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2-18剣術だけで戦いたい
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「なぁ、この街でな。剣術大会があるっていう話だぜ」
「へぇー、剣術大会か。レンも出れるのか、俺も出れるかな」
「剣術大会ってなぁに?」
「そうだな、要は剣の腕が一番の人間、それを選ぶってことじゃねぇか」
「そうか、よしっ俺たちも参加できるのか聞いてみよう!!」
「シエルとレンなら、まだシエルの方が強いの」
「それを言うなよ、なぁチビ。俺様だって強くなってるんだぞ」
「確かに剣の勝負では何が起こるか分からない」
「そうなの、ならレンも頑張る。二人とも勝てるようにする」
確かにその街では剣術大会が行われると商業ギルドで聞けた、そして今ならまだ参加を申し込むことができることも確かめた。俺は大会の賞金である金貨二十枚を狙っていた、普通の人間が一人一年くらい遊んでくらせる金額だった。レンは純粋にどのくらい強くなったか、それを試したいようだった。そうして、俺たちは二人とも剣術大会に出ることになった。
その大会まではもちろん剣術の練習をして過ごした、レンも俺もできるだけ鍛練をしていた。アクアはいつも近くにいて俺たち二人を応援してくれた、冒険者ギルドでは俺たちのように剣術の練習をする人間が沢山いた。俺はまぁ負けても失うものは何もないと思っていた、レンは俺に今度こそ勝つのだと言っていた。そうやって、十数日が過ぎてとうとう剣術大会が始まった。
「アクアは応援する、シエル頑張る!!」
「おお、俺は頑張るぞ!!」
「アクアはレンも応援する、シエルの次に頑張るの!!」
「はははっ、このチビ。俺様たちのこと、よく見てろよ」
剣術大会が始まって俺とレンは勝ちあがっていけば、決勝でお互いに戦えるはずだった。だからまずは一戦ずつ勝ちすすんでいった、俺は力も強かったし剣の技術も雑魚なら相手にならなかった、レンも力が強かったし粗削りだが剣術も洗練されてきていた。そうやって三回ほど俺が勝った時のことだった、ローブを被った見知らぬ男から声をかけられた。
「それで用ってなんだ?」
「次の試合、このお金を差し上げます、だから負けてください」
「はぁ? ああ、この剣術大会は賭けもしてるんだっけ?」
「はい、そうです。それに次の貴方のお相手は、この近くの貴族様です」
「その金は金貨二十枚あるのか?」
「へへへっ、ご冗談を銀貨五枚で十分でしょう」
「それじゃあ、この話は無しだ」
「え? いやそれは困ります。ちょっと、いや話を聞いて……」
俺は優勝賞金より金がかなり少なかった、それに何よりレンと戦う予定があったので、俺はその話にはのらなかった。しばらくするとレンにも同じような話が持ち掛けられていたようだ、レンはそれで顔を赤くして少しばかり怒っていた。レンは性格が真っすぐで裏取引や、間違ったことが大嫌いなようだった、そこが彼らしいと思って俺はなんだか誇らしい気持ちになった。
「この様子だともう、俺たちより強い人間はいないぞ」
「けっ!! 貴族様のお遊びってやつか!!」
「一番強い人が勝たないの変、それってとってもおかしいの」
「でも俺は決勝でレンと戦ってみたいしな」
「はははっ、奇遇だな。俺様もお前と戦ってみたい」
「それじゃあ二人とも頑張る!! アクアは応援してるの!!」
それからも俺たち順調に勝ち進んでいった、俺もレンも純粋にただ勝負をしてみたかった。しかし三回戦からは俺たちが戦う相手の質が一気に落ちた、きっと裏で手をまわして貴族などしか勝たないようにしているようだった。俺もレンも強い相手と戦えなくなってがっかりした、あとはお互いが戦う決勝戦だけが楽しみだった。
「やっぱり決勝はレンだったな」
「おうよ、お前が勝つと思ってたぜ。シエル!!」
「二人とも頑張ってー!! アクアは応援してるのー!!」
