異世界マゼマゼ奮闘記

ぷい16

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第二章 変わり始める互いの世界

日本語教室開設と道具屋巡り

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 場所はインジスカン王国王都・シンダーグス。そこに変わったお触れが回った。


「貴族街区、カンデラ子爵邸にてこれから騒音が発生するも、何事もない故、驚かぬように」


 何故、こんなお触れを回したかというと、電気がない不便さにえきれず、悠生ゆうせいが発電機を買ったからである。

 100cc程のエンジン、燃料はプロパンガス4本並列繋へいれつつなぎ、使用頻度にもよるが、1ヶ月くらいの頻度でプロパンガスを交換してもらう手はずになっている。

 大広間と、悠生ゆうせいの部屋、ステファニアの部屋に電気を配線し、悠生ゆうせいの部屋には、照明、パソコン、プリンターが設置された。

 ステファニアの部屋と、大広間は、とりあえず、照明とコンセントが設置された。これらの機器で一体何をするかというと、日本語教室の開設である。

 日本語教室の生徒数は43人、内訳は、貴族20人、商人が20人、それと、ステファニアの兄姉けいしの、シフォン、マイク、リサとなっている。皆、それぞれの学業や仕事の後に日本語を勉強することとなっており、授業は夕方からとなった。


「この度はこちらの発案によりお集まりいただき感謝します。
 とう日本語教室責任者で教師のユウセイ・アカツキです。まずはお配りした用紙をごらん下さい。表音文字2セット、象形文字およそ2,100、それに単語や発音や文法などが主な授業内容となります」


 生徒達は驚いていた。自分たちが普段使っている文字は、約30文字が2セットほどである。

 2,100もの文字を使う文章とはどんなものだろう?という好奇心、驚きと、それらを覚えなければならない憂鬱ゆううつとがないぜになった複雑な心境になった。


「日本語は難しいですが、これから交流する上で大変重要になります。こちらも教えることは慣れてませんが、ともに学びましょう」

「同じく、教師役のステファニア・フォン・カンデラです。
 日本の優れた印刷技術によって、日本語の書物は、本や、大衆の読み物が信じられないくらい豊富にあり、それも、安価で手に入ります。
 この日本語教室で基礎を学び、それから書物を読むことによって豊富な知識を得る事ができるでしょう。ここから多くを学び取ってくださいね」

「「日本語教室、ここに開講を宣言します」」


 かくして、日本語教室が始まったのだった。


     *


 所変わって大阪市某所のホームセンター。そこには20名程の観光客がいた。

 先導をするのはステファニア。悠生ゆうせいは授業が抜けられず、ただ今学校にいて来られなかった。

 インジスカン王国側が、国交を考えるなら相手国はどんな国か、一度見てみたいと貴族たちが視察に来たのである。

 ホームセンターで、聞いたことのない訳の分からぬ言葉を使う、団体さんがぞろぞろと。一種いっしゅ異様いような光景だが、そこは外国人にれた土地柄。不審に思いながら、まわりはそれほど関心をしめさない。

 まずはメモが必要だろうと文房具を買ってもらった。みな、宿泊代やら飲食代やらで日本円は持っていたのである。

 悠生ゆうせいは下準備にインジスカン側の通貨であるパニーと金のレート、日本側の金のレートを調べて計算してステファニアに伝えている。

 この道具はこういう用途に使い、電卓を使い、パニーでいくらかと伝えると、おぉーとみな感心する。それだけでほぼ1日が過ぎてしまった。


 2日目は、図書館と本屋巡りである。それらの施設の蔵書量を見てもらい、自分たちの出版能力が、いかに劣っているかを知らせるためである。

 カラーの図鑑なども見せてみる。

 みな、フルカラーの紙を見るのは初めてであり、大変驚いていた。

 それが半日くらいで終わったので、電気街に行ってみた。インジスカン側ではまだまだ電気は使えないが、テレビやラジオを見せ、これで情報伝達をするのだと教えるステファニア。

 初めは驚きばかりの一行だったが、段々と、顔色が悪くなる者が出てきた。あと、パソコンやらスマートフォンを見せてみた。これで個人同士で連絡するのだと。さすがにここまで来ると、情報量過多。段々と与えられた情報についてこられない者が出始める。


 3日目以降は、電気を使わない便利道具を見せて回った。最初にハードルを上げておいて、そこから自分たちが手の届く品々を見せる作戦であった。途中、100円均一ショップにも回った。もう、みな、金銭感覚が麻痺している。ここでならばとみな、お土産やら生活に便利だろうと買い物をした。


 そんなこんなで1週間が過ぎ、みな、ステファニアの掃き出し窓の魔法で帰って行った。

 この視察で悠生ゆうせいもステファニアもどのような変化が起こるか想像できなかった。しかし、これは避けて通れぬ道。二人は一抹の不安を抱えながら、疲れた体を癒やすのであった。
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