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第41話 エピローグ
しおりを挟む041
その後に起こったことを、かいつまんで少しだけ話そう。
結論からいうと、俺達は無事に元の世界に戻ることができた。元の世界と言っていいのかどうか甚だ疑問が残るのたが。
「夢見てたってオチじゃないよね?」
しましま柄の下着姿を披露して訝しげな顔で詩が睨み付けてくる。
芹香さんにハグされている俺が気にいらないらしい。
すぐ横に憮然とした顔の一華姉が立っていた。
奇しくも、詩に下着姿の寸評を頼まれているところに、一華姉が怒鳴り込んできてゲンコツを落とされて、慌てて芹香さんがよしよしとしてくれた場面の再現だ。
デジャブーどころではない。少し前の記憶でぼやけているとはいえ実際にあった話に合致している。
変わっているのはカーテン越しの外の暗さか。
ふむ。違いと言えば、もうひとつあったな。
一華姉と芹香さんが明らかに若返っていることと、多少持ち直したがまだ追い付いていない詩の胸のサイズだ。
「死なすよ? ってあれ?」
開け放たれたままの扉の向こうから蛙の合唱のような賑やかさで幼児の泣き声が聞こえてきた。
無事子供たちもご帰還したらしい。
というかどういう場面だ?
「うふふー元気そうで安心だよ」
「ふん。不甲斐ない」
訳知り顔でうなずき合う姉達の態度から誰も記憶の改竄などは起こっていないことを確認できた。
いやいや娘達が泣き叫んでいるのだから、母親としてはもう少し慌てふためいて欲しい。
娘達にしてみれば、いきなり見た事もない場所に放り込まれて不安だろう。
「大丈夫だよ、あの泣き方は」
「かまってかまってーだし」
「いや、微妙に悲しそうな音色が混じっている」
泣き方で気分まで分かるのかよ。母親ってすげーな。
いやいや、突然現れた幼児3人に家人の方が不安だろう。
案の定、開きっぱなしの扉がコンコンと叩かれる。
「悪い、詩ちゃん。一華姉見なかった?」
真人兄さんが顔を出す。ほとほと疲れ切ったような顔色だった。
「ってうわあ、ごめん! なんで着替え中に扉開けっぱなし?」
ジェントルな真人兄さんは視線を逸らすためにすぐに顔を引っ込める。
なるほど合点がいく。確かに普通はそういう反応だよな。女子高生の下着姿に慣れてしまった俺の方がおかしいのだ。
「え? ああ、はいはい粗末な物を見せてごめんなさい」
俺を睨んでいる暇があったら服を着ろ。
「はしたないよー詩」
芹香さんに叱られた詩が渋々着替え始める。
裸で育った裸族が文明開化した都会に連れてこられたような態度だった。
「せ、芹香さん……お久しぶりです」
「うふふーご無沙汰してます」
そつなくニコニコと笑いながら返す芹香さんの胆力は大した物だ。
俺なんて兄さんが見えた時点で体は硬直して息苦しくて胃が痛くて声が涸れたように出なくなっているというのに。
というか旦那さんの前で気にした様子もなく芹香さんがハグしたままだから緊張感はマシマシだ。
何だ?
俺を挟んだ状態で日常会話の練習のようなぎこちないトークを始めた芹香さんと真人兄さんを、一華姉が細めた目で睨んでいる。
兄の顔は少しだけ紅潮してどこか切なそうだった。
「ちょっと、どういうことよ?」
流石に一方的とはいえ夫婦の久しぶりの再会を邪魔するのは心苦しい。
芹香さんの腕の中から抜け出した俺に着替えが終わった詩が近付いて耳元で囁く。
何がだよ?
凄まじい緊張で暴れている鼓動を治めようと深呼吸をしてるんだから邪魔すんな。
「お義兄さん、妖怪みたいに若返ってるお姉ちゃんに違和感もってないし」
言われてみればそうだが、男の視線なんてあてにならないからな。
大多数は女子がカットした髪に三日後くらいに気付くレベルだ。
「それあんただけ。それより聞いてなかったの? お義兄さん久しぶりって言ったし」
言ったな。
2年ぶりの再開だから言葉のチョイスとしては間違っていないぞ?
