上 下
17 / 30
RENYA Side

ずっと愛してるからね。

しおりを挟む




 馴染みのレストランで食事をして、手を繋いでお散歩デートして、途中、入社時に注文した特殊カットの石を填め込んだ俺デザインのエンゲージリングを受け取って、これは役所に寄った帰りに俺の家で真唯に渡すんだ。
 途中、椙崎にスマホから電話して、月曜日の午前中を真唯と二人で休む旨を伝えると「ああ……我社の真面目な社員が毒牙に……」などとふざけた事を言ったので、後日制裁するとして、強引に半休をもぎ取った。
 その後は悪友に連絡して、クズに仕掛けた女優からの報告を聞く。他の女性の存在を匂わせたおかげで、さっくりフッて帰社との事。すぐさま俺の身元を問い質したそうだが、そんなクレームは俺には関係ない。故に、そっちで処理してくれと言って通話終了。こっちはギャラ倍で支払ってるのだから、他人の事なんて気にしていられるか。
 というか、俺の身元バラしたらどうなるか分かってるだろうし、個人情報保護法もあるからな。たかが駒の為に裏切る行為はしないと信じてるぞ。

 あとは、クズの処理については、月曜日の午後からにするか。
 今は真唯をとことん堪能したいし。

 ダメ押しで今日も抱き潰したら、確実に真唯は孕んでくれるかなぁ。どっちにしても、今日から俺のマンションが真唯の家になるのは事実だからね。

 一応、真唯が好きそうなファブリックでまとめてあるし、寝室もベッドのサイズをダブルからクイーンに買い換えたし、秘密のアルバムはクローゼットの奥深くにしまってあるから、いつでも受け入れOK。

 その前に、役所で婚姻届け貰ってこなくちゃね。



 真唯がフリーズしている間に、休日受付で婚姻届けを書き損じを含め数枚貰い、途中でデパートの地下で簡単に摘めるものを買ってから、俺のマンションへ。昼近くからぶらぶらしていたから、外はすっかり陽も落ちて空には星が瞬いている。

「えーと。ここは?」
「俺の住んでるマンション。今日からは真唯のお家でもあるからね」
「はい?」

 コーラルピンクに彩られた唇をパカリと開けて、真唯は眼前にそびえる白亜の建物を見上げてる。可愛いからちゅーしちゃお。

 俺が住んでるマンションは低層階なんだけど、1フロアに2戸しか部屋がない為、内装はかなり広々としてたりする。しかも、6階建てに見えるものの実は3階建てなんだよね。マンションなんだけど、二階建ての戸建形式で、普通に考えたら外資系の専務とはいえどもそう易々と住めるレベルの家ではない。

 ここ、俺の実家──一年前までいた会社の社長が所有しているマンションなんだよね。税金対策とかで、1棟まるまる俺名義。このあたりの説明もおいおい囲い込みが進んでから話さないと、真唯逃げ出しそうだもんな。
 逃がすつもりは更々ないけど。

「とりあえず、中に入って落ち着こうか。色々話さなきゃでしょ?」

 腰に腕を絡め促せば、真唯はこのまま行っても大丈夫なのか、を逡巡しているようだ。当然、このまま帰すつもりもなければ、真唯が今借りてるワンルームマンションに戻すつもりもないけどね。

「あんまり遅くなると、帰るの大変じゃないかな」とにっこり微笑めば、「それもそうですね」と、まだ納得していないような渋い顔をした真唯は、半ば諦めたのか小さくため息を落としていた。
 多分言葉通り帰れないと思ってるかもしれないけど、正解だよ、真唯。



 そのまま愛の巣に囚われた真唯は、しっかり抱き潰され、日曜日はベッドの人となり、俺の介護を甘んじて受けていた。
 月曜日には必要書類を一緒に取りに行ってから出社し、そこで色々大騒ぎがあったらしいけど、割愛しておこう。

 ちなみに、あの真唯の元彼だったクズは、これまで出向していた派遣先で、色々やらかしていた証拠を、現在の派遣先と派遣会社へ送付。
 色恋沙汰なら、厳重注意で済んだかもしれないけど、レイプはダメでしょ、レイプは。女性側の申告がないから黙認されてたようだけど、動かぬ証拠をつきつけられたクズは当然の事ながら契約終了。更に派遣会社の登録抹消。
 すぐに他の派遣会社に向かったようだけど、残念でした。先手を打って、ありとあらゆる会社に要注意人物として告知してあるんだよね。

 真唯と付き合うなんて愚行を起こさなければ、人生棒に振る羽目にならずに済んだのに。馬鹿だよね。

 この八つ当たりに等しい断罪が、のちのち俺と真唯にトラブルとして襲ってくる訳だけど、それはまた別の話って事で。



 三年越しの片恋は、こうして真唯と結ばれるエンディングを迎える事ができて、最高に幸せ。
 一年後には家族が二人から三人になるし、椙崎を焚きつけてどんどん稼がないとね。

 いつかは、真唯を手に入れる為に仕掛けた罠だと気づかれるかもしれないけど、その時にはグズグズに蕩けるように愛された真唯が、逃げるなんてしないだろうし、ね。
 終わり良ければすべて良し、って言うよね?

