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愛人になってくれますか?
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「かっ、可愛い」
私、ラントール・ヴィーゼ・ウェントゥスは思わず考えていることを口に出した、だって本当にその子は私にとって可愛らしい子に見えたのだ。私は短い黒髪と茶色い瞳を持つが、その子はくすんでしまっているが肩まで銀髪と蒼い瞳をしていた。出会った場所はスリート男爵家、いつまで経っても貸した金を支払わないから気紛れに私自身が借金の取り立てに来たのだ。でも今はそんなことよりこの子が欲しい、私はこの子を屋敷に持って帰って可愛がり尽くしたかった。
「ハンス・ライズ・スリート男爵、私が貴方に貸した金はいつになったら返却されるのかな?」
「どうか、もう少しお待ちください。今は金が無いのです、どうかもう少し!!」
「それでは貸した金の代わりにこの子を貰ってもいいかな?」
「ルカをですか!? そっ、それで借金が取り消しになるのなら大歓迎です!!」
「それではこのルカという少年について、スリート家はあらゆる権利を放棄すると一筆頂きましょう」
「はいはい、それで済むなら全く嬉しいことです。はい、サインしました。書類をどうかお受け取り下さい」
私はそこで男爵から目を背けてルカと呼ばれた少年を見た、服は貴族として最低限という身なりでひどく痩せていて体が小さかった。けれどその美しい蒼い瞳を見ながら私はできるだけ優しく、簡単に分かりやすくルカという少年に説明した。
「ルカという名前なのかい? 君はウェントゥス公爵家に来ることになったよ」
「………………はい、分かりました」
「可愛い子だ、私はラントール。君、私の愛人になる気はないかい?」
「え!? 僕が!! あっ、ええと、はい。いいです、分かりました」
「ふふっ、ルカ。そんな追い詰められた顔をしなくていいんだよ、その気になったらまたちゃんと返事をしておくれ」
「はっ、はい。分かりました」
こうして私はルカという少年をラントール公爵家に連れて帰った、ルカは抱き上げて私の腕の中に入れても大人しくしていた。泣いてはいなかったが、その目は全てを諦めているようだった。私は元気になったルカという少年を愛人にしたくて何度もそうしていいか聞いた、だが無理矢理に愛人にするようなことはしなかった。私の部屋の近くの部屋をルカのものとして、毎日ルカと話したり遊んだり仕事を手伝って貰ったりしていた。
「十五歳!? ルカは十五歳なのかい!?」
「あっ、はい。そうです」
「ルカ、君はもっとご飯を食べなさい。十二歳くらいにしか見えないよ」
「はい、分かりました。ご飯、いっぱい食べます」
私の公爵家にルカを迎え入れてから彼について調べさせたのだが、スリート男爵の姉が生んだ私生児としか分からなかった、それでも何かあってはいけないので調査は続けさせた。ルカは男爵家で碌な扱いを受けていなかったのだろう、十五歳だと聞いたが十二歳どころか本当は十歳くらいにしか見えなかった。それから私はルカにできるだけ栄養のある良い食事を用意した、ルカがそれを一生懸命食べていてそんなところも可愛かった。
「旦那様、ポリテリア侯爵家からユーピア侯爵令嬢のことでまた書状が来ています」
「ああ、またか。いくら亡くなった兄上と婚約していたからといって、兄上が亡くなったから弟の私と婚約だなんて、ルカに会うまではそれも良いかと思っていたが、今はそうする気は全く無いから断っておいてくれ!!」
「ユーピア侯爵令嬢がお可哀そうではありませんか?」
「彼女は美人で年も若い、きっと良い相手が見つかるさ」
私は執事から報告を受けた、元々私はこの公爵家の跡取りではなかった。それが兄が急死したから私が公爵家を継ぐことになった、ちなみに乗馬中の事故であっという間の出来事だった。兄が元気だったら私はルカと出会えなかったわけで、亡くなった兄上には悪いが私はこの巡り合わせに感謝した。私と兄上は特に仲が良くも悪くもなかった、別々に好きなことをしていたので、お互いによく知らないままお別れになってしまった。
「ルカ、この屋敷にいるのなら、せっかくだから色々学びなさい」
「はい、分かりました。公爵様」
「公爵様でなくて、ラントールでいいんだよ。ルカ」
「恐れ多くてお名前など呼べません」
「まぁいい、そのうち呼んで貰おう。それでは君につける教師を紹介しておこう」
「はい、公爵様」
私はルカを可愛がった、そしてただ可愛がるだけではなく教育を施した。教育は受けていて損をするものでは無いし、愛人が嫌なら一人の侍従としてルカを可愛がるつもりだった。
「あの公爵様、えっと、その、お膝に乗っていいですか?」
「ああ、可愛いルカ。当然だがいいよ」
「えっとこの本の分からないところがあって」
「数学だな、そうだね。ここはこう解くんだよ」
「えっと、あの、僕はまだお膝の上にいていいですか?」
「いつでも来なさい、私の膝の上は君を歓迎するよ」
ルカはこうして少しずつ私に近づいてきた、私はいつもルカが可愛くてその申し出を歓迎した。仕事をしながらルカを膝の上に乗せていたこともあった、いつも傍についている侍従がその様子にびっくりしていた。こうしてルカは私の愛人候補になった、こうして触れ合ったり遊んだりしているうちにそうなった。そんな時の私はルカの頬や頭にキスをした、ルカも嫌がらなかったので私たちは仲良くなっていった。
「……公爵様、僕は公爵様の愛人になれますか?」
「今すぐにでもなれるけど、どうしたんだい。ルカ」
「公爵さまに触れて貰うと気持ち良いんです、キスしてもらったりすると幸せなんです」
「そうか、それじゃ。私の愛人になってくれますか? ルカ?」
「はい!!」
「ああ、嬉しいよ。大好きだよ、ルカ!!」
こうして私とルカは愛人関係になった、引き取られた当初はガリガリだった体もこの侯爵家の食事で改善していた。私は体はまだ幼いルカに何度も何度もキスをした、体中にキスをした。そうしてルカが嫌がらなかったからルカの中を潤膚露を使って丁寧にほぐした、そうしてルカを私はなるべく優しく抱いた。
「ひっ、公爵様!?」
「大丈夫かい、ルカ?」
「だっ、大丈夫。やん!! あああっ、そこ気持ち良すぎて変になりそうです!!」
「ルカ、変になったりしないから素直に感じてごらん」
「やぁ、公爵様のものがおっきくて、僕の中でこすれて、気持ち良い、気持ち良いんです!!」
「私も気持ちが良い、可愛い。愛してるよ、ルカ。大好きで可愛い私の愛人、いや二人だけの時は恋人だね」
私は引き取って数か月して懐いたルカを正式に愛人にした、ルカのどこもかしこもが可愛らしくて愛おしかった。夜のルカは私に裸でしがみついて可愛らしい声でないた、ルカがあんまり可愛らしくて愛おしく感じるものだから、私は彼以外とベッドを共にすることは考えられなくなった。実際ルカとのセックスは下手をすると溺れそうになるほど気持ち良かった、私は公爵の職務を果たすことだけは忘れないようにしようと思った。
「愛しているよ、ルカ」
「はい、僕も愛してます。公爵様」
こうして私たちは恋人同士になって本当に愛し合って、二人で仲良く暮らして五年の月日が過ぎ去った。
「旦那様、ルカ様の出生に関してですが、調べさせていた者が報告を持って帰っております」
「どうした、その顔は? 何か重大なことが分かったのか?」
「ルカ様は、ルカ様は……、このファルマ国の国王陛下の御落胤の可能性があります」
「何だと!?」
ルカのことについて定期的に調査させていた者が、とんでもない報告を持って帰ってきた。このファルマ国は国王陛下は辛うじてご健在だが後継ぎがおらず、このまま現在ご高齢の国王陛下が身罷られたら誰が跡継ぎになるのかと心配されていた。調査させた者の話だとルカの母であるスリート男爵の姉が、少し前の時期の国王陛下らしき男性と会っていたという証言がとれたそうだ。私はそれが信用できる話なのかを確かめさせて、確かに信頼できる話だと確定したら悩み苦しんだ。調査をさせたら話は広がるものだ、国王陛下からもルカを王城へ連れてくるように内々に話が来た。
「ルカ、いやルカ様。貴方はここにいてはいけない尊いお方です」
「公爵様、嫌!? どうして!? 僕をここから追い出さないで!!」
「私が追い出すんじゃないんです、本来貴方がいるべきだった場所に帰るんですよ」
「そんな場所行きたくない!! 僕は公爵様の傍がいいんだ、ラントール様と一緒にいたいんだ!!」
「私もついていきたいですよ、国王になって結婚しても時々は私のことを思い出してくださいね」
「嫌だ!? ラントール様!! 僕を捨てないで!! お願いだからここに置いて!!」
もう二十歳になっていたルカからは散々泣かれて、お互いに沢山のキスをした。それでもこの公爵家にもうルカの居場所はなかった、私はルカを王城へと連れていった。そこまでいく馬車の中でもルカは泣きながら私にキスをしようとした、私も泣きながらそれはもう出来ないのだとルカを窘めた。そうして二人して真っ赤になった目で、王城に入り私はルカを国王陛下のもとに置いて屋敷へ帰った。それから三月も経たないうちに国王陛下は亡くなり、ルカが新しい国王陛下になった。
「……新しい国王陛下の即位のお祝いに行ってくるよ」
「旦那様、あの方はもう手の届かない方ですぞ」
「ああ、分かっている。しつこく身元調査などさせなければよかった、そうすれば私は今もルカを抱きしめていたはずなのに」
「お諦めください、御縁が無かったのです」
私は執事からそう諭されて、ルカの国王即位のお祝いのパーティに行った。そうして遠くからルカを見た、最初の頃の会った時の印象など全くなかった。そこには美しい銀髪と蒼い瞳をもった綺麗で立派な男性がいた、私が散々可愛がったルカだった。私は胸が苦しくなって帰りたくなった、私はそれでもウェントゥス公爵家の代表だったから、新しい国王陛下になったルカにうやうやしく頭を下げ即位のお祝いの言葉を紡いだ。そうしたら私はルカからそっとこんな言葉を囁かれた、それはかつて私がルカに何度も聞いた言葉だった。
「ラントール、可愛い人。僕の愛人になってくれますか?」
私、ラントール・ヴィーゼ・ウェントゥスは思わず考えていることを口に出した、だって本当にその子は私にとって可愛らしい子に見えたのだ。私は短い黒髪と茶色い瞳を持つが、その子はくすんでしまっているが肩まで銀髪と蒼い瞳をしていた。出会った場所はスリート男爵家、いつまで経っても貸した金を支払わないから気紛れに私自身が借金の取り立てに来たのだ。でも今はそんなことよりこの子が欲しい、私はこの子を屋敷に持って帰って可愛がり尽くしたかった。
「ハンス・ライズ・スリート男爵、私が貴方に貸した金はいつになったら返却されるのかな?」
「どうか、もう少しお待ちください。今は金が無いのです、どうかもう少し!!」
「それでは貸した金の代わりにこの子を貰ってもいいかな?」
「ルカをですか!? そっ、それで借金が取り消しになるのなら大歓迎です!!」
「それではこのルカという少年について、スリート家はあらゆる権利を放棄すると一筆頂きましょう」
「はいはい、それで済むなら全く嬉しいことです。はい、サインしました。書類をどうかお受け取り下さい」
私はそこで男爵から目を背けてルカと呼ばれた少年を見た、服は貴族として最低限という身なりでひどく痩せていて体が小さかった。けれどその美しい蒼い瞳を見ながら私はできるだけ優しく、簡単に分かりやすくルカという少年に説明した。
「ルカという名前なのかい? 君はウェントゥス公爵家に来ることになったよ」
「………………はい、分かりました」
「可愛い子だ、私はラントール。君、私の愛人になる気はないかい?」
「え!? 僕が!! あっ、ええと、はい。いいです、分かりました」
「ふふっ、ルカ。そんな追い詰められた顔をしなくていいんだよ、その気になったらまたちゃんと返事をしておくれ」
「はっ、はい。分かりました」
こうして私はルカという少年をラントール公爵家に連れて帰った、ルカは抱き上げて私の腕の中に入れても大人しくしていた。泣いてはいなかったが、その目は全てを諦めているようだった。私は元気になったルカという少年を愛人にしたくて何度もそうしていいか聞いた、だが無理矢理に愛人にするようなことはしなかった。私の部屋の近くの部屋をルカのものとして、毎日ルカと話したり遊んだり仕事を手伝って貰ったりしていた。
「十五歳!? ルカは十五歳なのかい!?」
「あっ、はい。そうです」
「ルカ、君はもっとご飯を食べなさい。十二歳くらいにしか見えないよ」
「はい、分かりました。ご飯、いっぱい食べます」
私の公爵家にルカを迎え入れてから彼について調べさせたのだが、スリート男爵の姉が生んだ私生児としか分からなかった、それでも何かあってはいけないので調査は続けさせた。ルカは男爵家で碌な扱いを受けていなかったのだろう、十五歳だと聞いたが十二歳どころか本当は十歳くらいにしか見えなかった。それから私はルカにできるだけ栄養のある良い食事を用意した、ルカがそれを一生懸命食べていてそんなところも可愛かった。
「旦那様、ポリテリア侯爵家からユーピア侯爵令嬢のことでまた書状が来ています」
「ああ、またか。いくら亡くなった兄上と婚約していたからといって、兄上が亡くなったから弟の私と婚約だなんて、ルカに会うまではそれも良いかと思っていたが、今はそうする気は全く無いから断っておいてくれ!!」
「ユーピア侯爵令嬢がお可哀そうではありませんか?」
「彼女は美人で年も若い、きっと良い相手が見つかるさ」
私は執事から報告を受けた、元々私はこの公爵家の跡取りではなかった。それが兄が急死したから私が公爵家を継ぐことになった、ちなみに乗馬中の事故であっという間の出来事だった。兄が元気だったら私はルカと出会えなかったわけで、亡くなった兄上には悪いが私はこの巡り合わせに感謝した。私と兄上は特に仲が良くも悪くもなかった、別々に好きなことをしていたので、お互いによく知らないままお別れになってしまった。
「ルカ、この屋敷にいるのなら、せっかくだから色々学びなさい」
「はい、分かりました。公爵様」
「公爵様でなくて、ラントールでいいんだよ。ルカ」
「恐れ多くてお名前など呼べません」
「まぁいい、そのうち呼んで貰おう。それでは君につける教師を紹介しておこう」
「はい、公爵様」
私はルカを可愛がった、そしてただ可愛がるだけではなく教育を施した。教育は受けていて損をするものでは無いし、愛人が嫌なら一人の侍従としてルカを可愛がるつもりだった。
「あの公爵様、えっと、その、お膝に乗っていいですか?」
「ああ、可愛いルカ。当然だがいいよ」
「えっとこの本の分からないところがあって」
「数学だな、そうだね。ここはこう解くんだよ」
「えっと、あの、僕はまだお膝の上にいていいですか?」
「いつでも来なさい、私の膝の上は君を歓迎するよ」
ルカはこうして少しずつ私に近づいてきた、私はいつもルカが可愛くてその申し出を歓迎した。仕事をしながらルカを膝の上に乗せていたこともあった、いつも傍についている侍従がその様子にびっくりしていた。こうしてルカは私の愛人候補になった、こうして触れ合ったり遊んだりしているうちにそうなった。そんな時の私はルカの頬や頭にキスをした、ルカも嫌がらなかったので私たちは仲良くなっていった。
「……公爵様、僕は公爵様の愛人になれますか?」
「今すぐにでもなれるけど、どうしたんだい。ルカ」
「公爵さまに触れて貰うと気持ち良いんです、キスしてもらったりすると幸せなんです」
「そうか、それじゃ。私の愛人になってくれますか? ルカ?」
「はい!!」
「ああ、嬉しいよ。大好きだよ、ルカ!!」
こうして私とルカは愛人関係になった、引き取られた当初はガリガリだった体もこの侯爵家の食事で改善していた。私は体はまだ幼いルカに何度も何度もキスをした、体中にキスをした。そうしてルカが嫌がらなかったからルカの中を潤膚露を使って丁寧にほぐした、そうしてルカを私はなるべく優しく抱いた。
「ひっ、公爵様!?」
「大丈夫かい、ルカ?」
