上 下
11 / 198
北欧系戦士兄弟編

11※

しおりを挟む


 ぴちゃ、ぴちゃ。
 
 ああ、遠くで水音が聞こえる。
 やだな、雨漏りでもしてるかな?早く修理を依頼しないと、書類にかかったら大惨事だ。
 早く、起きなきゃ。


 ぴちゃ、くちゅ。


 ああ、でも、なんだか気持ちいいい。体がポカポカあったかくなって、じわじわと体の奥から快楽が広がっていく。なんだっけ、この感覚。しばらくぶりの、ような。
 暗闇の中、揺蕩う意識を手繰り寄せる。起きるのもったいないけど、起きなきゃ。被害が広がったら、後で痛い目みるのは自分だ。起きなきゃ。
 ぐっと意識が浮上する。自分が目覚めようとしているのがわかる。重かった体が動くようになり、感覚を取り戻していく。
 ぱっと目が開いて、光を取り戻す。知らない天井が、目に飛び込んでくる。
 その瞬間。


 ぐちゅっ。


「は、あ、あぁ…ッ?!」
 ひどい快楽がお腹の奥から頭を突き抜けて、私の体はビクビクと勝手に震えた。
 なに?なんで?!私、イッてる…?!
 全身を支配するような快楽からなんとか解放されて、はぁはぁと息を荒らげながら、周囲を見回す。見慣れない部屋。普段利用するところより質がいいけれど、恐らく宿の1室だ。私は広いベッドに横たわっていて、自分を見下ろすと、服は寛げられて、ズボンと下着は取り払われて、あられも無い姿になっている。そして右胸に、くすんだ金髪が揺れている。乳首からチクチクと淡い刺激が昇ってきて。
「えっ、あっ、ビョルン…?」
「ああ…起きたか?」
「なに…なにして…んッ」
 ちゅっ、と音を立てながら唇が離れて、体がビクリと震えた。
「すまない、我慢できなかった」
 混乱する私を宥めるように、ビョルンが唇にキス降らせる。でも私の目線は、下の方に釘づけになっていて。
「え、やだ、うそぉ…」
 ビョルンの右腕が、私の足の間に入り込んでいる。敏感な部分にも触れられているけど、中にも。中にも、異物を感じる。
「ああ…今やっと、1本入ったところだ」
「やだぁ…ッ」
 カアっと顔に血が昇って、中の指をキュッと締め付けてしまった。
「あまり締め付けるな…たまらなくなる」
 ビョルンは切なそうに眉を歪めて、指をゆっくり動かし始めた。くちゅくちゅ、と恥ずかしい音が耳に届く。その間も何度も、唇に、頬に、首筋に、キスが降ってくる。
「んッ…!」
「ゆっくりするが、痛かったら言ってくれよ…?」
 前の世界も含めて、性行為は久しぶりだ。せいぜい我慢できない時に自慰行為をして、自分の指を入れるくらい。痛みはないけど、自分の意思と関係なく動く指は、異物感が半端ない。だけど、ときおり体に走る快感も、自分でするのと段違い…!
 気持ちよさに流されそうになって、ふと我に帰る。違う違うそうじゃない!
「まって、もう…ばかっ!何で勝手に始めてんの…?!」
 一応それなりに覚悟はしていたけれども!ちょっと覚悟が足りなくて、酒で気を紛らわせようとしたけれども!でも、勝手に人の体にエッチなことするのはいけないと思います!
 なんとか拒否しようとビョルンの胸を押すも、びくともしない。ですよね!
「…お前にとっては、突然かもしれないが。俺とロルフは、ずっと前からお前を想っていたよ」
「だから、なに…?」
「今日ようやく念願が叶ったってのに、これ以上お預けはキツいってことだ。お前は夫婦になることは許しても、セックスは許さない気か?」
「そ、そんなことは…ないですけど…」
 でもホラ、心の準備する時間をくれてもよくない?
 そうボソっと呟くと、ビョルンが呆れた声を出した。
「お前は決断したら早いが、決断するまでが長い」
「うっ…んんっ?!」
 急に指の動きが再開され、刺激に体が震える。
「お前の『心の準備』とやらを待っていたら、そのままのらりくらりと引き延ばされる可能性が高い」
「んッ、ん…ッ」
 指を奥まで突き入れて、敏感なクリトリスもぐりぐりと刺激され、声が漏れ出てしまう。
「それからお前は押しにまぁまぁ弱い」
「あッ、あッ、あッ」
 グチュグチュグチュ、激しい水音が耳も犯してくる。
「諦めも早いが、切り替えも早い」
「う、あッ、やぁぁッ」
 図星過ぎて言い返せない!
「だから押し切って、諦めさせて、切り替えさせて、決断させるのが一番早い」
 だろ?
 耳元で低く囁いたあと、グチュっと舌を挿し入れられて。それと同時に、指がもう1本突き入れられて。
「いやッ、あ、あああ…ッ」
 私は背中を仰け反らせて、またイッてしまった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界の学園で愛され姫として王子たちから(性的に)溺愛されました

