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003平民になるには
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「お気持ちは嬉しいのですが……」
まぁ普通に考えたらもちろんそうなるよな、いきなり夜中に現れた男と結婚なんてしないはずだ。俺は結果は半分以上分かっていたが、でもフィールが欲しい気持ちに変化はなかった。なので一生懸命にフィールといるための言い訳を考えた、そうして空を飛びながらフィールを説得することにした。
「フィール、君はもう貴族令嬢を止めたから、家がつけた名前はもう使ったら駄目だ」
「分かりました、私はもうただのフィールです」
「次の街で姿形も変えないといけない、その可愛いふわふわの長い髪も切らないとな」
「大丈夫です、あの伯爵と結婚しないで済むなら、髪の毛くらい切ります」
「それとフィールは街を歩いたことはある? 平民の話し方や仕草が分かるかな?」
「正直言って私は家から出たことがありません、平民のことも分からないので教えてください」
俺はそれを聞いて”良し”と右手でガッツポーズをした、フィールは俺のそんな格好を不思議そうに見ていた。平民のことを教えるということは、しばらくはフィールと一緒にいられるということだ。その間に口説いて口説いて口説き落とそうと俺は思った、俺のもっている知識・経験・運を全て使ってフィールを口説くのだ。そうしてフィールを連れて飛んでいたら真夜中になった、そしてもうここはフォーリッド国じゃない、ランドゥム国だ。
「さぁ、フィール。もうここはランドゥム国だ、あの街らしきものの近くの森に下りるよ」
「分かりました、しっかりとつかまっています」
そして俺たちは夕方門が閉まるのに間に合わなかった人達、その人達に混じって街に入る行列の最後に並び魔法で火をおこして暖をとった。その前にフィールのお嬢様姿は目立つので俺のローブを着て隠して貰った、火の精霊がおこしてくれた炎は温かく俺たちは交代で少し眠った。
「開門!!」
少し眠ったらもう朝だった、可愛いフィールも起こして俺たちは街の中へと入ろうとした。その際に困ったのが身分証だった、俺もフィールも貴族の身分証は使えないからだ。凄く田舎の村から出てきたと言って身分証が無いと言ったら、門を通る代金を三倍とられて銅貨六枚を使うことになった。俺が家から持ち出した金はそう多くはない、これは気をつけないと金欠で何もできなくなってしまう可能性があった。俺は気を引き締めてフィールを連れて、プリエールの街に入っていった。そうして宿をとるとまず俺とフィールは眠ってしまうことにした、安全の為に二人部屋にしてそうして疲れがとれるまで眠り続けた、起きたらもう昼もかなり過ぎていた。
「ふぁーあ、うーん。フィール、眠れたか?」
「あーふ、はい。よく眠れました!!」
「それじゃ君の髪を切りに行こう、綺麗だけどそのドレスも売ってしまおう」
「ええ、分かりました。リード」
「切った髪も多分売れるから、ドレスと合わせて売った分のお金はフィールが持っておくんだ」
「はっ、はい。あの私は実は家から出たことがないので、その貨幣の価値も分からないのです」
「それも教えるから一緒に勉強しようね」
「はい、よろしくお願いします!!」
それからフィールの髪を切ったら予想通りその長い髪がお金になった、フィールは肩に触れないくらいの長さに髪を切って貰っていた。そしてフィールのドレスも売った、宝石がついていてこちらも良い値段になった。その代わりにフィールには新しい平民の服を買って着て貰った、そして売った金額を合わせて金貨十枚になった、なんといってもドレスの方の値段が高過ぎだった。
「フィール、お金はねー。金貨が十万円、銀貨が一万円、銅貨が千円、青銅貨が百円なんだけど……」
「えん?」
「あっ、今のは忘れて大体金貨二十枚で、平民が一年遊んでくらせるぐらいの額だよ」
「それじゃ、私は今これ半年は遊んでくらせるくらいのお金を持っているんですね」
「そうそう、だから危ないよ。スリに会わないようにお金はしっかりと持っていようね」
