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2-9変わってしまうものもある
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「よう!! リタとか言ったっけ、また会ったな!!」
「ああ、カイトさん。どうしてここに?」
「私が呼んできたんです、リタ様」
「カイトでいいぜ!! このお嬢ちゃんとまた模擬戦をして貰ってな、その条件があんたに会うことだったんだ」
「そうなんですか、それはうちの子がお手数をおかけしました。ソアン、僕に気を使ってくれてありがとう」
「いいえ、どういたしましてです。リタ様」
それからエリクサーを見つけた金の冒険者であるカイトと一緒に、僕たちは酒場で夕食にすることになった、そのついでにエリクサーについてカイトに聞いてみるつもりだった。だが僕が質問をする前にカイトの方からエリクサーの話をしはじめた、どうやら今まで口止めされていて何も話せなかった、それがカイトにとってはとても辛かったようだった。
「もう自由に話せるようになったから言うけどさ、エリクサーはわりと簡単に見つけたんだ」
「……まさか、道端に落ちていたとか言わないでくれ」
「いや流石にそれはねぇだろ、あのエテルノだっけ? 新しいダンジョンは入る度に姿を変えるんだ」
「え!? それじゃ、地図などを作ってもほとんど役に立たないのか」
「そのとおりで俺たちも何度か入ってさ、その何度目かに祠に辿り着いた。そこにエリクサーはあったんだ、でも結構な大変だったんだぜ」
カイトの話を聞いてみるとエテルノのダンジョンは入る度に姿を変える、つまり不規則に異世界に繋がるダンジョンだということだった。大体が大きな森がどこまでも広がっているが、中には建物がある場所に出ることもあるらしかった。その建物も大きさも姿も様々で同じ建物に巡り合えることはない、次に入った時にはもう前に入った建物はなくなっているのだった。
そんな不安定な場所にある建物の一角からカイトたちはエリクサーを見つけた、ソアンが言ったようにエテルノのダンジョンでは運の要素が強いようだった。僕はそれでは対策のたてようがなくて頭が痛くなった、地図を作って順序良く探していくという方法がとれないからだ。まるでひたすら当たりが出るまで引くしかない、いわゆるくじ引きに近いダンジョンだったのだ。
「俺たちもどうやってエリクサーを見つけたか、もう何十回もそれを聞かれたけど、はっきり言って運だな!!」
「それはとても困る、それじゃ対策のたてようがない」
「はぁ~、確かに困りましたね」
「そんなにエリクサーが欲しいのか? なんであれが欲しいんだ?」
「ああ、僕に持病があってね。エリクサーなら治せるじゃないかと思った」
「リタ様はご病気なのです、ああ。他の人にうつるような、そんなご病気ではないのでご心配なく」
「そりゃ、気の毒に。でもあのダンジョンで一番大事なのは、やっぱり運ってやつだな」
「運か、それじゃ気長に何回も通ってみるしかないか」
「そうですね、リタ様。大丈夫です、いずれは当たりがでますよ」
それからカイトは他にも大事なことを教えてくれた、あのダンジョンは森の生態系によく似ていて、出てくる魔物もそれに近いものが多いということだった。特に厄介なのは群れを作って移動するデビルウルフだという、狼は一匹でも十分に危険だがそれが群れになっているとなるともっと危険だった。それから森の頂点に君臨する魔物がいたとカイトは言った、普通の森で一番に厄介で危険な動物といえばそれは決まっていた。
「デビルベアが出るんだ、俺たちが遭ったのは一頭だけだったからどうにか倒せた」
「なるほどデビルベアか、普通の熊でも強くて厄介なのに、僕とソアンの二人だけだと難しい相手だ」
