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魔王退治ととある商人の暗躍
実務者級会談の結果
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『結局決まったのはどこの地域でどの魔物が攻撃してこないということだけかぁ』
会談の結果、魔物が交渉下手だということが分った。で、ある魔物は話が通じるから魔王の指示に従う、だが、ある魔物は知能が足りずに指示を出しても理解不能で制御不能。それで、知能のある特定の魔物と不戦協定を結びましょうという曖昧な内容になった。まぁ、戦闘が少なくなるのだから意味は無いことはないのだが。
今回会談に参加したのは実務者級の会談となっている。今度は人が入れ替わり、高官との話し合いに移るはずだが、人間側は高官を送り出すが、魔物側はそんなに管理体制は複雑ではない。高官に当たるのは、その地域で強い魔物の代表だ。実務者級の会談に参加した者の中から絞ることとなり、魔物側は実務者級の魔物も残っている。
そんな内容でも、人間にとって強い魔物に遭遇しても襲われないというのはかなりのメリットになる。協定を結ばないという選択肢はない。よって、このまま会談は進めることになるのであった。
『カッチリと管理体制が敷かれている相手との交渉が期間が短いのか、今回のように緩い管理体制の方が期間が短いのか、どっちなんだろう?早く子供たちと会いたいなぁ』
会談が終わるまで帰れない二郎は、子供たちと遊びたいとぼやくのであった。
*
イタブルグ、王都の郊外にあり、主産業は魔道具製作などの工業と、魔製燃料というこの世界で一般的な燃料の製造である。街道は通っているがこの先には特に大きな街はなく、通行量は多いとは言えない。
そんな町に出向いたのは薫と警備隊の高官と、その他お付きの者であった。薫が先頭に立ち、町を歩いていた。
『一番反応があるのはこの建物ね』
警備隊の高官はイタブルグの詳細地図を片手に×印をつける。
また薫は町を歩き、
『反応は薄いけど、ここからも転移しているわ』
高官は、こちらにも×印を付けた。
『反応があったのはこの2件ね』
『ご協力感謝します』
薫たちはその後、用もないのに町をぶらつき、それから馬車に乗って王都へと帰るのであった。
*
ガーネルザロドロイスの森への探索から帰って来て1週間後、研究部会に顔を出した薫は、声をかけられた。
『車の素体ができあががりました』
『まぁ、こちらでも将来車が走るようになるのね』
『まぁ、実用に耐えるかはこれから実験するんですけどね。早く部会メンバーが帰って来ないかなぁ』
『まぁ、詳しい話は二郎にしてあげてちょうだい。こういった話は二郎の担当だから』
『それでは実験が成功すれば、薫様にはその事だけ報告させていただきます』
『まぁ、それくらいなら教えてちょうだい』
『それではまた後日』
そして、薫は目的の部屋に到着すると、数名の人間がまだ試薬を製作している。
『薫様、いらっしゃいませ』
『それで、調査結果はどのようなかんじかしら?』
『魔製燃料というのはご存じでしょ?天然の材料から魔術によって生成されるあの燃料なんですが、術者が未熟だと、生成過程で毒物が出るんですね。高度な技術を持つ術者だと、毒物は出ないんですがね。で、生成には未熟な術者を当ててはならないと王国では厳しい基準を設けて取り締まりもしているのですが、今回ガーネルザロドロイスの森で見つかった毒物、まだ検査中ではあるのですが、まず間違いなく未熟な術者が魔製燃料を作る過程で出た有害物質ですね。あんな大規模に不正をして見つからないと思っているのでしょうかね?本当に製造に関与している者の頭の中を一度覗いてみたいものですな』
『分ったわ。で、術者が未熟だと、その術者に支払う給金が安いということかしら?』
『その通りです。まぁ、それくらいしか利点はありませんがね。しかし、少しくらい安くなったところでそのツケに多額の費用がかかるというのに理解に苦しみます』
『ありがとう。大体分ったわ。それで、魔製燃料の廃棄物と断定したとき、報告は研究部会から上げるのかしら?それとも私からあげればいいのかしら?』
『薫様にお任せします』
『分ったわ。また数日後、様子を聞きに来るから』
『お待ちしております』
必要な情報を得られた薫は、バーンクリット邸へと帰り、子供へのスキンシップに勤しむのであった。
会談の結果、魔物が交渉下手だということが分った。で、ある魔物は話が通じるから魔王の指示に従う、だが、ある魔物は知能が足りずに指示を出しても理解不能で制御不能。それで、知能のある特定の魔物と不戦協定を結びましょうという曖昧な内容になった。まぁ、戦闘が少なくなるのだから意味は無いことはないのだが。
今回会談に参加したのは実務者級の会談となっている。今度は人が入れ替わり、高官との話し合いに移るはずだが、人間側は高官を送り出すが、魔物側はそんなに管理体制は複雑ではない。高官に当たるのは、その地域で強い魔物の代表だ。実務者級の会談に参加した者の中から絞ることとなり、魔物側は実務者級の魔物も残っている。
そんな内容でも、人間にとって強い魔物に遭遇しても襲われないというのはかなりのメリットになる。協定を結ばないという選択肢はない。よって、このまま会談は進めることになるのであった。
『カッチリと管理体制が敷かれている相手との交渉が期間が短いのか、今回のように緩い管理体制の方が期間が短いのか、どっちなんだろう?早く子供たちと会いたいなぁ』
会談が終わるまで帰れない二郎は、子供たちと遊びたいとぼやくのであった。
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イタブルグ、王都の郊外にあり、主産業は魔道具製作などの工業と、魔製燃料というこの世界で一般的な燃料の製造である。街道は通っているがこの先には特に大きな街はなく、通行量は多いとは言えない。
そんな町に出向いたのは薫と警備隊の高官と、その他お付きの者であった。薫が先頭に立ち、町を歩いていた。
『一番反応があるのはこの建物ね』
警備隊の高官はイタブルグの詳細地図を片手に×印をつける。
また薫は町を歩き、
『反応は薄いけど、ここからも転移しているわ』
高官は、こちらにも×印を付けた。
『反応があったのはこの2件ね』
『ご協力感謝します』
薫たちはその後、用もないのに町をぶらつき、それから馬車に乗って王都へと帰るのであった。
*
ガーネルザロドロイスの森への探索から帰って来て1週間後、研究部会に顔を出した薫は、声をかけられた。
『車の素体ができあががりました』
『まぁ、こちらでも将来車が走るようになるのね』
『まぁ、実用に耐えるかはこれから実験するんですけどね。早く部会メンバーが帰って来ないかなぁ』
『まぁ、詳しい話は二郎にしてあげてちょうだい。こういった話は二郎の担当だから』
『それでは実験が成功すれば、薫様にはその事だけ報告させていただきます』
『まぁ、それくらいなら教えてちょうだい』
『それではまた後日』
そして、薫は目的の部屋に到着すると、数名の人間がまだ試薬を製作している。
『薫様、いらっしゃいませ』
『それで、調査結果はどのようなかんじかしら?』
『魔製燃料というのはご存じでしょ?天然の材料から魔術によって生成されるあの燃料なんですが、術者が未熟だと、生成過程で毒物が出るんですね。高度な技術を持つ術者だと、毒物は出ないんですがね。で、生成には未熟な術者を当ててはならないと王国では厳しい基準を設けて取り締まりもしているのですが、今回ガーネルザロドロイスの森で見つかった毒物、まだ検査中ではあるのですが、まず間違いなく未熟な術者が魔製燃料を作る過程で出た有害物質ですね。あんな大規模に不正をして見つからないと思っているのでしょうかね?本当に製造に関与している者の頭の中を一度覗いてみたいものですな』
『分ったわ。で、術者が未熟だと、その術者に支払う給金が安いということかしら?』
『その通りです。まぁ、それくらいしか利点はありませんがね。しかし、少しくらい安くなったところでそのツケに多額の費用がかかるというのに理解に苦しみます』
『ありがとう。大体分ったわ。それで、魔製燃料の廃棄物と断定したとき、報告は研究部会から上げるのかしら?それとも私からあげればいいのかしら?』
『薫様にお任せします』
『分ったわ。また数日後、様子を聞きに来るから』
『お待ちしております』
必要な情報を得られた薫は、バーンクリット邸へと帰り、子供へのスキンシップに勤しむのであった。
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