1 / 13
血みどろの学生生活、開幕!
しおりを挟む
ヤンキー、ヤクザ、不良……微々たる差はあれど、大別すれば似た存在。
乱暴な言い方をすれば、社会のガン・ゴミクズ・腐ったミカン……これは流石に乱暴すぎるか。
呼び方はさておき、昔は幅を利かせていた彼、彼女らが次第に鳴りを潜め、現代ではマイノリティに追い込まれている。
反社会的な人々には、逆風吹きすさぶ世知辛い時代。
一人減って、二人減って、減り続けて。しかし決して、ゼロにはならない。
いくつものミカンがあれば、どれかは腐る。
そう、今この時も――
話は逸れるが、今は四月上旬。新たな年度が始まる、門出の時期だ。
丁度ここにも、新しい制服に身を包み、今まさに新たな生活に繰り出さんとする二人の少女がいた。
「入学式、入学式~♪ そして終われば卒業式だぞ、がおーっ♪」
「卒業式まで三年間あるし学校に怪獣はいないですよ、なのちゃん」
「そーなの!? ゴーイングやんごとなしじゃないの!?」
「光陰矢の如しですね。合っていますがなのちゃんが想像してるより、時間はゆっくりですよ」
不良とは無縁そうな、二人の少女。
方や凛とした佇まいに柔和な笑みを浮かべた、黒髪の美少女。才色兼備、眉目秀麗、文武両道……華々しい四字熟語が似合いそうな、隙のない雰囲気の少女。
そしてもう片方は。
「ねえねえ澪ちゃん! 給食、どんなのかな!? 焼肉定食に、タピオカとか付くかな!?」
「なのちゃん、給食は出ないですよ? 今日からお弁当じゃないですか」
「え、えええ!? どうしよう! なの、キャラメルポップコーン二袋しか持ってない……。お友達作って、分けてもらうしかないかぁ。目指せ、友達百億万人!」
悩みも知性も持ち合わせていないだろう、身長百三十センチほどの小柄な少女。
ランドセルこそ背負っていないが、小学生にしか見えない。
「はぁ。なのちゃん、本当に大丈夫ですか? 今日から高校生だなんて……私は、非常に心配です」
「大丈夫! なの、高校生できるよ! いーっぱいお勉強して、試験愛かったんだもん! 今日からちま高の、ビカビカ一年生っ!」
しかし彼女は、高校生だ。
もちもちほっぺがチャームポイントな小動物系女子、小和水なの。年齢詐称でも裏口入学でもなく、今日から高校一年生の十五歳。
のほほんと笑うなのを見下ろし、隣を歩く長身の美少女、時時雨澪は嘆息した。
「受かったって言っても、ちま高は……」
ちま高とは、なのが今日から通うことになる学校の愛称だ。ちなみに、澪はちま高ではなく別の進学校へ入学する。
「待った!」
澪の言葉を遮り、なのが叫んだ。ぴょんぴょん跳ねながら、
「なの、美味しい物は最後にとっておく派! でも我慢できなくて結局先に食べちゃう派!」
「え、えーと、それで?」
難解な主張に、付き合いの長い澪でさえ困惑している。
だがなのはどこ吹く風、眩い笑顔でこう言った。
「入学してみての、お楽しみ! 何があるかな、何が出るかな~」
待ち受ける学生生活が、前途洋々であると信じ切っている。
そんな様子に、澪はこれ以上口を挟めなかった。
ただ一言、別れ際に。
「なのちゃん……何かあったら、学校を辞めても、いいんですからね? 学校ではその、みだりに目を合わせたりせず、怪我に気を付けてください。そして……困ったら私に頼ってください。私はいつでも、なのちゃんの味方ですから」
「うん! バイバイ、澪ちゃん! またねー!」
まるで今生の別れかのように、澪の顔は暗い。それは彼女が、ちま高について知っているからだ。というか、この町でちま高について無知なのは、当の本人だけである。
「どんな学校なのかな、お花咲いてるといいな~」
咲いているのはお前の脳内フラワーだ。それはもう、満開で。
澪と別れて五分後、なのはちま高の校門前に辿り着いた。
「わ~、これがちま――」
ブゥゥウウウウウウン!! なのの言葉は、けたたましいエンジン音によって遮られた。
気を取り直して、テイク2。
「わ~、これがちま――」
「死に晒せおらぁ!!」
「てめぇが死ねドラァ!!」
今度はドスの利いた罵声の応酬が、言葉を遮った。あちらこちらで、怒声と悲鳴が飛び交う。
流石のなのも、異常事態に気づく――
――皆緊張して、トゲトゲしちゃってるんだね! 分かる分かる、なのにもそういう時期が、ありましたとも……。
わけがなかった。どこまでものほほん全開、能天気の極みである。