「森の熊さんですか、歌みたいに可愛いならいいのに。はぁ~、デビルベアに襲われたら確かに厄介ですね」
「もっとヤバイのはデビルベアの群れがあるみたいなんだ、複数の足跡しか見つけられなかったけど間違いない」
「それは変だな、熊は繁殖期以外は仲間と会わない、当然だが群れを作ったりもしないはずだ」
「ダンジョンに出るデビルベアだから、普通の熊とは違った行動をするのでしょうか」
「デビルベアの群れに遭ったらもう死んだと思え、自分のことだけ考えて戦うか逃げるか選ぶんだ」
「普通の熊でも群れなんかに遭ったらまず助からない……、なるほどよく分かった。ありがとう、あのダンジョンでは慎重に周囲を見て行動するよ」
「デビルベアの痕跡を見つけたら、そこからすぐに離れたほうが良さそうですね」
カイトはいろいろとエテルノのダンジョンのことを教えてくれた、お礼にと彼に食事を奢ったがそれ以上の話が沢山聞けたと思った。カイトたちのパーティもまたエリクサーを探しているそうだ、カイトは楽しそうに冒険の様子を話してくれた。仲間たちと一緒になって謎を解き明かすのが楽しい、またお宝を見つけるかもしれないという刺激が面白いのだと言っていた。
僕とソアンもその気持ちは少しだけ分かった、少しずつ謎をひもといていくのは結構やりがいがある、それに宝を見つけるかもしれないという期待を持つのは楽しいものだ。カイトは仲間たちのことも今度会ったら紹介してやると言っていた、僕もソアンもカイトの仲間たちがどんな人物なのか、そう考えると楽しみになって今度会うのが待ち遠しくなった。
「それじゃあな、またお互いに元気で会おうぜ」
「ああ、カイト。それじゃまた今度」
「はい、カイトさん。またお会いしましょう」
カイトを見送ったらいつもどおりに身支度をして宿の部屋に戻った、それからこれからのことを二人で相談しておいた。エテルノのダンジョンが入る度に姿を変えるなら、地図はその日の帰る道を覚えておくためにだけに必要だった。それ以外ではデビルウルフの群れに注意すること、デビルウルフを一匹でも見つけたなら、近くに群れがいると思って逃げたほうが良さそうだ。
そしてなによりもデビルベアの痕跡に注意すること、一匹でも厄介過ぎるデビルベアが群れを作っているのなら、僕たち二人では出会ってしまったら逃げることも難しいのだ。熊という生き物は物凄い速さで走ることができる、木に登って避難しても無駄でしかない、なぜなら熊は木に登って追いかけてくるのだ。僕たちはいつも以上に慎重に行動しようと決めた、決して無理はせずに当たり前のことのようだが、なによりもお互いの命を大事にすることにしたのだ。
そういろいろと決めてから僕たちは眠りについた、ソアンも僕もいろんな恐ろしい話を聞いてしまったから、お互いの体を抱きしめてやっと安心して眠りについた。翌日の僕の体調は良かった、だから朝早くからエテルノのダンジョンに向かってみた。そうして二回目に入ったダンジョンにまた驚いた、広い森と空が広がっているのは変わりないのだが、明らかに地形が変わっていて遠くには山まで見えていた。
「本当に入る度に姿を変えるダンジョンなんだね、ソアン」
「はい、リタ様。全く驚きの連続ですね」
「でもこれで希望も出てきた、ここに野営ができない僕でも、運が良ければエリクサーを見つけられるかもしれない」
「そうですね、カイトさんのパーティも何回もダンジョンに入って、偶然に見つけたんですものね」
「それじゃあ、慎重に行こうか。ソアン」
「はい、リタ様。慎重に命大事に行きましょう」
そうやって僕たちはまた森の中を探索していった、目立っている目印になりそうな岩や大樹には、地図にそれを書いて今日の帰り道として覚えていった。残念ながら今回はカイトが見つけた建物はなさそうだった、それを寂しく思いながら道を歩いていた時に足跡を見つけた。その瞬間に僕はソアンと後ろにゆっくりと下がっていった、それは見つけたものが大変なものだったからだ。