そうして俺とレンが戦う決勝戦が始まった、レンは前よりもずっと強くなっていた。単純な力だけで剣を振り回すのではなく、剣術という技術を学んで強くなったのだった。でも剣の技術なら俺だって負けていない、俺にはレンよりも剣で戦った経験があった。俺のショートソードとレンのロングソードがぶつかり合った、レンは俺と力はまだ同じくらいだった。
力が同じくらいならば勝敗を決めるのは剣の技、そして勝つんだという気力次第だった。俺のほうが剣術は勝っていたが、俺が驚くくらいにレンの勝利へのこだわりは強かった。だからこそ良い勝負になった、観客たちも熱心に応援していた、一番可愛い応援をしてくれたのはもちろんアクアだった、俺はアクアのことを思って一層強く体に力を込めた。
「なんだ、これ」
そうしたら俺は何だか体に力が湧いてきた、いつも以上に体が動きやすくなった。心臓がとても早く脈打って体がだんだん熱くなってきた、俺の目はレンの動きをずっと追っていた。レンの剣の動きがいつもよりよく見えた、それに何故かその動きがゆっくりと遅くなっていった。俺の体の熱さはもう燃えるようだった、そうして俺とレンの剣がぶつかりあった何回目かの時だった、俺は一瞬の隙を見つけてレンの剣を強く高く弾き飛ばした。
「これで今回は俺の勝ちだな、レン」
「ああ、畜生。今回はお前の勝ちだぜ、シエル」
俺は勝負がつくと体の不思議な変化が消えていくのを感じた、俺とレンは勝負がついた後に握手を交わして舞台から降りた。こうして、この街の剣術大会は終わってしまった。俺は金貨二十枚を無事に貰えて、騎士への推薦をもらえるとも聞かされた。当然だが俺は騎士への推薦をあっさりと断った、俺はこの街や国に仕える気は全くなかった。賞金を貰って観客席に行くと座っているレンの膝にアクアが乗っていた、そして今度は俺にぎゅっと抱き着いてきて、とても可愛い笑顔でおめでとうと優勝を祝ってくれた。
「やっぱりシエルは強い!! 優勝おめでとう!!」
「ありがとう、アクア」
「おいチビ、二番目に頑張った俺様には何も無しか?」
「レンも頑張ってた!! だからよしよししてあげるの!!」
「アクアは優しいな」
「いやそれはいらねぇから、それより俺様にもそうだ、ぎゅっと抱き着きやがれ!!」
アクアはレンにもぎゅっと抱き着いて、それからおめでとうと言っていた。さてそこまでは良かったのだ、だがそれから少し面倒なことになった。俺たちが全部が終わって帰ろうとしていたら、この街の領主から呼び出しがあったのだ。それは正式な招待状を伴った呼び出しだった、無視したかったが今回は俺たちの身元がバレていた、それで急な話だったが俺たちは領主と面会をすることにした。
「仕方がない、アクア、レン。とりあえず、行ってみよう」
そうして俺たちはこの街の領主に会うことになって豪華な部屋に招かれた、そこで俺たちを待っていた領主はよく来たとそう言った。領主は初老くらいの落ち着いた男性だった、俺たちに対しても貴族にありがちだという横柄な態度はなかった。相手がマナーを守って真剣に話をしてくるのなら、俺たちもそれにこたえて話をするべきだった。
「この度はお招きに預かり、光栄の至りに存じます」
「このたびはおまねきにあずかり、こうえいのいたりにぞんじます」
「え!? ああ、どうも、よろしく」
俺と俺がマナーを教えていたアクアは貴族に対する挨拶と礼をした、レンにもマナーについて教えておけば良かったと、俺はその時になって内心でしまったと思っていた。でも今更どうしようもないので、俺はレンにとりあえず黙っているように合図した。そして領主である男が楽にするがいいと俺たちに言った、そうしてからしばらくじいっと俺たちを見て観察していた。
その様子に俺たちへの悪意は無さそうだったが、彼が何を考えているのかは分からなかった。まぁそれが俺たちを害するものならこの男を排除するか、この街から俺たちがさっさと出ていけば良かった。そう俺は心の中だけで色々と考え思っていた、そしてとりあえずは俺たち三人の代表として、俺が領主と話をすることにした。
「うむ、最近の剣術大会は貴族どもが賄賂をくばり、算段をつけられたもので面白くなかった。だが今回は違っていてとても面白かった、一度は断られてしまったが、お前たちにこの国の騎士に是非なって欲しい」
