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中東系エルフ魔術師編
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しおりを挟む「この後は、どうするね?」
「今日は傭兵団本部に顔を出した後、直帰します。極秘任務中なのでね。あと何日か任務をこなすフリをして、様子を見ながら日常に戻ります」
「ロルフから連絡があるかもしれないしな」
「そうね、そろそろあってもいいよね」
しかし連絡できない間に事件が解決してしまった…その上、イスのことも報告しなきゃいけないよね。反応が怖いわー。
「イスハーク、お前は」
「帰塔しなければ、何もない」
それは塔に帰ればいろいろ待っているということでは。
「そうかい。私も今回のことで、事後処理が山積みだよ。取り掛かればしばらく身動きは取れないだろうね。だからいっそのこと、医療の塔に着いたらすぐに、お前たちの診察をしたいんだがどうだね?そちらも早くわかった方が、何かといいだろう」
そう言われて、あっと思い出す。私とイスが、血縁関係か調べるための診察だよね。確かに、今ならみんな揃っているし丁度いい。
「イス、大丈夫?」
「私は、早い方がいい」
「じゃあ、お願いしていいですか?フローラさんが大丈夫なら」
「勿論だとも。さして時間はかからんよ」
フローラさんが請け負ってくれたので、今後の予定は決まりだ。夕方くらいには医療の塔に到着するそうだから、診察してすぐ解散、という流れになった。
「なら、俺は先に傭兵団に行ってもいいか?ロルフから連絡が入っていたら、俺が先に説明しておくよ。その方が話が早いしな」
「あっ、助かる!ありがとう」
私から説明するより、ビョルンが説明してくれた方が絶対スムーズにいくしね!
「イスハーク殿、そちらが終わったら、シャーラを傭兵団まで送ってきてくれるか?」
イスが請け負うと、フローラさんがちょっと肩を竦める。
「北の戦士殿は、妻のひとり歩きは許さないのかい?過保護だねぇ」
「北の地は、ここより危険が多いんでね。自分の妻を一切外に出さない男もいる…羨ましいことだ」
ヒィ、ビョルンさんのヤンデレ指数が上がっている!これアレかな?フラグ立てまくったら監禁エンドを迎えちゃうパターンかな?!フローラさんが大ウケしてアヒャアヒャ笑ってるけど、こっちはちょっと笑い事じゃないです!
そんなこんなで話を続けていると、いつの間にか医療の塔に戻って来ていた。
馬車から降りてすぐ、ビョルンと別れた。このまますぐ傭兵団本部へ向かうらしい。イスと私はフローラさんに案内されて、医療の塔内にある診察室に通される。そこは個室になっていて、診察の際にプライバシーが守られるようになっていた。
「イスハーク。念のため、防音の術も編んでおくれ」
「わかった」
イスハークの魔術が、部屋の中を包み込む。
「さ、ラフィクよ。その診察台に横になって。すぐ終わるから、リラックスしているんだよ」
私が靴を脱いで診察台に上がると、フローラさんが手をかざし、私の体に魔力を通した。
「結論から言おう。お前たちは、まったくの赤の他人だ」
私たち2人の診察を終えて、フローラさんはキッパリと言い放った。
「…おー…」
「なんだい、嬉しくないのかい?」
フローラさんの言葉に、慌てて首を横に振る。
「いや、嬉しいんですけど、戸惑いも大きいっていうか。…え、結局、私って何者なんです?イスのお母さんとは、血縁じゃないってこと?」
「ああ、それか。お前は肉体上、間違いなく血縁だよ。そうだね、推測に過ぎないが…イスハーク、話しても構わないね?」
フローラさんが問いかけると、イスがすぐに頷く。
「構わない」
えー、なになに、まだ何か秘密があるわけ?
「決定的な証拠があるわけではないが、私たちが推測した限りでは…恐らく、イスハークもホムンクルスだ」
………え。
「えーーーッッ?!」
え、何その超展開?!イスもホムンクルスって、どういうこと?!だってイスは、小さい時の記憶だってあるんでしょ?!
「あの男…イスハークの父親は、ホムンクルスを造り出して、己の伴侶の魂を呼び戻そうとしていた。それは、イスハークから聞いているな?」
「ええ…」
「だがいざ伴侶の魂を呼び戻せたとしても、己の肉体が老いたり病に侵されてしまえば意味がない。だから何かがあった時に備えて、自分の魂が乗り移る器として、自分用のホムンクルスも何体か造り出していたようなんだ。…実際、あの男の両親も消息を絶っている。ホムンクルスを造る材料にされたのだろうね」
「………」
なんというか、言葉が出てこない。でも、自分が乗り移るためのホムンクルスに、どうしてイスの魂が入っているの?イスは、何者になってしまうの?
「…お前の言った言葉で、思い出したことがあるんだ」
イスが、前にそう言っていたね。
「私は母親が死んでから、4番街に住む老夫婦にしばらく育ててもらった。9歳の時にエルフ喉が形成され、サークルの学舎に入ってからずっと会うこともなかったが…15歳で卒業したとき、報告と礼を言うため会いに行った。その時…老夫婦は、私のことがわからなかった」
「え…」
「顔が違うと、そう言われた。もっと肌の色は薄かったし、顔立ちも違っていたと。いくつか一緒に暮らしていた時の話をすると納得してもらえたが…成長にともなって随分顔立ちが変わったものだと、2人に驚かれたんだ」
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