ドラゴンから人間に縛りプレイで最強へ

アキナヌカ

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2-27こんなものはあってはならない

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「ここが特別研究室なの」

 そうアクアが言った場所には何だかよく分からない、俺たちの知らない物質でできた絡繰りらしきものがあった。前に市場で見た『すまほ』や『たぶれっと』を大きくした、そんな感じのよく分からない物ばかりがあった。俺たちではこの場所のことが分からないので、どんな文字でも読めるアクアにこの場所にある文字を読んでもらった。

「えっと、目標の設定と発射する爆弾の選定方法って書いてあるの」
「爆弾ってなんだ?」
「いや、俺様も知らねぇ」
「目標を設定するということは武器でしょうか」

「爆弾っていうのは危ない物なの」
「上級魔法くらい危ないのか? アクア?」
「そのくらいなら、そう危ないものでもねぇだろ」
「上級魔法の使い手なら、数は少ないですがどこの国でもいます」

「えっと、アクアが学校で習ったのは大きな国の一つの都市を、それを簡単に破壊して戦争を終わらせたの」
「え!?」
「大きな国の都市を一つ!?」
「そんなに危ないものなのですか!?」

「何十万人っていう人がそれが原因で死んだの」
「………………」
「………………」
「………………」

 アクアの話の全部が本当だとするならここは古代の軍事施設だ、だからあんなによく訓練されたどこかの国の特徴のない人間の兵士がいたのだ。俺とレンそれにリッシュは真っ青な顔になっていた、俺たちは盗賊団のアジトを見つけたんじゃなかった。それよりももっと危険などこかの国の軍事施設、それを俺たちは見つけてしまっていたのだ。

 いやここに来るまでの途中の扉が閉まっていたことから、ここはまだ探索中の古代遺跡だった。多分どこかの国が目をつけているのだろうが、肝心の使い方がよく分かっていないのだ。だから古代遺跡の中に入ってから人間に会わなかった、まだ慎重に人間が調査をしている段階の古代遺跡なのだった。俺が武器商人だったらここはお宝の山だった、でもドラゴンである俺にとっては、ここはただの危険な古代遺跡に過ぎなかった。

「これはここを破壊しておく方が安全だな」
「爆弾を全部壊しちゃうの?」
「そうしとかねぇと危ねぇだろうが、チビ」
「そうですね、安全にこの場所を破壊できれば良いのですが」

「それなら、ここを読むときっといいの」
「なんて書いてあるんだ、アクア」
「本当に役に立つ、チビだな」
「アクア様は賢くていらっしゃるのですね」

「非常時の自爆装置の使い方、そう詳しく書いてあるの」
「………………」
「………………」
「………………」

 アクアの指示に従ってここを自爆させるのはいい、きっとこの世界の為に良いことだった。でも自爆装置を起動させた俺たちが、一体どうなるのかそれが分からなかった。俺とレンそれにリッシュの顔色はますます悪くなった、アクアはそんな俺たちを気にすることなく、非常時の自爆装置の使い方を詳しく読んでいるようだった。

「分かったの、自爆装置を起動させてから、三十分だけここから逃げる時間があるの」
「アクア、三十分ってどのくらいの時間なんだ?」

「四半刻くらいなの、ここからの逃げ方も書いてあるの」
「よし、それじゃ俺にそれを読み上げて教えてくれ」

「自爆装置の起動方法は機械を起動させて、それからこのこっちのボタンを押して……」
「うん、うん、それで?」

 アクアは俺たちには分からない絡繰りを起動させて、それから薄いガラスの板に浮かぶ古代文字を読み上げてくれた。安全な自爆装置の起動させ方、それにこの施設からの避難方法などが、その薄い板にには詳しく書いてあった。俺は地図が出てきたのでその避難経路を完璧に暗記した、そうしてとうとう自爆装置のボタンを誰かが押すことになった。

「えっとこれでいつでもいいの、後はこの赤くて大きなボタンを押すだけなの」
「………………」
「………………」
「………………」

 ここは俺がこのボタンを押すべきなのだろうか、俺はふと考えてしまった自分が本当にこのボタンを押していいのか、そう考えてしまって思わず迷って手を止めてしまった。でも俺がそうやって迷っているうちに、アクアが本当にあっさりとそのボタンを、俺たちが止める暇もなく押した。そう全然アクアは迷うことがなかった、彼女にしてみれば危険な爆弾というものを、それを壊すためだから迷うことがなかったのだ。

「ポチっとしたの、あとは早く逃げるだけ」
「………………」
「………………」
「………………」

「皆どうしたの? もう自爆装置は動きだしたの」
「はっ!? 行くぞ!! アクア!!」
「逃げるしかねぇ!!」
「はい、そうしましょう!!」

 アクアにそう言われて俺は真っ先にアクアを抱きあげた、そうして彼女を背負って避難経路を思い出しながら必死に走った。レンとリッシュも真っ青な顔で俺の後をついてきた、俺は避難経路を完璧に覚えていたので迷うことはなかった。時々アクアの指示に従ってボタンを押す、そうしなければいけない場所はあった。でも俺たちはそれ以外は迷うことなく、四半刻もかからずに無事に古代遺跡を脱出した。

「『完全なるパーフェクト聖なる守りホーリーグラウンド』!!」
「『火炎の守りフレイムバリア』!!」
「『完全なるパーフェクト聖なる守りホーリーグラウンド』!!」
「『烈風の守りストームウインドバリア』!!」

 それからしばらく経った時だった、ドカッドカッドカンッと大きな音が辺りに響き渡った。そうして大きな地震のような地面の揺れが起こった、俺たちは集まってお互いに魔法を使って身を守り合った。俺たちがそうしていなければ命も危なかった、古代遺跡があったあたりから大きな岩が幾つも飛んで来た。暫くの間は大きな地震と大小の岩の雨が降り続いたが、俺たちは四重に張った結界のおかげで、どうにか傷一つ負うことなく無事だった。

「おい、皆。無事か、怪我してないか」
「アクアは大丈夫なの!!」
「おお、俺様も怪我はねぇ」
「僕も無事です、しかし驚きました」

「ああ、こんなに危ない古代遺跡もあるんだな」
「古代遺跡って危険なの」
「ホントに危ねぇもんだな」
「邪悪な武器を破壊できました、僕は安心致しました」

「それじゃもう用もないし、山を下りよう」
「ええと、道が滅茶苦茶なの」
「気をつけながら下りるしかねぇな」
「足元に気をつけて、そうしながら下りていきましょう」

 俺たちはこれで終わったと思っていた、危険な古代遺跡を始末してそれで安心していた。でもここは国に見張られたいる施設だった、暫くするとどこに隠れていたのか人間たちが現れた。彼らは俺たちのことを危険だとみなしたようだ、そうして武器を持って襲い掛かってきたから、俺たちは身を守るために彼らを殺すしかなかった。しかし、その中に以前に聞いた声が混じっていた。

「なんだぁ、また会ったな。なぁ、ガキども」
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