「はい、頑張って隠しておきます!!」
フィールはそうやってしっかりとお金をお財布に入れて、念のために財布を首から紐で吊り下げていた。正直なところ俺よりフィールの方がお金持ちだった、だからこれからの宿代なんかは折半することにした。俺は早く金を稼げるようになりたいと思った、それから俺とフィールは俺が持っていた鉱石や宝石の原石を売りに出した、これが希少金属のおかげで意外と儲かって金貨一枚になった。俺たちは街中を歩きながら適当な飯屋を見つけた、そして店に入ってから昼飯を二人で食べた。固いパンと野菜の入った簡単なスープだったが、フィールは公爵令嬢なのに文句もいわずに食べていた。
「金欠だから助かった、金の精霊に感謝を」
「まぁ、リードは風と火の精霊様だけじゃなく、金の精霊様とも契約していますの?」
「…………フィール、あのね。これは絶対に秘密にして欲しいんだけどね」
「はい、何ですの? リード、三種の精霊様と契約してるなんて、別に隠すことではございませんわ」
「俺は風と火それに金だけじゃなく、水と土それに光と闇の精霊と契約してるんだ」
「え!?」
俺がそう言うとフィールがポカーンとした顔になった、そしてその後しばらく口が開いたままだった。飯屋を出て俺が露店で買った飴をフィールの口に放り込むと、彼女はようやくその口を閉じてくれた。そうして一生懸命に飴を舐めているフィールも可愛いと俺は思っていた、彼女は子リスのように口を動かして飴を食べてしまった。そして、それから街の公園に行ったら俺はフィールに問い詰められた。
「なっ、七種の精霊様と契約しているなんて!? リードは国が失ってはいけない存在ですわ!!」
「そんなに凄いのかな、正直なところ契約して一週間も経っていないんでよく分からないんだ」
「七種の精霊様と契約なんて、何百年か前にいた魔法使いくらいのものですわ!?」
「へぇー、ちなみにその魔法使いはどんな人だったの?」
「えーと、自分こそが王だと言いだして反乱を起こし、国を散々壊して回って最後には仲間に裏切られて殺されたと本で読みましたわ」
「そうか、よーく分かった。俺は王位なんて欲しくないし、ただ平穏に自由に生きていきたいな。フィールみたいな可愛い子と、のんびりデートもしてみたい」
俺がそう言うとフィールがポッと頬が赤くなった、そう俺は本気でフィールとデートしたいと思っている、そうやって仲を深めていずれは結婚もしたかった。所謂、俺の勝手な一目惚れというものだった。そんな俺にフィールは優しかった、この子は可愛いと同時にとても優しかった。
「デートくらいいっぱいしますわ、リードは私の命の恩人ですもの」
「いやぁ、命の恩人というのは大袈裟じゃないかな」
「あの伯爵に嫁いだ花嫁は、皆が一週間と持たずに変死していますのよ!!」
「……そんなに物騒な人間だったのか、その伯爵って怖い」
「そう怖い人物でしたの、偶々リードが私を拾ってくれてなかったら、私は今頃死んでいますわ!?」
「ああ、それで命の恩人なのか分かった。それじゃそろそろ夕方だし、宿に帰ろうか。フィール」
俺は気紛れで助けたフィールがそんなに危険な人物に狙われているとは知らなかった、これは明日はもっと遠くの国へ飛んで逃げておいたほうが安全そうだ。
「フィール、明日は空を飛んでこの国を出るよ。もっと遠くに逃げなくちゃ」
「分かりました。着替えも靴も買いましたし、私は大丈夫ですわ」
「今頃フォーリッド国はフィールが消えて大騒ぎだろうね」
「娘を殺人鬼のような伯爵に売る、そんな両親ですからそれはもう騒いでいるでしょう」
「俺の方は家は騒ぎになってるだろうけど、俺自身は探されてないから大丈夫のはず。……いや待てよ、ウィスタム家で爵位継承者で生き残っているのは俺一人だ。ひょっとしたら探されてるかも」
「リードったら本当に爵位に興味がないんですね、もちろんリードも探されているはずですわ」
そう聞いたらますます早く遠くの国へ行きたくなった、だから明日は朝早くから飛ぶことをフィールに伝えて、俺たちは宿屋の二人部屋で眠りについた。今朝は眠かったから気にしなかったが、俺はフィールと同じ部屋でちょっとドキドキした、でもフィールの方は何も気にしていないようですぐに寝てしまった。
