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中東系エルフ魔術師編
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しおりを挟む「えっと、途中で止めてごめん。続き、する…?」
そう聞くと、イスは小さくため息を吐きながら頷いた。
「本当は、不本意だ。私とお前の初夜に、余分な事由を介在させたくはなかった」
少し拗ねたような声が、可愛らしい。案外、ロマンチストなんだね。ただただ、愛を交わすだけの行為にしたかったってことよね?
「仕方ないでしょ?最初にそれが必要なんだから」
「そうだが。あの男のせいでいつも…」
さらに不満を吐こうとするイスの唇を、自分のそれで塞ぐ。
「起きたことは受け入れて。まずはちゃんと、魔法陣を完成させましょ。完成したら、その後は…」
愛し合うためのセックス、しようね?
そっと囁くと、イスの琥珀の瞳が煌めいて。
「ああ…そうしよう」
彼の魔力が、するりと私の体を撫でた。
「ふッ、ん…、ん…ッ」
キスをした後、イスの唇が私の首筋を這う。喉の横、血管があるあたり?ついばむ様に口づけされて、体がピクピク反応してしまう。それと同時に、イスの魔力が私の体を覆って、じわじわと入り込もうとしてくる。私も、応えなきゃ。魔力を交わさなきゃ。
受け入れようとした瞬間、イスの魔力がズルリと流れ込んでくる。途端に快楽が、私を覆う。
「ぃやッ、あ…ッ」
刺激で軽くイってしまう。イスの魔力が多いから、私の魔力じゃなかなか押し返せない。
「押し返すな、それじゃ魔力を交わせない」
「んッ、そんなこと、言ったってぇ…」
私はエルフじゃないんだから、そんなに魔力操作が上手じゃないの!
「もうちょっと、はぁ、わかりやすく、言ってぇ…」
「やれやれ…」
あからさまにため息つくなっつーの!!
「そうだな…古い言葉では、魔力を交わすことを魔力を『織る』と言ったそうだ」
「織る…?」
『編む』んじゃなくて、『織る』。その言葉を聞いて、なんとなく理解する。そうか、『交わす』って、混じり合わせるようなイメージを持っていたけど、ひとつの布を織るように、お互いの魔力を交差させて行くってこと…?
自分の魔力を細い糸のようにして、イスに向かって伸ばす。スルリと魔力が入った感触があって、イスが息を飲む。
「ああ…上手だ」
琥珀色の瞳が、とろりと甘く融ける。もっと見たくて、魔力を糸にしてたくさん伸ばす。イスが私の魔力と絡めながら、たくさんの魔力の糸を私の体に送り込む。じわじわと快感が体を襲う。それだけでも気持ち良いのに、イスの唇が肌を伝い降りて、私の乳首をチュウっと吸う。
「ひぁッ!あッ、あぁぁッ!」
外からの刺激と、中からの刺激で、体を震わせて達してしまう。イスの魔力がもたらす快感に慣れなくて、翻弄されてしまう。
「イス、やだぁ…イスの魔力が、気持ち良すぎる…」
荒い息を吐きながら伝えると、イスが目元を少し細めてみせる。
「何度かすれば、私の魔力がお前に馴染むはずだ。そうすれば、ここまで刺激を受けることはないと思う」
「うん…。ずっとこれじゃあ、最後まで意識が持たないよ」
「それは困る」
真剣に言うイスに、笑ってしまう。寝ている女を抱く趣味はないんだもんね。
「魔力なしでは出来ないの?」
「できるが…それはただ、肉体の快楽を得るだけだ。愛情を伴った行為ではない」
「ああ…」
エルフ間では、魔力を交わすことこそ愛情表現なんだね。
「ただ、ヒューマンにはそういう行為はないのだったな。どうしてもというなら、耐えるが」
「ん…あのね、多分イスと魔力の差があり過ぎて、私がいっぱい気持ちよくなっちゃうの。ゆっくり、少しずつ交わすことはできる?」
そもそも、2人の男に開発されちゃったからか、肉体の快楽に弱いしね。さらに魔力で内側から刺激を受けちゃったら、どれだけ達してしまうことか…。想像するだけでも恐ろしい。
「そうかもしれないな。努力してみる。だが…その、夢中になってしまったら、すまない」
「うふ…いいよ、大丈夫」
気絶したって、死ぬわけじゃないものね。それだけ私に夢中になってくれたってことだから、それはそれで嬉しい。
「私たち、種族が違うんだもの。すぐに何もかも上手くなんて、いかないよ。試行錯誤して、いっぱい失敗しても、めげずにやり直して、…一緒に、夫婦の形を作って行こうね」
今まで2人で、魔道具をたくさん創り出して来たみたいに。…一緒に、家族になろうね。
イスの目が細くなる。ほんの少し、口角が上がる。
「ああ…一緒に、やっていこう」
彼の表情も、こうして少しずつ、知っていけたらいいな。
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