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守りの聖女と学園生活
力持つ者
しおりを挟む魔物が特に多かったはずの辺境伯領だったけれど、その数が減った。
たしかに「こうなったら私もジェリーが無茶しないように頑張ろ!」みたいな感じで戦々恐々としながら魔物を倒していた面もありますが、根本的に発生率が減っているらしく、それって聖女スキルの副次的な作用なのですって。
私の場合は根本は守るということに特化しているらしく、他の国にいるらしい「魔物死すべし!!」タイプや「魔物を討滅するまで皆さま頑張って!!」タイプや「死なない兵で魔物を狩り尽くすぞ!!」というタイプの聖女とはまた違うのですって。
いや、そのタイプの聖女ってどういう方々なのでしょうか……?
まぁ、いろんなタイプの聖女がいるって話は教会にいた時から聞いていましたので。
けれど、周囲の領や中央にとっては「なんでお前たちのところだけ」となる。
冒険者としても活動しているので、お家の人付きではあるのだけれど、他の領地にも行っていたりする。でも、大々的にグリズリー辺境伯家の養子になった聖女スキル所持者が来たよ、なんて言わないので不満を口にする方々もいるみたい。
「それなりの能力を持つ者に対する妬みなどもあるだろうね。それに、意外と足元は見えないものだ」
ジュリアス義兄様その言葉に首を傾げる。
その言葉の意味を考えていると、ジェリーが「なるほどね」と頷いていたのでちょっと余計にわかんなくなっちゃいました。
そんな私を見てジェリーは苦笑する。
「要するにね、他の領地もそれなりに魔物による被害は減っているのさ」
たしかに、私はずっとここにいるわけでもないしと頷いた。
自分のレベルに合うダンジョンに行く時もあれば、薬の材料を探しに行くこともあるのでそれなりに行動範囲は広い。というか広くならざるを得なかった。
見知らぬ人が恐ろしいというのはあまり変わっていないので大っぴらに動きはしませんけれど。
「そもそも、国自体に現れる数が減っている。ダンジョンに関してはまた別だが、多少でも恩恵を受けておきながら文句を言う連中とは付き合い方を考えねばなるまい」
すっと目を細めて、足を組む。
指を解いて書類を掴むと、「いっそ冒険者ランクを上げておいた方が面倒がないかもしれないね」などと言い出した。
「ジェラルド、君も我が妹と出かける機会ができれば嬉しいだろう?」
「嬉しいです!!」
全力で返事をするな!と叫ぶアロイスさんの声が聞こえた気がした。ジュリアス義兄様との面談に呼ばれたのは今日は彼だけなので幻聴だけど。
「力を持つ者として確かにある程度目立った功績も作っておいた方が不満が少ないだろう」
にっこりと笑った義兄に対してなんだか少し背筋が冷えたような感覚がした。
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