188 / 198
混血系大公編:第一部
70
しおりを挟む
「仕方ない。ロルフ、私の魔術に耐えられるか?傷の治りを促進させる程度の術なら編める。もちろん激しい運動は駄目だが、出血しない程度にはなると思う」
「う。しゃーねぇな…やってくれ」
麻酔すら嫌がってたのに…そこまでする?ビョルンが解放すると、ロルフはソファに座り直す。すぐにイスが魔術を紡ぎ、ロルフの顔色がみるみる悪くなる。ただ以前魔法陣を編み込んだ時にくらべれば、腕だけな分全然マシっぽいけど…。
呆れた目でそれを見ていると、ビョルンが隣にやってきた。
「…お前、3人揃ってるから回避しようとしてたな?」
私にだけ聞こえるくらいの声で言われ、ギクリと肩を揺らす。
「任務を入れたりして、できるだけ3人重ならないようにしていたものな」
「う…ッ」
ビョルンさんには、わかってたんだね。完全に図星で、言葉に詰まってしまう。
「…だって、前に3人とした時、すごく大変だったし…」
「…まぁ、あれは確かに、いつにない盛り上がりだったが…」
ビョルンは、口元を手で覆い隠して答える。でも目元が緩んでいるので、声は神妙にしてるけどちょっとニヤついてない?
ジロリと睨んでやると、咳払いしてビョルンが口を開いた。
「もし、本気で嫌なら…俺から言って聞かせるぞ。家庭内の輪を保つ上で公平であることは大事だが、お前が嫌なことを我慢させたいわけじゃない」
「ビョルン…」
彼の大きな右手で優しく頭を撫でられて、心が温かくなる。ビョルンはいつも、私のことを気遣ってくれる。私の気持ちを汲むのも上手だ。それがすごく嬉しい。
…でも。
「教えてくれ。3人でするのは嫌か?」
ビョルンの手が首筋に触れ、指がスルリと撫でていく。深くて青い瞳に見つめられて、あの時のことを思い出してしまう。
3対の目が、私を熱く見つめる。6本の腕が、私の肌を這いまわる。3つの舌が、私の体を弄る。そして3本の、3本のアレが…。
コクリ、と喉を鳴らす。青い瞳の奥で、情欲が炎のようにちらついているのが見える。同時に、獣のようにギラついた灰色の瞳と、魔力が漏れ出て金色に煌めく瞳を思い出す。
「嫌、か?」
「……嫌、じゃない……」
熱を持ったため息と共に、震える声を吐き出す。
「そうか。…今夜が楽しみだ」
「………」
ビョルンの右手が腰に回る。引き寄せられるまま彼の体に身を寄せ、鍛え上げられた厚みのある胸に頭を預けて、目を伏せる。
…彼は、私を追い詰めるのも上手だ。
ドキドキする胸を押さえて呼吸を整えながら、ロルフの治療が終わるのを待った。
イスの魔力が徐々に収束し、金色に輝いていた瞳がいつもの琥珀色に戻る。
「よし、終わりだ」
「…あ”ーー!!クソ気持ち悪ィ!!!」
イスが魔術を紡ぎ終わるなり、ロルフは私の方に突進してきた。
「ぐえッ」
「シャーラ!魔力流せ!早く!」
「あぁ、はいはい…」
覆いかぶさるように抱きしめられて、腰が折れそうなんだけど…。仰け反ってほぼロルフに体重を預けた状態で、彼に魔力を流す。少しすると落ち着いたのか、ロルフの力が少し緩んで「ハァーッ」と深いため息が聞こえた。
「あぁ、クソ。やばかった…」
「え、そんなに?」
イスを見ると、彼はコクリと頷いた。
「最初だからな、長めにやった。明日以降はもっと短い」
「へぇ、毎日やるんだ」
「やらなくてもいいが、やった方が治りが早い」
「なるほど」
イスと話している間にロルフがゴソゴソと動きお尻を揉み始めたので、ペシっと腕を叩いて嗜めた。
「ほらロルフ、ソファに座って!」
「何でだよ、帰んねーの?」
「モルサスが出たんでしょ?報告書作って騎士団に提出するから」
「あー…買取所にゃ言っといたけどな。そっから伝わるんじゃねーの?」
「伝わっても詳細まではわかんないでしょ?絶対後から報告書の提出要求されるから、先に準備しておくの」
「めんどくせー…」
「これも大事なお仕事!」
強い口調で言うとロルフはやや不満げに鼻を鳴らして、私を抱え上げるとソファに乱暴に腰を下ろした。
「うわっ」
ソファに座ったロルフの膝の上に、横抱きで乗せられる。
「何この体勢…」
「報告。そのピアスで録音すんだろ?直接聞かせてやるよ」
ガブっと左耳を噛んで、ピアスを包み込むようにチュルっと舐められる。
もう!
