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「健ちゃん、さっきからため息ばっかりついてるけど、一体どうしたの?」

 本日何度目かになる健吾のため息を聞きつけて、ノン子が心配そうにこちらを見ている。
 スタッフが議論している間に、いつの間にか上の空になっていたらしい。
 番組の打ち合わせ中だったことを思い出し、ぎゅっと頬を抓って気を引き締めなおそうとする手を、「やめなさい。ほっぺが真っ赤に腫れちゃうわよ」とノン子に止められた。

「なあになあに。悩みがあるなら、オネエさんが聞いてあげるわよ!」
 専門は恋のお悩みだけど、健ちゃんなら特別サービスで他のお悩みも聞いてあげる!と、ノン子が自らの逞しい胸元を叩く。
 ノン子はいわゆるオネエタレントで、本名はノブオというらしい。
『モブキャラみたいな名前がイヤだったアタシ』というタイトルの過去暴露本も出していて、そこには、うっかり本名で呼んだ相手を半殺しにした、という記述があったと聞いている。
 心は乙女なノン子だが、体は格闘家並みの体格と筋肉の持ち主なので、痛い目を見たくなければなるべく怒らせない方がいいらしい。

「恋の悩みっていうかさ……」
 もにょもにょと言葉を濁すと、ノン子が「アラアラ」と笑いながら健吾の顔を覗き込んでくる。
「ねえ健ちゃん、この後うちにお茶しにいらっしゃいよ!アタシこの後予定なくて、お買い物でも行こうかと思ってたんだけど、健ちゃんとおうちデートできるなら嬉しいわ!」
 姉御肌のノン子が、心配して気を遣ってくれているのがわかる。
 せっかくなので誘いに乗ることにして、番組の打ち合わせ内容に頭を切り替えた。

 今日は北条が不在の為、木山が朝から付き添ってくれている。
 最近の北条はなんだか慌ただしくしていて、健吾から離れていることが多くなった。
 夜には戻ってくるのだが、何をしていたのかはほとんど話してもらえない。
 木山とは時々打ち合わせているようだが、内容を聞かれたくないのか、話すときは健吾に聞こえない場所まで移動する。
 以前はたいして気にならなかったそれが、最近になって健吾の心を蝕むようになった。
 理由なら、嫌という程わかっている。
 あのパーティーの夜以来、自分と北条の間に微妙な空気が流れているからだ。

 北条はあれ以来、健吾の体に触れなくなった。
 以前は周りが呆れるほど四六時中べったりくっついていたのに、今では健吾を警護して歩く時と、何かから庇う時に接触するぐらいで、その接触すらも滅多にない。
 鼻先を健吾の髪に潜り込ませたり、キスの雨を降らせることもしなくなった。
 健吾が不安な様子を見せれば抱きしめたり頭を撫でてくれたりするが、それもほんのわずかの間だけだ。

 ただ、あの日以来、北条は毎晩必ず健吾を抱え込んで眠るようになった。
 眠りの浅い健吾が夜中に目を覚ますと、北条が自分をすっぽり抱いて包みこんでいる。
 それが嬉しくて、でも寂しくて、寝ている北条の体に腕を回したり足を絡めたりすると、うっすらと目を開けて懐深く抱き寄せてくれる。
 今はそれだけが、健吾の心の支えとなっていた。

「木山さん、仕事の後にノン子さんちにお邪魔したいんだけど、いい?」
 打ち合わせ後に確認しにいくと「少しお待ちください」と言って木山がスマートフォンを取り出した。
 おそらく北条に確認を取るのだろう。
 少し離れた場所で通話する木山を待ってくれるノン子に、「めんどくさくてごめん」と謝ると、「いいのよ!健ちゃんの安全がいっちばん大事ですからね!」と、にっこり微笑んでくれた。
 番組の司会を二人でこなすようになってから親しくなったので、まだ付き合いは短いのだが、ノン子とは不思議とウマが合い、今では健吾の数少ない、心許せる友人の一人だ。
「でもね、もし健ちゃん襲う奴がいたら、アタシ、撃退するけど?」
 ノン子が女物のヒラヒラしたワンピースの袖をまくりあげ、盛り上がる自慢の力こぶを見せてくれた。 
 確かに。ノン子といれば怖いものはなさそうだ。
 ノン子の力こぶをにぎにぎと揉んだりさすったりして笑いあっているうちに、通話を終えた木山がこちらへ近づいてきた。
「お待たせしました。オッケーとれましたが、ノン子さんのお部屋に私も同行させて頂き、最初に室内に危険がないかだけ、確認させて頂けないでしょうか?」
 帰りは北条が迎えにくるらしく、木山は確認だけしたら、後は外で待機するつもりのようだ。
 木山が部屋に入ることも、ノン子は快く承諾してくれる。
「ねえねえ、北条さんってあのすごく男前な彼の事でしょ?1回おしゃべりしてみたかったのよ~!お会いできるなら嬉しいわ!」とテンション高く喜んでくれた。

