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国の学校と宇宙の学校

ニムテズ大陸の国王に会いに―後編

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「やあ、久しぶりだね。話しには聞いていたが、会議のときよりもずいぶんと成長して」

「お久しぶりです。その後、おかわりはありませんか?」


 ここはジルベチア王国の首都、テンジャガヤにあるハラッパデア城。

 エミールは、昨日に引き続き、国王の訪問を続けていた。

 今日は休みではなく学校は授業をやっている。

 しかし、こちらの方が重要なので、学校を休んで来ているのであった。


「変わりなくピンピンしておるよ。まぁ、立ち話も何だし、かけてくれ」


 そううながされて椅子に腰をかけると、メイドが紅茶と茶菓子を用意してくれた。


「でだ。ニムテズ大陸の王の宝玉の欠片かけらというのはこれだ」


 すると、エレンハイム国王は、玉の欠片をエミールに見せてくれた。


「君はジロウ君の息子だし、君が持っておくがよい」

「ありがたく頂戴ちょうだいします」


 エミールは玉の欠片を受け取った。


 それから、ジルベチア王国の近況を聞いたり、サフィンザー宮殿の船の話しをしたり、歓談をした。


「それはそうと、インダスニカル大陸に、離れた場所でも会話ができる魔道具があるのですが、国に居いながらにして会議ができますので、置いていきましょうか?」

「おぉ。そのような魔道具があるのか。くれるのかい?それなら断る理由は無いな」


 エミールは魔道具を渡し、


「有り難くいただくよ」


 そして、テレビ電話の魔道具の使い方を教えて今日の会談を終えるのであった。


「バタバタとしていて申し訳ありません」

「いやいや、こちらも忙しい身でな。これでも会談としては長い方なのだよ。それはそうと、またちょくちょく顔を見せに来ておくれ」

「分かりました。それではお元気で」

「またな」


 そうしてエレンハイム国王との会談はお開きとなるのであった。



「おぉおぉ君がエミール君か!」

「はい。エミール・ザガントリアでございます」


 今度はハンシオーガ王国の城に来ていた。


「ナターリアやアメリアの結婚式で、ちらりと見ただけだったし、会議のときには話すこともできなかったからな。こうして会えるのは正直嬉しい」

「喜んでいただけてこちらも嬉しいです」

「しかし、ずいぶんと成長したものだ」


 二郎とアメリア、アンニヨロとナターリアの合同結婚式のときには、来賓客も大勢たことだし、挨拶をしなければならない人が山ほどて、とても普通に話すことはできなかっただろうとエミールは思った。


「おぉそうだ!ニムテズ大陸の王の宝玉だったな」

「はい」

「それでは先に渡しておこう」


 エミールは、玉の欠片を受け取った。

 それから2人で歓談して、話しの流れでテレビ電話の魔道具の話しになり、ジャスパー国王に渡して使い方の説明をし、


「国王陛下、そろそろお時間です」

「おぉ、もうそんな時間か。すまんなエミール君。これから政務に戻らなければならぬ」

「そうですか。お忙しいところをお時間をいただきましてありがとうございました」

「いやいや。今度は他の家族や兄弟も連れて来るんだぞ」

「はい。分かりました」

「すまん。それでは失礼する」


 そうして、ハンシオーガ王国ジャスパー・ウォムスレー国王との会談はお開きになるのであった。




「気が重いなぁ」


 エミールは、つい弱音を吐く。

 今まで訪問したニムテズ大陸の国々は、麻宗家に帰ると王族出身の「お母様たち」がおり、言わば身内であった。

 しかし、次に訪問するザッテリーニ連邦国のトップは世襲制ではなく、連邦国内の王の中から選挙で選ばれるらしい。それで、他の国々がやった「王女を二郎に嫁に出す」ということをしなかったしできなかった。自分が皇帝になるとは限らなかったからである。

 しかし、気が重くても行かなくてはならない。時間も迫ってきている。

 エミールは、意を決してザッテリーニ連邦国の首都、ザリガエックにある皇城へと向かった。


 門番に八咫烏やたがらすの絵柄を彫り込まれたメダルと、ザッテリーニ連邦国の市民証を見せると、


「しょ、少々お待ちください」


 と、城の中へ去って行った。

 しばらくして、


「私、内政官をしておりますナームハラ・ロロベリンスキーと申します。フォード大統領からエミール様の案内をおおせつかっております」

「初めまして。ヘクディー・ザガントリアと申します」

「それではお部屋にご案内します」


 そして、ナームハラ内政官の案内で、応接間に通されたエミール。


「お掛けになってお待ちください。しばらくすればフォード大統領もお見えになります」


 そう言って、ナームハラ内政官は部屋から出て行き、そして、メイドが紅茶と茶菓子を出してくれた。

 しばらくして、


「フォード大統領がお見えになりました」

「はい。どうぞ」


 フランキー大統領は、大柄・筋肉質で、髪の毛は短く切りそろえられていて、白髪交じりの黒髪の男であった。

 エミールは思わず席を立つと、


「エミール殿、楽にしてくれたまえ。私がこのザッテリーニ連邦国の大統領、フランキー・フォードだ」

「ザガントリア王国の王太子、エミール・ザガントリアです。以後、お見知りおきを」

「君の兄姉けいしには、通信網のこと、コンピューターのことでずいぶんと世話になった。私が礼を言っていたと伝えて欲しい」


 花菜香はなか風雅ふうがはアハントルト王国に始まり、さらにその周辺国へと。そして、全てではないものの、このニムテズ大陸にある古代の通信網とコンピューターを使えるように復活したのであった。

 それは、戦いに敗れたザッテリーニ連邦国も、例外ではなかった。


「分かりました。伝えておきます」

「して、サフィンザー宮殿からの書簡しょかんでは、大陸の王の宝玉を集めているとか?」

「はい。スキカ神から指示が出ておりまして」

「そうか。なるほどのぉ」


 そして、フランキー大統領は、ビロードの布で作られた小袋3つをエミールの前へ指し出した。


「かつて、今ザッテリーニ連邦国がある土地は、3つの国が支配しておった。そのうちの1国が戦争に勝って統一を果たし、今のザッテリーニ連邦国になった。それで、ザッテリーニ連邦国の王の宝玉の欠片かけらは3つある。これをエミール殿に進呈しよう」

「ありがとうございます。その心遣い、無にすることがないように致します」


 そして、エミールは、今もらった宝玉の欠片を取り出し、他のニムテズ大陸内の国王からもらった宝玉の欠片を取り出し、組み合わせると、玉は光だし、光が収束すると、綺麗な欠けのない玉となったのであった。

 そして、エミールはその宝玉を胸に押し当てると、スーッと胸に入り込んでいき、玉はエミールの体に完全に取り込まれたのだった。

 すると、それを目の当たりにしたフランキー大統領は、


「このような貴重な場面に立ち会うことができて、一生のほまれです」


 しばらくフランキー大統領はその余韻に浸っり、エミールは温かく見守るのであった。


 それから我に返ったフランキー大統領とエミールは、ザッテリーニ連邦国の近況を聞いたり、サフィンザー宮殿の船の話しをしたり、歓談をした。


「それはそうと、インダスニカル大陸に、離れた場所でも会話ができる魔道具があるのですが、国に居いながらにして会議ができますので、置いていきましょうか?」

「おぉ。そのような魔道具があるのですか」


 エミールは魔道具を渡し、


「有り難く頂戴ちょうだいするよ」


 そして、テレビ電話の魔道具の使い方を教えて今日の会談を終えるのであった。

 皇城を出たエミールは、


「さて、ニムテズ大陸の全ての王城や皇城は回ったし、全てのニムテズ大陸の玉の欠片をもらって欠けのない球体にして体に取り込んで、目的は達成したし、帰りますか」


 そして、エミールはザガントリアシティの王城へ戻るのであった。
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