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【第一章】 中学サッカー部編
【第一章】 第二話
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「本日入学の日を迎えられた、新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。………………本日の晴れの日を迎えることが………………」
などという、中学校の校長先生による入学式祝いの言葉が俺の左耳から右耳へと抜けていく。
何故なら俺はこの時、頭をあまり動かさないように目だけであたりを見渡していたからだ。俺の苗字は若林だから名簿順で後ろの方になり、尚且つクラスも全八クラスのうちの八組になったため、同じ新入生の後頭部を眺めることができた。
しかし、後頭部だけでも一人一人の雰囲気は伝わってくる。全員までとはいかないが、おそらくサッカー部に入りそうな同級生は二十人くらいか。
それを何となくわかっただけでも、良しとするか、と思っていた。
そして、入学式は無事に終わり、俺たち新入生は式が行われていた体育館を出て、それぞれの教室に向かった。
「透真、一年間よろしく!!」
「おう!!よろしく!!」
凌太とは同じクラスだった。正直、ありがたかった。
この中学校は、三つの小学校の卒業生が主に入学してくる。そして、俺の小学校は少し小さく、人数も多くなかったため、完全に埋もれてしまう。
だからこそ、元々知り合いだった凌太と同じクラスになれたのは大きかった。
とりあえず背負ったリュックサックだけ自分の席に置きたかったため、教室の左後ろまで歩いて行った。
名簿順に教室の机が並んでいる時、俺は大抵、一番左後ろなのだ。だが、俺の席は一番左後ろにはなく、その前にあった。
別に俺の苗字よりも後の苗字だってあるか。例えば「渡辺」とか…………って、嫌な奴を思い出してしまった。
「よう、若林!!」
俺はその聞き覚えのある声にため息を吐いてしまった。
同じ市にある小学生のサッカーチームで「渡辺俊」という厄介なフォワードがいた。かなりのスプリンターでドリブル技術も高い。当時の俺は中盤のボランチをやっていたが、この「渡辺俊」を止めるためにセンターバックへとポジション変更しなくてはならなかった。
結果的に俺たちのチームが勝利を収めたが、それ以来同じ市のチームいうこともあり、練習終わりに出待ちをされたことがある。
「お、おう」
素っ気ない態度で返事をし、リュックサックを自分の机に置いた。そして、そのままその場から一時退散しようとした瞬間、背後から肩を組まれた。
「なんだよ、若林。つれないなー、俺とお前は今世紀最大のライバルだろう?」
「違うわ」
「そう照れるな、照れるな。お前がこの中学に入学して、サッカー部に入るって聞いたから、ジュニアユースのスカウトを蹴ってきたんだぞ。中学校のサッカー部にお前が入っちまったら、なかなか対戦しにくくなっちまうからな」
「同じチームだと全く対戦できないだろ」
「部活内で行う紅白戦などがあるだろう。それに俺とお前だけの一対一の練習だってできる。そして、高校に進学後は別々の道へ行き、違うチームで再び相まみえる。理想的なライバル関係だろう」
勝手に言っていろー、と思ったが、言葉を飲み込んだ。
渡辺は俺が反発するたびに面倒くさい持論を並べ、どうやっても俺とのライバル関係を継続させてくるだろう。
ここで無視をしておくのが最適解だ。
「渡辺くん、久しぶりー!」
凌太が渡辺に声をかけた。
渡辺の面倒くさい絡みにうんざりしていたため、少しでも興味を逸らしてくれたことに感謝しかない。肩を組んでいた渡辺の腕の力が少し半減した。
「お、小西じゃないか。そういえば若林と同じ小学校だったか。お前もサッカーを続けるんだろう?」
「うん!そのつもりだよ」
「そうか。これからはチームメイトだな!!」
俺はライバルなのに凌太はチームメイトなのかい、という言葉も俺は飲み込んだ。
などという、中学校の校長先生による入学式祝いの言葉が俺の左耳から右耳へと抜けていく。
何故なら俺はこの時、頭をあまり動かさないように目だけであたりを見渡していたからだ。俺の苗字は若林だから名簿順で後ろの方になり、尚且つクラスも全八クラスのうちの八組になったため、同じ新入生の後頭部を眺めることができた。
しかし、後頭部だけでも一人一人の雰囲気は伝わってくる。全員までとはいかないが、おそらくサッカー部に入りそうな同級生は二十人くらいか。
それを何となくわかっただけでも、良しとするか、と思っていた。
そして、入学式は無事に終わり、俺たち新入生は式が行われていた体育館を出て、それぞれの教室に向かった。
「透真、一年間よろしく!!」
「おう!!よろしく!!」
凌太とは同じクラスだった。正直、ありがたかった。
この中学校は、三つの小学校の卒業生が主に入学してくる。そして、俺の小学校は少し小さく、人数も多くなかったため、完全に埋もれてしまう。
だからこそ、元々知り合いだった凌太と同じクラスになれたのは大きかった。
とりあえず背負ったリュックサックだけ自分の席に置きたかったため、教室の左後ろまで歩いて行った。
名簿順に教室の机が並んでいる時、俺は大抵、一番左後ろなのだ。だが、俺の席は一番左後ろにはなく、その前にあった。
別に俺の苗字よりも後の苗字だってあるか。例えば「渡辺」とか…………って、嫌な奴を思い出してしまった。
「よう、若林!!」
俺はその聞き覚えのある声にため息を吐いてしまった。
同じ市にある小学生のサッカーチームで「渡辺俊」という厄介なフォワードがいた。かなりのスプリンターでドリブル技術も高い。当時の俺は中盤のボランチをやっていたが、この「渡辺俊」を止めるためにセンターバックへとポジション変更しなくてはならなかった。
結果的に俺たちのチームが勝利を収めたが、それ以来同じ市のチームいうこともあり、練習終わりに出待ちをされたことがある。
「お、おう」
素っ気ない態度で返事をし、リュックサックを自分の机に置いた。そして、そのままその場から一時退散しようとした瞬間、背後から肩を組まれた。
「なんだよ、若林。つれないなー、俺とお前は今世紀最大のライバルだろう?」
「違うわ」
「そう照れるな、照れるな。お前がこの中学に入学して、サッカー部に入るって聞いたから、ジュニアユースのスカウトを蹴ってきたんだぞ。中学校のサッカー部にお前が入っちまったら、なかなか対戦しにくくなっちまうからな」
「同じチームだと全く対戦できないだろ」
「部活内で行う紅白戦などがあるだろう。それに俺とお前だけの一対一の練習だってできる。そして、高校に進学後は別々の道へ行き、違うチームで再び相まみえる。理想的なライバル関係だろう」
勝手に言っていろー、と思ったが、言葉を飲み込んだ。
渡辺は俺が反発するたびに面倒くさい持論を並べ、どうやっても俺とのライバル関係を継続させてくるだろう。
ここで無視をしておくのが最適解だ。
「渡辺くん、久しぶりー!」
凌太が渡辺に声をかけた。
渡辺の面倒くさい絡みにうんざりしていたため、少しでも興味を逸らしてくれたことに感謝しかない。肩を組んでいた渡辺の腕の力が少し半減した。
「お、小西じゃないか。そういえば若林と同じ小学校だったか。お前もサッカーを続けるんだろう?」
「うん!そのつもりだよ」
「そうか。これからはチームメイトだな!!」
俺はライバルなのに凌太はチームメイトなのかい、という言葉も俺は飲み込んだ。
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