異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

異文

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混血系大公編:第二部

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 私はビョルンと顔を見合わせて笑って、ヴァレさんのところへ近づいていった。
「ほら、見てくれ!ちゃんと準備してきたよ」
 そうやって得意顔でヴァレさんが見せて来たのは、来る時に被っていた茶髪のウィッグと黒縁の伊達メガネだった。
「あっ、そのメガネ…」
「覚えているかい?君が作ってくれたものだよ」
 もちろん、覚えている。ヴァレさんは見た目が派手だから、とにかくどこに行っても注目を集める人なのよね。だけどどうしても任務上目立たないようにしなきゃいけない時があって、その時に依頼されて私が制作したものだ。眼鏡にはごく軽い認識阻害の附術が刻んであるので、これを掛けている間ヴァレさんの顔は他者から認識されにくくなる。超イケメンで目立ちまくるヴァレさんの顔も、地味顔のフツメンに見えてしまうのだ。帝都内で一番多い髪色は茶色なので、あとは茶髪のウィッグをつければどこにでもいそうな青年に早変わりできる、というわけだ。
「いいですね。服ももう少し庶民臭いのありません?」
「おや、これだけじゃ駄目かい?」
「設定にもよりますけど。3番街を歩くには仕立てが良すぎないです?まぁ傭兵団の依頼主の貴族か豪商って感じなら変じゃないかな…?」
「そうか…確かに、そうだな。だが私が以前着ていたような服は、侍従たちに全て処分されてしまってね」
 まぁ、そりゃあそうか。時の皇帝陛下に、薄汚れたような庶民服を着せる侍従はおるまい。
 でも認識阻害の附術は相手から認識されにくくはなるけれど、不自然さがあると相手に疑念を抱かれて見破られやすくなってしまう。だからなるべく違和感がないようにする必要があるんだけどな。
「やっぱりかつての傭兵仲間、ってのが一番いいんじゃないか?各地を渡り歩いている奴も多いから、俺たちが見慣れない人間を連れ歩いていても不自然じゃない」
 ビョルンの言葉に、ヴァレさんが嬉しそうに頷く。
「ああ、いいね!私も気兼ねなく、あの頃の気分を味わいたい」
 確かに、それが一番よさそうだ。かつてしていたことだから、私たちも自然に振舞える。
「じゃあ決まりで!ロルフ、ヴァレさんに服貸してあげてね」
「あ?なんで俺が!」
 嫌そうな声を上げるけれど、一番背格好が似てるのロルフだもん。ビョルンのじゃ絶対ブカブカになっちゃうし。
「悪いね、ロルフ。いい酒を持ってきたからさ」
 そう言って残っていた荷物の中から、ヴァレさんがスッとワインの瓶を取り出す。ロルフは眉間に皺を寄せつつ、手渡されたそれのコルクをポンと抜いて、瓶に鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。
「テメェ…まさか…!」
 ロルフがカッと目を見開いてヴァレさんを見る。それを受けたヴァレさんがニヤリと、悪そうな笑みを浮かべる。?と疑問符を浮かべて、顔を見合わせるビョルンと私。
「皇室献上品だよ…。さすがの君でも、これは手に入れられないだろ?」
「マジかよ…!あのクソジジイの…カリタス修道院とこのか?!」
「もちろん。酒に関しては、カリタスの右に出るところはないよ」
「Oh my god…!」
 信仰心なんてほぼゼロのロルフが、神の名を口にしたぞ!まぁ単なる慣用句だろうけど。
 カリタス修道院って確か、ロルフが子ども時代に読み書き覚えるために通ってたところよ ね。婚約した時に挨拶しに行った、ファンキーなおじいちゃん修道士がいるところだ。
「どんだけ交渉しても売らねぇし結婚祝いにも寄越さねぇから、なんとか盗み出してやろうと計画立ててたんだがよ…」
「おぉい!」
 思わずロルフの胸板に、バシっと裏拳を叩きこむ。さらっと犯罪計画を口にするんじゃない!
「しゃーねぇだろ、あのジジィ、ガードがクソ固ェんだよ。クソ、マジか、あの酒がいま俺の目の前に…!」
 ロルフが興奮しながらワインのコルクを再び閉める。
「おい、服貸しゃァコイツをくれんのか?」
 ロルフが期待に満ちた顔でヴァレさんを見るも、彼は口の端をちょっと上げて、意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「まさか。皇室献上品だよ?下賜の対象として希望されることもあるんだからね?さすがに割に合わないと思わないか?せいぜい、一口くらいだよ」
「一口だと?!クソッ、そんなんで足りるかよ!」
「はは、相変わらず、酒に目がないなァ」
 ヴァレさんが笑いながらこちらを見たので、私は頷いて席を立ち、ミニキッチンの後ろにある棚からショットグラスを持ってきた。
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