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49. 悪役女王様到来
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「ネガ欲しいんなら、新聞部考えてくれる?」
「ネガ欲しいんなら、新聞部考えてくれる?」
「ネガ欲しいんなら、新聞部考えてくれる?」
何度も何度も何度も言うのでしつこい。
壊れたラヂオか!100均で売ってるラヂオに変えてやろうではないか、ほっといたら音が出なくなるだろ。
僕は損得を考える。
タカ先輩とのキスを撮られたとして誰が喜ぶのだ?
可愛い美少年ならいざ知らず、ヲタク腐男子で窓際族で防犯カメラだぞ? それもブレて黒く映ってるに違いないし、喜ぶものも羨ましがるものもいないはずだ。
なので無視を実行しよう。
「えー、ネガいらないの?朝のほほえましいキッスの写真、新聞部で公開しちゃうよ~」
僕はそれより新たにウォッチャー出来る聖地を探したい。先生✖先生でもイイのだ。ハァハァ…職員室の更衣室ってどうなんだろ!早速、足を延ばしてみようかと思うのだ。
「いいのー?いいのー?」
壁が五月蠅し――!
「ねぇ、なんでアンタそんなにダサいの?野暮ったい髪してるし信じられないよ、こんなのとタカが相手してやってるなんて信じらんないわ」
外から生徒が入って来る朝の昇降口の廊下は多少の喧噪感があり、それがスッと引いて周囲は声を発した主……白雪ちゃんを見上げた。
横の階段からゆっくりと降りて来たようで、白雪ちゃんは僕に向かって辛辣なことを下衆る。
まるで女王様の貫禄だ。
「……」
「まぁいいか。アンタの声なんて聴きたくないし。でもさ、もう充分遊んでもらったんだし、ホント一生あるかって感謝だねぇ?もうオレに返してほしいんだけど。元々タカはオレのでもあるんだし」
「……」
タカ先輩は大匙ほどの俺様内面はあるけど、そんな物言いは決してしない。それにタカ先輩はモノじゃない。
聞いてるの?返事くらいしなよ!って言われたけど、なんだかその場から動くことが出来なかったしもちろん声も出せない。
「青葉様!皆が見ておりますよー!少し控えたらどうでしょう、青葉様のお見立てが曇りますからね。」
「ナニ、アンタ新聞部じゃないの?」
「はい。新聞部は青葉様特集を来月トップ記事として特別に組む予定ですので、その時はオファ―よろしくお願いしまっす!」
突然、壁は両手を商人のように揉みだして白雪ちゃんに、そ、忖度し始めているぞ?
「新聞部の写真担当の仕事は黒いけど写真はキレイって聞くから、いいよ」
「ありがとうございますー!!」
僕の方を冷たい瞳で睨みつけると白雪ちゃんは降りて来た階段をまた昇って行った。
白雪ちゃんの睨みは、白蛇の睨みだった……!
「ひでぇこと言うよな~、あの女王サマ」
完全に白雪ちゃんの姿を消したのを見計らって、壁は好々爺の顔からずる賢い小者風の顔になっていた。
「おれの中田くんに!けしからんっ」
誰がだ。僕が壁の君がけしからん。
・・・・・・・・
[豆知識]
壁 :黒木 冠→新聞部
白雪:青葉柚人→元タカ先輩の彼氏
「ネガ欲しいんなら、新聞部考えてくれる?」
「ネガ欲しいんなら、新聞部考えてくれる?」
何度も何度も何度も言うのでしつこい。
壊れたラヂオか!100均で売ってるラヂオに変えてやろうではないか、ほっといたら音が出なくなるだろ。
僕は損得を考える。
タカ先輩とのキスを撮られたとして誰が喜ぶのだ?
可愛い美少年ならいざ知らず、ヲタク腐男子で窓際族で防犯カメラだぞ? それもブレて黒く映ってるに違いないし、喜ぶものも羨ましがるものもいないはずだ。
なので無視を実行しよう。
「えー、ネガいらないの?朝のほほえましいキッスの写真、新聞部で公開しちゃうよ~」
僕はそれより新たにウォッチャー出来る聖地を探したい。先生✖先生でもイイのだ。ハァハァ…職員室の更衣室ってどうなんだろ!早速、足を延ばしてみようかと思うのだ。
「いいのー?いいのー?」
壁が五月蠅し――!
「ねぇ、なんでアンタそんなにダサいの?野暮ったい髪してるし信じられないよ、こんなのとタカが相手してやってるなんて信じらんないわ」
外から生徒が入って来る朝の昇降口の廊下は多少の喧噪感があり、それがスッと引いて周囲は声を発した主……白雪ちゃんを見上げた。
横の階段からゆっくりと降りて来たようで、白雪ちゃんは僕に向かって辛辣なことを下衆る。
まるで女王様の貫禄だ。
「……」
「まぁいいか。アンタの声なんて聴きたくないし。でもさ、もう充分遊んでもらったんだし、ホント一生あるかって感謝だねぇ?もうオレに返してほしいんだけど。元々タカはオレのでもあるんだし」
「……」
タカ先輩は大匙ほどの俺様内面はあるけど、そんな物言いは決してしない。それにタカ先輩はモノじゃない。
聞いてるの?返事くらいしなよ!って言われたけど、なんだかその場から動くことが出来なかったしもちろん声も出せない。
「青葉様!皆が見ておりますよー!少し控えたらどうでしょう、青葉様のお見立てが曇りますからね。」
「ナニ、アンタ新聞部じゃないの?」
「はい。新聞部は青葉様特集を来月トップ記事として特別に組む予定ですので、その時はオファ―よろしくお願いしまっす!」
突然、壁は両手を商人のように揉みだして白雪ちゃんに、そ、忖度し始めているぞ?
「新聞部の写真担当の仕事は黒いけど写真はキレイって聞くから、いいよ」
「ありがとうございますー!!」
僕の方を冷たい瞳で睨みつけると白雪ちゃんは降りて来た階段をまた昇って行った。
白雪ちゃんの睨みは、白蛇の睨みだった……!
「ひでぇこと言うよな~、あの女王サマ」
完全に白雪ちゃんの姿を消したのを見計らって、壁は好々爺の顔からずる賢い小者風の顔になっていた。
「おれの中田くんに!けしからんっ」
誰がだ。僕が壁の君がけしからん。
・・・・・・・・
[豆知識]
壁 :黒木 冠→新聞部
白雪:青葉柚人→元タカ先輩の彼氏
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