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しおりを挟む「おかえりなさいませ、お嬢様。」
「ただいま~。急に帰ってきてごめんなさいね、庭園の花をどうしても見たかったの…」
お屋敷に着くと、屋敷勤めの執事やメイド達が出迎えてくれた。何故か皆様笑顔が怖い気がするのですが、何かあったのでしょうか…皆様お嬢様のことが大好きですので、急に帰って来たことに怒るような人達では無いはずなのですが。
「いえいえ、みんなお嬢様がお帰りになられるのを心待ちしておりました。早速準備して参ります。準備が終わるまでの間、旦那様と奥様におあいししてあげて下さいませ。お2人共お嬢様がいない間とても寂しがっておりましたので…」
「あら2人共王宮ではなくて、お屋敷に居るのね‼︎ 早速会いに行ってくるわ~。ジルお屋敷のお手伝いをお願いしても良いかしら?」
本当は片時もお嬢様の側を離れたくはありませんが、此処はお屋敷内で安全ですし親子水入らずの時間を邪魔する訳には行きませんからね…
「分かりましたお嬢様。準備が出来ましたら、呼びに行きます」
「ありがとうジル~、それじゃあ行ってくるわ」
お嬢様の背が見えなくなるまで見送ってから、私もお屋敷の皆様と一緒に早速準備に取り掛かった。
コンコンコン
「エルミーユです。お父様、お母様、ただいま戻りました。扉を開けてもよろしいでしょうか?」
返事が返ってくる前に目の前の扉が勢いよく開き、私と同じ髪色をした男の人が抱きついてきた。
「エルミーユ良く戻ってきた。お父さんこのままエルミーユがジルと共に隣国に行っちゃうんじゃないかって心配で心配で…」
大の大人が半ベソで娘に抱きついてくるなんて…ほらお父様、お母様を見て?お母様も流石に呆れて……
「エルミーユちゃーん、おかえりなさい。良かった、ちゃんと私達も一緒に連れてってくれるのね…良かった、良かった」
お母様もですか…私そんなに薄情な娘に見えてるんですの?ちょっとショックですわ。
「お父様もお母様も…私が大切な2人を置いて行くわけないじゃないですか。もう、失礼しちゃいますわ」
泣きベソかいてる2人の頭を撫でながら、そう言った。もう大切な家族を置いていくほど私は冷淡でも薄情でもはないですわ……
「……ところで何故此処に貴方が居るのでしょうか、国王陛下?」
お父様とお母様にびっくりして、一瞬気づかなかったのは内緒ですけど、何故公爵家の家に国王陛下がいるのかしら…
「君が送ってくれた映像を観たオレリエット公爵が、王宮を飛び出してな……今すぐこの国から出ていくと叫ぶもんだから、慌てて追いかけてきたのだ…」
あらら…お父様ったら仕事放り出して帰って来ちゃったのね。一応宰相何だから、今度からは私よりも仕事を優先してね?まぁ#今度・・__#があればですけど。
「お母さんも王妃様とのお茶会抜け出してきちゃった」
テヘッってしてもアウトですわお母様…まぁ、あの#殿下_バカ__#との一波乱を映像化して送りつけた私が文句を言うのはおかしいわね…ちゃんと届けてくれた、小鳥さん達には後でお礼言わなきゃね。
「そうだったんですね…という事ですので国王陛下、私達本日中にこの国から出て行きますのでよろしくお願いします」
「……うちの馬鹿息子が失礼をした。考え直してはくれないか?」
国王陛下が席を立ち、私に向かって頭を下げた。私としてはこの国から出て行く口実がやっと出来たので、絶対嫌ですわ。
「元はと言えば、お前があの馬鹿にエルミーユは婚約者候補から外れたと言わなかったのがいけなかったんどろう‼︎」
「そうよ。ハニートラップにあっさり引っかかって、ろくな証拠なくエルミーユちゃんに罪を被せようとしる王子がいる国からはとっとと出て行きますわ‼︎」
国王陛下と王妃様、お父様とお母様は昔からの仲なのである程度の暴言は許されます。国王陛下には悪いですけど、どんどん言っちゃって下さいませ。
「お前の息子が聖女(笑)とちちくり合ってた時に、隣国との貿易の拡大、我が国の衛生面の向上に、識字率の大幅な増加…それらをたった1人で解決したのは誰だ国王陛下?」
「…お前達の娘エルミーユだ」
「国民に聖女だと崇められてるエルミーユちゃんを、ただ魔力が膨大なだけで何の役にも立たない小娘の証言だけで罪人に仕立て上げたのは、どちらの方でしたっけ?」
「…バスチアン……私の馬鹿息子です……」
国王陛下が段々小さくなって行きます。見てて何だか可哀想になってきましたけど、あそこまでチャランポランな馬鹿が出来上がったのは貴方達の教育不足ですので助ける気はさらさらありません。
まぁでも後ちょっとで、迎えにきてくれるはずだから国王陛下良かったですね?
お国の大切な人材を己の醜い嫉妬で苛め王妃に向いない奴が、抵抗なく国外追加を受け入れてるんですから。
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