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009再試験
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「姫様そんな男を頼りにせずに私に身を……、お前は、お前はまさか生きていたのか!? ラウ……レ…………ル……」
「あっ、ごめん。お姫様、ちょっと手が滑っちゃった」
「手が滑ったのなら仕方ないことですわ、兵士達。この兵士長は私に無礼を働きましたので、身分はく奪の上の死刑としました。さぁ、早くシオンの街まで行きましょう」
俺はそういえばこのおっさんもプリムローズの護衛で、レオパール王国に来たことあったなと思い出した。だから俺の名前を言わせる前に剣で喉を横に掻っ切った、綺麗なお姫様に血なんかつけるわけにはいかないから、ちょっと風の精霊に血が馬車や俺とお姫様にかからないようにして貰った。そうして俺と兵士たちは馬で、プリムローズは馬車でシオンの街を目指した。おかげで夜の閉門に何とか間に合うことができた、プリムローズのこともここの貴族にたくすことができた。
「この街には叔父上がいるの、だからラウルもう大丈夫よ」
「ははーっ、プリムローズ様からの優しい労いの言葉に感謝致します」
「全くもう普通に喋ってったら、喋ってくれないと報酬あげないんだから!?」
「そりゃ困る、報酬くれ」
「ふふっ、やっぱり面白い人、貴方と結婚できなかったことが残念だわ。はい、報酬。金貨百枚分に値する金の輪が二つよ」
「プリムローズはやっぱり気が利くな、ありがとよ。街でアクセサリ屋を探す手間が減る」
「それじゃ、さようなら。ラウル、奥様によろしくね」
「ああ、さようなら。プリムローズ、お前も幸せにな」
俺たちはそう言葉を紡ぐとそれ以上は何も言わずに、それぞれの道へと歩き出した。俺は貴族の家を出てすぐにこう叫んだ、近所迷惑だったかもしれないが叫ばずにはいられなかった。
「だっ――――!? もうスリムの街から家までの距離どんだけあるんだと思ってるんだ。早馬を飛ばしたとしても二日はかかるぜ!!」
そんな俺に玄関に居た兵士たちがざわざわとしていたが、やがてその中の一人の兵士が俺に話しかけてきた。
「姫様をお助けしたという魔法使いはお前か?」
「そうだけど」
「姫様がそのお礼にもう一つ馬を贈りたいそうだ」
「さっすが、お姫様は気が利くね」
そうして俺は馬をつれて今日はシオンの街の厩つきの宿屋に泊まった、そして実際はその宿屋の影から闇にもぐって自分の家に帰った。
「たっだいま、ローズ。怒涛の二日間だったぜ、労わって」
「ラウル、おかえりなさい。無事でなによりも嬉しいわ、疲れたのね。後で詳細を教えてね」
俺は優しく迎えてくれるローラを抱きしめてキスをした、ローラからもキスを返されて幸せだった。
「というわけでクラーケン退治をしたと思ったら、プリムローズに雇われてさ。実際危なそうだったから放っておけなかったんだ。もちろん浮気はしてないよ!!」
「プリムローズ様かぁ、侍女の私にも優しくて良い方だったわ。本当に浮気しなかったのかしら」
「俺ローラが一番好きだし愛してる、浮気何てするわけない」
「ふふっ、いいわ。信じてあげる、それじゃ、シオンの街から馬で二日移動してこなきゃいけないのね」
「馬に乗るのに、腰ががくがくでもいけないからローラも抱けない、ごめん。二日待ってて」
「私はそれより大変なことがあるような気がするわ、だから旅の支度をしておくわね」
そうして俺は自宅でお風呂に入って食事してローラを抱きしめて眠った、次の日は朝早くに起きるとローラにキスをして、闇から闇を渡ってシオンの街の宿屋に戻った。そしてあまり美味しくないパンを朝食に厩から馬を出すとシオンの街の開門を待った、それから開門次第すぐにグールドの街へと馬で駆けていった。そうして夕方グールドの街について、厩付の宿屋に馬を預けて部屋に入ると、ローラの待つ自宅に闇を通じて戻った。
「ただいま、ローラ。あと一日だよ」
「おかえりなさい、ラウル。噂が広がっているわよ」
「それ一体どんな噂かな?」
「姫君を守って戦った、凄い氷の魔法使いがいるって」
「ありゃ、そりゃヤバイ」
