私は盗賊です! (旧 悪役令嬢は盗賊になりたい)

誤魔化

文字の大きさ
上 下
2 / 2

1話 転生だねー

しおりを挟む

 …はいっ、私、転生しました!

 転生っていうのはあれですね。ラノベでお馴染みのチート云々とか、ゲームの中、本の中とか、色々ござれなファンタジー的何それ的なアレですね!どういうこっちゃ!

 いやー…もうね、もう一度言うけどね、転生ですよ…。

 普段からラノベとかアニメ化されたヤツとか読み漁っている系民族の私たちからすれば、「まさか私、転生してる~!?」とか「この体ってあの小説のあのキャラ!?」とか聞き飽きすぎてる感じだと思うんだけど、これさ、今現在の私にはナウに起こってる不思議現象なわけでさ、「そのリアクション、そろそろ飽きたって~」で済ませられる問題じゃないわけでさ!……なので、ちょぉーーーっとお待ちくださいな。


 スウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…

 はーぁ…


 ただいまっす。

 現状報告に入ります。

 まずは新しい身体の特徴からってことで、近くに置いてあった手鏡を拝借。


 ぬぅ!?ぅ…うおっほいッ!なんじゃこの顔は!

 …………美形だなぁオイ!…うわ、……やっば、…ヤッベ、……な、これ…やわ、…………はぁ?

 自身の頬を上下左右に揉みしだきながら、心境を感動と驚きと疑問に埋め尽くされている現状のままでは、一向に ”ヤバい美形” 以外の説明にならないので一旦冷静に整理する。

 まず最初に目につくのは髪の色。何て言うか、本当に真っっっ白だ。日本でも老人ホームとか昼時の公園などではありふれていそうな色合いなのだが、これは草臥れて色素の抜けた白髪というより、絹ッ!って感じの柔らかい白髪。

 見た事のあるイメージの中で一番近いのはロシア人や北欧系だろうか。多分。…そして白いのは髪だけで無く肌もだ。触った感じでは透明感とハリがあって、もっちもちのすっべすべ。産毛どころか毛穴の一つも見当たらないシルクみたいな肌をお持ちだ。

 加えて目の色はローズピンクと桃色のグラデーションで、光を反射するたびに複雑な色合いが現れて何時間でも見ていられそうな出来栄え。カラコンとかじゃ絶対にここまで綺麗な目にはならんよな。人の目を宝石に例えるのはもうだいぶ時代遅れな感じが否めないが、この目はマジにルビーとか(宝石に詳しくないからピンクの宝石が出てこない…悔しい…)そういう感じに例えても不足ないと思う。
 私の瞳に乾杯!

 次に、自身の体を見下ろして肉体の発達具合から推測するに、年の頃は恐らく小学校低学年あたり。赤子の頃から持ち寄った可愛さに加えて、段々と憎たらしさを身につけてくるお年頃だ。
 しかしビジュが可愛い。キレたくなるほどに可愛い。この可愛さだったら多少の憎たらしい行動なら何にも気にならないのではないだろうか。

 まあ敢えて気になる点を一つあげるなら、あんまりこの顔だと主人公って感じがしないところかな。

 どっちかって言ったら、悪役とか…ヴィラン系のビジュかなって……、まあ、どっちかって言ったらだけどね!破滅エンドを迎える悪役に転生とか良くあるよなとか思ってないよ。うん。悪役の後ろに映ってるちょっとした脇役とかだよね、うん。だって私にはこんな感じのキャラ見覚えないもん、大丈夫さ、私は何も知らないから。

 ちょびっと頭を出してきた不安の種を奥の奥へと押し込みつつ、解りもしない不安に頭を悩ませるのは無駄だと視線を手鏡の中へ戻す。



 ビー クールだ、白髪の美少女よ。

 混乱というか、ちょっとしたパニック状態にあったため、こんな深夜ばりのテンションで唐突な一人喋りをはじめていたが、きっとこの後はもう少し落ち着き払った良い感じに格好良い私をお届けできるはずである。多分ね。

 実を言うと、今の時点で既に元の自分だった頃の記憶が朧げになっていたり、この体に元からあったらしい記憶を読み込んで、それによると白髪はこの世界で”不吉な色”らしかったりして、もう先行きが不安になって少なからず憂鬱な気分なのだが、きっと頑張って生きるしかないのだろう。


 あー、1人って寂しいなー。

 自分の本当の名前がわからないって悲しいなー。

 …キリンのビールが恋しいなー。



 ◇  ◇



主人公ちゃんの顔面イメージです。
でももっと肌とか白めかもしれない…失敗失敗
まあ何となくで参考までに
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

イジメられっ子は悪役令嬢( ; ; )イジメっ子はヒロイン∑(゚Д゚)じゃあ仕方がないっ!性格が悪くても(⌒▽⌒)

音無砂月
ファンタジー
公爵令嬢として生まれたレイラ・カーティスには前世の記憶がある。 それは自分がとある人物を中心にイジメられていた暗黒時代。 加えて生まれ変わった世界は従妹が好きだった乙女ゲームと同じ世界。 しかも自分は悪役令嬢で前世で私をイジメていた女はヒロインとして生まれ変わっていた。 そりゃないよ、神様。・°°・(>_<)・°°・。 *内容の中に顔文字や絵文字が入っているので苦手な方はご遠慮ください。 尚、その件に関する苦情は一切受け付けませんので予めご了承ください。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでのこと。 ……やっぱり、ダメだったんだ。 周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中 ※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

処理中です...