「報告書作るのは事務の子がやるの。変な音入れないでよ」
「チッ、ケチくせぇな」
「とか言いつつ揉むな!」
胸を揉むロルフの手を払い、私はピアスに触れて録音データをリセットした。さっきロルフが舐めた時、作動して何か音声が入ってると嫌だからね。
「抱っこしたままでもいいけど、ちゃんと報告はしてよ?」
「「抱っこ…」」
ビョルンとロルフが同時に呟く。う。子どもっぽい言い方だったかな?なんだか急に恥ずかしくなってしまう。
「なぁロルフ、俺もシャーラを『抱っこ』したい」
「いいな、私も『抱っこ』したい」
「あぁ?いま俺が『抱っこ』してんだよ!」
男3人がニヤニヤしながら(イスは無表情だけど)やり始めたので、イラッとしてロルフの胸をバシバシ叩いてやる。
「えぇい、抱っこ抱っこ強調すんな!ホラ、さっさと終わらせて帰るよ!私は美味しいもの食べたいしお風呂も入りたいの!」
「へいへい」
やる気のない表情のロルフと苦笑するビョルン、ほんのちょっとだけ口角を上げたイスを促して、ようやく聞き取りを開始した。
「う。しゃーねぇな…やってくれ」
麻酔すら嫌がってたのに…そこまでする?ビョルンが解放すると、ロルフはソファに座り直す。すぐにイスが魔術を紡ぎ、ロルフの顔色がみるみる悪くなる。ただ以前魔法陣を編み込んだ時にくらべれば、腕だけな分全然マシっぽいけど…。
呆れた目でそれを見ていると、ビョルンが隣にやってきた。
「…お前、3人揃ってるから回避しようとしてたな?」
私にだけ聞こえるくらいの声で言われ、ギクリと肩を揺らす。
「任務を入れたりして、できるだけ3人重ならないようにしていたものな」
「う…ッ」
ビョルンさんには、わかってたんだね。完全に図星で、言葉に詰まってしまう。
「…だって、前に3人とした時、すごく大変だったし…」
「…まぁ、あれは確かに、いつにない盛り上がりだったが…」
ビョルンは、口元を手で覆い隠して答える。でも目元が緩んでいるので、声は神妙にしてるけどちょっとニヤついてない?
ジロリと睨んでやると、咳払いしてビョルンが口を開いた。
「もし、本気で嫌なら…俺から言って聞かせるぞ。家庭内の輪を保つ上で公平であることは大事だが、お前が嫌なことを我慢させたいわけじゃない」
「ビョルン…」
彼の大きな右手で優しく頭を撫でられて、心が温かくなる。ビョルンはいつも、私のことを気遣ってくれる。私の気持ちを汲むのも上手だ。それがすごく嬉しい。
…でも。
「教えてくれ。3人でするのは嫌か?」
ビョルンの手が首筋に触れ、指がスルリと撫でていく。深くて青い瞳に見つめられて、あの時のことを思い出してしまう。
3対の目が、私を熱く見つめる。6本の腕が、私の肌を這いまわる。3つの舌が、私の体を弄る。そして3本の、3本のアレが…。
コクリ、と喉を鳴らす。青い瞳の奥で、情欲が炎のようにちらついているのが見える。同時に、獣のようにギラついた灰色の瞳と、魔力が漏れ出て金色に煌めく瞳を思い出す。
「嫌、か?」
「……嫌、じゃない……」
熱を持ったため息と共に、震える声を吐き出す。
「そうか。…今夜が楽しみだ」
「………」
ビョルンの右手が腰に回る。引き寄せられるまま彼の体に身を寄せ、鍛え上げられた厚みのある胸に頭を預けて、目を伏せる。
…彼は、私を追い詰めるのも上手だ。
ドキドキする胸を押さえて呼吸を整えながら、ロルフの治療が終わるのを待った。
イスの魔力が徐々に収束し、金色に輝いていた瞳がいつもの琥珀色に戻る。
「よし、終わりだ」
「…あ”ーー!!クソ気持ち悪ィ!!!」
イスが魔術を紡ぎ終わるなり、ロルフは私の方に突進してきた。
「ぐえッ」
「シャーラ!魔力流せ!早く!」
「あぁ、はいはい…」
覆いかぶさるように抱きしめられて、腰が折れそうなんだけど…。仰け反ってほぼロルフに体重を預けた状態で、彼に魔力を流す。少しすると落ち着いたのか、ロルフの力が少し緩んで「ハァーッ」と深いため息が聞こえた。
「あぁ、クソ。やばかった…」
「え、そんなに?」
イスを見ると、彼はコクリと頷いた。
「最初だからな、長めにやった。明日以降はもっと短い」
「へぇ、毎日やるんだ」
「やらなくてもいいが、やった方が治りが早い」
「なるほど」
イスと話している間にロルフがゴソゴソと動きお尻を揉み始めたので、ペシっと腕を叩いて嗜めた。
「ほらロルフ、ソファに座って!」
「何でだよ、帰んねーの?」
「モルサスが出たんでしょ?報告書作って騎士団に提出するから」
「あー…買取所にゃ言っといたけどな。そっから伝わるんじゃねーの?」
「伝わっても詳細まではわかんないでしょ?絶対後から報告書の提出要求されるから、先に準備しておくの」
「めんどくせー…」
「これも大事なお仕事!」
強い口調で言うとロルフはやや不満げに鼻を鳴らして、私を抱え上げるとソファに乱暴に腰を下ろした。
「うわっ」
ソファに座ったロルフの膝の上に、横抱きで乗せられる。
「何この体勢…」
「報告。そのピアスで録音すんだろ?直接聞かせてやるよ」
ガブっと左耳を噛んで、ピアスを包み込むようにチュルっと舐められる。
もう!
「報告書作るのは事務の子がやるの。変な音入れないでよ」
「チッ、ケチくせぇな」
「とか言いつつ揉むな!」
胸を揉むロルフの手を払い、私はピアスに触れて録音データをリセットした。さっきロルフが舐めた時、作動して何か音声が入ってると嫌だからね。
「抱っこしたままでもいいけど、ちゃんと報告はしてよ?」
「「抱っこ…」」
ビョルンとロルフが同時に呟く。う。子どもっぽい言い方だったかな?なんだか急に恥ずかしくなってしまう。
「なぁロルフ、俺もシャーラを『抱っこ』したい」
「いいな、私も『抱っこ』したい」
「あぁ?いま俺が『抱っこ』してんだよ!」
男3人がニヤニヤしながら(イスは無表情だけど)やり始めたので、イラッとしてロルフの胸をバシバシ叩いてやる。
「えぇい、抱っこ抱っこ強調すんな!ホラ、さっさと終わらせて帰るよ!私は美味しいもの食べたいしお風呂も入りたいの!」
「へいへい」
やる気のない表情のロルフと苦笑するビョルン、ほんのちょっとだけ口角を上げたイスを促して、ようやく聞き取りを開始した。
0
お気に入りに追加
1,029
あなたにおすすめの小説
異世界の学園で愛され姫として王子たちから(性的に)溺愛されました
空廻ロジカ
恋愛
「あぁ、イケメンたちに愛されて、蕩けるようなエッチがしたいよぉ……っ!」
――櫟《いちい》亜莉紗《ありさ》・18歳。TL《ティーンズラブ》コミックを愛好する彼女が好むのは、逆ハーレムと言われるジャンル。
今夜もTLコミックを読んではひとりエッチに励んでいた亜莉紗がイッた、その瞬間。窓の外で流星群が降り注ぎ、視界が真っ白に染まって……
気が付いたらイケメン王子と裸で同衾してるって、どういうこと? さらに三人のタイプの違うイケメンが現れて、亜莉紗を「姫」と呼び、愛を捧げてきて……!?
男女比がおかしい世界にオタクが放り込まれました
かたつむり
恋愛
主人公の本条 まつりはある日目覚めたら男女比が40:1の世界に転生してしまっていた。
「日本」とは似てるようで違う世界。なんてったって私の推しキャラが存在してない。生きていけるのか????私。無理じゃね?
周りの溺愛具合にちょっぴり引きつつ、なんだかんだで楽しく過ごしたが、高校に入学するとそこには前世の推しキャラそっくりの男の子。まじかよやったぜ。
※この作品の人物および設定は完全フィクションです
※特に内容に影響が無ければサイレント編集しています。
※一応短編にはしていますがノープランなのでどうなるかわかりません。(2021/8/16 長編に変更しました。)
※処女作ですのでご指摘等頂けると幸いです。
※作者の好みで出来ておりますのでご都合展開しかないと思われます。ご了承下さい。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
5人の旦那様と365日の蜜日【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
気が付いたら、前と後に入ってる!
そんな夢を見た日、それが現実になってしまった、メリッサ。
ゲーデル国の田舎町の商人の娘として育てられたメリッサは12歳になった。しかし、ゲーデル国の軍人により、メリッサは夢を見た日連れ去られてしまった。連れて来られて入った部屋には、自分そっくりな少女の肖像画。そして、その肖像画の大人になった女性は、ゲーデル国の女王、メリベルその人だった。
対面して初めて気付くメリッサ。「この人は母だ」と………。
※♡が付く話はHシーンです
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
【R-18】喪女ですが、魔王の息子×2の花嫁になるため異世界に召喚されました
indi子/金色魚々子
恋愛
――優しげな王子と強引な王子、世継ぎを残すために、今宵も二人の王子に淫らに愛されます。
逢坂美咲(おうさか みさき)は、恋愛経験が一切ないもてない女=喪女。
一人で過ごす事が決定しているクリスマスの夜、バイト先の本屋で万引き犯を追いかけている時に階段で足を滑らせて落ちていってしまう。
しかし、気が付いた時……美咲がいたのは、なんと異世界の魔王城!?
そこで、魔王の息子である二人の王子の『花嫁』として召喚されたと告げられて……?
元の世界に帰るためには、その二人の王子、ミハイルとアレクセイどちらかの子どもを産むことが交換条件に!
もてない女ミサキの、甘くとろける淫らな魔王城ライフ、無事?開幕!
男女比が偏っている異世界に転移して逆ハーレムを築いた、その後の話
やなぎ怜
恋愛
花嫁探しのために異世界から集団で拉致されてきた少女たちのひとりであるユーリ。それがハルの妻である。色々あって学生結婚し、ハルより年上のユーリはすでに学園を卒業している。この世界は著しく男女比が偏っているから、ユーリには他にも夫がいる。ならば負けないようにストレートに好意を示すべきだが、スラム育ちで口が悪いハルは素直な感情表現を苦手としており、そのことをもどかしく思っていた。そんな中でも、妊娠適正年齢の始まりとして定められている二〇歳の誕生日――有り体に言ってしまえば「子作り解禁日」をユーリが迎える日は近づく。それとは別に、ユーリたち拉致被害者が元の世界に帰れるかもしれないという噂も立ち……。
順風満帆に見えた一家に、ささやかな波風が立つ二日間のお話。
※作品の性質上、露骨に性的な話題が出てきます。
【R18】転生聖女は四人の賢者に熱い魔力を注がれる【完結】
阿佐夜つ希
恋愛
『貴女には、これから我々四人の賢者とセックスしていただきます』――。
三十路のフリーター・篠永雛莉(しのながひなり)は自宅で酒を呷って倒れた直後、真っ裸の美女の姿でイケメン四人に囲まれていた。
雛莉を聖女と呼ぶ男たちいわく、世界を救うためには聖女の体に魔力を注がなければならないらしい。その方法が【儀式】と名を冠せられたセックスなのだという。
今まさに魔獸の被害に苦しむ人々を救うため――。人命が懸かっているなら四の五の言っていられない。雛莉が四人の賢者との【儀式】を了承する一方で、賢者の一部は聖女を抱くことに抵抗を抱いている様子で――?
◇◇◆◇◇
イケメン四人に溺愛される異世界逆ハーレムです。
タイプの違う四人に愛される様を、どうぞお楽しみください。(毎日更新)
※性描写がある話にはサブタイトルに【☆】を、残酷な表現がある話には【■】を付けてあります。
それぞれの該当話の冒頭にも注意書きをさせて頂いております。
※ムーンライトノベルズ、Nolaノベルにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる