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北欧系戦士兄弟編

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 ぴちゃ、ぴちゃ。
 
 ああ、遠くで水音が聞こえる。
 やだな、雨漏りでもしてるかな?早く修理を依頼しないと、書類にかかったら大惨事だ。
 早く、起きなきゃ。


 ぴちゃ、くちゅ。


 ああ、でも、なんだか気持ちいいい。体がポカポカあったかくなって、じわじわと体の奥から快楽が広がっていく。なんだっけ、この感覚。しばらくぶりの、ような。
 暗闇の中、揺蕩う意識を手繰り寄せる。起きるのもったいないけど、起きなきゃ。被害が広がったら、後で痛い目みるのは自分だ。起きなきゃ。
 ぐっと意識が浮上する。自分が目覚めようとしているのがわかる。重かった体が動くようになり、感覚を取り戻していく。
 ぱっと目が開いて、光を取り戻す。知らない天井が、目に飛び込んでくる。
 その瞬間。


 ぐちゅっ。


「は、あ、あぁ…ッ?!」
 ひどい快楽がお腹の奥から頭を突き抜けて、私の体はビクビクと勝手に震えた。
 なに?なんで?!私、イッてる…?!
 全身を支配するような快楽からなんとか解放されて、はぁはぁと息を荒らげながら、周囲を見回す。見慣れない部屋。普段利用するところより質がいいけれど、恐らく宿の1室だ。私は広いベッドに横たわっていて、自分を見下ろすと、服は寛げられて、ズボンと下着は取り払われて、あられも無い姿になっている。そして右胸に、くすんだ金髪が揺れている。乳首からチクチクと淡い刺激が昇ってきて。
「えっ、あっ、ビョルン…?」
「ああ…起きたか?」
「なに…なにして…んッ」
 ちゅっ、と音を立てながら唇が離れて、体がビクリと震えた。
「すまない、我慢できなかった」
 混乱する私を宥めるように、ビョルンが唇にキス降らせる。でも私の目線は、下の方に釘づけになっていて。
「え、やだ、うそぉ…」
 ビョルンの右腕が、私の足の間に入り込んでいる。敏感な部分にも触れられているけど、中にも。中にも、異物を感じる。
「ああ…今やっと、1本入ったところだ」
「やだぁ…ッ」
 カアっと顔に血が昇って、中の指をキュッと締め付けてしまった。
「あまり締め付けるな…たまらなくなる」
 ビョルンは切なそうに眉を歪めて、指をゆっくり動かし始めた。くちゅくちゅ、と恥ずかしい音が耳に届く。その間も何度も、唇に、頬に、首筋に、キスが降ってくる。
「んッ…!」
「ゆっくりするが、痛かったら言ってくれよ…?」
 前の世界も含めて、性行為は久しぶりだ。せいぜい我慢できない時に自慰行為をして、自分の指を入れるくらい。痛みはないけど、自分の意思と関係なく動く指は、異物感が半端ない。だけど、ときおり体に走る快感も、自分でするのと段違い…!
 気持ちよさに流されそうになって、ふと我に帰る。違う違うそうじゃない!
「まって、もう…ばかっ!何で勝手に始めてんの…?!」
 一応それなりに覚悟はしていたけれども!ちょっと覚悟が足りなくて、酒で気を紛らわせようとしたけれども!でも、勝手に人の体にエッチなことするのはいけないと思います!
 なんとか拒否しようとビョルンの胸を押すも、びくともしない。ですよね!
「…お前にとっては、突然かもしれないが。俺とロルフは、ずっと前からお前を想っていたよ」
「だから、なに…?」
「今日ようやく念願が叶ったってのに、これ以上お預けはキツいってことだ。お前は夫婦になることは許しても、セックスは許さない気か?」
「そ、そんなことは…ないですけど…」
 でもホラ、心の準備する時間をくれてもよくない?
 そうボソっと呟くと、ビョルンが呆れた声を出した。
「お前は決断したら早いが、決断するまでが長い」
「うっ…んんっ?!」
 急に指の動きが再開され、刺激に体が震える。
「お前の『心の準備』とやらを待っていたら、そのままのらりくらりと引き延ばされる可能性が高い」
「んッ、ん…ッ」
 指を奥まで突き入れて、敏感なクリトリスもぐりぐりと刺激され、声が漏れ出てしまう。
「それからお前は押しにまぁまぁ弱い」
「あッ、あッ、あッ」
 グチュグチュグチュ、激しい水音が耳も犯してくる。
「諦めも早いが、切り替えも早い」
「う、あッ、やぁぁッ」
 図星過ぎて言い返せない!
「だから押し切って、諦めさせて、切り替えさせて、決断させるのが一番早い」
 だろ?
 耳元で低く囁いたあと、グチュっと舌を挿し入れられて。それと同時に、指がもう1本突き入れられて。
「いやッ、あ、あああ…ッ」
 私は背中を仰け反らせて、またイッてしまった。


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