「きっと帰ってきたら、またお城にお呼び出しね」
俺はがくっと肩を落としてローラに抱き着いた、ローラはそんな俺のことを優しく抱きしめて背中をさすってくれた。ドロールの街に帰ってきたら絶対にお城に呼び出しがあるとしても、俺は帰らないわけにもいかなかった。それにこの場から逃げ出したところでディアトロフィ王国にいれば、いずれは見つかってしまうことになるのだった。俺はこの国ともお別れかもなと思って、ローラの用意してくれたお湯にゆっくりと入って、いつもどおり美味しいローラの夕食を食べた。そうして一緒に眠った、旅支度をしておくと言ったローラだ、事情は大体分かっているようだった。そうして俺はドロールの街に帰って来て、冒険者ギルドでクラーケン退治の報酬と、クラーケンの魔石を売って金にした。すると兵士が二人入ってきた。
「ラウル殿、城までご同行願います」
「マジかよ~」
そうして俺はそのままお城に連れていかれた、いつだったかの試験以来だったが、今回も試験が俺を待っていた。そこにはエルフィール・モネ―タ・ヴァイトシャフト、公爵令嬢がいた。俺の顔など見たくもないというふうにがるると唸っていた。俺も君の顔は見たくなかった、だってこれって絶対にあれじゃんかと思った。
「我が国で一番に優秀な水の魔法使いを決め直し致します」
「そんなっ、私エルフィールが一番優秀な水の魔法使いです!!」
「そうです、俺もそう思います」
エルフィールが一番だというので、俺はその意見に賛成したのだが、試験官である男は情報通でもあったようだ。
「おかしいですね、ラウル殿は最近我が国の姫を守るために、一度の百人の盗賊を氷の槍で始末したと伺っております。それほど優秀な魔法使いなら、ここでも本気をお見せください」
「ひっ、百!? なっ、なんてことないわね。私だってそれくらいできるわ!!」
「さっすがエルフィール、よしその本気を見せてやれ!!」
そうしてエルフィールは深く呼吸をして体をほぐし、最高の力を出すべく強く集中していた。そうしてエルフィールは叫んだ。
「”氷の槍・百連”」
エルフィールの言葉と共に百本くらいの氷の槍が落ちてきた、俺は良かったと思いながら見るとエルフィールは呆然としていた。恐らく初めて成功させた大技だったのだ。それでことが丸く収まったと思ったのに、試験官の男は尚も俺に言った。
「次はラウル殿の力を見せて貰いましょう」
「えっ、マジで?」
「真面目に申しております、どうぞ。ラウル殿」
「ええとそれじゃ、”氷の槍・百連”」
俺は百と入ったが実際には水の精霊に五十本くらいでよろしくと頼んだ、その望みのとおりに氷の槍は五十本程度しか落ちてこなかった。セーフ、これでセーフでしょ。と俺はおもったのだが、この試験官はしつこかった。
「ラウル殿、全力をお出しください」
「そうです、全力です!! 俺の全力ですとも、頑張りました!!」
「それではラウル殿のご細君に剣をつきつけましょうか、街まで行ってお呼びする必要がありますな」
「――――――!?」
ぶっつんと何かが切れたような音がした気がする、気が付くと俺は試験官の男の胸ぐらをつかんで持ち上げていた。
「くっ、苦しっ」
「いいかい試験官のおっさん良いことを教えてやるよ、お前らがローラの首に剣をつきつけていたらなこうなるんだよ!!」
その次の瞬間から試験場に無数の氷の槍が降り始めた、エルフィールは厚く硬い氷のドームを作り出して自分の身を守ったつもりだったが、俺の氷の槍はどのドームすら貫いた。まるで止む気配がないように氷の槍は降りそそぎ続けた、エルフィールは俺の足元にうずくまって氷の槍を今度は避けていた。よく見れば試験官の男も氷の槍に当たって死んでいた、俺は足元にうずくまっていたエルフィールを捕まえてこう言った。
「エルフィール、お前はラウルという男が魔力暴走を起こして死んだと言え」
「生きとるではないか、そんな嘘すぐにバレる!!」
「それじゃ魔力暴走を起こして行方不明だと言え」
「それならまぁ、誤魔化せないことも無いわ。って何で私がお前に協力を!?」
俺はエルフィールの喉のところを指さして闇の契約、奴隷契約生きていることを改めて伝えた、なんならエルフィールへの命令にしてもいいのだ。だがその場合命令に従えなかったら、エルフィールは死ぬほどの痛みを味わいながら死ぬことになるのだ。
