異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

北欧系戦士兄弟編

１７※

「……俺の母親は、クソみてぇな阿婆擦れだった。父親なんて、どこの誰かもわからねぇし、会ったこともねぇよ」
　やっと出した声は、少し震えている。ロルフが過去について話すのは初めてだ。私は黙ったまま、続きを待つ。
「阿婆擦れの情夫（イロ）なら、腐るほどいたけどな」
　ハッ、と吐き捨てるように嘲笑った声に、ピリっとした殺意を感じる。そこに彼の性質を形成してきた、過去の片鱗を見る。きっとろくでもない人たちだったんだろう。こちらから聞くことはしないけど。ロルフの名誉に関わることだから。
「父親なんて、家族なんて、聞かれてもわからねぇよ。俺にはそんなもん、いたことねぇし」
　感情の乗らない声に、心が痛む。きっとそれが、子供のロルフの当たり前だったってことだから。
「それでももし、もしここに、俺とお前のガキができることがあったら…」
　ロルフの手が、私のお腹を撫でる。ぎこちなくて、優しい手つきで。
「俺みたいな目には、遭わせたくねぇと思うよ」
　そう答えた声は、すごく悲しくて温かく感じた。
　…ああ、私、この人のこと誤解していたのかも。口も悪いし乱暴だし残酷残虐だしやること滅茶苦茶だけど。私に触れた手は、じれったいほど優しかった。あのぎこちない手は、彼の精一杯の優しさだったのかな。私に対する気持ちも、欲情や執着だけじゃない、ちゃんとした愛情も持っていたのかな。ただ、示し方がわからないだけで。
　私はため息をついて、ロルフの手に自分の左手を添えた。
「…まぁ、今更だしね。もし出来てたら、父親としても躾けるからね！」
　私も母親になったことがない人間だから、そこまで偉そうなことは言えないけど。それでも覚悟しといてね！と告げると、ロルフは顔を上げて、こちらじっと見つめてから、泣きそうな顔で言った。
「ああ、いいな、それ。しょうもねぇ俺を、お前が躾けてくれよ」
　ロルフが添えていた私の手を取って、薬指の付け根に口づける。灰色の目を閉じて、騎士が忠誠を誓うように、ただ押し当てるだけのキスを。
「愛してるよ、俺の女王」
　そして目を開くと、今まで見たことのないくらい、美しい微笑みをこちらに向けた。
　キュン。
　胸が高鳴って、ついでにお腹の中もキュンと締め付けてしまって、ロルフが「ッ！」って感じで声にならない吐息を漏らす。あらやだ、まだ入ったままだったわ。
「ね、ロルフ、そろそろ抜いてくれない？」
　ビョルンがそろそろ戻ってくるかもしれないし。湯を使ってくる、って言ったわりには長いから、気を利かせてどっかで時間潰してるかもだけど。
　ロルフが腰を動かして、ズルッと抜ける。あれ、出したわりには元気に上向いてない？ちょっと危険を感じて身を起こそうとすると、ドロリと膣から何かが出てくる感覚がする。一瞬生理かと思ったけど、予定日はまだ先だったと思い直す。あ、これロルフの精液だ。ロルフの目がそこに釘付けになってる。灰色の目が、獲物を狙う狼のようにギラつき出す。やばいやばい、逃げなきゃ。
　四つんばいになって逃げ出そうとして、ガッと腰を掴まれる。失敗した！なんでこの体勢になったの私！ロルフが私の腰を引き寄せ、陰部に陽根をぴったりと当てる。完全に臨戦体勢ですね！おかしいな！
「さっきいっぱい出したじゃん！何でまた勃ってんの？！」
「こちとら２週間の禁欲明けだぞ。１回や２回で終わるわけねぇだろ」
「２回でも終わらないの？！」
　どこにそんなに溜め込んでるわけ？！
「シャーラ、考えたんだがな」
「何よ？！」
　どうせロクでもないことじゃないの？
「１回出しちまったんだから、今日は何回中に出しても一緒じゃねぇのか？」
「サイテーだ！」