「ソアン、デビルベアの足跡だ。しかも……、まだ新しい」
「ああ、カイトさん。どうしてここに?」
「私が呼んできたんです、リタ様」
「カイトでいいぜ!! このお嬢ちゃんとまた模擬戦をして貰ってな、その条件があんたに会うことだったんだ」
「そうなんですか、それはうちの子がお手数をおかけしました。ソアン、僕に気を使ってくれてありがとう」
「いいえ、どういたしましてです。リタ様」
それからエリクサーを見つけた金の冒険者であるカイトと一緒に、僕たちは酒場で夕食にすることになった、そのついでにエリクサーについてカイトに聞いてみるつもりだった。だが僕が質問をする前にカイトの方からエリクサーの話をしはじめた、どうやら今まで口止めされていて何も話せなかった、それがカイトにとってはとても辛かったようだった。
「もう自由に話せるようになったから言うけどさ、エリクサーはわりと簡単に見つけたんだ」
「……まさか、道端に落ちていたとか言わないでくれ」
「いや流石にそれはねぇだろ、あのエテルノだっけ? 新しいダンジョンは入る度に姿を変えるんだ」
「え!? それじゃ、地図などを作ってもほとんど役に立たないのか」
「そのとおりで俺たちも何度か入ってさ、その何度目かに祠に辿り着いた。そこにエリクサーはあったんだ、でも結構な大変だったんだぜ」
カイトの話を聞いてみるとエテルノのダンジョンは入る度に姿を変える、つまり不規則に異世界に繋がるダンジョンだということだった。大体が大きな森がどこまでも広がっているが、中には建物がある場所に出ることもあるらしかった。その建物も大きさも姿も様々で同じ建物に巡り合えることはない、次に入った時にはもう前に入った建物はなくなっているのだった。
そんな不安定な場所にある建物の一角からカイトたちはエリクサーを見つけた、ソアンが言ったようにエテルノのダンジョンでは運の要素が強いようだった。僕はそれでは対策のたてようがなくて頭が痛くなった、地図を作って順序良く探していくという方法がとれないからだ。まるでひたすら当たりが出るまで引くしかない、いわゆるくじ引きに近いダンジョンだったのだ。
「俺たちもどうやってエリクサーを見つけたか、もう何十回もそれを聞かれたけど、はっきり言って運だな!!」
「それはとても困る、それじゃ対策のたてようがない」
「はぁ~、確かに困りましたね」
「そんなにエリクサーが欲しいのか? なんであれが欲しいんだ?」
「ああ、僕に持病があってね。エリクサーなら治せるじゃないかと思った」
「リタ様はご病気なのです、ああ。他の人にうつるような、そんなご病気ではないのでご心配なく」
「そりゃ、気の毒に。でもあのダンジョンで一番大事なのは、やっぱり運ってやつだな」
「運か、それじゃ気長に何回も通ってみるしかないか」
「そうですね、リタ様。大丈夫です、いずれは当たりがでますよ」
それからカイトは他にも大事なことを教えてくれた、あのダンジョンは森の生態系によく似ていて、出てくる魔物もそれに近いものが多いということだった。特に厄介なのは群れを作って移動するデビルウルフだという、狼は一匹でも十分に危険だがそれが群れになっているとなるともっと危険だった。それから森の頂点に君臨する魔物がいたとカイトは言った、普通の森で一番に厄介で危険な動物といえばそれは決まっていた。
「デビルベアが出るんだ、俺たちが遭ったのは一頭だけだったからどうにか倒せた」
「なるほどデビルベアか、普通の熊でも強くて厄介なのに、僕とソアンの二人だけだと難しい相手だ」
「森の熊さんですか、歌みたいに可愛いならいいのに。はぁ~、デビルベアに襲われたら確かに厄介ですね」
「もっとヤバイのはデビルベアの群れがあるみたいなんだ、複数の足跡しか見つけられなかったけど間違いない」