「俺は命令でもいいけど、どうする。エルフィール?」
「あっ、ごめん。お姫様、ちょっと手が滑っちゃった」
「手が滑ったのなら仕方ないことですわ、兵士達。この兵士長は私に無礼を働きましたので、身分はく奪の上の死刑としました。さぁ、早くシオンの街まで行きましょう」
俺はそういえばこのおっさんもプリムローズの護衛で、レオパール王国に来たことあったなと思い出した。だから俺の名前を言わせる前に剣で喉を横に掻っ切った、綺麗なお姫様に血なんかつけるわけにはいかないから、ちょっと風の精霊に血が馬車や俺とお姫様にかからないようにして貰った。そうして俺と兵士たちは馬で、プリムローズは馬車でシオンの街を目指した。おかげで夜の閉門に何とか間に合うことができた、プリムローズのこともここの貴族にたくすことができた。
「この街には叔父上がいるの、だからラウルもう大丈夫よ」
「ははーっ、プリムローズ様からの優しい労いの言葉に感謝致します」
「全くもう普通に喋ってったら、喋ってくれないと報酬あげないんだから!?」
「そりゃ困る、報酬くれ」
「ふふっ、やっぱり面白い人、貴方と結婚できなかったことが残念だわ。はい、報酬。金貨百枚分に値する金の輪が二つよ」
「プリムローズはやっぱり気が利くな、ありがとよ。街でアクセサリ屋を探す手間が減る」
「それじゃ、さようなら。ラウル、奥様によろしくね」
「ああ、さようなら。プリムローズ、お前も幸せにな」
俺たちはそう言葉を紡ぐとそれ以上は何も言わずに、それぞれの道へと歩き出した。俺は貴族の家を出てすぐにこう叫んだ、近所迷惑だったかもしれないが叫ばずにはいられなかった。
「だっ――――!? もうスリムの街から家までの距離どんだけあるんだと思ってるんだ。早馬を飛ばしたとしても二日はかかるぜ!!」
そんな俺に玄関に居た兵士たちがざわざわとしていたが、やがてその中の一人の兵士が俺に話しかけてきた。
「姫様をお助けしたという魔法使いはお前か?」
「そうだけど」
「姫様がそのお礼にもう一つ馬を贈りたいそうだ」
「さっすが、お姫様は気が利くね」
そうして俺は馬をつれて今日はシオンの街の厩つきの宿屋に泊まった、そして実際はその宿屋の影から闇にもぐって自分の家に帰った。
「たっだいま、ローズ。怒涛の二日間だったぜ、労わって」
「ラウル、おかえりなさい。無事でなによりも嬉しいわ、疲れたのね。後で詳細を教えてね」
俺は優しく迎えてくれるローラを抱きしめてキスをした、ローラからもキスを返されて幸せだった。
「というわけでクラーケン退治をしたと思ったら、プリムローズに雇われてさ。実際危なそうだったから放っておけなかったんだ。もちろん浮気はしてないよ!!」
「プリムローズ様かぁ、侍女の私にも優しくて良い方だったわ。本当に浮気しなかったのかしら」
「俺ローラが一番好きだし愛してる、浮気何てするわけない」
「ふふっ、いいわ。信じてあげる、それじゃ、シオンの街から馬で二日移動してこなきゃいけないのね」
「馬に乗るのに、腰ががくがくでもいけないからローラも抱けない、ごめん。二日待ってて」
「私はそれより大変なことがあるような気がするわ、だから旅の支度をしておくわね」
そうして俺は自宅でお風呂に入って食事してローラを抱きしめて眠った、次の日は朝早くに起きるとローラにキスをして、闇から闇を渡ってシオンの街の宿屋に戻った。そしてあまり美味しくないパンを朝食に厩から馬を出すとシオンの街の開門を待った、それから開門次第すぐにグールドの街へと馬で駆けていった。そうして夕方グールドの街について、厩付の宿屋に馬を預けて部屋に入ると、ローラの待つ自宅に闇を通じて戻った。
「ただいま、ローラ。あと一日だよ」
「おかえりなさい、ラウル。噂が広がっているわよ」
「それ一体どんな噂かな?」
「姫君を守って戦った、凄い氷の魔法使いがいるって」
「ありゃ、そりゃヤバイ」
「きっと帰ってきたら、またお城にお呼び出しね」