「……」
いや、おかしい。
くそったれの運営の話だと社会復帰を円滑に進めるために時間は遅延していたはずだ。
芹香さんが言うならまだしも真人兄さんが言うのは確かにおかしい。
だが、仮に時間が実際通りに進んでいたとしても、こんなに落ち着いた会話では済まないだろう。どう見ても行方不明になっていた妻との2年ぶりの奇跡の邂逅という雰囲気はまるで感じられない。
何かが起こっている。
「それに、お義兄さんの態度だけど、あれって恋する男の視線だよね」
そんな視線は知らん。
だが真人兄さんの緊張は伝わってくる。
「真人」
「あ、一華姉さん。そ、そうだ、子供達が突然泣き始めて困ってたんだよ」
「……真人、子供はいいぞ。おまえもそろそろ身を固めたらどうだ?」
は? 一華姉、何言ってんの?
敵を睨み付けるような鋭い眼差しで一華姉が頓珍漢な台詞を口にした。
真人兄さんは芹香さんと結婚してるだろ?
「いや俺は……半日姪っこの面倒だけでクタクタだよ、当分はいい」
え?
「そうか。面倒をかけたようだな。あとは大丈夫だ」
どういうことだ?
居間では母が泣いている娘達に孤軍奮闘していた。
父はまだ帰宅する時間ではないらしい。
俺たちが顔を見せると、とてとてと三姉妹がそれぞれの母親の元に向かっていく。別に寂しくなんかないからな?
「もふもふはー?」
「ぷにぷにはー?」
「ふさふさはー?」
えぐえぐ泣きながら、辿々しく姉達に訴えかけるのは要約すると、狼どこ行ったの? だった。
そりゃそうか。
仲良く遊んでいた友達が目が覚めたらいなくなって、見た事もない場所にいて、母親もいなくなっていれば泣きたくもなる。
しっかりとお別れをさせてあげられなかった事に少しだけ後悔する。
寝ていたから仕方が無いという事情を差し引いてもな。
思えばバタバタしていてトーヘンボクにもお礼を言えなかったな。あんなに愚痴を聞いて貰ったのに。少し目頭が熱くなったのは感情豊かな娘達に感化されただけだ。
母との会話から経緯を推理すると、どうも子供を預かって貰っていたらしい。
突然現れた子供達の存在に驚く事もなく?
これは、本格的におかしい。
「ふむ。芹香、詩、真二、少し話したい事がある」
一華姉ももちろん気付いているのだろうな。
詩も神妙な表情だ。
芹香さんだけは持ち前の天然さで打ち解けていて感心してしまう。
泣き疲れて眠ってしまった娘達を伴って場所を移す。
詩の部屋に向かうと思ったが、一華姉は向かいの部屋の扉を開けた。
「一華姉、その部屋は……」
元々一華姉が使っていた部屋は一華姉が結婚した時に私物をすべて運び出して芹香さんと真人兄さんの寝室として使われている。
「やはり……」
「あら?」
だけど、部屋は見覚えのある一華姉の部屋に戻っていた。
一華姉が何かに気づいたようにポケットからスマホを取り出す。
元世界に戻ったから所持品も補完されたらしい。
しばらく操作をしていたが、やがて諦めたように息を吐いた。
「……やはりな。旦那の連絡先がなくなっている」
「え? どういうことですか、一華先輩」
芹香さんもかみ合わない現実に困惑気味だ。
「詩、友也と連絡を取ってみろ」
「もうしたし」
仲が良くて何よりだな。
少しだけ痛む胸も今は平気だ。
詩がスマホの画面を見せる。
≪友也くん、もしかして私たち付き合ってる?≫
≪は? 真二と喧嘩したんなら早く仲直りしろよ≫
そんなやりとりがあった。
「だから、どういうことだよ? 一華姉、説明してくれ」
一華姉が目を細める。
「ふむ。どうやらこの世界の私は、結婚をしていないらしい」
「は?」
唐突すぎて意味が分からない。
一華姉が結婚していない?