「それは変だな、熊は繁殖期以外は仲間と会わない、当然だが群れを作ったりもしないはずだ」
「ダンジョンに出るデビルベアだから、普通の熊とは違った行動をするのでしょうか」
「デビルベアの群れに遭ったらもう死んだと思え、自分のことだけ考えて戦うか逃げるか選ぶんだ」
「普通の熊でも群れなんかに遭ったらまず助からない……、なるほどよく分かった。ありがとう、あのダンジョンでは慎重に周囲を見て行動するよ」
「デビルベアの痕跡を見つけたら、そこからすぐに離れたほうが良さそうですね」
カイトはいろいろとエテルノのダンジョンのことを教えてくれた、お礼にと彼に食事を奢ったがそれ以上の話が沢山聞けたと思った。カイトたちのパーティもまたエリクサーを探しているそうだ、カイトは楽しそうに冒険の様子を話してくれた。仲間たちと一緒になって謎を解き明かすのが楽しい、またお宝を見つけるかもしれないという刺激が面白いのだと言っていた。
僕とソアンもその気持ちは少しだけ分かった、少しずつ謎をひもといていくのは結構やりがいがある、それに宝を見つけるかもしれないという期待を持つのは楽しいものだ。カイトは仲間たちのことも今度会ったら紹介してやると言っていた、僕もソアンもカイトの仲間たちがどんな人物なのか、そう考えると楽しみになって今度会うのが待ち遠しくなった。
「それじゃあな、またお互いに元気で会おうぜ」
「ああ、カイト。それじゃまた今度」
「はい、カイトさん。またお会いしましょう」
カイトを見送ったらいつもどおりに身支度をして宿の部屋に戻った、それからこれからのことを二人で相談しておいた。エテルノのダンジョンが入る度に姿を変えるなら、地図はその日の帰る道を覚えておくためにだけに必要だった。それ以外ではデビルウルフの群れに注意すること、デビルウルフを一匹でも見つけたなら、近くに群れがいると思って逃げたほうが良さそうだ。
そしてなによりもデビルベアの痕跡に注意すること、一匹でも厄介過ぎるデビルベアが群れを作っているのなら、僕たち二人では出会ってしまったら逃げることも難しいのだ。熊という生き物は物凄い速さで走ることができる、木に登って避難しても無駄でしかない、なぜなら熊は木に登って追いかけてくるのだ。僕たちはいつも以上に慎重に行動しようと決めた、決して無理はせずに当たり前のことのようだが、なによりもお互いの命を大事にすることにしたのだ。
そういろいろと決めてから僕たちは眠りについた、ソアンも僕もいろんな恐ろしい話を聞いてしまったから、お互いの体を抱きしめてやっと安心して眠りについた。翌日の僕の体調は良かった、だから朝早くからエテルノのダンジョンに向かってみた。そうして二回目に入ったダンジョンにまた驚いた、広い森と空が広がっているのは変わりないのだが、明らかに地形が変わっていて遠くには山まで見えていた。
「本当に入る度に姿を変えるダンジョンなんだね、ソアン」
「はい、リタ様。全く驚きの連続ですね」
「でもこれで希望も出てきた、ここに野営ができない僕でも、運が良ければエリクサーを見つけられるかもしれない」
「そうですね、カイトさんのパーティも何回もダンジョンに入って、偶然に見つけたんですものね」
「それじゃあ、慎重に行こうか。ソアン」
「はい、リタ様。慎重に命大事に行きましょう」
そうやって僕たちはまた森の中を探索していった、目立っている目印になりそうな岩や大樹には、地図にそれを書いて今日の帰り道として覚えていった。残念ながら今回はカイトが見つけた建物はなさそうだった、それを寂しく思いながら道を歩いていた時に足跡を見つけた。その瞬間に僕はソアンと後ろにゆっくりと下がっていった、それは見つけたものが大変なものだったからだ。
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