「ぶおんぶおーんって、皆の自転車かっこいいな~。なのもああいうの、欲しい!」
なのが自転車だと思い込んでいるのは、けたたましいエンジン音と排気ガスを撒き散らす悪魔の乗り物……バイクである。
グラウンド中を、愛車で乗り回している輩が埋め尽くしているのだ。
これが高校かぁ、と場違いな感想を抱き、なのは校門に目を向けた。
「へ~、お絵かきもしていいんだ! 楽しそう!」
落書きで汚された、神聖なる学び舎の門。いくつかの落書きを、抜粋しよう。
『喧嘩上等』
『単車命』
『夜露死苦』
どんなに鈍い方でも、もう察しただろう。
最も、この少女だけはいつまで経っても気が付かない。
「難しい漢字いっぱいで読めないよぉ。あっ、そういえば……ちま高の正式なお名前って、なんだろ? んーと……なんたらかんたら、女子……高! なんたらかんたら女子高だ! わーーーい!」
なのは両手を飛行機のように広げ、上機嫌に校舎へ走り出した。
今潜ったのが、地獄の門だとも知らずに。
なのが今読めずにスルーした、ちま高の正式名称。それは。
『私立血塗女子高等学校』
名前を書けば誰でも、いや名前を書かなくても受かってしまう学校。
女子高というだけあり、生徒全員が女子。
そして……生徒の大半がモンスター級の不良という、訳アリの学校である。
いくら成績が悪かろうと、この学校に進学しようとする者は不良以外にいない。最低限自分の名前を書ければ、別の学校に受かるからだ。
不良か、いたとしても被虐願望のある特殊な人物。それ以外の生徒は、ちま高にいない。
「ちま高のちまは~……へちまのちま! ……へちまって何?」
この少女、小和水なのを除いて。
彼女には進学をするに当たって、ちま高以外に選択肢がなかった。
自分の『小和水』という苗字を漢字で書くことすらできないなのには、行ける高校がなかった。
そう、小和水なのは。
偏差値12の、度を越したバカなのだ。
喧嘩なんてせず、真面目に生きてきた。
だが前代未聞の壊滅知能。可哀そうに、不良の巣窟への片道切符を入手せざるを得ないだなんて。
「なのの高校生活は、明るいぞ~! ピッカピカの、一年生だもんね~♪」
頑張れ、なの。
君の青春は多分、血みどろだ……!
乱暴な言い方をすれば、社会のガン・ゴミクズ・腐ったミカン……これは流石に乱暴すぎるか。
呼び方はさておき、昔は幅を利かせていた彼、彼女らが次第に鳴りを潜め、現代ではマイノリティに追い込まれている。
反社会的な人々には、逆風吹きすさぶ世知辛い時代。
一人減って、二人減って、減り続けて。しかし決して、ゼロにはならない。
いくつものミカンがあれば、どれかは腐る。
そう、今この時も――
話は逸れるが、今は四月上旬。新たな年度が始まる、門出の時期だ。
丁度ここにも、新しい制服に身を包み、今まさに新たな生活に繰り出さんとする二人の少女がいた。
「入学式、入学式~♪ そして終われば卒業式だぞ、がおーっ♪」
「卒業式まで三年間あるし学校に怪獣はいないですよ、なのちゃん」
「そーなの!? ゴーイングやんごとなしじゃないの!?」
「光陰矢の如しですね。合っていますがなのちゃんが想像してるより、時間はゆっくりですよ」
不良とは無縁そうな、二人の少女。
方や凛とした佇まいに柔和な笑みを浮かべた、黒髪の美少女。才色兼備、眉目秀麗、文武両道……華々しい四字熟語が似合いそうな、隙のない雰囲気の少女。
そしてもう片方は。
「ねえねえ澪ちゃん! 給食、どんなのかな!? 焼肉定食に、タピオカとか付くかな!?」
「なのちゃん、給食は出ないですよ? 今日からお弁当じゃないですか」
「え、えええ!? どうしよう! なの、キャラメルポップコーン二袋しか持ってない……。お友達作って、分けてもらうしかないかぁ。目指せ、友達百億万人!」
悩みも知性も持ち合わせていないだろう、身長百三十センチほどの小柄な少女。
ランドセルこそ背負っていないが、小学生にしか見えない。
「はぁ。なのちゃん、本当に大丈夫ですか? 今日から高校生だなんて……私は、非常に心配です」
「大丈夫! なの、高校生できるよ! いーっぱいお勉強して、試験愛かったんだもん! 今日からちま高の、ビカビカ一年生っ!」
しかし彼女は、高校生だ。
もちもちほっぺがチャームポイントな小動物系女子、小和水なの。年齢詐称でも裏口入学でもなく、今日から高校一年生の十五歳。
のほほんと笑うなのを見下ろし、隣を歩く長身の美少女、時時雨澪は嘆息した。