「だっ、大丈夫。やん!! あああっ、そこ気持ち良すぎて変になりそうです!!」
「ルカ、変になったりしないから素直に感じてごらん」
「やぁ、公爵様のものがおっきくて、僕の中でこすれて、気持ち良い、気持ち良いんです!!」
「私も気持ちが良い、可愛い。愛してるよ、ルカ。大好きで可愛い私の愛人、いや二人だけの時は恋人だね」
私は引き取って数か月して懐いたルカを正式に愛人にした、ルカのどこもかしこもが可愛らしくて愛おしかった。夜のルカは私に裸でしがみついて可愛らしい声でないた、ルカがあんまり可愛らしくて愛おしく感じるものだから、私は彼以外とベッドを共にすることは考えられなくなった。実際ルカとのセックスは下手をすると溺れそうになるほど気持ち良かった、私は公爵の職務を果たすことだけは忘れないようにしようと思った。
「愛しているよ、ルカ」
「はい、僕も愛してます。公爵様」
こうして私たちは恋人同士になって本当に愛し合って、二人で仲良く暮らして五年の月日が過ぎ去った。
「旦那様、ルカ様の出生に関してですが、調べさせていた者が報告を持って帰っております」
「どうした、その顔は? 何か重大なことが分かったのか?」
「ルカ様は、ルカ様は……、このファルマ国の国王陛下の御落胤の可能性があります」
「何だと!?」
ルカのことについて定期的に調査させていた者が、とんでもない報告を持って帰ってきた。このファルマ国は国王陛下は辛うじてご健在だが後継ぎがおらず、このまま現在ご高齢の国王陛下が身罷られたら誰が跡継ぎになるのかと心配されていた。調査させた者の話だとルカの母であるスリート男爵の姉が、少し前の時期の国王陛下らしき男性と会っていたという証言がとれたそうだ。私はそれが信用できる話なのかを確かめさせて、確かに信頼できる話だと確定したら悩み苦しんだ。調査をさせたら話は広がるものだ、国王陛下からもルカを王城へ連れてくるように内々に話が来た。
「ルカ、いやルカ様。貴方はここにいてはいけない尊いお方です」
「公爵様、嫌!? どうして!? 僕をここから追い出さないで!!」
「私が追い出すんじゃないんです、本来貴方がいるべきだった場所に帰るんですよ」
「そんな場所行きたくない!! 僕は公爵様の傍がいいんだ、ラントール様と一緒にいたいんだ!!」
「私もついていきたいですよ、国王になって結婚しても時々は私のことを思い出してくださいね」
「嫌だ!? ラントール様!! 僕を捨てないで!! お願いだからここに置いて!!」
もう二十歳になっていたルカからは散々泣かれて、お互いに沢山のキスをした。それでもこの公爵家にもうルカの居場所はなかった、私はルカを王城へと連れていった。そこまでいく馬車の中でもルカは泣きながら私にキスをしようとした、私も泣きながらそれはもう出来ないのだとルカを窘めた。そうして二人して真っ赤になった目で、王城に入り私はルカを国王陛下のもとに置いて屋敷へ帰った。それから三月も経たないうちに国王陛下は亡くなり、ルカが新しい国王陛下になった。
「……新しい国王陛下の即位のお祝いに行ってくるよ」
「旦那様、あの方はもう手の届かない方ですぞ」
「ああ、分かっている。しつこく身元調査などさせなければよかった、そうすれば私は今もルカを抱きしめていたはずなのに」
「お諦めください、御縁が無かったのです」
私は執事からそう諭されて、ルカの国王即位のお祝いのパーティに行った。そうして遠くからルカを見た、最初の頃の会った時の印象など全くなかった。そこには美しい銀髪と蒼い瞳をもった綺麗で立派な男性がいた、私が散々可愛がったルカだった。私は胸が苦しくなって帰りたくなった、私はそれでもウェントゥス公爵家の代表だったから、新しい国王陛下になったルカにうやうやしく頭を下げ即位のお祝いの言葉を紡いだ。そうしたら私はルカからそっとこんな言葉を囁かれた、それはかつて私がルカに何度も聞いた言葉だった。
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