter.com/M_buibui)に描いていただきました。ありがとうございます!
11/28番外編2本と、終話『なべて世は事もなし』に挿絵をいただいております! ありがとうございます!
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
シャルルは死んだ
ふじの
BL
地方都市で理髪店を営むジルには、秘密がある。実はかつてはシャルルという名前で、傲慢な貴族だったのだ。しかし婚約者であった第二王子のファビアン殿下に嫌われていると知り、身を引いて王都を四年前に去っていた。そんなある日、店の買い出しで出かけた先でファビアン殿下と再会し──。
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる