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勉強とこの世界の把握
新大陸。まずは地理と言葉から
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アーメイヤス語、算数、歴史、礼儀作法の勉強を疎かにしてしまったため、6才未満組の日常は、午前も午後も座学となってしまった。
その中でも受験を控えたクララ、ロッテ、ミラダリーナは、休みの日でも、カリーナ先生の代わりとして、エルビン、コンスタンティン、アクレシス、エーベルハルトの学園初等部組に勉強を教わるという休日返上での対策がとられた。
一方、受験にはまだ余裕のあるブリトニー、ビアンカ、エミールは、休日はちゃんと取るのであった。
*
エミールのバーハーグト大陸の調査は順調に進んでいた。
バーハーグト大陸に居る鳥を中心とした動物と意識共有して大陸中を見て回る。その動物の中でも協力的で、相性の良いものには、例の意思疎通をしやすくなる魔術具を付けてもらった。
そうして見て回ってみると、バーハーグト大陸は、ニムテズ大陸よりも大きかった。大陸面積が大きい分、大陸にある街や村の数もニムテズ大陸よりバーハーグト大陸の方が多かった。
以前ニムテズ大陸を見て回ったときと同じように、バーハーグト大陸の地図も描いた。大陸が1枚の地図に入るような広範囲なものから、町や村がどこにあるか分かるような拡大したものまで。今回も地図の枚数はかなり多くなった。
ただ、バーハーグト大陸の言葉もまだ話せないし、国がいくつあるだとか、国境がどこにあるだとか、人間の都合はまだ分からない。
ただ、ひときわ大きな街は、多分首都やらその地域の中心的な拠点なんだろうなとは分かった。
語学に関しては、この前買った短い子供向けのお話しを、一旦コミュニケーションの魔法を使って読み、それをアーメイヤス語で書き写し、コミュニケーションの魔法を切って、その2つを見比べながら、ときには辞書を引きながら、類推して読み進めていった。
しかし辞書に書かれている文字も、あちらの言葉なので、辞書を読むこともまた、困難するのであった。
しかし、四苦八苦しながらも、やっていくうちにちょっとずつ、ちょっとずつ読めるようになっていき、ある程度読めるようになってきてからは、苦行ではなく、読むのが楽しくなってくるのであった。
書き言葉はそれでいいとして、今度は話したり聞いたりする方もまた別にしなければならなかった。
そこでエミールは、大通りの歩行者がまぁまぁあるやや小規模の町に行き、人間観察をすることにした。
始めは耳を慣れさせること。意味が分からなくても聞き耳を立ててとりあえず聞く。
そして、「あれなぁに?」というフレーズは語学学習においてかなり便利なので、それだけは聞き逃さないようにする。聞き耳を立てて置いたお陰で「これなぁに?」は早い段階で憶えることができた。これは大きい。
「これなぁに?」意外にも、わかりやすい表現、ときにジェスチャーがついたものは、意味が取りやすかったので、それも憶えておくことにする。
そして、アーメイヤス語の文字は、音だけとって、書き記すことができるため、聞いて分かったものは、アーメイヤス語で書き記す。
ある程度話し言葉が溜まってきたら、書き言葉と付き合わせてみる。
そして、バーハーグト大陸の文字と、話し言葉の発音と付き合わせて、徐々に文字と発音の関連性が分かってくる。
あとは、時間をかけてこの全体を繰り返していく。
気の遠くなるような作業である。
でも、他に方法を思いつかない。
しかし言葉が通じなければ活動していけない。
地道にやっていくしかないのであった。
ある程度片言ながら、意思を伝えたり、聞くことができるようになってから、バーハーグト大陸で、冒険者ギルドの依頼を受けてみることにした。
エミールは入りたてのFランク。Fランクには魔物討伐の仕事は無い。比較的魔物が出ない草むらで薬草の採取だとか、街の中の家から家へ、届け物をして欲しいだとか、用水路に溜まった土や砂、ヘドロなんかを掃除して欲しいだとか、街の中だけで完結するものや、街の外へ出るにしても魔物がほとんど出ない場所での作業ばかりである。
エミールは、まだ言葉が片言なため、話さなくても困らない薬草採取を受けることにした。
薬草採取は常時発動依頼なため、依頼の紙を剥がす必要もなく、依頼受注の手続きの必要もないが、薬草の形状が分からなかった。
仕方がないため受付で聞いてみると、難しい言葉は使わずに、懇切丁寧に教えてくれた。親切な受付さんに当たって良かったと思った。
さて、薬草採取である。とりあえず、いっぱい採るつもりで大きめの背負い籠を背負って教えてもらった草むらや、森の入り口辺りを探してみる。
よくよく見てみると、雑草に紛れてちらほらと目的の薬草が見つかる。
ギルドの受付のお姉さんに聞いたとおり、採取に必要な葉っぱの部分だけ刈り取り、根は残す。根を残しておけば、期間をおけば、また葉は生えてくるそうだ。
良く見て薬草が見つかると刈り取って背負い籠の中に入れる。
朝から始めて昼食は麻宗邸で作ってもらった弁当を食べ、午後からも黙々と薬草取りを続ける。
そうして続けていくと、3時くらいになっただろうか。今日はこの辺りにしてギルドに戻ることにする。
ギルドの受付にて、
「常時依頼の薬草の採取に行ってきました」
と、報告を入れた。
「多く採れましたね。依頼達成です。依頼の倍採れてますのでおまけで2つの依頼を成功させたことにしておきますね。ギルドカードに情報を書き込みますのでカードを提出して下さい」
ギルドカードを手渡し、少しするとカードが返ってきた。
「それでは報酬の銀貨1枚になります」
「ありがとうございます」
「この調子で頑張って下さい。またのご利用お待ちしております」
読み書きに初まり、言葉の勉強、それに文字と言葉の対応の勉強。エミールの語学力は努力の甲斐あって徐々に伸びていく。
エミールが日常会話をできるようになるのはそう遠くないのであった。
その中でも受験を控えたクララ、ロッテ、ミラダリーナは、休みの日でも、カリーナ先生の代わりとして、エルビン、コンスタンティン、アクレシス、エーベルハルトの学園初等部組に勉強を教わるという休日返上での対策がとられた。
一方、受験にはまだ余裕のあるブリトニー、ビアンカ、エミールは、休日はちゃんと取るのであった。
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エミールのバーハーグト大陸の調査は順調に進んでいた。
バーハーグト大陸に居る鳥を中心とした動物と意識共有して大陸中を見て回る。その動物の中でも協力的で、相性の良いものには、例の意思疎通をしやすくなる魔術具を付けてもらった。
そうして見て回ってみると、バーハーグト大陸は、ニムテズ大陸よりも大きかった。大陸面積が大きい分、大陸にある街や村の数もニムテズ大陸よりバーハーグト大陸の方が多かった。
以前ニムテズ大陸を見て回ったときと同じように、バーハーグト大陸の地図も描いた。大陸が1枚の地図に入るような広範囲なものから、町や村がどこにあるか分かるような拡大したものまで。今回も地図の枚数はかなり多くなった。
ただ、バーハーグト大陸の言葉もまだ話せないし、国がいくつあるだとか、国境がどこにあるだとか、人間の都合はまだ分からない。
ただ、ひときわ大きな街は、多分首都やらその地域の中心的な拠点なんだろうなとは分かった。
語学に関しては、この前買った短い子供向けのお話しを、一旦コミュニケーションの魔法を使って読み、それをアーメイヤス語で書き写し、コミュニケーションの魔法を切って、その2つを見比べながら、ときには辞書を引きながら、類推して読み進めていった。
しかし辞書に書かれている文字も、あちらの言葉なので、辞書を読むこともまた、困難するのであった。