「私も友也くんとお付き合いはしていないみたいだし」
詩が降参しましたという風に両手を挙げる。
友也から返信された内容は付き合い始めたカップルが交わすような内容ではなかったな。
「あーなんだか真人さんが遠慮していたのって……」
「うむ。芹香も真人とは結婚していないようだな」
芹香さんと真人兄さんが交わした会話の違和感の原因はこれか。
「ふむ。どうやら元の世界には戻れたが、我々を取り巻く状況は一変しているらしい」
一華姉の仮説によれば、過去が改竄されて未来である現在が変化しているらしい。
カウンセリングが必要になるレベルの妄想爆裂状態というわけだ。
あまりに理解しがたいが、娘達の存在を家族がすんなりと受け入れている状況で何か起こったとしても驚かないが。
「じゃあ一華先輩、弥生ちゃんのお父さんは?」
「真二だろう。だが真二の年齢を考えれば結婚はしていない」
「ちょ、じゃあ私は13で妊娠して14で子供産んだってこと? しかも相手は同級生とかどんな波瀾万丈な人生歩ませんのよ!」
俺に怒るなよ。いや、大半の原因は俺かも知れないが、時系列がハチャメチャな件については勘弁してくれ。
「母の話しぶりからの推測だが、父親の名前は明かしていないシングルマザー状態なのだろう」
教職者としては汗顔の至りではあるな。
一華姉が珍しく苦笑する。
「うふふー。一華先輩は絶対に明かせませんもんね」
色々な意味で睦月の父親だと名乗り出るだけの胆力はないです。
「だけど、どうしてこんな事になったし」
過去の改変による未来の歪曲した帰結。
そんなもの昔から答はひとつしかない。
「……バタフライエフェクト」
「は? なにそれ、中二病くさい事言うなし」
「昔の映画のタイトルだ。よくあるだろう、過去をほんの少しだけ変えただけなのに未来が大きく変化してしまうというネタ」
教師という職業柄妄想青少年の事情に詳しい一華姉が苦虫をかみつぶしたよう顔で頷く。
詩と芹香さんは蚊帳の外で不満そうだった。
「愚弟の言いたい事は分かった。だが私たちは過去に干渉などしていないぞ?」
「夢の話だよ一華姉」
「夢? 何の話だ?」
「前に俺が凄い熱を出した時の話をしてただろ? 俺の記憶では皆にキスなんかしなかった。キスをしたのは俺が見た夢の中での話なんだ」
「いや、間違いなく愚弟はあの日私に狼藉を働いた」
「とっても印象に残ったから、忘れたり勘違いしたりしないんだよ?」
「ミートゥー」
「その記憶の齟齬が気になってたんだ。一華姉達の証言通りなら、俺は夢を通じて過去に干渉したのかも知れないって」
深刻なタイムパラドックスが起こりそうな事案だが、俺の知った事ではない。
上書きをした事実という物は上書きをした本人にしか知る事は出来ない。
更に過去改変で影響を受けるはずである俺たちの記憶がそのままであるのは、トンデモ空間に隔離されて時間の理から外れていた影響だ。
だから、一華姉には結婚をしていた記憶はあってもこの世界での事実は異なり、もしかすると俺とだけ関係を持って子供を産んでいる可能性が高い。
他の2人も同様だ。
「そうか。だから玉手箱なのか」
一華姉が呟く。
そうだ。
だから玉手箱なんだ。
何故かあの世界から持ち出す事が出来た唯一の遺物であるタブレットには、未だに玉手箱の使用ボタンと紹介が残されている。
おかしくなってしまった世界を元通りに出来るかも知れないボタン。
普通に考えれば酷い措置だ。
押せばおそらく元の世界の続きが始まり、悲劇的な未来が約束される。
押さなければ自分たちの愛した者達との縁が切れた未来が続いていく。
くそったれな運営が仕掛けた最後のプレゼントというわけだ。
普通ならな。
だが俺はこの件についてだけは言いたい事を言わせて貰う我が儘な弟にクラスチェンジしている。
「無理強いはしないが、俺はこのままがいい」
ってこれ、間接的な告白じゃないか!