「受かったって言っても、ちま高は……」
ちま高とは、なのが今日から通うことになる学校の愛称だ。ちなみに、澪はちま高ではなく別の進学校へ入学する。
「待った!」
澪の言葉を遮り、なのが叫んだ。ぴょんぴょん跳ねながら、
「なの、美味しい物は最後にとっておく派! でも我慢できなくて結局先に食べちゃう派!」
「え、えーと、それで?」
難解な主張に、付き合いの長い澪でさえ困惑している。
だがなのはどこ吹く風、眩い笑顔でこう言った。
「入学してみての、お楽しみ! 何があるかな、何が出るかな~」
待ち受ける学生生活が、前途洋々であると信じ切っている。
そんな様子に、澪はこれ以上口を挟めなかった。
ただ一言、別れ際に。
「なのちゃん……何かあったら、学校を辞めても、いいんですからね? 学校ではその、みだりに目を合わせたりせず、怪我に気を付けてください。そして……困ったら私に頼ってください。私はいつでも、なのちゃんの味方ですから」
「うん! バイバイ、澪ちゃん! またねー!」
まるで今生の別れかのように、澪の顔は暗い。それは彼女が、ちま高について知っているからだ。というか、この町でちま高について無知なのは、当の本人だけである。
「どんな学校なのかな、お花咲いてるといいな~」
咲いているのはお前の脳内フラワーだ。それはもう、満開で。
澪と別れて五分後、なのはちま高の校門前に辿り着いた。
「わ~、これがちま――」
ブゥゥウウウウウウン!! なのの言葉は、けたたましいエンジン音によって遮られた。
気を取り直して、テイク2。
「わ~、これがちま――」
「死に晒せおらぁ!!」
「てめぇが死ねドラァ!!」
今度はドスの利いた罵声の応酬が、言葉を遮った。あちらこちらで、怒声と悲鳴が飛び交う。
流石のなのも、異常事態に気づく――
――皆緊張して、トゲトゲしちゃってるんだね! 分かる分かる、なのにもそういう時期が、ありましたとも……。
わけがなかった。どこまでものほほん全開、能天気の極みである。
「ぶおんぶおーんって、皆の自転車かっこいいな~。なのもああいうの、欲しい!」
なのが自転車だと思い込んでいるのは、けたたましいエンジン音と排気ガスを撒き散らす悪魔の乗り物……バイクである。
グラウンド中を、愛車で乗り回している輩が埋め尽くしているのだ。
これが高校かぁ、と場違いな感想を抱き、なのは校門に目を向けた。
「へ~、お絵かきもしていいんだ! 楽しそう!」
落書きで汚された、神聖なる学び舎の門。いくつかの落書きを、抜粋しよう。
『喧嘩上等』
『単車命』
『夜露死苦』
どんなに鈍い方でも、もう察しただろう。
最も、この少女だけはいつまで経っても気が付かない。
「難しい漢字いっぱいで読めないよぉ。あっ、そういえば……ちま高の正式なお名前って、なんだろ? んーと……なんたらかんたら、女子……高! なんたらかんたら女子高だ! わーーーい!」
なのは両手を飛行機のように広げ、上機嫌に校舎へ走り出した。
今潜ったのが、地獄の門だとも知らずに。
なのが今読めずにスルーした、ちま高の正式名称。それは。
『私立血塗女子高等学校』
名前を書けば誰でも、いや名前を書かなくても受かってしまう学校。
女子高というだけあり、生徒全員が女子。
そして……生徒の大半がモンスター級の不良という、訳アリの学校である。
いくら成績が悪かろうと、この学校に進学しようとする者は不良以外にいない。最低限自分の名前を書ければ、別の学校に受かるからだ。
不良か、いたとしても被虐願望のある特殊な人物。それ以外の生徒は、ちま高にいない。
「ちま高のちまは~……へちまのちま! ……へちまって何?」
この少女、小和水なのを除いて。
彼女には進学をするに当たって、ちま高以外に選択肢がなかった。
自分の『小和水』という苗字を漢字で書くことすらできないなのには、行ける高校がなかった。
そう、小和水なのは。
偏差値12の、度を越したバカなのだ。
喧嘩なんてせず、真面目に生きてきた。
だが前代未聞の壊滅知能。可哀そうに、不良の巣窟への片道切符を入手せざるを得ないだなんて。
「なのの高校生活は、明るいぞ~! ピッカピカの、一年生だもんね~♪」
頑張れ、なの。
君の青春は多分、血みどろだ……!
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる