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中東系エルフ魔術師編

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「男見る目も養わねぇで、年食ってから、クズみてぇな男しか捕まえらんねぇような女になってみろ、地獄だぞ。まぁ男もいっしょだけどな」
 ろ、ロルフが真理を語っている…!!経験談かってくらいにやたら具体的に!え、ロルフって人生2回目なの?
「ついこないだまで童貞だったくせに、知ったような口を…!」
「童貞カンケーねーだろ。まぁでも、お前に食われてよかったよかった。危うく童貞のまま死ぬとこだったぜ。よッ、童貞食い」
「食ってねーよ食わされたんだよ」
 ムスっとしながら言うけれど、ロルフは機嫌良さそうに笑っている。私の髪をギュッとしっかり拭き取って、それからオイルをつけてマッサージまでしてくれる。サービスがすごい!
「俺ァ食うのも食われるのも御免だったんだけどな。お前のケツ見てたら、ちんこ勃っちまったんだからしょうがねぇ」
「サイテー!」
「最低じゃねぇよ、俺にとっちゃ最高の奇跡だ。クソみてぇな人生の中で、お前みてぇないい女に会えたんだからな」
「な、なによそれ…」
 急に改まって言われると、照れちゃうんだけど。でもロルフと話していると、私の正体なんてホントにどうでもいいんだなってのがわかる。私が気にしすぎ?いや気にするでしょ、人間じゃないって言われたんだもの。でも。
「でも、ありがと。…私も、ロルフがいてくれてよかったって思ってるよ」
 ロルフとビョルンが、すぐに私を受け入れてくれたから、なんとか耐えられた…いやまぁ、ひとりでも耐えられたかもしれないけど。メンタル強めの自覚あるし。でもひとりじゃぁ、もっと長いこと苦しんでたと思う。
「…本当に、ありがとう」
 私のために、いろいろ我慢してるのに。それを最高の奇跡だと言ってくれて。
 灰色の目を見つめながら言う。どちらともなく顔が近づいて、鼻を擦り合わせて、唇を合わせる。軽いキスを何度もして、チロっと舌を出してロルフの唇を舐めた…ところで、肩を掴んで勢いよく離された。
 うん?
「煽んじゃねぇ!ヤりたくなんだろーが!」
「アララ、勃っちゃった?」
「勃つに決まってんだろ!あー、クソッ!」
 グシャグシャっと髪を掻き回して喚くロルフに、クスリと笑って。また肩までしっかりとお湯に浸かる。またこんな風に、お風呂入りたいな。やっぱトイレの次はお風呂だ!アイデアがまとまったら、またイスに相談しよう。
「ロルフもお風呂入ったら?リラックスできるよー」
「テメェふざけてんな?ヤっちまうぞ!」
「あはは、ごめんごめん」
 ロルフをからかって遊んでいると、ビョルンが戻って来た。
「ちょっと思った以上に人数が集まりそうだが、大丈夫か?」
 ビョルンがちょっぴり眉毛を下げて言う。こりゃ声かけたら、我も我もと芋づる式に人数増えたな。
「庭も広いし、全然大丈夫だと思うけど。今日の今日なのに、よくそんなにすぐ連絡ついたね?」
 まぁ緊急事態にすぐ招集かけられるよう、団員の居場所はだいたいわかるようになってるけれども。
「たまたま飲みに行く予定の奴らが、その前に訓練するってんで集まってたようだ。そうしたら当番の1人が『自分も行く』とか言い出して、当番だろうと言ったら『じゃあ代わりを探します!』とか言ってそこら中に連絡取ったみたいだな」
「あーらま」
 そんで代わりを探すための連絡で、逆に参加者が増えてしまったと。気持ちはわかるけどねー。自分だけ行けないとかなったら腹立つわよね。
「お風呂から出たら、本部の通信具とウチの通信具繋いで、転送できるようにしとくわね。本部のドアの呼び鈴がなったら、その通信具から呼び出し来るようにできるから」
「お、そんなことできるのか」
「元は団長室に置いてあった通信具だからね、繋げてあんの。転送あってから、本部まで走ればいいでしょ」
 まー、うちの連中なら、酔っぱらってても10分くらいあれば辿り着けるでしょ。
「助かるよ、だいぶごねてたからなぁ」
「ちなみに誰?」
 ビョルンから出てきた名前は、ついさっき話題になってた女たらしのアンリ君だった。助け舟出すんじゃなかったわ。
「ロルフ、ちゃんとアンリの面倒みてよ!自分の部下なんだからね!」
「…ってことは、お前の部下でもあるよな?」
 ブーメランだった!私トップだったわ!
「わかった。じゃあ上司として責任もって、女たらしこみそうなとこ見つけたら潰しに行くわ…」
「何をだ」
「金玉じゃねーの」
 聞こえません!
 そこからまた肩までお風呂につかった後、宴会の準備をすることにした。2人とも、私がくる前に汗は流したそうなので、もったいない気もするけどお湯はこれで捨ててしまう。この辺水源豊富だから助かるわー。じゃなきゃこんな大量のお湯、お風呂入るためだけに使えないよね。
 ビョルンとロルフは、即席のお風呂を片付けてくれてる。手伝おうとしたけど、力仕事ばっかりだったから無理だった…。なので服を着て、通信具を持って居間のソファに座る。私は私のできる仕事をしなきゃね。
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