俺はがくっと肩を落としてローラに抱き着いた、ローラはそんな俺のことを優しく抱きしめて背中をさすってくれた。ドロールの街に帰ってきたら絶対にお城に呼び出しがあるとしても、俺は帰らないわけにもいかなかった。それにこの場から逃げ出したところでディアトロフィ王国にいれば、いずれは見つかってしまうことになるのだった。俺はこの国ともお別れかもなと思って、ローラの用意してくれたお湯にゆっくりと入って、いつもどおり美味しいローラの夕食を食べた。そうして一緒に眠った、旅支度をしておくと言ったローラだ、事情は大体分かっているようだった。そうして俺はドロールの街に帰って来て、冒険者ギルドでクラーケン退治の報酬と、クラーケンの魔石を売って金にした。すると兵士が二人入ってきた。
「ラウル殿、城までご同行願います」
「マジかよ~」
そうして俺はそのままお城に連れていかれた、いつだったかの試験以来だったが、今回も試験が俺を待っていた。そこにはエルフィール・モネ―タ・ヴァイトシャフト、公爵令嬢がいた。俺の顔など見たくもないというふうにがるると唸っていた。俺も君の顔は見たくなかった、だってこれって絶対にあれじゃんかと思った。
「我が国で一番に優秀な水の魔法使いを決め直し致します」
「そんなっ、私エルフィールが一番優秀な水の魔法使いです!!」
「そうです、俺もそう思います」
エルフィールが一番だというので、俺はその意見に賛成したのだが、試験官である男は情報通でもあったようだ。
「おかしいですね、ラウル殿は最近我が国の姫を守るために、一度の百人の盗賊を氷の槍で始末したと伺っております。それほど優秀な魔法使いなら、ここでも本気をお見せください」
「ひっ、百!? なっ、なんてことないわね。私だってそれくらいできるわ!!」
「さっすがエルフィール、よしその本気を見せてやれ!!」
そうしてエルフィールは深く呼吸をして体をほぐし、最高の力を出すべく強く集中していた。そうしてエルフィールは叫んだ。
「”氷の槍・百連”」
エルフィールの言葉と共に百本くらいの氷の槍が落ちてきた、俺は良かったと思いながら見るとエルフィールは呆然としていた。恐らく初めて成功させた大技だったのだ。それでことが丸く収まったと思ったのに、試験官の男は尚も俺に言った。
「次はラウル殿の力を見せて貰いましょう」
「えっ、マジで?」
「真面目に申しております、どうぞ。ラウル殿」
「ええとそれじゃ、”氷の槍・百連”」
俺は百と入ったが実際には水の精霊に五十本くらいでよろしくと頼んだ、その望みのとおりに氷の槍は五十本程度しか落ちてこなかった。セーフ、これでセーフでしょ。と俺はおもったのだが、この試験官はしつこかった。
「ラウル殿、全力をお出しください」
「そうです、全力です!! 俺の全力ですとも、頑張りました!!」
「それではラウル殿のご細君に剣をつきつけましょうか、街まで行ってお呼びする必要がありますな」
「――――――!?」
ぶっつんと何かが切れたような音がした気がする、気が付くと俺は試験官の男の胸ぐらをつかんで持ち上げていた。
「くっ、苦しっ」
「いいかい試験官のおっさん良いことを教えてやるよ、お前らがローラの首に剣をつきつけていたらなこうなるんだよ!!」
その次の瞬間から試験場に無数の氷の槍が降り始めた、エルフィールは厚く硬い氷のドームを作り出して自分の身を守ったつもりだったが、俺の氷の槍はどのドームすら貫いた。まるで止む気配がないように氷の槍は降りそそぎ続けた、エルフィールは俺の足元にうずくまって氷の槍を今度は避けていた。よく見れば試験官の男も氷の槍に当たって死んでいた、俺は足元にうずくまっていたエルフィールを捕まえてこう言った。
「エルフィール、お前はラウルという男が魔力暴走を起こして死んだと言え」
「生きとるではないか、そんな嘘すぐにバレる!!」
「それじゃ魔力暴走を起こして行方不明だと言え」
「それならまぁ、誤魔化せないことも無いわ。って何で私がお前に協力を!?」
俺はエルフィールの喉のところを指さして闇の契約、奴隷契約生きていることを改めて伝えた、なんならエルフィールへの命令にしてもいいのだ。だがその場合命令に従えなかったら、エルフィールは死ぬほどの痛みを味わいながら死ぬことになるのだ。
「俺は命令でもいいけど、どうする。エルフィール?」
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