「真唯、どうした? 遠い目をして、気分でも悪くなった?」
「ううん、幸せだな、って」

 そうだね、俺も幸せだよ、真唯。ずっと愛してるからね。



end
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】今夜、私は義父に抱かれる

umi
恋愛
封じられた初恋が、時を経て三人の男女の運命を狂わせる。メリバ好きさんにおくる、禁断のエロスファンタジー。 一章 初夜:幸せな若妻に迫る義父の魔手。夫が留守のある夜、とうとう義父が牙を剥き──。悲劇の始まりの、ある夜のお話。 二章 接吻:悪夢の一夜が明け、義父は嫁を手元に囲った。が、事の最中に戻ったかに思われた娘の幼少時代の記憶は、夜が明けるとまた元通りに封じられていた。若妻の心が夫に戻ってしまったことを知って絶望した義父は、再び力づくで娘を手に入れようと──。 【共通】 *中世欧州風ファンタジー。 *立派なお屋敷に使用人が何人もいるようなおうちです。旦那様、奥様、若旦那様、若奥様、みたいな。国、服装、髪や目の色などは、お好きな設定で読んでください。 *女性向け。女の子至上主義の切ないエロスを目指してます。 *一章、二章とも、途中で無理矢理→溺愛→に豹変します。二章はその後闇落ち展開。思ってたのとちがう(スン)…な場合はそっ閉じでスルーいただけると幸いです。 *ムーンライトノベルズ様にも旧バージョンで投稿しています。 ※同タイトルの過去作『今夜、私は義父に抱かれる』を改編しました。2021/12/25

【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜

まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください! 題名の☆マークがえっちシーンありです。 王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。 しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。 肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。 彼はやっと理解した。 我慢した先に何もないことを。 ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。 小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

上司と雨宿りしたら種付けプロポーズされました♡

藍沢真啓/庚あき
恋愛
私──月宮真唯(つきみやまい)は他社で働いてる恋人から、突然デートのキャンセルをされ、仕方なくやけ食いとやけ酒をして駅まであるいてたんだけど……通りかかったラブホテルに私の知らない女性と入っていくのは恋人!? お前の会社はラブホテルにあるんかい、とツッコミつつSNSでお別れのメッセージを送りつけ、本格的にやけ酒だ、と歩き出した所でバケツをひっくり返したような豪雨が。途方に暮れる私に声を掛けてきたのは、私の会社の専務、千賀蓮也(ちがれんや)だった。 ああだこうだとイケメン専務とやり取りしてたら、何故か上司と一緒に元恋人が入っていったラブホテルへと雨宿りで連れて行かれ……。 ええ?私どうなってしまうのでしょうか。 ちょっとヤンデレなイケメン上司と気の強い失恋したばかりのアラサー女子とのラブコメディ。 2019年の今日に公開開始した「上司と雨宿りしたら恋人になりました」の短編バージョンです。 大幅に加筆と改稿をしていますが、基本的な内容は同じです。

【R-18】私を乱す彼の指~お隣のイケメンマッサージ師くんに溺愛されています~【完結】

衣草 薫
恋愛
朋美が酔った勢いで注文した吸うタイプのアダルトグッズが、お隣の爽やかイケメン蓮の部屋に誤配されて大ピンチ。 でも蓮はそれを肩こり用のマッサージ器だと誤解して、マッサージ器を落として壊してしまったお詫びに朋美の肩をマッサージしたいと申し出る。 実は蓮は幼少期に朋美に恋して彼女を忘れられず、大人になって朋美を探し出してお隣に引っ越してきたのだった。 マッサージ師である蓮は大好きな朋美の体を施術と称して愛撫し、過去のトラウマから男性恐怖症であった朋美も蓮を相手に恐怖症を克服していくが……。 セックスシーンには※、 ハレンチなシーンには☆をつけています。

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

【続】18禁の乙女ゲームから現実へ~常に義兄弟にエッチな事されてる私。

KUMA
恋愛
※続けて書こうと思ったのですが、ゲームと分けた方が面白いと思って続編です。※ 前回までの話 18禁の乙女エロゲームの悪役令嬢のローズマリアは知らないうち新しいルート義兄弟からの監禁調教ルートへ突入途中王子の監禁調教もあったが義兄弟の頭脳勝ちで…ローズマリアは快楽淫乱ENDにと思った。 だが事故に遭ってずっと眠っていて、それは転生ではなく夢世界だった。 ある意味良かったのか悪かったのか分からないが… 万李唖は本当の自分の体に、戻れたがローズマリアの淫乱な体の感覚が忘れられずにBLゲーム最中1人でエッチな事を… それが元で同居中の義兄弟からエッチな事をされついに…… 新婚旅行中の姉夫婦は後1週間も帰って来ない… おまけに学校は夏休みで…ほぼ毎日攻められ万李唖は現実でも義兄弟から……

処理中です...