しかし、四苦八苦しながらも、やっていくうちにちょっとずつ、ちょっとずつ読めるようになっていき、ある程度読めるようになってきてからは、苦行ではなく、読むのが楽しくなってくるのであった。
書き言葉はそれでいいとして、今度は話したり聞いたりする方もまた別にしなければならなかった。
そこでエミールは、大通りの歩行者がまぁまぁあるやや小規模の町に行き、人間観察をすることにした。
始めは耳を慣れさせること。意味が分からなくても聞き耳を立ててとりあえず聞く。
そして、「あれなぁに?」というフレーズは語学学習においてかなり便利なので、それだけは聞き逃さないようにする。聞き耳を立てて置いたお陰で「これなぁに?」は早い段階で憶えることができた。これは大きい。
「これなぁに?」意外にも、わかりやすい表現、ときにジェスチャーがついたものは、意味が取りやすかったので、それも憶えておくことにする。
そして、アーメイヤス語の文字は、音だけとって、書き記すことができるため、聞いて分かったものは、アーメイヤス語で書き記す。
ある程度話し言葉が溜まってきたら、書き言葉と付き合わせてみる。
そして、バーハーグト大陸の文字と、話し言葉の発音と付き合わせて、徐々に文字と発音の関連性が分かってくる。
あとは、時間をかけてこの全体を繰り返していく。
気の遠くなるような作業である。
でも、他に方法を思いつかない。
しかし言葉が通じなければ活動していけない。
地道にやっていくしかないのであった。
ある程度片言ながら、意思を伝えたり、聞くことができるようになってから、バーハーグト大陸で、冒険者ギルドの依頼を受けてみることにした。
エミールは入りたてのFランク。Fランクには魔物討伐の仕事は無い。比較的魔物が出ない草むらで薬草の採取だとか、街の中の家から家へ、届け物をして欲しいだとか、用水路に溜まった土や砂、ヘドロなんかを掃除して欲しいだとか、街の中だけで完結するものや、街の外へ出るにしても魔物がほとんど出ない場所での作業ばかりである。
エミールは、まだ言葉が片言なため、話さなくても困らない薬草採取を受けることにした。
薬草採取は常時発動依頼なため、依頼の紙を剥がす必要もなく、依頼受注の手続きの必要もないが、薬草の形状が分からなかった。
仕方がないため受付で聞いてみると、難しい言葉は使わずに、懇切丁寧に教えてくれた。親切な受付さんに当たって良かったと思った。
さて、薬草採取である。とりあえず、いっぱい採るつもりで大きめの背負い籠を背負って教えてもらった草むらや、森の入り口辺りを探してみる。
よくよく見てみると、雑草に紛れてちらほらと目的の薬草が見つかる。
ギルドの受付のお姉さんに聞いたとおり、採取に必要な葉っぱの部分だけ刈り取り、根は残す。根を残しておけば、期間をおけば、また葉は生えてくるそうだ。
良く見て薬草が見つかると刈り取って背負い籠の中に入れる。
朝から始めて昼食は麻宗邸で作ってもらった弁当を食べ、午後からも黙々と薬草取りを続ける。
そうして続けていくと、3時くらいになっただろうか。今日はこの辺りにしてギルドに戻ることにする。
ギルドの受付にて、
「常時依頼の薬草の採取に行ってきました」
と、報告を入れた。
「多く採れましたね。依頼達成です。依頼の倍採れてますのでおまけで2つの依頼を成功させたことにしておきますね。ギルドカードに情報を書き込みますのでカードを提出して下さい」
ギルドカードを手渡し、少しするとカードが返ってきた。
「それでは報酬の銀貨1枚になります」
「ありがとうございます」
「この調子で頑張って下さい。またのご利用お待ちしております」
読み書きに初まり、言葉の勉強、それに文字と言葉の対応の勉強。エミールの語学力は努力の甲斐あって徐々に伸びていく。
エミールが日常会話をできるようになるのはそう遠くないのであった。
応援ありがとうございます!
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