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混血系大公編:第一部

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 イスって声に艶がある…っていうかぶっちゃけエロいなってずっと思ってたけど。そんな声で切なげに、しかも耳元で言われたら、エロさ倍増なんだけど!
「私は今日ずっと、焦らされて辛かった。だからお前のことも焦らしてやりたい」
「焦らしたつもりは、あッ、ないんだけどぉ…ッ」
 イスが耳たぶを噛んで、口に含んでチロっと舌を這わせる。熱い。熱い吐息が耳に吹き込まれて、背中がゾクゾクする。
「それに…私に快楽を強請るお前を見るのは、楽しい」
 変な性癖目覚めてない?!
 抗議したかったけど、イスはそれを塞ぐようにグチュっと耳の中に舌を入れてきた。
「あぁ…ッ」
 グチュグチュという卑猥な音が耳を犯す。お腹の奥がキュンと切なくなって、太ももを擦り合わせる。イスは舌と吐息で私の耳を弄(なぶ)りながら、服の上から右の乳首をグリグリ押しつぶしてくる。
 ああ、たまらない。
「イス、イスぅ…ッ!ごめ、ごめんね?あッ、これから、気を付けるから、許してぇ…ッ!」
「あぁ、シャハラ…」
 そう言ってイスは身を起こし、私の足を開いて自分の腰を押し付けてきた。私はイスの腰に足を絡めて、彼の硬いモノに自分の敏感な部分を押し付ける。イスが切なげに眉を寄せて、腰を振る。揺さぶられて、陰核が擦られて気持ちいい。でも下着越しだから物足りない。お願い、直に触って。肌を感じさせて。
 キスを交わして、イスのシャツのボタンを外す。露わになった褐色の肌を撫でまわす。はだけた服の裾から腕を回して、背中にしがみつく。イスの体を引き寄せて、首筋にキスをして舌を這わせる。
「ああ、クソ、もっと焦らしてやりたいのに…」
「んふ…」
 我慢できなくなってきたかな?精一杯の誘惑が功を奏して、嬉しくなる。
「ね、イス。早く。もっと、いっぱい、気持ちよくして…?」
 イスの手を取って、スカートの裾から胸に導く。
「あぁ…」
 イスは熱い息を吐きながら、下着の中に手を滑り込ませて来て…。
 そこでガチャっとドアが開く音がして、ふたりでビクッとして体が止まる。ドア向こうから現れたビョルンは、私達の姿を見てやや呆れたように息をついた。
「何だ、いま始まったところか?今までお喋りでもしてたのか?」
 そう言いながら、ズボンだけ履いて上半身裸のビョルンが近づいてきて、ベッドに腰掛ける。寒くないの?
「え…いや…」
 焦らしプレイ…とは言えずに口ごもっていると、イスが身を起こしながらシャツを脱ぎ捨てた。
「ビョルン、早急に高めて挿入するのだけが、セックスではないと思う」
「ほう、言ったな?俺のセックスは早急だと?」
 そう言いながら、ビョルンの大きな手の平が私のお腹を撫でる。口論するなら私抜きでやってくれませんかねぇ?
「お前のモノは大きい。その割には、慣らしが少ないんじゃないか?」
「な…ッ!それは、シャーラがオレの大きさに慣れたからだ。最初に俺がどれだけ我慢して慣らしたか…!」
「残念だがビョルン、彼女の中はそれほど広がっていない。というより、一度広がっても継続しなければ元に戻ってしまう。これは元から彼女に施されていた魔法陣に、身体を修復する効力があるからだ」
 え、なんの話?キョトンとするものの、イスはビョルンの方を向いているので気づかず話を続ける。
「なんだと…?!いや、しかし、俺のでオーガズムしていたじゃないか…!」
 なぁ?!と同意を求められて、「ほへぇ」と変な声が出てしまう。いや、何の会話よこれ。
「あれは私が施した魔法陣の効力だ。精液を魔力に変換させる時に魔法陣が発動して熱を持つのと、彼女の魔力は私たち全員の魔力と相性がいいから、お互いの魔力が混じり合う際に快感を伴うようだ。だから慣れたというのは違う」
「何てこった…」
 ビョルンがショックをうけている。イヤだから、この会話なに。
「シャーラ、その、痛かったのか…?」
「え?いや、気持ちよかったよ。まぁ挿入時は痛いけど、その後は…」
「何てことだ…!すまない、シャーラ!お前に苦痛を強いてしまって…」
「えぇー…」
 ビョルンがギュッと私を抱きしめてくるけど、えぇー…。最初の時はめちゃくちゃ痛かったけど、正直いまの痛みはその何十分の一?ってくらいだから、痛みにカウントするほどのものじゃないんだけどな。
「女の受け入れる部分は、内臓だ。丁重に扱わねば」
「ああ…すまないシャーラ…」
 シレッと自分の言葉の様に言ってるけど、それフローラさん(医療の塔長)の受け売りじゃん…。
「シャーラ、すまん。最近はつい自分の快楽を追い求めて、お前に無理を強いてしまっていた様だ」
「そ、そんなことないよ。ちゃんと気持ちよくしてもらってたよ…?」
「だが、それは魔法陣のおかげなんだろう?魔術を否定するつもりはないが、やはり己の手で妻を悦ばせられないようでは、夫として失格だ。これからは気をつけるから、どうか許してくれ」
「ああ、はい、ワカリマシタ」
「ありがとうシャーラ!」
 もう面倒になって来て、テキトーに返事をするとビョルンにブチュッと口付けられた。
「これからはもっと時間を掛けるからな?」
「ハイハイ、アリガトネー」
 思考を止めて返事してから、おやっと思いビョルンの言葉を反芻する。
 何に、時間を掛けるって?
「俺は下でいいか?」
「かまわない」
 そんな会話をしながら場所を移動し始めたふたりに、なんだか嫌な予感が湧きあがってくる。 
「えっと、何に時間を掛けるつもり?」
 ベッドの真ん中に横たわって、自分の胸を抱きしめながら、恐る恐る問う。
 するとイスは目を細めて、ビョルンはニッコリといい笑顔で、言い放った。
「もちろん、お前を愛するのに…」
「前戯だ」
 イスさんド直球やめて!!

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