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【第一章】 中学サッカー部編
【第一章】 第五話
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サッカーのスパイクの紐を蝶結びし、立ち上がり、右足のつま先で三回地面を蹴り、アキレス腱を伸ばした。これが俺流の試合前のルーティンだ。
新入生が自己紹介をし終えた後、サッカー部顧問の武井先生から「まずは紅白戦で実力を見る。チーム分けはこちらが勝手に決めさせてもらった。呼ばれたメンバーは赤ビブスを、呼ばれなかったメンバーは白ビブスを受け取ってくれ」と言われ、新入生二十五名は紅白戦を行われることとなった。
俺と渡辺の名前が呼ばれて赤いビブスを受け取り、凌太の名前は呼ばれず白いビブスを受け取っていた。
「くそう!!本当なら早速、若林と戦えたのに。だが、まだいいか。本当の決着は高校サッカーの決勝戦でするつもりだし」
「なんでだよ。それに俺はユースのクラブからスカウトされる予定なんだよ」
「ああ?なら、俺もユースのクラブからスカウトされてやるよ。それでユースのリーグ戦で決着だ」
「ああ。だけど、とりあえずこの紅白戦でアピールだ」
「当たり前だ」
俺たちは一時共同戦線を結ぶこととなった。
そして、俺たちは赤ビブスを着た他のメンバーに声をかけた。今日初めて話すメンバーがほとんどで、全ての戦術を紅白戦前の短い時間で共有できるわけはない。しかし、そんな贅沢も言ってはいられない。
必要最低限の戦術を共有しておくこととなった。それは相手がボールを持っているときは一人必ず向かい、サイドに寄せていく。反対にこっちがボールを持っているときはボールを前に出し、フォワードの選手に繋げる。
こんな簡単な戦術を全員で共有した理由は、中学校からサッカーを始めた人物がこちらのチームにいるからだ。
「まぁ任せろ、お前ら!!俺はどんなパスでも絶対に受け取ってみせるぞ。そして、ゴールまで繋げてみせよう。勝つのは俺たちだ!!」
渡辺は仁王立ちでそう言った。
少し頼もしいと思ってしまった自分が恥ずかしい。俺は気合を入れ直すために、両膝を叩いた。
そして、校庭のサッカーグラウンドの半分には赤が広がり、半分には白が広がった。俺はボランチというポジションが本職ではあるが、赤ビブスのほうにセンターバックが本職の選手はおらず、センターバックはサッカー経験者以外には任せられないくらい重要だ。そのため、なし崩し的に俺がセンターバックをやることとなった。
「お前、もうセンターバックを本職にしちゃえば?」と渡辺に言われたが、「するわけないだろ。別にサッカー経験者なら誰でもいいんだし、代わるか?」と提案したが、逃げられた。そして、もう渡辺はキックオフのためにセンターサークルの中心にあるボールに触れている。
辺りに緊張感が走った。ただの紅白戦であるが、コートの周りを先輩たちが囲い、監督が同じコート内でホイッスルを構え、同じ新入生や他の学年の生徒が何人か観戦に来ている。緊張しないわけがない。
赤ビブスを着た仲間も、白ビブスを着た相手もどこか表情が固い。
白ビブスを着た凌太と目が合った。凌太は右サイドハーフの位置にいる。凌太の本職のポジションだ。良いポジションを取れたな、と俺は感心していると、ホイッスルが鳴った。
試合開始だ。
新入生が自己紹介をし終えた後、サッカー部顧問の武井先生から「まずは紅白戦で実力を見る。チーム分けはこちらが勝手に決めさせてもらった。呼ばれたメンバーは赤ビブスを、呼ばれなかったメンバーは白ビブスを受け取ってくれ」と言われ、新入生二十五名は紅白戦を行われることとなった。
俺と渡辺の名前が呼ばれて赤いビブスを受け取り、凌太の名前は呼ばれず白いビブスを受け取っていた。
「くそう!!本当なら早速、若林と戦えたのに。だが、まだいいか。本当の決着は高校サッカーの決勝戦でするつもりだし」
「なんでだよ。それに俺はユースのクラブからスカウトされる予定なんだよ」
「ああ?なら、俺もユースのクラブからスカウトされてやるよ。それでユースのリーグ戦で決着だ」
「ああ。だけど、とりあえずこの紅白戦でアピールだ」
「当たり前だ」
俺たちは一時共同戦線を結ぶこととなった。
そして、俺たちは赤ビブスを着た他のメンバーに声をかけた。今日初めて話すメンバーがほとんどで、全ての戦術を紅白戦前の短い時間で共有できるわけはない。しかし、そんな贅沢も言ってはいられない。
必要最低限の戦術を共有しておくこととなった。それは相手がボールを持っているときは一人必ず向かい、サイドに寄せていく。反対にこっちがボールを持っているときはボールを前に出し、フォワードの選手に繋げる。
こんな簡単な戦術を全員で共有した理由は、中学校からサッカーを始めた人物がこちらのチームにいるからだ。
「まぁ任せろ、お前ら!!俺はどんなパスでも絶対に受け取ってみせるぞ。そして、ゴールまで繋げてみせよう。勝つのは俺たちだ!!」
渡辺は仁王立ちでそう言った。
少し頼もしいと思ってしまった自分が恥ずかしい。俺は気合を入れ直すために、両膝を叩いた。
そして、校庭のサッカーグラウンドの半分には赤が広がり、半分には白が広がった。俺はボランチというポジションが本職ではあるが、赤ビブスのほうにセンターバックが本職の選手はおらず、センターバックはサッカー経験者以外には任せられないくらい重要だ。そのため、なし崩し的に俺がセンターバックをやることとなった。
「お前、もうセンターバックを本職にしちゃえば?」と渡辺に言われたが、「するわけないだろ。別にサッカー経験者なら誰でもいいんだし、代わるか?」と提案したが、逃げられた。そして、もう渡辺はキックオフのためにセンターサークルの中心にあるボールに触れている。
辺りに緊張感が走った。ただの紅白戦であるが、コートの周りを先輩たちが囲い、監督が同じコート内でホイッスルを構え、同じ新入生や他の学年の生徒が何人か観戦に来ている。緊張しないわけがない。
赤ビブスを着た仲間も、白ビブスを着た相手もどこか表情が固い。
白ビブスを着た凌太と目が合った。凌太は右サイドハーフの位置にいる。凌太の本職のポジションだ。良いポジションを取れたな、と俺は感心していると、ホイッスルが鳴った。
試合開始だ。
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