異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

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中東系エルフ魔術師編

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「さてと、ビョルン、イス、どっかでご飯食べていかない?」
「ああ、そういえばお前たちと別れた後、旧友に会って飲みに誘われたんだ。ホラ、前に傭兵団にいて、怪我で引退して田舎に帰った男、覚えているか?」
 ビョルンから出てきた名前は、私が傭兵団に所属して間もない頃に怪我で引退してしまったの人のもので、私はよく知らない人だった。
「名前は憶えてるけど、仲良かったんだっけ?」
「ああ、年も近かったしな。今は田舎で店を構えていて、商売の用事で帝都に来たんだと。久しぶりだから、そいつと飲んでくるよ。何時に帰るかわからないから、2人で食べに行ってくれ」
「あら、じゃあ今日は本部に泊まった方がいいかしら?」
 過保護ビョルンさんが、心配しちゃうもんね。
「なに言ってるんだ、お前の夫になる男がいるだろう」
 え。
「イスハーク、シャーラを任せてもいいな?」
「ああ、任された」
 ええ?
 私が戸惑っている間に、男2人の間で話はまとまってしまって。ビョルンはにこやかに手を振りながら、去って行ってしまった。
「あれ、イス、帰らなくても大丈夫なの?」
「帰れば事後処理で缶詰だ。ならば、その前に済ませておきたいとビョルンに伝えた」
「え、何を?」
「お前との初夜を」
「……ッ?!」
 慌てて周囲を見回すけど、幸い聞いていた人はいなかったようでホッとする。
「ちょっと、何を…」
「ついでに、あの魔法陣を編む。それなら早い方がいいと、ビョルンとロルフも賛成してくれた」
「あ、あぁ~…」
 あっ、なるほど。それは2人とも賛成するよね…。できなかったことが、できるようになるもんね…。
「だが、その前に腹ごしらえだ。私は食事抜きも慣れているが、お前はそうじゃないだろう?」
「…そうね、私といるときは、食事も睡眠もちゃんと摂ってちょうだい」
「努力する。お前が私を気にかけてくれるのなら」
 やれやれ、手のかかる人がもう1人増えたわ。苦笑しながら、イスの腕に手を回す。 
「ちょっとお酒も飲んでいい?」
 ずっと友達としてやってきていたイスと、こんな関係になるなんて。照れくさくて、アルコールでも入れなきゃ思い切れそうもない。
「少しにしておいてくれ、お前はすぐに眠ってしまうから。寝ている女を抱く趣味はない」
「…そういう話は、外では遠回しか控えめに言ってちょうだいね?あなたの妻の名誉の為にも」
 誰かが聞き耳立てているとは思えないけど、聞かれて気持ちのいい話じゃない。夫婦として上手くやっていきたいから、あなたも私に歩み寄ってよね。
 そう伝えると、妙に神妙な声で「努力する」と請け負ってくれたので、なんだか笑えてきてしまった。



 食事はなんだか気もそぞろになってしまって、早々に切り上げた。お酒も度数の軽いのを1杯飲んだだけなので、ほとんど酔うこともできなくて。気恥ずかしいまま、無言でイスに手を引かれて、家に帰り着く。
 玄関を開けて、家に入って、ドアを施錠して。
 居間の明かりを灯した途端、イスに腕を引かれて唇を奪われた。
「あ、んッ、待って、んぅ、…待って」
「いやだ。待ちたくない」
 キスの合間に何とか言葉を紡ぐけれど、キッパリと否定されまた口を塞がれる。深く、深く、私を逃がさないように、腰をかき抱いて、頭を押さえつけて。
 たくさん私を求めてくれている、って思えて嬉しい気持ちが湧いてくる。だけど。
「ん、イス…ね、ベッド行こ…?ここじゃ、ヤだよ…」
 胸を押して、イスにお願いする。このまま勢いに押されて、ソファとかでするなんてさすがに嫌だよ。
 イスは熱い息を吐きだすと、切なそうな声で囁いた。
「…なら、案内してくれ」
 艶やかな声が色気を含んで、お腹がキュンとする。セックスは、ビョルンとロルフとたくさんしてきたのに。また別の男とするんだ、って思うと新鮮な気持ちになるのか胸がドキドキしてしまう。私も大概の女よね。なんだかんだ、この状況を喜んじゃってるんでしょ?もうビッチって言われても文句言えないわ。
 イスの手を引いて、寝室に連れ込みながら自嘲する。
 でもしょうがないよね?相手が求めてくれるんだもの。
 3人目の婚約者に、ベッドに押し倒されながら自己肯定する。
 イスがローブを脱ぎ捨てて、前にも着てた黒のハイネック&ノースリーブの恰好になる。イスめ、コーデが面倒だから似たような服ばっかで揃えてるな。でもカッコいい。この服好き。意外と広い肩幅と逞しく引き締まった二の腕が露わになって、目を奪われてしまう。
 そんなこと考えている間にも、口づけがたくさん降ってくる。私の服も、スルスル脱がされて下着姿にされてしまう。
「あ、待って、魔法陣…」
 する前に、妊娠を防ぐ魔法陣を編んでもらわなきゃ。万が一があったら困るもの。
 何とか思い出してイスを止めると、イスは頷いてまたキスを落とす。
「魔法陣は、いまある物と同じ場所に、新しく編む必要がある。重ねると効果が変わるから、白織の魔法陣を編んで既存の物を包み込み、不可視化した状態で新たな魔法陣を編む。かなり魔力を食うから、編む際にはお前の身を守るためにも魔力を補うものが必要だ」
「うん…?」
 急に魔術談義が始まったぞ。イマイチ理解できてないけども。
「他意は…大いにあるが。必要なことでもあると理解してくれ」
「えっと、何が?」
 聞き直すと、ちょっと視線を逸らしながら、イスが言った。
「先にセックスして、私の精液をお前の胎内に入れる。精液に含まれる魔力を利用して、魔法陣を完成させる」
「お、おぉ…理解できました」
 ものすごくシンプルに教えてくれたので、やっと私にも理解ができた。えーと、とにかく、先にセックスが必要なのね。
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