「お気持ちは重々わかるのですが、そのような大役はこの私どもには荷が重すぎます」
「そうか、私から直々に言っても駄目なのか。本当に勿体ないが仕方がないな、わざわざ呼びつけてすまなかった、お前たちの今後の成長を祈っておこう」
「本日はお忙しい中、私どもなどのためにこのような場を用意していただき大変感謝しております、領主様においてはますますご活躍されることをお祈り申し上げます」
こうして俺たちは領主の館を出ることができた、普段は使わないマナーなどを使ったから俺は疲れた、マナーは相手によって場所によって変わるから難しかった。レンは最後までオロオロしてどうしていいのか分かっていなかった、これはレンにもマナーを教える必要があった。とりあえず、領主の態度に悪意は感じなかったから大丈夫だろう、そう俺はアクアとレンに伝えた、そしてレンにはマナーを教えていくことも言った。
「マナーなんかいるのか、そんなもんいらなくねぇか?」
「実際に今必要だったろう、人間の姿でいる時には必要なものだ」
「そうなの、シエルは勉強家なの」
「ううぅ、分かった。難しそうだが、習ってやらぁ!!」
「ああ、少しずつ覚えてよ。マナーはとっても複雑だから、俺も知らないマナーもあるさ」
「シエルも知らないことがあるの!?」
「そりゃあるだろ、俺様たちは貴族って奴じゃねぇんだからさ」
「そうなんだよ、アクア。俺にも知らないことがある、だから一生懸命に勉強するのさ」
「分かった、アクアもいっぱい勉強する」
それから俺たちは適当な宿屋で飯を食って、水浴びなどをしたら眠りについた。翌朝はすっきりとした気持ちで目覚めることができた、俺たちは飯屋で朝食を食べながら次はどうしようか話し合っていた。するとまた領主さまの使いの人がきた、騎士への勧誘は断ったから別の話だった。それはこの付近にとても強い大型の魔物がいるという話だった、その魔物が街道を塞いでいるので退治するのを手伝って欲しいという話だった。
「いや、領主さまの軍にかかれば、そんな魔物は簡単に退治できるでしょう」
「へぇー、剣術大会か。レンも出れるのか、俺も出れるかな」
「剣術大会ってなぁに?」
「そうだな、要は剣の腕が一番の人間、それを選ぶってことじゃねぇか」
「そうか、よしっ俺たちも参加できるのか聞いてみよう!!」
「シエルとレンなら、まだシエルの方が強いの」
「それを言うなよ、なぁチビ。俺様だって強くなってるんだぞ」
「確かに剣の勝負では何が起こるか分からない」
「そうなの、ならレンも頑張る。二人とも勝てるようにする」
確かにその街では剣術大会が行われると商業ギルドで聞けた、そして今ならまだ参加を申し込むことができることも確かめた。俺は大会の賞金である金貨二十枚を狙っていた、普通の人間が一人一年くらい遊んでくらせる金額だった。レンは純粋にどのくらい強くなったか、それを試したいようだった。そうして、俺たちは二人とも剣術大会に出ることになった。
その大会まではもちろん剣術の練習をして過ごした、レンも俺もできるだけ鍛練をしていた。アクアはいつも近くにいて俺たち二人を応援してくれた、冒険者ギルドでは俺たちのように剣術の練習をする人間が沢山いた。俺はまぁ負けても失うものは何もないと思っていた、レンは俺に今度こそ勝つのだと言っていた。そうやって、十数日が過ぎてとうとう剣術大会が始まった。
「アクアは応援する、シエル頑張る!!」
「おお、俺は頑張るぞ!!」
「アクアはレンも応援する、シエルの次に頑張るの!!」
「はははっ、このチビ。俺様たちのこと、よく見てろよ」
剣術大会が始まって俺とレンは勝ちあがっていけば、決勝でお互いに戦えるはずだった。だからまずは一戦ずつ勝ちすすんでいった、俺は力も強かったし剣の技術も雑魚なら相手にならなかった、レンも力が強かったし粗削りだが剣術も洗練されてきていた。そうやって三回ほど俺が勝った時のことだった、ローブを被った見知らぬ男から声をかけられた。
「それで用ってなんだ?」