 ノン子の自宅は、お世辞にも賑わっているとは言えない駅から外れた遠くの町の、古いマンションの2階にあった。
「タレント業で稼いでるんだから、もっと良い所に引っ越せば?」とまわりに口を揃えて進言されているらしいが、本人は全くその気がないらしく、「アタシ、ここが気に入ってるの」と聞き流しているのだという。
 なんでもこのマンションには以前に勤めていた店のオネエたちが住んでいて、味噌や醤油が気軽に貸し借りできる、気心知れた仲間に囲まれた住み心地の良い場所なんだそうだ。
 ちなみに、ゴミの日になるとネグリジェ姿のオネエさんたちがぞろぞろゴミ出しに出てくるで、近所の住民からは「オネエマンション」と呼ばれているらしい。
 古いので警備上色々問題があるらしく、木山がしつこいぐらいにベランダや風呂場の窓などをチェックしていたのだが、そのうちノン子が「責任もってあたしが面倒みますから大丈夫!」とキレて、木山を部屋から追い出してしまった。

 ノン子は部屋に入って落ち着くと、いくつか試飲して選び抜いたというコーヒーをドリップし、ついでに軽くつまめる食べ物もいくつか皿に並べて出してくれた。
 自他ともに認める酒豪のノン子だが、今日はアルコールを禁止されている健吾のために、控えてくれるらしい。
 しばらく他愛もない芸能界の噂話や、ノン子の過去の恋の話、オネエ生活の苦労話などを聞いていたが、ふと沈黙がおりたのをきっかけにノン子がずいっと体を乗り出した。
「で、本題よ。恋のお悩みなの?健ちゃん」
 部屋着のショッキングピンクのスウェットに着替えたノン子が、健吾の隣ににじりよりながら、頬杖をついて顔を覗き込んでくる。
 その姿、ちょっと……いや、かなり怖い。
 恐ろしさのあまり、よくノン子サイズのピンクのスウェットがあったな、などと、どうでもいいことが頭に思い浮かんでしまう。
「健ちゃん、アタシ真面目に聞いてるんだけど?」
 健吾が上の空なのに気付いたのか、ノン子がギロリと睨みつけてくる。
「恋のお悩みといえばそうなんだけどさ……」
 歯切れ悪くポツポツと話し始めた健吾の脇腹を、いいからとっとと吐け、と言わんばかりのノン子の肘がぐりぐりと押すので、痛さに思わず呻き声が出た。
「もう!痛いよノン子さん。……あのね、両想いかも?ってところまできたのに、急に手のひら返したみたいな態度になるの、なんでだと思う?」
 観念して話し始めると、「んまー!健ちゃん!!」と、ノン子に勢いよく飛び掛かられ、ものすごい力で抱きしめられた。
「く、苦しいよ……ノン子さん……」
 本気で三途の川とお花畑が見えそうになり、ばしばしと逞しい背中を叩いて抗議すると、「あら、ごめんなさい」と解放してくれた。
「健ちゃん、悪い女につかまってるのね!かわいそうに!」
 ゼイゼイと呼吸を整える健吾を後目に、ノン子は大興奮で「それで、彼女とはどこまでいったの?」と、食い入るような眼差しで問いかけてくる。
 ギラリと光る目が、猛獣のようで怖い。
「どこまで……って。キス、してきたのは向こうからだったんだ。俺はずっと片想いしてて、嬉しくて……」
 健吾の言葉に、うんうん、そうよね!とノン子が激しく頷いている。
「キスされて、ちょっといいとこまでいきそうだったんだけど、邪魔が入ってさ」
「邪魔って、あのボディガードたちに阻止されたってこと?」
「ううん。邪魔したのは文ちゃんでさ。けじめつけろって言って」
 そこまで聞くと、ノン子は派手なネイルをほどこした指先を顎に当てて唇を尖らせ、うーん、と首を傾げた。
「そしたら、それからなんか態度が冷たくなっちゃって。だったらあの時のキスは何だったのかなぁって」

 確かに心が通じたと思ったのに、それからの北条はそっけない態度で健吾に接するようになった。
 あの時は雰囲気に流されただけで、我に返って男に手を出しかけたことを後悔しているのだろうか。

