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魔王退治ととある商人の暗躍
地雷回避… しきれませんでした。
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ちょっと森の奥へ入って、薫がビッグアンプロデキサフォンを倒した翌日。クロッドキューブの森へ入って5日目。俺たちはまだ森の中で訓練中だ。
『今日の訓練も順調ですね』
『それではもう少し奥まで行きましょうか』
カーライルとアンリエッタがそんなことを話ていた。
『ちょっと待った!』
すかさず俺は止めに入る。
『もう少し奥まで行きましょうかでビッグゴスゴリルに出会い、ビッグアンプロデキサフォンに出会っただろ?少しは学習しろよ!これ以上奥へ入ってまた中ボスが出てきたらどうするんだよ!』
俺はそのままたたみかける。
『このままなら全員薫のお飾りだ!付属品だ!薫以外何の功も立てていない。そんなんでいいのか?自分も戦ったんだと言えなくていいのか?これ以上奥へ進むのか?』
皆、俺の発言で呆気にとられている。立ち直ったカーライルが、
『…奥へ進むのは諦めましょう』
そう言うのであった。
敵が居るかも分らないのにそこは回避する勇者メンバー。皆、戦力としてはちょっと物足りないのでこれは致し方のない判断なのであった。今は体当たり討伐より実力上げ、そちらの方が急務なのであった。
奥へ入るけれども入り込みすぎず。そんな感じで討伐訓練は進んでいったのであった。
『奥に入り込みすぎない、という制約を付けたらやりづらくなりましたね』
本日の討伐が終わって、食事の準備中、アンリエッタがそんな言葉を口にする。
『では、移動して、別角度の鍛え方をしましょうか』
それに答えたのはカーライルであった。
『それじゃぁ、城下町で食料を買い込んで、別の土地に行きましょうか』
それをまとめたのは薫であった。
『まいど。ひいきにしてもらってるから今日はナスを一袋おまけしちゃおうかな』
城下町の本通り商店街。八百屋は数店舗あるが、いつも買うところは決まっている。俺たちはいつもドカ買いしているので、店主に顔を覚えられたらしい。
『じゃぁ、うちも肉、ひとかたまりサービスしちゃおうかねぇ』
隣の精肉店でもおまけしてもらった。
こちらで活動を始めてから1ヶ月あまり。徐々に顔を覚えられているようだ。
城下町を出て、アンリエッタが運転、カーライルが助手席でナビゲートという組み合わせで進むこと1時間。とある草原へと出るのであった。
『この辺りで狩りをします。今までの魔物より強いですので注意して下さいね』
ここら辺りの魔物は、今までの魔物よりやや強めで、しかも群れてやって来る。今までのように1匹や2匹だけ出てきて誰かが順番通りに倒していくのとは訳が違う。チームプレー。この草原ではそれが要求される。
2時になった。俺たちは川の畔でテントを張って、石でかまどを作り、薪を集めて今日泊まる場所の準備をする。
調理メンバーはアンリエッタ、メンドローサ、ステインの女性メンバー。俺とカーライルの男メンバーで子供たちが迷子にならないように子守をした。
「ていやー」
「とおー」
2人で雑魚モンスターを討伐していく。それを温かく見守る俺とカーライル。
薫はというと、キャンピングカーで、荷物をあさり、すりこぎでごりごり、液体をたらーりとたらして、何やら作った。
「薫は何やってるんだ?」
「あぁ、これね。これは魔物避け。もうちょっと材料は要るんだけれども、これを調合して、四隅に置けば、魔物はその内側には入ってこないっていうものなの。ぐっすり寝たいでしょ?夜に戦わなくて済む便利魔術具なの」
「へぇー」
それから夕食を食べて寝た。夜番はメンドローサであった。
夜番だったメンドローサをキャンピングカーへ置いていき、俺たちはまた狩りに出かけた。
俺が黒い鳥形の魔物を袈裟懸けに切り、風雅が遠くから突進してくる魔物に「ファイアーアロー」を放って焼き殺し、ステインが剣を縦に振り下ろして倒しながら、花菜香が「ファイアーボール」で敵を丸焼きにする。
一方、カーライルとアンリエッタは、カーライルが呪文を唱えながら重量級の魔物を切り伏せ、迫り来る鳥形の魔物に「ファイアーアロー」を打ち付け、それと同時にアンリエッタは高速詠唱で鳥形2体の魔物を焼き殺す。
遠くに居る薫は、この手分けしてこなしている立ち回りを1人でこなしている。
…うん、薫には敵わないね。
メンドローサが起きてきて、薫とチームを組む。薫が指導しながらメンドローサが魔法を放ったり、剣で切り伏せたりして、討ち漏らした魔物を薫が焼き尽くす。うん。やっぱり敵わないや…
薫はここで練習するといいよ。魔法の練習のときは、指導ばかりで魔法打っていなかったし。
そんな感じで討伐訓練は順調に進む。途中、食料が無くなり買い出しに出かけながら。
それから俺たちは、ここの魔物にも慣れ、また拠点を移す。そして、討伐訓練をしては、慣れてきてまた拠点を移す。そうして徐々に実力を付けていくのであった。
そうしておよそ1年が経った。チームメンバーはそれぞれが強くなり、次の目標へと歩みを進める決心をするのであった。
『クロッドキューブの森の奥へ行きましょう』
そんなことをカーライルが言い出すのであった。
『今なら、中ボスクラスの魔物が出ても、一太刀くらいは浴びせられます。もう、薫様のお飾りとは言わせません』
この前、クロッドキューブの森で、俺が奥へ行くことを拒否したセリフをいつまでも気にしているカーライル君であった。
『そうですね。そろそろいい頃合いかも知れません』
アンリエッタが賛成に回る。
あとは俺の判断待ちだ。
『よし、行こう!』
クロッドキューブの森の奥へ行く決心をするのであった。
食料を買い出しに行って、いつもの場所でテントを張り、かまどを作り、いざ、クロッドキューブの森の奥へ!
木々が生い茂り、炎系魔法が封じられ、魔物が襲ってきたときの太刀筋も制限される森の中。戦いながら奥へ奥へと進んだ。
奥へ行くに従って魔物たちは強くなる。それでは俺たちは動じない。今まで訓練してきたのだから。
そうしてあの、「それではもう少し奥まで行きましょうか」の奥へと踏み入る。しかし、敵は強くなるものの、中ボスは出て来ない。
そんなものかと思いながら、途中昼食を摂りながら、奥へ奥へと踏み入る。
『もうそろそろ戻ろうか』
昼の1時頃、戻ることも考えて、俺はそう指示をした。
『結局中ボスクラスの敵は出ませんでしたね』
『あれはたまたま偶然が重なっただけだったんですよ』
『あのとき、奥へ入っても中ボスは出なかったんじゃ?』
『やはり自らが中ボスを探し出して、そして倒さなきゃいけないんですよ』
俺たちは、特に報告することも無かったのだが、一度城へ戻って、顔見せくらいはしようかという話しになり、王都へ戻ることにした。
『君達は一体、何をしておったのかね?』
ここは王城、謁見の間。そこで挨拶が終わり、最初に王からもらった言葉がそれであった。
『私たちは強くなるため、日々鍛錬の日々を過ごしていました』
『たまには顔を見せよという私の言葉をないがしろにしてか?』
一瞬言葉が詰まった。そういえば、この1年、王城に顔を出していない。
『1年ほど前、クロッドキューブの森で、3体目の中ボスが出たことは知っておるかね?』
『いえ、知りませんでした』
王は苦い顔をする。
『そういう情報交換が必要だから、たまには顔を出せと命じたのだ。たまには顔を出せ!』
『『『はい』』』
『3体目の中ボスは、我が騎士団の討伐隊により討伐された。もうクロッドキューブの森から中ボスは出ることはないと報告を受けている』
『…そうですか』
王は顔を少しだけ和らげ、
『お主たちは2体の中ボスを倒している。決して貢献していないわけではない。しかし、情報も交換しないままにどこへ行ったのやら分らぬ状態なのは困るのじゃ』
それから王から、俺たちへのお叱りが、くどくどと続く。そして、そのお叱りはループをし始める。
1時間に及ぶ説教を耐え抜き、
『見たところ、今の実力と、剣や盾、杖が合っていないように思う。武器庫に寄って、合うものと交換して、また旅を続けるが良い。私からは以上だが、そちらから、何か言い残したことはないか?』
『ありません』
『それではもう行くが良い。たまには顔を見せるのじゃよ』
『やっと解放されましたね』
『立ってじっとしているのは辛かったです』
『もう疲れました』
そうして城の者に武器庫へ案内してもらって装備を交換する。
『もう疲れたからバーンクリット邸でお世話になりましょ』
そうして、今日は王都に泊まることにしたのだった。
『今日の訓練も順調ですね』
『それではもう少し奥まで行きましょうか』
カーライルとアンリエッタがそんなことを話ていた。
『ちょっと待った!』
すかさず俺は止めに入る。
『もう少し奥まで行きましょうかでビッグゴスゴリルに出会い、ビッグアンプロデキサフォンに出会っただろ?少しは学習しろよ!これ以上奥へ入ってまた中ボスが出てきたらどうするんだよ!』
俺はそのままたたみかける。
『このままなら全員薫のお飾りだ!付属品だ!薫以外何の功も立てていない。そんなんでいいのか?自分も戦ったんだと言えなくていいのか?これ以上奥へ進むのか?』
皆、俺の発言で呆気にとられている。立ち直ったカーライルが、
『…奥へ進むのは諦めましょう』
そう言うのであった。
敵が居るかも分らないのにそこは回避する勇者メンバー。皆、戦力としてはちょっと物足りないのでこれは致し方のない判断なのであった。今は体当たり討伐より実力上げ、そちらの方が急務なのであった。
奥へ入るけれども入り込みすぎず。そんな感じで討伐訓練は進んでいったのであった。
『奥に入り込みすぎない、という制約を付けたらやりづらくなりましたね』
本日の討伐が終わって、食事の準備中、アンリエッタがそんな言葉を口にする。
『では、移動して、別角度の鍛え方をしましょうか』
それに答えたのはカーライルであった。
『それじゃぁ、城下町で食料を買い込んで、別の土地に行きましょうか』
それをまとめたのは薫であった。
『まいど。ひいきにしてもらってるから今日はナスを一袋おまけしちゃおうかな』
城下町の本通り商店街。八百屋は数店舗あるが、いつも買うところは決まっている。俺たちはいつもドカ買いしているので、店主に顔を覚えられたらしい。
『じゃぁ、うちも肉、ひとかたまりサービスしちゃおうかねぇ』
隣の精肉店でもおまけしてもらった。
こちらで活動を始めてから1ヶ月あまり。徐々に顔を覚えられているようだ。
城下町を出て、アンリエッタが運転、カーライルが助手席でナビゲートという組み合わせで進むこと1時間。とある草原へと出るのであった。
『この辺りで狩りをします。今までの魔物より強いですので注意して下さいね』
ここら辺りの魔物は、今までの魔物よりやや強めで、しかも群れてやって来る。今までのように1匹や2匹だけ出てきて誰かが順番通りに倒していくのとは訳が違う。チームプレー。この草原ではそれが要求される。
2時になった。俺たちは川の畔でテントを張って、石でかまどを作り、薪を集めて今日泊まる場所の準備をする。
調理メンバーはアンリエッタ、メンドローサ、ステインの女性メンバー。俺とカーライルの男メンバーで子供たちが迷子にならないように子守をした。
「ていやー」
「とおー」
2人で雑魚モンスターを討伐していく。それを温かく見守る俺とカーライル。
薫はというと、キャンピングカーで、荷物をあさり、すりこぎでごりごり、液体をたらーりとたらして、何やら作った。
「薫は何やってるんだ?」
「あぁ、これね。これは魔物避け。もうちょっと材料は要るんだけれども、これを調合して、四隅に置けば、魔物はその内側には入ってこないっていうものなの。ぐっすり寝たいでしょ?夜に戦わなくて済む便利魔術具なの」
「へぇー」
それから夕食を食べて寝た。夜番はメンドローサであった。
夜番だったメンドローサをキャンピングカーへ置いていき、俺たちはまた狩りに出かけた。
俺が黒い鳥形の魔物を袈裟懸けに切り、風雅が遠くから突進してくる魔物に「ファイアーアロー」を放って焼き殺し、ステインが剣を縦に振り下ろして倒しながら、花菜香が「ファイアーボール」で敵を丸焼きにする。
一方、カーライルとアンリエッタは、カーライルが呪文を唱えながら重量級の魔物を切り伏せ、迫り来る鳥形の魔物に「ファイアーアロー」を打ち付け、それと同時にアンリエッタは高速詠唱で鳥形2体の魔物を焼き殺す。
遠くに居る薫は、この手分けしてこなしている立ち回りを1人でこなしている。
…うん、薫には敵わないね。
