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混血系大公編:第一部
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いやー…アンリ、よくやってくれたわ、コレ。
「隊の皆に、特別ボーナス出さなきゃね…」
「マジで?報われるわ~」
「うん、ホント、よくやってくれたよ。ところで細かい事だけど、この「色々あった」って部分、なんで省略したの?」
ロルフがトラガスに触れて、の後の部分。報告書では何か書き掛けて、グチャグチャって訂正してあるのよね。そこに触れると、アンリとルーディが顔を見合わせて、ルーディがサッと顔を逸せてしまった。他の事務室にいる面々も、気まずそうに咳払いしたり視線を逸らしたりしている。…なんだ?
「あー、団長?それを聞くってことは、ロルフのトラガスが何か知らないってこと?ロルフは団長からもらったって前に言ってたけど」
「私から?…あー、あぁ!ロルフにねだられて、あげたやつかな?」
そういえば初夜の時にロルフにねだられて、自分のしていたピアスをあげた記憶がある。録音&イヤホンでの再生機能があるやつね。
「あれさー、これまでもロルフが苛ついた時とかに、よく触ってたんだよね。聞いたら録音した音が、自分にだけ聞こえるように再生できるって言ってたからさ。まぁ団長の声でも録音してんのかなって思ってたんだけど…」
そこでアンリがちょっと言い淀む。おおん?ロルフってば、いつの間に録音してたのかしら。そう思った所で、急に記憶が蘇る。待って、これを渡した時、確か再生方法だけ聞かれなかったっけ?(第1章参照)
「あー、ごめんね。団長、怒らないでね?」
「…内容による」
「待って俺悪くないよ?!あー、もう言わなくて…よくはないのね…」
私からのプレッシャーを感じたのか、アンリが観念して口を開く。
「もうどうにでもなれ!どうも拘束の魔道具で機能が壊れたみたいで、みんなに聞こえる音量で再生されちゃったの!その、団長とロルフが…セックスしてる時の声が!」
………。
「……アンリくぅん、なに、馬鹿げたこと言ってくれてんのぉ?」
パンッと軽く手を合わせて、その手をアンリに近づける。両手の間に、パリパリッと音を立てて小さな稲妻が走る。
「ちょい団長!それ雷撃でしょ?!俺に喰らわす気?!」
「私ホラ、魔道具の塔長と婚約したでしょ?魔道具作りが捗っちゃってさぁ…。新作の護身魔道具で、ふたりで籠められる威力の限界に挑戦してるのよねぇ~。試してみるぅ?」
「殺す気じゃん!!」
「大丈夫大丈夫、耐性の腕輪つけてるでしょ?威力軽減されて気絶するくらいよ。上手くいけば記憶が消し飛ぶから試してみようよ!」
「消し飛ばされる?!」
悲鳴を上げながら、アンリが逃げ回る。最終的にはルーディの後ろにサッと隠れたので、雷撃は断念せざるを得なかった。チッ、卑怯者め。
まぁとりあえずそのことは置いといて、「今の話は全員記憶から抹消しろ!今すぐに!」と全員に命令を下して、もう少し状況を整理することにした。
「それにしても、ロルフがその娘さんの気配に気づかないなんて、普通じゃ考えにくいんだけど…酒でも飲まされた?」
「出されたけど、アイツああいう場じゃ絶対出された酒を飲まないんだよね。薬の味に気づきにくいからさ」
「ああ…徹底してるわね」
ロルフは味覚も嗅覚も鋭いから、水なら薬を混ぜられた時わかるもんね。じゃあなんで、娘に気づけなかったんだろう?ロルフなら、部屋に入られた時点で寝てても目覚めそうなものだけど。
「…団長、覚えてる?ボナ・ノクテムで魔術師を潜入させる作戦があった時に、附術でローブ作ってたよね」
「ええ、覚えてるわよ」
認識を阻害するローブね。なんなら、ちょっと前に5番街に行った時に使用しましたし。
「俺たちが踏み込んだ時にロルフが持ってたローブ…多分伯爵の娘から引っぺがしたと思うんだけど…あのローブに、似てたんだよねぇ」
「…マジ?」
え、待って待って。あのローブって、今はサークルが管理してたはずよね?認識阻害なんて性質上犯罪に使われると困るから、かなり厳重に管理されていたはずなんだけど。
「シウ、ダービー伯家及び娘の嫁ぎ先に、サークルの魔術師はいる?」
「現時点では、そう言った情報は入っておりません」
「じゃあ、そこを重点的に、引き続き調査して。アンリ、そのローブ、さすがに持って来てはない?」
「…俺もちゃんと見たわけじゃないけど、部屋を出る時には見た記憶がないから…ロルフが、回収したかもしれない」
「わかった、見てくる。あ、アンリも報告これで全部なら休んでいいからね!」
「隊の皆に、特別ボーナス出さなきゃね…」
「マジで?報われるわ~」
「うん、ホント、よくやってくれたよ。ところで細かい事だけど、この「色々あった」って部分、なんで省略したの?」
ロルフがトラガスに触れて、の後の部分。報告書では何か書き掛けて、グチャグチャって訂正してあるのよね。そこに触れると、アンリとルーディが顔を見合わせて、ルーディがサッと顔を逸せてしまった。他の事務室にいる面々も、気まずそうに咳払いしたり視線を逸らしたりしている。…なんだ?
「あー、団長?それを聞くってことは、ロルフのトラガスが何か知らないってこと?ロルフは団長からもらったって前に言ってたけど」
「私から?…あー、あぁ!ロルフにねだられて、あげたやつかな?」
そういえば初夜の時にロルフにねだられて、自分のしていたピアスをあげた記憶がある。録音&イヤホンでの再生機能があるやつね。
「あれさー、これまでもロルフが苛ついた時とかに、よく触ってたんだよね。聞いたら録音した音が、自分にだけ聞こえるように再生できるって言ってたからさ。まぁ団長の声でも録音してんのかなって思ってたんだけど…」
そこでアンリがちょっと言い淀む。おおん?ロルフってば、いつの間に録音してたのかしら。そう思った所で、急に記憶が蘇る。待って、これを渡した時、確か再生方法だけ聞かれなかったっけ?(第1章参照)
「あー、ごめんね。団長、怒らないでね?」
「…内容による」
「待って俺悪くないよ?!あー、もう言わなくて…よくはないのね…」
私からのプレッシャーを感じたのか、アンリが観念して口を開く。
「もうどうにでもなれ!どうも拘束の魔道具で機能が壊れたみたいで、みんなに聞こえる音量で再生されちゃったの!その、団長とロルフが…セックスしてる時の声が!」
………。
「……アンリくぅん、なに、馬鹿げたこと言ってくれてんのぉ?」
パンッと軽く手を合わせて、その手をアンリに近づける。両手の間に、パリパリッと音を立てて小さな稲妻が走る。
「ちょい団長!それ雷撃でしょ?!俺に喰らわす気?!」
「私ホラ、魔道具の塔長と婚約したでしょ?魔道具作りが捗っちゃってさぁ…。新作の護身魔道具で、ふたりで籠められる威力の限界に挑戦してるのよねぇ~。試してみるぅ?」
「殺す気じゃん!!」
「大丈夫大丈夫、耐性の腕輪つけてるでしょ?威力軽減されて気絶するくらいよ。上手くいけば記憶が消し飛ぶから試してみようよ!」
「消し飛ばされる?!」
悲鳴を上げながら、アンリが逃げ回る。最終的にはルーディの後ろにサッと隠れたので、雷撃は断念せざるを得なかった。チッ、卑怯者め。
まぁとりあえずそのことは置いといて、「今の話は全員記憶から抹消しろ!今すぐに!」と全員に命令を下して、もう少し状況を整理することにした。
「それにしても、ロルフがその娘さんの気配に気づかないなんて、普通じゃ考えにくいんだけど…酒でも飲まされた?」
「出されたけど、アイツああいう場じゃ絶対出された酒を飲まないんだよね。薬の味に気づきにくいからさ」
「ああ…徹底してるわね」
ロルフは味覚も嗅覚も鋭いから、水なら薬を混ぜられた時わかるもんね。じゃあなんで、娘に気づけなかったんだろう?ロルフなら、部屋に入られた時点で寝てても目覚めそうなものだけど。
「…団長、覚えてる?ボナ・ノクテムで魔術師を潜入させる作戦があった時に、附術でローブ作ってたよね」
「ええ、覚えてるわよ」
認識を阻害するローブね。なんなら、ちょっと前に5番街に行った時に使用しましたし。
「俺たちが踏み込んだ時にロルフが持ってたローブ…多分伯爵の娘から引っぺがしたと思うんだけど…あのローブに、似てたんだよねぇ」
「…マジ?」
え、待って待って。あのローブって、今はサークルが管理してたはずよね?認識阻害なんて性質上犯罪に使われると困るから、かなり厳重に管理されていたはずなんだけど。
「シウ、ダービー伯家及び娘の嫁ぎ先に、サークルの魔術師はいる?」
「現時点では、そう言った情報は入っておりません」
「じゃあ、そこを重点的に、引き続き調査して。アンリ、そのローブ、さすがに持って来てはない?」
「…俺もちゃんと見たわけじゃないけど、部屋を出る時には見た記憶がないから…ロルフが、回収したかもしれない」
「わかった、見てくる。あ、アンリも報告これで全部なら休んでいいからね!」
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