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04天使の微笑み
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「………………俺たちは帰りたいだけなんだけどな」
俺がポツリと本音を漏らしてみたが誰も聞いていなかった、そしてメディオ国のこの部隊長だという男が出てきた、それから土下座せんばかりに跪いてガタガタ震えながらリオンに話しかけた。
「フライハイト国の次期国王様、恐れ多くも部下が矢であなたを射てしまったことを、どうか私の首一つでお許しください。寛大なお心でどうかどうかお許しください!!」
するとリオンは俺たちが護衛する中から、そのメディオ国の部隊長である男に答えた。天使のように穏やかに優しい笑みを浮かべて、その部隊長をねぎらうように優しく話しかけた。
「貴方は貴方の責務を一生懸命に果たそうとしただけでしょう、そんな貴方をどうして罰せられるでしょうか。僕がここに来ていたのもただのお忍びの旅行です、お互いに誰にも話さず何事も無かったこととして済ませましょう」
リオンはかなりの美形だ、男らしい姿でいる時もあれば、今のように女性のように優しく話しかけることもできた。部隊長は真っ赤な顔になってリオンからの提案に首を上下に高速で振っていた、リオンの言っていることは”ここに来た理由は言えないけど、矢のことはもう気にしないで、それより上層部に余計なことを言わないでね”ということなのだが、この部隊長にとっては天使のささやきにしか聞こえないはずだ。
「それでは皆、帰ろう」
「………………ああ」
「おう、帰ろうぜ」
「はーい、帰りましょう」
こうして俺たちは自分たちがここに来た目的を明かさずに、何事もなくフライハイト国の城に帰ることにした。今度は窓は俺が先に開けた、本来なら俺も罰を受けるべきだ。近衛兵としての役割を果たせずにリオンを迂闊にも危険にさらしたからだ、俺はその罰について嫌な予感がしたがとりあえず四人そろって、リオンの飛翔の魔法で夜のフライハイト国に帰ってきた。
「うー、俺様眠いです。リオン様」
「ふぁ~、あたしもです。リオン様」
「ごくろうだった、アクアにマリン。部屋でゆっくりと休みなさい」
そうして二人を笑顔で退室させると、リオンはキラキラと目を輝かせて俺の方にやってきた。下手をすると正義の味方ごっこをする時ように楽しそうに、リオンは俺に向かってやはり矢で攻撃されたことを言ってきた。
「僕も迂闊だったから悪いけど、今日の矢はクロの責任問題だよね!!」
「ああ、リオンは軽々しく動かないでくれ。そして今回のことは確かに俺の責任だ」
「それじゃ、クロ!! 今から僕をベッドに押し倒してアンアン朝まで鳴かせて!!」
「………………あのな、どーしてそうなる?」
「クロにとってしたくないことだから罰になる!! 僕はクロに抱かれて嬉しい!!」
「却下だ、俺は罰として演習場の周りを百周、今から走ってくることにする」
リオンがそれじゃ罰にならないと騒いでいたが、俺は演習場の周囲を走りに行った。何故かリオンもついてきて俺と一緒に百周、演習場の周囲を走ってまわった。
「どうしてリオンも走ってるんだ?」
「僕も迂闊だった罰だよ」
「ははっ、偉いなお前は」
「そう僕はとっても偉いんだよ」
こうして演習場の周囲を百周走り終わると、俺とリオンは風呂に入って寝ることにした。リオンは薄い寝衣でぴったりと俺にくっついて眠ってしまった、俺はリオンの俺に対する恋慕はいつになったら落ち着くのかと思いつつ寝た。そして、ぐっすりと眠ったら朝からリオンのキスが待っていた。いつものようにインキュバスの食事として、俺は義務的にリオンにキスをしてやった。そうしたら心が足りないとリオンはまた拗ねていた、そうしていつまでもベッドから出てこなかった。
「ほーらっ、俺の大切なリオン。朝飯を食いに行くぞ」
「むー、僕がクロから抱きしめられると弱いの、知っててズルい」
「今なら頬にキスもサービスしてやるぞ」
「是非、そのサービスして!!」
リオンはベッドから飛び起きてきて俺に抱き着いた、俺はそんなリオンの頬に親愛をこめてキスしてやった。リオンがポッと顔を赤くして、それこそ美しい天使のように微笑んだ。そうやって何回目かリオンにキスをしていると、ノックがあってアクアとマリンがやってきた。そうして皆と朝食を楽しんだ、その後はそれぞれいつもどおりの仕事に戻った。
「リオンの側室候補?」
「うん、そうだんだよ。クロ、僕の側室候補を集めてのお茶会があるらしい」
「どうしてまたそんな話に?」
「僕が歴代の魔王を比べても強いから、だからその強い子種が欲しいってさ。まったく僕は競走馬じゃないんだけど、勘弁してよ」
「確かにリオンの魔力は高いからな」
「クロが生んでくれるなら!! 僕は何人だって子どもを作るよ!!」
リオンはそういって俺に抱きついてきた、俺はリオンの子どもは産めないが、また面倒なことになっているリオンのことを抱きしめてやった。リオンは嬉しそうに笑って、しばらく俺に抱きついて、頬や手にキスをして楽しんでいた。
「リオン、嫌なことは嫌だって言っていいんだぞ」
「確かに嫌なんだけど、大貴族のお嬢さんも混じってるんだよね」
「貴族たちの感情を損ねると面倒なことになるからな」
「まったく魔国の次期国王も面倒くさい」
俺はリオンが嫌がることを押しつける貴族どもが好きではない、中には貴族という血筋だけで威張っている奴もいるからだ。だから、俺はリオンにこう言った。
「いっそ、魔国の次期国王なんて、辞めてしまっても良いんだぞ」
「それでクロとアクアとマリン、四人だけでのんびり暮らす?」
「ああ、そんな生活もあるんだ」
「生活費はどーするの?」
「皆で冒険者になって稼げばいいさ」
「すっごく魅力的な話だけど、万が一にでも魔国が他の国に負けると面倒だからね」
そういうリオンは為政者の目をしていた、そうリオンの一挙一動にこの魔国の将来はかかっているのだ。俺の腕の中で難しい顔をしていたリオンは、一転してまた天使のように微笑んで俺にキスしてきた、頬や手ではなく口へのキスだったから俺はリオンを優しく遮った。リオンはそんな俺の行動に寂しそうな顔をしたが、俺の腕の中にしばらくいてまた笑っていた。
「あれがリオンの側室候補か」
「うん、だからクロは僕の傍にいてね」
それから何日かしてリオンの側室候補を集めてのお茶会があった、それはいいのだがリオンの奴が俺を無理やり主役の席に座らせて、俺の膝の上に乗って話し出すから俺はびっくりした。周囲の側室候補の女性たちはポカーンとした顔をしていた。
「それじゃ、楽しいお茶会をしようか」
そうやって始まったお茶会はリオンの側室候補にとって全く面白くなかったに違いない、リオンは一応側室候補に声をかけるのだが全く乗り気でないのが誰が見ても明白だった。
「それじゃ、スーザン公爵令嬢。君の特技や好きなことを教えておくれ」
「はい、私は詩歌を得意としております。好きなことはお恥ずかしながらリオン様をお姿を見ることです、ですから今日は私にとって素晴らしい日ですわ」
「ふーん、そう。あっ、クロ。この葡萄が美味しい、食べさせてあげる」
「えっ、あの、その、リオン様?」
「ああ、うん。スーザン公爵令嬢。君がどんな女性かよく分かったよ、実に素晴らしい自己紹介だった。次は誰かな?」
こうしてリオンは側室候補の女性を全く相手にしなかった、女性たちは当然怒りの矛先を俺に向けてくるのだが、俺もリオンが食べさせてくれる果物が美味しくてあまり聞いていなかった。仮に聞いておいても、俺にとって有益な情報ではなかったはずだ。そして全ての令嬢の話を聞くと、リオンはこう言った。
「それじゃ、今日のお茶会は終わりにしよう」
俺がポツリと本音を漏らしてみたが誰も聞いていなかった、そしてメディオ国のこの部隊長だという男が出てきた、それから土下座せんばかりに跪いてガタガタ震えながらリオンに話しかけた。
「フライハイト国の次期国王様、恐れ多くも部下が矢であなたを射てしまったことを、どうか私の首一つでお許しください。寛大なお心でどうかどうかお許しください!!」
するとリオンは俺たちが護衛する中から、そのメディオ国の部隊長である男に答えた。天使のように穏やかに優しい笑みを浮かべて、その部隊長をねぎらうように優しく話しかけた。
「貴方は貴方の責務を一生懸命に果たそうとしただけでしょう、そんな貴方をどうして罰せられるでしょうか。僕がここに来ていたのもただのお忍びの旅行です、お互いに誰にも話さず何事も無かったこととして済ませましょう」
リオンはかなりの美形だ、男らしい姿でいる時もあれば、今のように女性のように優しく話しかけることもできた。部隊長は真っ赤な顔になってリオンからの提案に首を上下に高速で振っていた、リオンの言っていることは”ここに来た理由は言えないけど、矢のことはもう気にしないで、それより上層部に余計なことを言わないでね”ということなのだが、この部隊長にとっては天使のささやきにしか聞こえないはずだ。
「それでは皆、帰ろう」
「………………ああ」
「おう、帰ろうぜ」
「はーい、帰りましょう」
こうして俺たちは自分たちがここに来た目的を明かさずに、何事もなくフライハイト国の城に帰ることにした。今度は窓は俺が先に開けた、本来なら俺も罰を受けるべきだ。近衛兵としての役割を果たせずにリオンを迂闊にも危険にさらしたからだ、俺はその罰について嫌な予感がしたがとりあえず四人そろって、リオンの飛翔の魔法で夜のフライハイト国に帰ってきた。
「うー、俺様眠いです。リオン様」
「ふぁ~、あたしもです。リオン様」
「ごくろうだった、アクアにマリン。部屋でゆっくりと休みなさい」
そうして二人を笑顔で退室させると、リオンはキラキラと目を輝かせて俺の方にやってきた。下手をすると正義の味方ごっこをする時ように楽しそうに、リオンは俺に向かってやはり矢で攻撃されたことを言ってきた。
「僕も迂闊だったから悪いけど、今日の矢はクロの責任問題だよね!!」
「ああ、リオンは軽々しく動かないでくれ。そして今回のことは確かに俺の責任だ」
「それじゃ、クロ!! 今から僕をベッドに押し倒してアンアン朝まで鳴かせて!!」
「………………あのな、どーしてそうなる?」
「クロにとってしたくないことだから罰になる!! 僕はクロに抱かれて嬉しい!!」
「却下だ、俺は罰として演習場の周りを百周、今から走ってくることにする」
リオンがそれじゃ罰にならないと騒いでいたが、俺は演習場の周囲を走りに行った。何故かリオンもついてきて俺と一緒に百周、演習場の周囲を走ってまわった。
「どうしてリオンも走ってるんだ?」
「僕も迂闊だった罰だよ」
「ははっ、偉いなお前は」
「そう僕はとっても偉いんだよ」
こうして演習場の周囲を百周走り終わると、俺とリオンは風呂に入って寝ることにした。リオンは薄い寝衣でぴったりと俺にくっついて眠ってしまった、俺はリオンの俺に対する恋慕はいつになったら落ち着くのかと思いつつ寝た。そして、ぐっすりと眠ったら朝からリオンのキスが待っていた。いつものようにインキュバスの食事として、俺は義務的にリオンにキスをしてやった。そうしたら心が足りないとリオンはまた拗ねていた、そうしていつまでもベッドから出てこなかった。
「ほーらっ、俺の大切なリオン。朝飯を食いに行くぞ」
「むー、僕がクロから抱きしめられると弱いの、知っててズルい」
