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花菜香・風雅の留学と大戦

大戦開始と結末

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グロ表現在り。注意。

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 ザッテリーニ連邦国侵攻軍では各自、水と食料を常に携帯しておかなければならない決まりがあるが、チェックなどされないため、持っていない者もたくさんいた。持っていたとしても夕食時まで手持ちの食料でまかなおうとすると、1食当たりの量をセーブしなければならず、ほぼ全ての侵攻軍の隊員は、空腹であった。

 しかし、敵は近くにる。総力戦になるだろうから、ほとんどの隊員は戦わないという選択肢はない。

 かくして腹ぺこのまま大規模戦闘に参加しなくてはならないのである。士気が上がるように気持ちを作ろうとしても、空腹感が度々やって来るので、士気が上がりきらないのであった。

 西方諸国連合軍には、打診していなかったが、戦いの時は、戦いの開始の時間、現場のトップの口上など、しきたりとしてルールがあり、それに間に合うようにして、両軍陣形を組む。

 両軍の陣形は、しくも同じ配置であり、敵方向から、兵士、騎士、魔道士の順に並んでいた。前線に立っていた兵士や騎士や魔道士、両軍とも1万5千ほどで、ほぼ同数であった。

 ザッテリーニ連邦国侵攻軍と違うところと言えば、西方諸国連合軍には物見台があり、物見台に、ジリアン・ナイツ騎士団総長、二郎、かおる花菜香はなか風雅ふうがが、陣取っていることだろうか。

 隊列が組み終わり、先にブランドル将軍が、口上を述べる。


「折角無傷で降伏する機会を与えてやったのに、それを避けてわざわざ負け戦を挑む馬鹿者よ!今さら降伏してももう遅いぞ!我が屈強な戦士たちに蹂躙されるが良い!殲滅してやるわ!」


 次はジリアン騎士団総長の番だ。二郎に風魔法で相手の全軍に声が届くようにしてもらい、


「我が連合軍にたてつく愚か者よ!お前らは俺達を見くびっているようだがお前たちは力量を測れぬ愚か者だ!こちらこそ殲滅してやる!地獄で自分たちの愚かさをいるのだな!」


 両軍の対象の口上は終わった。これから戦闘である。まずは魔術師たちの攻撃魔法の打ち合いになる。

 ザッテリーニ連邦国侵攻軍の魔道士からは、しょぼい魔法が飛んで来る。西方諸国連合軍魔道士団も敵に向けて魔法を繰り出す。味方の魔道士の方が敵の魔道士より数段威力が高い。二郎たち4人は長い魔法の詠唱に入る。


「エクスペリメンタル・ファイヤーストーム!」


 まず、攻撃魔法を放ったのは風雅ふうがであった。彼の魔法は敵軍の魔道士に直撃した。

 その魔法は縦に伸びずに広範囲に広がり、敵魔道士全員と、近くの騎士に業火を浴びせた。威力も絶大で、まず、焼死しないで生き残る魔道士は皆無であろう。


「エクスペリメンタル・ブラスト!」


 今度は花菜香はなかの魔法が炸裂した。兵士、騎士の中央に、災害並の暴風が吹き荒れた。これも本来縦に高く伸びる魔法だが、その分の魔力を操作してかなり広い面積を暴風圏にした。この魔法も強烈で、範囲の敵兵の命があるとは思えない。


「エクスペリメンタル・ブラスト!」
「エクスペリメンタル・ブラスト!」


 今度は二郎とかおるが魔法を完成させた。

 二郎の魔法はは右翼側、かおるの魔法は左翼側に着弾し、2人も魔法を縦方向より面積を重視したものであり、さすが経験を積んでいる者と言うべきか、花菜香はなか風雅ふうがの魔法よりも範囲、威力共にかなり広範囲で強力であった。

 4人の活躍で、開始10分とかからず、ザッテリーニ連邦国侵攻軍の戦闘員は殲滅せんめつされた。


「全軍、突撃!」


 二郎の魔法で全軍に聞こえるように声を拡声してもらいながら、ジリアン騎士団総長が、全軍に命令を飛ばした。まず居ないであろう生き残りを殺すために、全軍が走り出したのである。