「ねえ、健ちゃん。いっこ聞いていいかしら?」
 唇をとがらせ、明後日の方向に目線を向けながら、ノン子が健吾に問いかける。
 本物の女の子がやるとかなりかわいいしぐさだが、ノン子がやると妙な迫力があって猛烈に怖い。
「健ちゃんが好きなのは、今日の彼なの?それとも噂のイケメンの彼なの?」
 まるでギャグマンガの一コマのように、健吾は飲みかけのコーヒーを間欠泉のごとく勢いよく噴いた。
 きゃー!汚いわね!と叫びながらも、ノン子がティッシュをたぐりよせて飛び散ったコーヒーを拭い取り、激しくむせこんだ健吾の背中をさする。
「な……んでっ」
「なんでわかったかって?」
 健吾がこくこく頷くと、「だって健ちゃん」とノン子がくすくす笑う。
「24時間ボディガードに張り付かれる生活を送っているのに、そんじょそこらの女子がうっかり健ちゃんに近づけるはず、ないじゃない」
 阻止したのがボディガードではなく清文だったのだとすれば、健吾にキスした相手はボディガードで、しかも普段くっついているうちのどちらかしかない、と、ノン子は自分の推理を自慢げに披露する。
「どお?違う?」
「……アタリ、です」
 ダメだ、バレバレすぎる、とがっくり肩を落としていると、ノン子に「よしよし」と頭を撫でられた。
「で、どっちなの?もちろんイケメンの方よね?」
 健吾がこくりと頷くと、ノン子はきゃーっと野太い悲鳴をあげた。
「健ちゃんが男もイケるとは知らなかったけど、いいわ~!イケメン同士、絵になるわ~!」
 興奮したノン子に再び抱きつかれそうになったので、素早く体をひねってそれをかわす。
「ノン子さん、俺の相談の答え、返ってきてないよ!」
 健吾がふくれながら言うと、ああそうだっけ、とノン子は座りなおす。
「あのねえ健ちゃん、男ってムードに流されやすい生き物だと思うのよ。そういう雰囲気になっちゃったから、ついついエッチしちゃいました!みたいなこと出来るのが男よね?そのへん、健ちゃんだってわかるでしょ?」
 それは、健吾も身に覚えがないわけではないので否定できない。
 好みのタイプの女の子に誘われたらおいしく頂くのが礼儀というものだろう。据え膳食わねば男の恥と、昔から言うではないか。
 ということは、結局のところ北条もただの男だったという結論に達するのだろうか。
「でもねぇ、それって相手が女の子だった場合のことで、男相手だったらゲイでもないかぎり、そういう雰囲気になったからって手を出せるもんじゃないと思うのよね」
 イケメンボディガードは、ゲイなの?と聞かれ、健吾は「わからない」と答える。
「スキンシップも多いし、ハグやキスはしょっちゅうされてたんだけど、ゲイじゃない気がする。蒼馬は中身ほとんどアメリカ人だから、スキンシップが多いのかなって。だけど、気まずくなってからそれも全くなくなっちゃって……」
 毎晩抱きかかえられて眠っていることは恥ずかしいので黙っておき、とりあえず現状を話すと、ノン子はにやにや笑いながら「ふーん」と相槌をうつ。
「ね、どういうことだと思う?」
 んー、とノン子ははぐらかすばかりで、なかなか答えない。
 それどころか、コーヒーのお代わりを入れてきましょ、と健吾を置いて立ち上がってしまった。
「もう!ノン子さんってば!」
 焦れた健吾が一緒に立ち上がろうとすると、部屋にドアチャイムが鳴り響いた。
「あら、きっとお迎えね。ずいぶん早かったのねぇ」
 はーい、と返事をしながらいそいそと玄関へ向かうノン子の後姿を見送り、タイムリミットか、と健吾はため息をつく。
 結局ノン子は答えをくれないままだし、自分の中での整理もつかずに混乱するばかりだ。
 健吾は使ったマグカップをキッチンのシンクに入れると、荷物を持って玄関へと向かった。

「んまー!間近で見るとすっごーい美形じゃないの!美形!」
 写メ撮りたいわ!オネエ仲間に自慢していいかしら?!と玄関口で大騒ぎのノン子の幅広の背中の向こうに、北条の姿が見えた。
 迎えに来てくれたことにホッとするのと同時に、離れて過ごす時間が増えた事への不安がつのる。
 このまま北条は、健吾の前から去っていくつもりなのではないだろうか。
 嫌な想像が頭をよぎり、健吾は手のひらをぐっと握りこんでそれをやり過ごした。