空廻ロジカ
恋愛
「あぁ、イケメンたちに愛されて、蕩けるようなエッチがしたいよぉ……っ!」 ――櫟《いちい》亜莉紗《ありさ》・18歳。TL《ティーンズラブ》コミックを愛好する彼女が好むのは、逆ハーレムと言われるジャンル。 今夜もTLコミックを読んではひとりエッチに励んでいた亜莉紗がイッた、その瞬間。窓の外で流星群が降り注ぎ、視界が真っ白に染まって…… 気が付いたらイケメン王子と裸で同衾してるって、どういうこと? さらに三人のタイプの違うイケメンが現れて、亜莉紗を「姫」と呼び、愛を捧げてきて……!?

【R18】転生聖女は四人の賢者に熱い魔力を注がれる【完結】

阿佐夜つ希
恋愛
『貴女には、これから我々四人の賢者とセックスしていただきます』――。  三十路のフリーター・篠永雛莉(しのながひなり)は自宅で酒を呷って倒れた直後、真っ裸の美女の姿でイケメン四人に囲まれていた。  雛莉を聖女と呼ぶ男たちいわく、世界を救うためには聖女の体に魔力を注がなければならないらしい。その方法が【儀式】と名を冠せられたセックスなのだという。  今まさに魔獸の被害に苦しむ人々を救うため――。人命が懸かっているなら四の五の言っていられない。雛莉が四人の賢者との【儀式】を了承する一方で、賢者の一部は聖女を抱くことに抵抗を抱いている様子で――?  ◇◇◆◇◇ イケメン四人に溺愛される異世界逆ハーレムです。 タイプの違う四人に愛される様を、どうぞお楽しみください。(毎日更新) ※性描写がある話にはサブタイトルに【☆】を、残酷な表現がある話には【■】を付けてあります。 それぞれの該当話の冒頭にも注意書きをさせて頂いております。 ※ムーンライトノベルズ、Nolaノベルにも投稿しています。

【R18】騎士たちの監視対象になりました

ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。 *R18は告知無しです。 *複数プレイ有り。 *逆ハー *倫理感緩めです。 *作者の都合の良いように作っています。

【R-18】喪女ですが、魔王の息子×2の花嫁になるため異世界に召喚されました

indi子/金色魚々子
恋愛
――優しげな王子と強引な王子、世継ぎを残すために、今宵も二人の王子に淫らに愛されます。 逢坂美咲(おうさか みさき)は、恋愛経験が一切ないもてない女=喪女。 一人で過ごす事が決定しているクリスマスの夜、バイト先の本屋で万引き犯を追いかけている時に階段で足を滑らせて落ちていってしまう。 しかし、気が付いた時……美咲がいたのは、なんと異世界の魔王城!? そこで、魔王の息子である二人の王子の『花嫁』として召喚されたと告げられて……? 元の世界に帰るためには、その二人の王子、ミハイルとアレクセイどちらかの子どもを産むことが交換条件に! もてない女ミサキの、甘くとろける淫らな魔王城ライフ、無事?開幕! 

クソつよ性欲隠して結婚したら草食系旦那が巨根で絶倫だった

山吹花月
恋愛
『穢れを知らぬ清廉な乙女』と『王子系聖人君子』 色欲とは無縁と思われている夫婦は互いに欲望を隠していた。 ◇ムーンライトノベルズ様へも掲載しております。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

悪役令嬢は双子の淫魔と攻略対象者に溺愛される

はる乃
恋愛
旧題:悪役令嬢は自分の手下その1とその2のインキュバスと攻略対象者達に溺愛される。 お父様に連れられて魔物市場にやって来た私は、インキュバスの双子を見つけた。 その瞬間に私は前世の記憶を思い出す。そして気付いた。この世界がR18指定の乙女ゲーム、「白薔薇の乙女」の世界で、私が悪役令嬢だという事に。 記憶を取り戻すまではシナリオ通り、王太子殿下をお慕いしていたけれど、前世の私の推しは攻略対象じゃない。このインキュバスの双子だったのよ! 攻略対象者やヒロインなんてどうでもいいし。 双子のフィルとナハトと楽しく過ごそ!! そう思ってたのに、何故だか他の攻略対象者達にも迫られて…… あれれ?おかしくない? 私、ヒロインじゃありませんから!! 迫ってこなくていいから!! どうしてこうなった?! ※本編2についての注意 書籍化に伴い、本編の内容が変わった為、本編2とは話が合わなくなっております。 こちらは『if』としてお楽しみいただければ幸いです。

傾国の聖女

恋愛
気がつくと、金髪碧眼の美形に押し倒されていた。 異世界トリップ、エロがメインの逆ハーレムです。直接的な性描写あるので苦手な方はご遠慮下さい(改題しました2023.08.15)

処理中です...