上 下
10 / 198
北欧系戦士兄弟編

10

しおりを挟む
 そこからすぐレストランに着いた。いつも行くお店は安くて美味い大衆食堂ばっかだから、相席アタリマエーな状態だけど。さすがに2番街のお店はそんなことなくて、3人で1つの丸テーブルに案内された。
 なに食べようかな。メニューと睨めっこしてたら、ビョルンが軽く説明してくれたので女性向けサイズのお肉とサラダと本日のスープを注文することにした。パンは勝手についてくるらしい。私の場合、話すのはチートで問題ないんだけど、文章は翻訳してくれないからちょっと苦手だ。幸い英語に近かったから習得にそれほど苦労はしなかったんだけど、未だに日本語訳して読んじゃうのよね。
「エールの種類が少ねぇなぁ」
「ランチタイムだからな。夜なら増えるんじゃないか?」
「ちょっと、私の前で飲まないでくれる?このあと仕事なんだけど!」
 ちなみに我が傭兵団の事務員は、基本2時間昼休憩を入れてます。業務が忙しい時はその限りじゃないけどね!
「何だ、聞いてなかったのか?レーデルはこのまま休暇申請するってシウが言ってたらしいぞ。明後日まで」
「は?明後日まで?そしたら週末だから4連休?夢?」
「夢じゃねーよ。つねってやろうか?」
「いらねー。まぁでも、シウに『下が休み取りづらいんでそのうち団長に強制的に休み入れますからねー。いけそうな日にゲリラ的に入れますのでお楽しみに!』って言われてたわ…それが今日…」
 このごろ余裕が出てきたから、事務も交代で長めの休み取れるようにしてたのよね。でも私が全然取らなかったから、シウさんから忠告来てたんだった。
「あッ!待ってくださいわたし、報告の録音ピアス提出してない!」
 アレどこ置いたっけ?!ケースに入れたのは覚えてるんだけど!
「ああ、机に置いてあったやつだろ?そういや秘書が持ってたぞ。事務に渡しとくってよ」
「目端効きすぎじゃない?すごいな、さすができる秘書」
 まぁ私のウッカリが多すぎるから、しっかりせざるを得ないのかもしれないけど。でもこれで憂いはなくなった!
「えー!どうしよう何しよう?!連休なんて久しぶり!」
「何ってナニ…ムグッ」
 ロルフが何か言いかけたところで、ビョルンが素早く手で押さえてその口を塞いだ。
「ん?…何を言いかけたの?」
「気にするな。なんでもない。な、ロルフ」
「へぇへぇ」
「ふぅん…まぁいいや。ね、2人とも休みよね?予定なかったら一緒にどっか行くのもよくない?私デートしてみたいのよねー」
 考えてみたら、結婚するって決まったけど、籍入れるまでは恋人みたいなものよね?だったらその前に、恋人としてのデートを楽しんでおきたい!夫婦になってからのお出かけとは、またなんか違う気がするのよね。
「いいな、もちろん。お前の好きなことをしよう」
「へッ、行けりゃァな」
 ロルフが悪態をついて、ビョルンに小突かれている。お前だけ置いてってやろうか、このヤロー。
「まぁでも、一緒にいようね?3人で」
 始まりはアレだけど、せっかくのご縁だもの。どうせなら仲良くやっていきたい。いろいろ一緒にやって、一緒に楽しんで、一緒に苦労して行こうね。
「ああ、そうだな」
「おー」
 3人でなんて未知だけど、任務や『ボナ・ノクテム』や色んなこと、一緒に乗り越えてきたんだもの。きっとうまくやっていける。
「よし、ロルフ!私の分もエール頼んで!お昼からアルコール入れちゃうぞ!背徳的だわ~」
「ロルフは昼も夜も関係ないがな」
「エールなんて水だ、水」
「いっぺん言ってみたいわ~そのセリフ」
 それから注文したものが届いた。ビョルンがさくっとお金を払ってくれた。スマートだね!
 うわぁ、お肉柔らか!美味しい!エールもガツンと効くけど、お肉に合う!
 美味しい食事を堪能して、アルコールが入ったからか、すごく気分もよくなってきて。
 ああ、楽しい。ふわふわする。
「ロルフ、強いの頼んだな?」
「こいつは吐かねぇからいいな」
「吐く前に潰れてるだけだ、ったく…」
 抱き上げるぞ、とビョルンの声が近くでして、ふわりと体が浮き上がる。
「お客様、馬車をお呼びしましょうか?」
「ああ、いい。近くで宿を取っているんだ。迷惑かけたな」
「いえ、失礼いたしました…」
 誰かとの会話が、頭の上を通り過ぎていく。
 ふわふわ、体が浮いたままどこかへ移動する。
 ああ、いい気持ち。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

傾国の聖女

恋愛
気がつくと、金髪碧眼の美形に押し倒されていた。 異世界トリップ、エロがメインの逆ハーレムです。直接的な性描写あるので苦手な方はご遠慮下さい(改題しました2023.08.15)

異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました

平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。 騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。 そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

男女比がおかしい世界にオタクが放り込まれました

かたつむり
恋愛
主人公の本条 まつりはある日目覚めたら男女比が40:1の世界に転生してしまっていた。 「日本」とは似てるようで違う世界。なんてったって私の推しキャラが存在してない。生きていけるのか????私。無理じゃね? 周りの溺愛具合にちょっぴり引きつつ、なんだかんだで楽しく過ごしたが、高校に入学するとそこには前世の推しキャラそっくりの男の子。まじかよやったぜ。 ※この作品の人物および設定は完全フィクションです ※特に内容に影響が無ければサイレント編集しています。 ※一応短編にはしていますがノープランなのでどうなるかわかりません。(2021/8/16 長編に変更しました。) ※処女作ですのでご指摘等頂けると幸いです。 ※作者の好みで出来ておりますのでご都合展開しかないと思われます。ご了承下さい。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...