「エクスペリメンタル・ブラスト!」
「エクスペリメンタル・ブラスト!」


 二郎とかおるは、その後も攻撃を続けた。出陣した兵士めがけてではなく、戦場の後方、野営地めがけてである。しかし幹部用の天幕は狙わない。


 西方諸国連合軍の右翼と左翼の一部は、戦場を通り過ぎ、野営地方面へと向かう。魔法の暴風で見るも無惨むざんにめちゃくちゃになったテント群。その中で、唯一無事な幹部用の天幕に入り、ブランドル将軍を始め、この侵攻軍の幹部たちを捕虜として生け捕りにした。

 そしてかおる花菜香はなか風雅ふうがに告げる。


「あなたたちの出番は終わったわ。今から学校に行って便利魔法を教える時間ができたことを学校側に伝えてらっしゃい。伝えたらまたここに戻って来るのよ」

「「はい。分かりました」」


 そうして花菜香はなか風雅ふうがは学校に話しに行くのであった。

/*

 その頃西方諸国連合の国王たちは

*/

 この戦いは、西方諸国連合各国の存続がかかった戦争である。

 戦場の「ライブ中継」なるものがあるらしく、西方諸国連合各国の4人の王が、サガンガ王国王城に一堂に会した。

 サガンガの宮廷魔道士が入ってきて、何も無い空間から映像が見える。


「おぉ。これは戦場を映しだしているのか!」

「左様に御座います」


 国王たちは食い入るように映し出された戦場を見た。

 戦闘が始まってから10分とかからず、敵軍は全滅した。

 国王たちは言葉もない。


「これほどあっさりと決着が付くとは…」

「これで侵略される心配はありませんな!」


 そして、


「映像を見たので我々西方諸国連合軍が勝ったのだろうが、形式通り、ジリアン騎士団総長の戦勝報告をもって、勝利としよう」


 今回の戦闘が国の最重要事項であるのは間違いないので言われるがままに行方を見守っていたが、国王にはみな他にも職務がある。通常業務に加えて西方諸国連合軍を動かすための仕事が積み上がっている。


「用は済んだ。みな、自国に戻って積み上がった仕事を再開せんか?」

「そうだな。戻ろう」


 王たちは、それぞれの国に戻っていくのであった。

/*

 ザッテリーニ連邦国の王城にて

*/

 フランキー・フォード ザッテリーニ連邦国大統領は、執務室で仕事中であった。

 ふと前を見ると、戦場の映像が映し出された。

 ザッテリーニ連邦国軍の軍旗と西方諸国連合軍の軍旗が見える。これは西方諸国統一戦争の戦闘風景であろうか?

 大統領はその画像に目を奪われた。食い入るように見ていると、10分とかからず我が軍は殲滅せんめつされてしまった。


(これは本当であろうか?もしや西方諸国連合軍の情報操作か?)


 映像が消え、30分すると、扉も開いていないのに、傷だらけになったミカエル・ブランドル将軍と敵兵が入ってきた。


「フォード閣下、我が侵攻軍は殲滅せんめつさせられました。こちらが書状です」


 書状を読んだ。西方諸国連合軍との戦闘で我が軍は殲滅せんめつという報告と同じ内容であった。。目の前のブランドル将軍と書状の筆跡を確認する。間違いなく目の前の人物はブランドル将軍であり、筆跡もブランドル将軍のものだ。報告を信じざるを得ない。

 大統領はすぐさま閣僚会議を開き、我が侵攻軍は負け、殲滅せんめつさせられ、幹部以外は皆殺しにあったことを報告した。

 その情報はたちまち王城中に広がり、そして、号外の新聞によって市井しせいにまで広がった。

 負け戦の情報が中堅都市まで広がった頃、広場には生首が並べられた。


 ブランドル将軍、フォード大統領に閣僚全員の生首であった。

 そしてその後、大統領や閣僚が西方諸国連合から送られ、実質ザッテリーニ連邦国は、西方諸国連合加盟国の属国になるのであった。
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