「今なら頬にキスもサービスしてやるぞ」
「是非、そのサービスして!!」
リオンはベッドから飛び起きてきて俺に抱き着いた、俺はそんなリオンの頬に親愛をこめてキスしてやった。リオンがポッと顔を赤くして、それこそ美しい天使のように微笑んだ。そうやって何回目かリオンにキスをしていると、ノックがあってアクアとマリンがやってきた。そうして皆と朝食を楽しんだ、その後はそれぞれいつもどおりの仕事に戻った。
「リオンの側室候補?」
「うん、そうだんだよ。クロ、僕の側室候補を集めてのお茶会があるらしい」
「どうしてまたそんな話に?」
「僕が歴代の魔王を比べても強いから、だからその強い子種が欲しいってさ。まったく僕は競走馬じゃないんだけど、勘弁してよ」
「確かにリオンの魔力は高いからな」
「クロが生んでくれるなら!! 僕は何人だって子どもを作るよ!!」
リオンはそういって俺に抱きついてきた、俺はリオンの子どもは産めないが、また面倒なことになっているリオンのことを抱きしめてやった。リオンは嬉しそうに笑って、しばらく俺に抱きついて、頬や手にキスをして楽しんでいた。
「リオン、嫌なことは嫌だって言っていいんだぞ」
「確かに嫌なんだけど、大貴族のお嬢さんも混じってるんだよね」
「貴族たちの感情を損ねると面倒なことになるからな」
「まったく魔国の次期国王も面倒くさい」
俺はリオンが嫌がることを押しつける貴族どもが好きではない、中には貴族という血筋だけで威張っている奴もいるからだ。だから、俺はリオンにこう言った。
「いっそ、魔国の次期国王なんて、辞めてしまっても良いんだぞ」
「それでクロとアクアとマリン、四人だけでのんびり暮らす?」
「ああ、そんな生活もあるんだ」
「生活費はどーするの?」
「皆で冒険者になって稼げばいいさ」
「すっごく魅力的な話だけど、万が一にでも魔国が他の国に負けると面倒だからね」
そういうリオンは為政者の目をしていた、そうリオンの一挙一動にこの魔国の将来はかかっているのだ。俺の腕の中で難しい顔をしていたリオンは、一転してまた天使のように微笑んで俺にキスしてきた、頬や手ではなく口へのキスだったから俺はリオンを優しく遮った。リオンはそんな俺の行動に寂しそうな顔をしたが、俺の腕の中にしばらくいてまた笑っていた。
「あれがリオンの側室候補か」
「うん、だからクロは僕の傍にいてね」
それから何日かしてリオンの側室候補を集めてのお茶会があった、それはいいのだがリオンの奴が俺を無理やり主役の席に座らせて、俺の膝の上に乗って話し出すから俺はびっくりした。周囲の側室候補の女性たちはポカーンとした顔をしていた。
「それじゃ、楽しいお茶会をしようか」
そうやって始まったお茶会はリオンの側室候補にとって全く面白くなかったに違いない、リオンは一応側室候補に声をかけるのだが全く乗り気でないのが誰が見ても明白だった。
「それじゃ、スーザン公爵令嬢。君の特技や好きなことを教えておくれ」
「はい、私は詩歌を得意としております。好きなことはお恥ずかしながらリオン様をお姿を見ることです、ですから今日は私にとって素晴らしい日ですわ」
「ふーん、そう。あっ、クロ。この葡萄が美味しい、食べさせてあげる」
「えっ、あの、その、リオン様?」
「ああ、うん。スーザン公爵令嬢。君がどんな女性かよく分かったよ、実に素晴らしい自己紹介だった。次は誰かな?」
こうしてリオンは側室候補の女性を全く相手にしなかった、女性たちは当然怒りの矛先を俺に向けてくるのだが、俺もリオンが食べさせてくれる果物が美味しくてあまり聞いていなかった。仮に聞いておいても、俺にとって有益な情報ではなかったはずだ。そして全ての令嬢の話を聞くと、リオンはこう言った。
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