「次の試合、このお金を差し上げます、だから負けてください」
「はぁ? ああ、この剣術大会は賭けもしてるんだっけ?」
「はい、そうです。それに次の貴方のお相手は、この近くの貴族様です」
「その金は金貨二十枚あるのか?」
「へへへっ、ご冗談を銀貨五枚で十分でしょう」
「それじゃあ、この話は無しだ」
「え? いやそれは困ります。ちょっと、いや話を聞いて……」
俺は優勝賞金より金がかなり少なかった、それに何よりレンと戦う予定があったので、俺はその話にはのらなかった。しばらくするとレンにも同じような話が持ち掛けられていたようだ、レンはそれで顔を赤くして少しばかり怒っていた。レンは性格が真っすぐで裏取引や、間違ったことが大嫌いなようだった、そこが彼らしいと思って俺はなんだか誇らしい気持ちになった。
「この様子だともう、俺たちより強い人間はいないぞ」
「けっ!! 貴族様のお遊びってやつか!!」
「一番強い人が勝たないの変、それってとってもおかしいの」
「でも俺は決勝でレンと戦ってみたいしな」
「はははっ、奇遇だな。俺様もお前と戦ってみたい」
「それじゃあ二人とも頑張る!! アクアは応援してるの!!」
それからも俺たち順調に勝ち進んでいった、俺もレンも純粋にただ勝負をしてみたかった。しかし三回戦からは俺たちが戦う相手の質が一気に落ちた、きっと裏で手をまわして貴族などしか勝たないようにしているようだった。俺もレンも強い相手と戦えなくなってがっかりした、あとはお互いが戦う決勝戦だけが楽しみだった。
「やっぱり決勝はレンだったな」
「おうよ、お前が勝つと思ってたぜ。シエル!!」
「二人とも頑張ってー!! アクアは応援してるのー!!」
そうして俺とレンが戦う決勝戦が始まった、レンは前よりもずっと強くなっていた。単純な力だけで剣を振り回すのではなく、剣術という技術を学んで強くなったのだった。でも剣の技術なら俺だって負けていない、俺にはレンよりも剣で戦った経験があった。俺のショートソードとレンのロングソードがぶつかり合った、レンは俺と力はまだ同じくらいだった。
力が同じくらいならば勝敗を決めるのは剣の技、そして勝つんだという気力次第だった。俺のほうが剣術は勝っていたが、俺が驚くくらいにレンの勝利へのこだわりは強かった。だからこそ良い勝負になった、観客たちも熱心に応援していた、一番可愛い応援をしてくれたのはもちろんアクアだった、俺はアクアのことを思って一層強く体に力を込めた。
「なんだ、これ」
そうしたら俺は何だか体に力が湧いてきた、いつも以上に体が動きやすくなった。心臓がとても早く脈打って体がだんだん熱くなってきた、俺の目はレンの動きをずっと追っていた。レンの剣の動きがいつもよりよく見えた、それに何故かその動きがゆっくりと遅くなっていった。俺の体の熱さはもう燃えるようだった、そうして俺とレンの剣がぶつかりあった何回目かの時だった、俺は一瞬の隙を見つけてレンの剣を強く高く弾き飛ばした。
「これで今回は俺の勝ちだな、レン」
「ああ、畜生。今回はお前の勝ちだぜ、シエル」
俺は勝負がつくと体の不思議な変化が消えていくのを感じた、俺とレンは勝負がついた後に握手を交わして舞台から降りた。こうして、この街の剣術大会は終わってしまった。俺は金貨二十枚を無事に貰えて、騎士への推薦をもらえるとも聞かされた。当然だが俺は騎士への推薦をあっさりと断った、俺はこの街や国に仕える気は全くなかった。賞金を貰って観客席に行くと座っているレンの膝にアクアが乗っていた、そして今度は俺にぎゅっと抱き着いてきて、とても可愛い笑顔でおめでとうと優勝を祝ってくれた。
「やっぱりシエルは強い!! 優勝おめでとう!!」
「ありがとう、アクア」
「おいチビ、二番目に頑張った俺様には何も無しか?」
「レンも頑張ってた!! だからよしよししてあげるの!!」
「アクアは優しいな」
「いやそれはいらねぇから、それより俺様にもそうだ、ぎゅっと抱き着きやがれ!!」
アクアはレンにもぎゅっと抱き着いて、それからおめでとうと言っていた。さてそこまでは良かったのだ、だがそれから少し面倒なことになった。俺たちが全部が終わって帰ろうとしていたら、この街の領主から呼び出しがあったのだ。それは正式な招待状を伴った呼び出しだった、無視したかったが今回は俺たちの身元がバレていた、それで急な話だったが俺たちは領主と面会をすることにした。
「仕方がない、アクア、レン。とりあえず、行ってみよう」
そうして俺たちはこの街の領主に会うことになって豪華な部屋に招かれた、そこで俺たちを待っていた領主はよく来たとそう言った。領主は初老くらいの落ち着いた男性だった、俺たちに対しても貴族にありがちだという横柄な態度はなかった。相手がマナーを守って真剣に話をしてくるのなら、俺たちもそれにこたえて話をするべきだった。
「この度はお招きに預かり、光栄の至りに存じます」
「このたびはおまねきにあずかり、こうえいのいたりにぞんじます」
「え!? ああ、どうも、よろしく」
俺と俺がマナーを教えていたアクアは貴族に対する挨拶と礼をした、レンにもマナーについて教えておけば良かったと、俺はその時になって内心でしまったと思っていた。でも今更どうしようもないので、俺はレンにとりあえず黙っているように合図した。そして領主である男が楽にするがいいと俺たちに言った、そうしてからしばらくじいっと俺たちを見て観察していた。
その様子に俺たちへの悪意は無さそうだったが、彼が何を考えているのかは分からなかった。まぁそれが俺たちを害するものならこの男を排除するか、この街から俺たちがさっさと出ていけば良かった。そう俺は心の中だけで色々と考え思っていた、そしてとりあえずは俺たち三人の代表として、俺が領主と話をすることにした。
「うむ、最近の剣術大会は貴族どもが賄賂をくばり、算段をつけられたもので面白くなかった。だが今回は違っていてとても面白かった、一度は断られてしまったが、お前たちにこの国の騎士に是非なって欲しい」
「お気持ちは重々わかるのですが、そのような大役はこの私どもには荷が重すぎます」
「そうか、私から直々に言っても駄目なのか。本当に勿体ないが仕方がないな、わざわざ呼びつけてすまなかった、お前たちの今後の成長を祈っておこう」
「本日はお忙しい中、私どもなどのためにこのような場を用意していただき大変感謝しております、領主様においてはますますご活躍されることをお祈り申し上げます」
こうして俺たちは領主の館を出ることができた、普段は使わないマナーなどを使ったから俺は疲れた、マナーは相手によって場所によって変わるから難しかった。レンは最後までオロオロしてどうしていいのか分かっていなかった、これはレンにもマナーを教える必要があった。とりあえず、領主の態度に悪意は感じなかったから大丈夫だろう、そう俺はアクアとレンに伝えた、そしてレンにはマナーを教えていくことも言った。
「マナーなんかいるのか、そんなもんいらなくねぇか?」
「実際に今必要だったろう、人間の姿でいる時には必要なものだ」
「そうなの、シエルは勉強家なの」
「ううぅ、分かった。難しそうだが、習ってやらぁ!!」
「ああ、少しずつ覚えてよ。マナーはとっても複雑だから、俺も知らないマナーもあるさ」
「シエルも知らないことがあるの!?」
「そりゃあるだろ、俺様たちは貴族って奴じゃねぇんだからさ」
「そうなんだよ、アクア。俺にも知らないことがある、だから一生懸命に勉強するのさ」
「分かった、アクアもいっぱい勉強する」
それから俺たちは適当な宿屋で飯を食って、水浴びなどをしたら眠りについた。翌朝はすっきりとした気持ちで目覚めることができた、俺たちは飯屋で朝食を食べながら次はどうしようか話し合っていた。するとまた領主さまの使いの人がきた、騎士への勧誘は断ったから別の話だった。それはこの付近にとても強い大型の魔物がいるという話だった、その魔物が街道を塞いでいるので退治するのを手伝って欲しいという話だった。
「いや、領主さまの軍にかかれば、そんな魔物は簡単に退治できるでしょう」
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