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魔王退治ととある商人の暗躍
魔王と王子の初顔合わせ
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魔王を倒して欲しいという願いで、勇者として召喚された麻宗二郎。それに巻き込まれる形でともに召還された妻の薫、長女花菜香、長男風雅とキャンピングカー。
共に付けられた剣士ジョルダン・カーライル、攻撃魔法使いカトリーナ・アンリエッタ、治癒魔法使いメリーア・メンドローサ、そして、子守担当マヤ・ステイン。
魔王を討つべく討伐訓練をしている途中で、妻の薫は、封印していた過去、このザガンガ王国のバーンクリット公爵家の長女、エリアリアーナ・バーンクリットだったことを思い出し、アンリエッタも舌を巻く程の魔法で、この世に4体しか居ないとされる中ボス2体を倒すというアンリエッタの立場を奪うような結果を残す。
中ボスの1体はザガンガ王国軍の討伐隊により倒され、残り一体は薫ばかり働かせるわけにはいかないと、パーティーメンバー全員で仕留めた。
あとは魔王を残すのみと、1年討伐訓練をして実戦経験を積み、いざ、魔王討伐というところで、その魔王自体が白旗を掲げながら近づいてくる。
聞けば、魔王に戦う意欲がなく、土に浸透した毒のせいで住処を追われ南下して、人間の居住区を犯すことになったとのこと。そこで、魔王は、人間の王と直談判して双方戦闘にならないようにする相談をしたいと申し出る。
その話を持ち帰った勇者一行は、王にその旨を話すと、魔王と王の直談判だけでなく、もっと実務者レベルでの話し合いが必要で、それが済んでからでないと王同士の約束はできないと返される。
魔物側は魔王しか人語を話せない。元々の原因である毒の調査も必要だ。魔物との会話についてはいにしえの魔法、及び魔法陣で会話ができることが分っている。日頃役に立っているとは言えない穀潰しの研究部会を巻き込んで、魔族側との会談に向け、王城内は慌ただしいく準備を進めるのであった。
*
俺たち勇者一行は今、キャンピングカーでウンザバンテの森に向かっていた。同乗者はパーサー第一王子。話し合いをするにしろ、何にしろ、一度、魔王と王族を会わせないと、魔物側も準備が必要だから。王国側だけ準備しても、話は進まないのであった。
ウンザバンテの森に着き、パーサー第一王子を守りながら森の奥へと進んでいく。いつもなら魔物が襲ってくるのだが、今回は静かだ。時折魔物と目が合うが、逃げていってしまう。これは魔王の指示が行き届いているのであろうか。
しばらく進むと、
『前方に巨大な魔物発見!相手は白旗を掲げています!どうやら魔王のようです!こちらに向かって走ってやって来ます!』
と、視力を強化していたメンドローサが教えてくれた。
『こちらは戦う気はありませーん!魔法を打たないで下さーい!』
どうやら前回と同じように、戦闘にならないように戦う意思がないことを前面に出して近づいてきているようだ。
『おぉ、これは勇者麻宗二郎と勇者一行!国王へは話してもらえましたか?』
どうやら魔王、アンドレシロシウスは、人間の判別もできるようだ。こちらが話す前に俺を麻宗二郎と認識している。
念のため、薫にエクスペリメンタル・シリンダリカル・シールドを張ってもらいながら魔王との話し合いがもたれた。
『国王に話したところ、王と魔王の直談判だけでは停戦に応じられないと返答されました。王子を連れてきましたので、詳しくは王子とお話し下さい』
『我はザガンガ王国の第一王子、パーサー・ルイジアンヌ。今回は王の名代として、この地に参りました』
パーサー王子は、実務者で話し合いを重ねてから王と魔王の正式な停戦が行われるのだという説明と、毒の調査、言葉が通じない対処として、いにしえの魔法や魔法陣が解決してくれるということを魔王に話した。
『うぅぅぅー。人間は難しいことを考えますねぇ。分りました。こちらも族長を呼びましょう。ただ、末端の弱い魔物は我々がいくら指示を出しても理解できる頭がありません。指示が理解できず、人間に攻撃をしてしまいます。そこは、攻撃したのだから討たれることは仕方ありません』
魔王は、低能な魔物に関しては、見捨てる発言をした。
『それでは、15日程の後に、実務者レベルの会合をこの、ウンザバンテの森を出た草原でしたいと思いますが、いかがでしょうか?』
という王子からの提案に、
『はい。族長はそれくらい期間があれば呼べるでしょう。分りました。その日程でお願いします』
魔王も了承した。
『これで一歩前進ですね』
魔王も話し合いの結果に満足しているようだ。これで、話し合いが順調に進めばいいのだが。期待と不安を同時に感じる二郎であった。
共に付けられた剣士ジョルダン・カーライル、攻撃魔法使いカトリーナ・アンリエッタ、治癒魔法使いメリーア・メンドローサ、そして、子守担当マヤ・ステイン。
魔王を討つべく討伐訓練をしている途中で、妻の薫は、封印していた過去、このザガンガ王国のバーンクリット公爵家の長女、エリアリアーナ・バーンクリットだったことを思い出し、アンリエッタも舌を巻く程の魔法で、この世に4体しか居ないとされる中ボス2体を倒すというアンリエッタの立場を奪うような結果を残す。
中ボスの1体はザガンガ王国軍の討伐隊により倒され、残り一体は薫ばかり働かせるわけにはいかないと、パーティーメンバー全員で仕留めた。
あとは魔王を残すのみと、1年討伐訓練をして実戦経験を積み、いざ、魔王討伐というところで、その魔王自体が白旗を掲げながら近づいてくる。
聞けば、魔王に戦う意欲がなく、土に浸透した毒のせいで住処を追われ南下して、人間の居住区を犯すことになったとのこと。そこで、魔王は、人間の王と直談判して双方戦闘にならないようにする相談をしたいと申し出る。
その話を持ち帰った勇者一行は、王にその旨を話すと、魔王と王の直談判だけでなく、もっと実務者レベルでの話し合いが必要で、それが済んでからでないと王同士の約束はできないと返される。
魔物側は魔王しか人語を話せない。元々の原因である毒の調査も必要だ。魔物との会話についてはいにしえの魔法、及び魔法陣で会話ができることが分っている。日頃役に立っているとは言えない穀潰しの研究部会を巻き込んで、魔族側との会談に向け、王城内は慌ただしいく準備を進めるのであった。
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俺たち勇者一行は今、キャンピングカーでウンザバンテの森に向かっていた。同乗者はパーサー第一王子。話し合いをするにしろ、何にしろ、一度、魔王と王族を会わせないと、魔物側も準備が必要だから。王国側だけ準備しても、話は進まないのであった。
ウンザバンテの森に着き、パーサー第一王子を守りながら森の奥へと進んでいく。いつもなら魔物が襲ってくるのだが、今回は静かだ。時折魔物と目が合うが、逃げていってしまう。これは魔王の指示が行き届いているのであろうか。
しばらく進むと、
『前方に巨大な魔物発見!相手は白旗を掲げています!どうやら魔王のようです!こちらに向かって走ってやって来ます!』
と、視力を強化していたメンドローサが教えてくれた。
『こちらは戦う気はありませーん!魔法を打たないで下さーい!』
どうやら前回と同じように、戦闘にならないように戦う意思がないことを前面に出して近づいてきているようだ。
『おぉ、これは勇者麻宗二郎と勇者一行!国王へは話してもらえましたか?』
どうやら魔王、アンドレシロシウスは、人間の判別もできるようだ。こちらが話す前に俺を麻宗二郎と認識している。
念のため、薫にエクスペリメンタル・シリンダリカル・シールドを張ってもらいながら魔王との話し合いがもたれた。
『国王に話したところ、王と魔王の直談判だけでは停戦に応じられないと返答されました。王子を連れてきましたので、詳しくは王子とお話し下さい』
『我はザガンガ王国の第一王子、パーサー・ルイジアンヌ。今回は王の名代として、この地に参りました』
パーサー王子は、実務者で話し合いを重ねてから王と魔王の正式な停戦が行われるのだという説明と、毒の調査、言葉が通じない対処として、いにしえの魔法や魔法陣が解決してくれるということを魔王に話した。
『うぅぅぅー。人間は難しいことを考えますねぇ。分りました。こちらも族長を呼びましょう。ただ、末端の弱い魔物は我々がいくら指示を出しても理解できる頭がありません。指示が理解できず、人間に攻撃をしてしまいます。そこは、攻撃したのだから討たれることは仕方ありません』
魔王は、低能な魔物に関しては、見捨てる発言をした。
『それでは、15日程の後に、実務者レベルの会合をこの、ウンザバンテの森を出た草原でしたいと思いますが、いかがでしょうか?』
という王子からの提案に、
『はい。族長はそれくらい期間があれば呼べるでしょう。分りました。その日程でお願いします』
魔王も了承した。
『これで一歩前進ですね』
魔王も話し合いの結果に満足しているようだ。これで、話し合いが順調に進めばいいのだが。期待と不安を同時に感じる二郎であった。
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