「俺って『男』だってフィールに意識されてないんじゃないのかな?」
まぁ普通に考えたらもちろんそうなるよな、いきなり夜中に現れた男と結婚なんてしないはずだ。俺は結果は半分以上分かっていたが、でもフィールが欲しい気持ちに変化はなかった。なので一生懸命にフィールといるための言い訳を考えた、そうして空を飛びながらフィールを説得することにした。
「フィール、君はもう貴族令嬢を止めたから、家がつけた名前はもう使ったら駄目だ」
「分かりました、私はもうただのフィールです」
「次の街で姿形も変えないといけない、その可愛いふわふわの長い髪も切らないとな」
「大丈夫です、あの伯爵と結婚しないで済むなら、髪の毛くらい切ります」
「それとフィールは街を歩いたことはある? 平民の話し方や仕草が分かるかな?」
「正直言って私は家から出たことがありません、平民のことも分からないので教えてください」
俺はそれを聞いて”良し”と右手でガッツポーズをした、フィールは俺のそんな格好を不思議そうに見ていた。平民のことを教えるということは、しばらくはフィールと一緒にいられるということだ。その間に口説いて口説いて口説き落とそうと俺は思った、俺のもっている知識・経験・運を全て使ってフィールを口説くのだ。そうしてフィールを連れて飛んでいたら真夜中になった、そしてもうここはフォーリッド国じゃない、ランドゥム国だ。
「さぁ、フィール。もうここはランドゥム国だ、あの街らしきものの近くの森に下りるよ」
「分かりました、しっかりとつかまっています」
そして俺たちは夕方門が閉まるのに間に合わなかった人達、その人達に混じって街に入る行列の最後に並び魔法で火をおこして暖をとった。その前にフィールのお嬢様姿は目立つので俺のローブを着て隠して貰った、火の精霊がおこしてくれた炎は温かく俺たちは交代で少し眠った。
「開門!!」
少し眠ったらもう朝だった、可愛いフィールも起こして俺たちは街の中へと入ろうとした。その際に困ったのが身分証だった、俺もフィールも貴族の身分証は使えないからだ。凄く田舎の村から出てきたと言って身分証が無いと言ったら、門を通る代金を三倍とられて銅貨六枚を使うことになった。俺が家から持ち出した金はそう多くはない、これは気をつけないと金欠で何もできなくなってしまう可能性があった。俺は気を引き締めてフィールを連れて、プリエールの街に入っていった。そうして宿をとるとまず俺とフィールは眠ってしまうことにした、安全の為に二人部屋にしてそうして疲れがとれるまで眠り続けた、起きたらもう昼もかなり過ぎていた。
「ふぁーあ、うーん。フィール、眠れたか?」
「あーふ、はい。よく眠れました!!」
「それじゃ君の髪を切りに行こう、綺麗だけどそのドレスも売ってしまおう」
「ええ、分かりました。リード」
「切った髪も多分売れるから、ドレスと合わせて売った分のお金はフィールが持っておくんだ」
「はっ、はい。あの私は実は家から出たことがないので、その貨幣の価値も分からないのです」
「それも教えるから一緒に勉強しようね」
「はい、よろしくお願いします!!」
それからフィールの髪を切ったら予想通りその長い髪がお金になった、フィールは肩に触れないくらいの長さに髪を切って貰っていた。そしてフィールのドレスも売った、宝石がついていてこちらも良い値段になった。その代わりにフィールには新しい平民の服を買って着て貰った、そして売った金額を合わせて金貨十枚になった、なんといってもドレスの方の値段が高過ぎだった。
「フィール、お金はねー。金貨が十万円、銀貨が一万円、銅貨が千円、青銅貨が百円なんだけど……」
「えん?」
「あっ、今のは忘れて大体金貨二十枚で、平民が一年遊んでくらせるぐらいの額だよ」
「それじゃ、私は今これ半年は遊んでくらせるくらいのお金を持っているんですね」
「そうそう、だから危ないよ。スリに会わないようにお金はしっかりと持っていようね」
「はい、頑張って隠しておきます!!」