メンドローサが起きてきて、薫とチームを組む。薫が指導しながらメンドローサが魔法を放ったり、剣で切り伏せたりして、討ち漏らした魔物を薫が焼き尽くす。うん。やっぱり敵わないや…
薫はここで練習するといいよ。魔法の練習のときは、指導ばかりで魔法打っていなかったし。
そんな感じで討伐訓練は順調に進む。途中、食料が無くなり買い出しに出かけながら。
それから俺たちは、ここの魔物にも慣れ、また拠点を移す。そして、討伐訓練をしては、慣れてきてまた拠点を移す。そうして徐々に実力を付けていくのであった。
そうしておよそ1年が経った。チームメンバーはそれぞれが強くなり、次の目標へと歩みを進める決心をするのであった。
『クロッドキューブの森の奥へ行きましょう』
そんなことをカーライルが言い出すのであった。
『今なら、中ボスクラスの魔物が出ても、一太刀くらいは浴びせられます。もう、薫様のお飾りとは言わせません』
この前、クロッドキューブの森で、俺が奥へ行くことを拒否したセリフをいつまでも気にしているカーライル君であった。
『そうですね。そろそろいい頃合いかも知れません』
アンリエッタが賛成に回る。
あとは俺の判断待ちだ。
『よし、行こう!』
クロッドキューブの森の奥へ行く決心をするのであった。
食料を買い出しに行って、いつもの場所でテントを張り、かまどを作り、いざ、クロッドキューブの森の奥へ!
木々が生い茂り、炎系魔法が封じられ、魔物が襲ってきたときの太刀筋も制限される森の中。戦いながら奥へ奥へと進んだ。
奥へ行くに従って魔物たちは強くなる。それでは俺たちは動じない。今まで訓練してきたのだから。
そうしてあの、「それではもう少し奥まで行きましょうか」の奥へと踏み入る。しかし、敵は強くなるものの、中ボスは出て来ない。
そんなものかと思いながら、途中昼食を摂りながら、奥へ奥へと踏み入る。
『もうそろそろ戻ろうか』
昼の1時頃、戻ることも考えて、俺はそう指示をした。
『結局中ボスクラスの敵は出ませんでしたね』
『あれはたまたま偶然が重なっただけだったんですよ』
『あのとき、奥へ入っても中ボスは出なかったんじゃ?』
『やはり自らが中ボスを探し出して、そして倒さなきゃいけないんですよ』
俺たちは、特に報告することも無かったのだが、一度城へ戻って、顔見せくらいはしようかという話しになり、王都へ戻ることにした。
『君達は一体、何をしておったのかね?』
ここは王城、謁見の間。そこで挨拶が終わり、最初に王からもらった言葉がそれであった。
『私たちは強くなるため、日々鍛錬の日々を過ごしていました』
『たまには顔を見せよという私の言葉をないがしろにしてか?』
一瞬言葉が詰まった。そういえば、この1年、王城に顔を出していない。
『1年ほど前、クロッドキューブの森で、3体目の中ボスが出たことは知っておるかね?』
『いえ、知りませんでした』
王は苦い顔をする。
『そういう情報交換が必要だから、たまには顔を出せと命じたのだ。たまには顔を出せ!』
『『『はい』』』
『3体目の中ボスは、我が騎士団の討伐隊により討伐された。もうクロッドキューブの森から中ボスは出ることはないと報告を受けている』
『…そうですか』
王は顔を少しだけ和らげ、
『お主たちは2体の中ボスを倒している。決して貢献していないわけではない。しかし、情報も交換しないままにどこへ行ったのやら分らぬ状態なのは困るのじゃ』
それから王から、俺たちへのお叱りが、くどくどと続く。そして、そのお叱りはループをし始める。
1時間に及ぶ説教を耐え抜き、
『見たところ、今の実力と、剣や盾、杖が合っていないように思う。武器庫に寄って、合うものと交換して、また旅を続けるが良い。私からは以上だが、そちらから、何か言い残したことはないか?』
『ありません』
『それではもう行くが良い。たまには顔を見せるのじゃよ』
『やっと解放されましたね』
『立ってじっとしているのは辛かったです』
『もう疲れました』
そうして城の者に武器庫へ案内してもらって装備を交換する。
『もう疲れたからバーンクリット邸でお世話になりましょ』
そうして、今日は王都に泊まることにしたのだった。
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