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29. 茹でたタコ星人なうー
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時刻は夜9時。学校最終居残りギリギリの時間だったのか、怪我して保健室ですっきり熟睡した僕って心臓強いな。
寮に二人で戻って、寮の管理人に遅くなった理由を伝えるとタカ先輩が棲んでいる生徒会専用……などは残念ながらこの寮にはないらしいけど、3年生の階にはエレベーターに乗って行くことになった。エレベーター内はタカ先輩と僕の二人っきりだ。王道なら誰か重要な人物が乗って来るのに……!
き、緊張などしていないはずなのに、ごくっと唾を呑み込む音が響いた。
「ほら、手」と言って、手を繋がれたっ!!
ま、まっまままじで甘い? 甘い王子フェイスで甘いことをするタカ先輩は甘すぎる。立派に王道の王子キャラだ…何故だッけしからん!
「細くて小さいんだよな、お前の手……いや、少しは成長してるか」
むむ。タカ先輩の手はまぁ大きいと思うけど、そんなに変わらないじゃないか!
「小さくたって……僕はまだ成長期、だから」
「うん、そうだな。俺はこの前の測定で3㎝伸びたてなぁ」
「3㎝ も!!」
いや、何をっていう訳じゃないし、身長はこれからもまだまだまだ僕は伸びるはずだ!
エレベーターのドアが開き、三年のフロアに降りた。
<< 初着陸! >>
なので思わず隠れそうなところを探したくてそわそわしたけど、手が人質になっているので……今は、しょうがない。
「さ、3年の階に来るの初めてだ……ドアたくさん、ある?」
「3年は受験の対策兼ねて個室になってるからな、廊下は他と違って狭いだろう?」
3年は全員個室らしいので妄想を働かすとしたらクジ引きで決めた親衛隊のチワワんを個室の部屋に連れ込んで今頃は………ダメだポンコツ脳内になってしまってイマイチ妄想がのらない。
あんなにぐっすり寝たというのに、僕のBL脳は家出してしまったんじゃないだろうな……戻ってくるか心配だ…捜索願を後で出すとしよう。
タカ先輩の部屋に行くのはもちろん初めてだ。
なんだかヤケに手に汗握ってる。何度か制服でにゅるにゅるする手を拭った。
静かな廊下を二人で歩いて、奥の方の部屋に着いた。
タカ先輩の部屋は最奧でまさかお隣は美人生徒会長の部屋かと思ってプレートをのぞき込むと知らない名前だった……。
「生徒会長とか、隣じゃないんだ」
ぼそっと言葉が出てしまった。もう遅いけど何となく聞かれたくなかったな。
「なんで2年のカナが3年の部屋に居ると思うんだ?」
「それは、んと、タカ先輩が生徒会長の相談役だからで……相談役は王道だと同室とか…」
カードキーでドアを開けたタカ先輩は、僕の背中をトンと押して先に部屋に入るのを促した。
「それは役員間の事でプライベートでも寮も随時一緒って訳では無いよ。しかし相談役ってやけに気にしてるようだな、もしかして妬いていたのか?」
ボッと顔面が茹だった。別に妬いてなんかない。僕がタカ先輩と生徒会長にどうして妬かなくちゃいけないんだ!さっきは恐れながらもタカ先輩を好きだと愚かにも自覚はしたけど、それとこれとは違うんだからな!嫉妬なんて俗物のするもので僕は腐男子だから!
「また百面相が始まったな。つまり俺に意識してこの頭はいろいろ妄想しているって事か」
タカ先輩の顔が意地悪くニヤっとしてたのと対照的に、僕は茹でたタコ星人なう中だ。
寮に二人で戻って、寮の管理人に遅くなった理由を伝えるとタカ先輩が棲んでいる生徒会専用……などは残念ながらこの寮にはないらしいけど、3年生の階にはエレベーターに乗って行くことになった。エレベーター内はタカ先輩と僕の二人っきりだ。王道なら誰か重要な人物が乗って来るのに……!
き、緊張などしていないはずなのに、ごくっと唾を呑み込む音が響いた。
「ほら、手」と言って、手を繋がれたっ!!
ま、まっまままじで甘い? 甘い王子フェイスで甘いことをするタカ先輩は甘すぎる。立派に王道の王子キャラだ…何故だッけしからん!
「細くて小さいんだよな、お前の手……いや、少しは成長してるか」
むむ。タカ先輩の手はまぁ大きいと思うけど、そんなに変わらないじゃないか!
「小さくたって……僕はまだ成長期、だから」
「うん、そうだな。俺はこの前の測定で3㎝伸びたてなぁ」
「3㎝ も!!」
いや、何をっていう訳じゃないし、身長はこれからもまだまだまだ僕は伸びるはずだ!
エレベーターのドアが開き、三年のフロアに降りた。
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なので思わず隠れそうなところを探したくてそわそわしたけど、手が人質になっているので……今は、しょうがない。
「さ、3年の階に来るの初めてだ……ドアたくさん、ある?」
「3年は受験の対策兼ねて個室になってるからな、廊下は他と違って狭いだろう?」
3年は全員個室らしいので妄想を働かすとしたらクジ引きで決めた親衛隊のチワワんを個室の部屋に連れ込んで今頃は………ダメだポンコツ脳内になってしまってイマイチ妄想がのらない。
あんなにぐっすり寝たというのに、僕のBL脳は家出してしまったんじゃないだろうな……戻ってくるか心配だ…捜索願を後で出すとしよう。
タカ先輩の部屋に行くのはもちろん初めてだ。
なんだかヤケに手に汗握ってる。何度か制服でにゅるにゅるする手を拭った。
静かな廊下を二人で歩いて、奥の方の部屋に着いた。
タカ先輩の部屋は最奧でまさかお隣は美人生徒会長の部屋かと思ってプレートをのぞき込むと知らない名前だった……。
「生徒会長とか、隣じゃないんだ」
ぼそっと言葉が出てしまった。もう遅いけど何となく聞かれたくなかったな。
「なんで2年のカナが3年の部屋に居ると思うんだ?」
「それは、んと、タカ先輩が生徒会長の相談役だからで……相談役は王道だと同室とか…」
カードキーでドアを開けたタカ先輩は、僕の背中をトンと押して先に部屋に入るのを促した。
「それは役員間の事でプライベートでも寮も随時一緒って訳では無いよ。しかし相談役ってやけに気にしてるようだな、もしかして妬いていたのか?」
ボッと顔面が茹だった。別に妬いてなんかない。僕がタカ先輩と生徒会長にどうして妬かなくちゃいけないんだ!さっきは恐れながらもタカ先輩を好きだと愚かにも自覚はしたけど、それとこれとは違うんだからな!嫉妬なんて俗物のするもので僕は腐男子だから!
「また百面相が始まったな。つまり俺に意識してこの頭はいろいろ妄想しているって事か」
タカ先輩の顔が意地悪くニヤっとしてたのと対照的に、僕は茹でたタコ星人なう中だ。
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