フィールはそうやってしっかりとお金をお財布に入れて、念のために財布を首から紐で吊り下げていた。正直なところ俺よりフィールの方がお金持ちだった、だからこれからの宿代なんかは折半することにした。俺は早く金を稼げるようになりたいと思った、それから俺とフィールは俺が持っていた鉱石や宝石の原石を売りに出した、これが希少金属のおかげで意外と儲かって金貨一枚になった。俺たちは街中を歩きながら適当な飯屋を見つけた、そして店に入ってから昼飯を二人で食べた。固いパンと野菜の入った簡単なスープだったが、フィールは公爵令嬢なのに文句もいわずに食べていた。
「金欠だから助かった、金の精霊に感謝を」
「まぁ、リードは風と火の精霊様だけじゃなく、金の精霊様とも契約していますの?」
「…………フィール、あのね。これは絶対に秘密にして欲しいんだけどね」
「はい、何ですの? リード、三種の精霊様と契約してるなんて、別に隠すことではございませんわ」
「俺は風と火それに金だけじゃなく、水と土それに光と闇の精霊と契約してるんだ」
「え!?」
俺がそう言うとフィールがポカーンとした顔になった、そしてその後しばらく口が開いたままだった。飯屋を出て俺が露店で買った飴をフィールの口に放り込むと、彼女はようやくその口を閉じてくれた。そうして一生懸命に飴を舐めているフィールも可愛いと俺は思っていた、彼女は子リスのように口を動かして飴を食べてしまった。そして、それから街の公園に行ったら俺はフィールに問い詰められた。
「なっ、七種の精霊様と契約しているなんて!? リードは国が失ってはいけない存在ですわ!!」
「そんなに凄いのかな、正直なところ契約して一週間も経っていないんでよく分からないんだ」
「七種の精霊様と契約なんて、何百年か前にいた魔法使いくらいのものですわ!?」
「へぇー、ちなみにその魔法使いはどんな人だったの?」
「えーと、自分こそが王だと言いだして反乱を起こし、国を散々壊して回って最後には仲間に裏切られて殺されたと本で読みましたわ」
「そうか、よーく分かった。俺は王位なんて欲しくないし、ただ平穏に自由に生きていきたいな。フィールみたいな可愛い子と、のんびりデートもしてみたい」
俺がそう言うとフィールがポッと頬が赤くなった、そう俺は本気でフィールとデートしたいと思っている、そうやって仲を深めていずれは結婚もしたかった。所謂、俺の勝手な一目惚れというものだった。そんな俺にフィールは優しかった、この子は可愛いと同時にとても優しかった。
「デートくらいいっぱいしますわ、リードは私の命の恩人ですもの」
「いやぁ、命の恩人というのは大袈裟じゃないかな」
「あの伯爵に嫁いだ花嫁は、皆が一週間と持たずに変死していますのよ!!」
「……そんなに物騒な人間だったのか、その伯爵って怖い」
「そう怖い人物でしたの、偶々リードが私を拾ってくれてなかったら、私は今頃死んでいますわ!?」
「ああ、それで命の恩人なのか分かった。それじゃそろそろ夕方だし、宿に帰ろうか。フィール」
俺は気紛れで助けたフィールがそんなに危険な人物に狙われているとは知らなかった、これは明日はもっと遠くの国へ飛んで逃げておいたほうが安全そうだ。
「フィール、明日は空を飛んでこの国を出るよ。もっと遠くに逃げなくちゃ」
「分かりました。着替えも靴も買いましたし、私は大丈夫ですわ」
「今頃フォーリッド国はフィールが消えて大騒ぎだろうね」
「娘を殺人鬼のような伯爵に売る、そんな両親ですからそれはもう騒いでいるでしょう」
「俺の方は家は騒ぎになってるだろうけど、俺自身は探されてないから大丈夫のはず。……いや待てよ、ウィスタム家で爵位継承者で生き残っているのは俺一人だ。ひょっとしたら探されてるかも」
「リードったら本当に爵位に興味がないんですね、もちろんリードも探されているはずですわ」
そう聞いたらますます早く遠くの国へ行きたくなった、だから明日は朝早くから飛ぶことをフィールに伝えて、俺たちは宿屋の二人部屋で眠りについた。今朝は眠かったから気にしなかったが、俺はフィールと同じ部屋でちょっとドキドキした、でもフィールの方は何も気にしていないようですぐに寝てしまった。
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