「健吾が大変お世話になりました」
 北条のかしこまった挨拶に、ノン子が豪快に笑うのが聞こえた。
「いやあねぇ、それじゃ北条さん、健ちゃんのお父さんかお兄さんみたいよ?そんな堅苦しいのやめてよ」
 顔の前で手を振るノン子は、世間話をするおばちゃんのようだ。腕に買い物袋がひっかかっていれば完璧。
 近所のおばちゃんレベルに気さくなノン子の様子に、北条がにこりと微笑む。
「それより、警護のためとはいえ、女性の部屋に無骨な男を上がらせてしまって、大変失礼しました」
 木山が部屋に入った事を詫びる北条に、ノン子がわなわなと震え出したかと思えば、突然おたけびをあげて悶えはじめた。
「健ちゃん!」
 ノン子がものすごい形相で健吾を振り返る。
「なんなのこの礼儀正しい女心鷲掴みイケメン!アタシ食べちゃってもいいかしら?!この人、頭からバリバリいっちゃいたいぐらい素敵なんだけど!」
 ノン子が興奮のあまり鼻息荒くつかみかかろうとするので、また絞め殺されそうになってはたまらない、と、健吾はさっと身を避ける。
 ノン子がバランスを崩した隙に逃れようとすると、横から伸びてきた腕に引っ張られ、抱き寄せられた。
「ああん、もう!健ちゃんたらつれないわねぇ!北条さんも!」
 久しぶりに北条に密着し、体にしっかりと腕を回されたことで、胸がせつなさに震え出す。
 そんな健吾の様子を見て、ノン子が微笑んでこっそりウィンクした。

「ねえ、北条さんの顔立ちって混じってるけど、ベースは東洋人よね?なんで目が碧いの?神秘的でとってもステキだけど」
 よく質問されるのだろう。北条はなんでもないことのように「ああ、これですか」と指で目元に触れる。
「実はコンタクト?」
「いえ、裸眼です。父方の祖母が金髪碧眼のアメリカ人で、母は日本人なので俺はほぼ日本人なんですが、兄弟でも俺だけ碧眼が出たんです。劣勢遺伝子のはずなので、突然変異というやつですね」
 小さい頃は母についてよく日本に来ていたので、近所の子供に「外人」っていじめられましたよ、と北条は笑う。
 そうだったのか、と、初めて聞く北条の過去に驚く。
 色々と完璧な現在の北条からは、目の色せいでいじめられたなどという過去は感じられない。
「そうなのぉ。でもホントにステキよ。見つめられるとドキッとしちゃう」
 ピンクのスウェットで巨体がくねくねする姿は非常に怖いが、ノン子がときめく気持ちは健吾には痛い程わかった。
 別に乙女でもゲイでもないはずの男の自分が、何度北条にときめいたかわからない。

「ねぇ、ほっぺにお別れのキスしてもいいかしら?」
 ノン子がうっとり北条を見つめると、北条は恐ろしい程のイケメンぶりで笑顔を見せる。
「女性からのキスを断る男はいませんよ」
 えっ?!と健吾が顔を見る間もなく、ノン子がすばらしい早業で北条の首をがっつり捕え、頬に濃厚なキスを送った。
 ぶちゅうと音がしそうな程濃厚なノン子のキスを、北条の腕の中で呆然と見守っていると、ノン子がちらりと目線を下げ健吾に向けて笑う。
「ホントはくちびるを奪いたかったけど、健ちゃんに絶交されちゃいそうだからやめとくわ」
 ちゅぽんと音がしそうなほど吸い付いていた唇を離すとノン子はヒラヒラ手を振り、「仲良くね。気を付けてお帰りなさいね」と二人の背中を押し出す。
 相撲部屋か!と突っ込みをいれたくなるほど強引なノン子の押し出しでオネエマンションを後にすると、目の前のパーキングに北条のSUVが停めてあるのが見えた。
 沈黙したまま助手席に乗り込むなり、健吾のスマートフォンが震える。
 ノン子からメッセージだ。
 そこには『あんまりいい男だったから悔しくていじわるしちゃった!健ちゃんゴメンね!でも大丈夫よ!自信もって!』と書かれている。
 何が悔しくていじわるをしたのかはよくわからないが、内容はどうやら激励のメッセージらしい。
 ピンクのスウェットで頬杖を突きながらスマホをいじるノン子の姿が目に浮かび、思わずクスっと笑ってしまう。
 北条がエンジンをスタートさせながら、ちらりとこちらを窺うのがわかった。

 自信なんて持てないよ。ノン子さん。

 どうしたらキスする前に戻れるのか、どうしてもわからない。
 あんな風にキスを交わさなければ、健吾は今頃北条の腕の中で甘えていられたのに違いない。
 毎日抱きしめられ、髪や頬にキスされて、幸せでいられただろうに、失った時間はもう取り戻せない。
 うっすらと滲んでしまった涙をごまかすように、健吾は助手席の窓から外の景色を眺める。

 流れる景色が、北条の気持ちが離れていくのを止められない自分の姿に重なって、健吾は唇を強くかみしめた。


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