言ってしまってから気付いて顔が熱くなった。
「あ、うふふー。真くんがそういうならお姉ちゃんはこのままでいいよー」
芹香さんがぎゅうっと抱き付いてくる。
「まあ、別にいいんだけどさ」
詩は憮然と芹香さんを睨み付けながら素っ気なく言う。
「ふふ。まあ、期限が決められている表示はなかった筈だ。不具合が出たらその時に改めて玉手箱を開ければいい」
一華姉はどこか誇らしげだった。
夜の事だ。
手探り状態で調べた、詩と芹香さんの我が家での取り扱いについてはこうだ。
詩は両親の転勤に伴う引っ越しのタイミングで俺の家で同居を始めたらしい。
その際に学生である詩の子供のベビーシッター的存在として芹香さんも同伴した。
後押しをしたのは一華姉で、教師を続けている自分にとっても子供の世話を頼める存在として有用だったそうだ。
なんとも荒唐無稽の話だが、なんてことはない。両家の親達は薄々感づいているのだろう。自分たちの娘の相手が誰かという事に。
子供の悪戯や嘘なんて親には筒抜けだろうと一華姉は肩をすくめていた。
「真くん、なにかよそ事考えてる?」
俺の部屋を甘い汗の芳香で満たす計画でもあるのかと疑ってしまう程いい匂いがする芹香さんが、拗ねるみたいに呟く。
しどけなくパジャマの前ボタンを全開にして形の良いおっぱいを半分覗かせた状態で上に跨がられているから見上げた景色は絶品だった。
下半身は裸で白い肉付きの良いふとももが美しい。
流石に部屋数が足らないから住み込みの芹香さん専用の部屋はない。
だが自室なんて必要ないらしく、寝る時はその日の気分で一華姉の部屋に泊まったり詩の部屋にお邪魔したり俺の部屋に忍び込んできたりしている。
因みに真人兄さんは就職を機に家を出て独り暮らしをしているらしい。
偶々の帰省に子供の世話にぶた当たっていたわけだ。
「芹香さん、もうここは脱出ゲームをしていた世界ではないですよ?」
「知ってるよ。だからなにかな?」
「しっかりと避妊した方がいいと思う」
コンドームだってコンビニで買えるのだから。
たっぷりと芹香さんの中に放っておいて言える台詞じゃないんだけどね。
異世界から戻っても若さがそのままだった芹香さんの中はやっぱりそのままで大変気持ちよくて、だからとても太刀打ちできないんです。自力では外に出せないような体位の問題もあるんだけど。
「駄目だよ。だって、弥生ちゃんに弟がいないと可愛そうでしょ?」
基準がおかしいです。
「はい交代だよお姉ちゃん。どいてどいて」
「もう。詩はもう少し余韻を楽しむ心を理解しなさい」
「はいはい気をつけます。よいしょっと。まだきついし……」
詩は俺に跨がると、姉の物と俺の物でベタベタになったペニスに手を添えて下着をずらすと自らの若々しい割れ目にずふずぶとめり込ませる。
「んッ。……葉月達に弟が出来るのはいいんだけどさ」
いや、経済的にそろそろ厳しいと思う。
子供を一人育てるだけでどれほどのお金がかかるのか知ってくれ。
狭い穴をきゅっと締め付けて奥まで飲み込んだ詩が小刻みに体を揺らす。
俺の部屋限定で下着姿に戻った詩だ。
「んッ。別に、お姉ちゃんが産む必要なくない?」
だからといって詩が産む必要もないと思う。
「えー」
不満そうに芹香さんが唇を尖らせる。
足の間から垂れだした白い粘液をティッシュで恥ずかしそうに拭っている姿が萌えてペニスが固くなる。
「ちょ、お姉ちゃんじゃなくて私で固くしろっての」
詩が抗議するように痛いくらいに締め付けてきた。
「仕方ないでしょ。いくら私が自重したところで三十路間近の年増女達ががっつくんだから。弟だけは譲れないし」
お前も基準がおかしいって。
「誰が年増だ馬鹿者。真二、詩はまだ学生の身だ、孕ませるなら大学を出てからにしろ。その間、男としてどうしても我慢が出来ないならばこの姉で発散するがいい」
俺から誘った事は一度もないです姉上。
「するがいいって、あッ、ちょ、下から突き上げるなし、一華先生がしたいけだし!」
ベッドの側に置いた椅子に深く腰掛けて大胆に足を組んだまま一華姉が睥睨してくる。
「心配しなくとも弟は私が産んでやる」
「一華先輩はしっかり教職を全うしてください。どれだけ弟好きなんですか」
「お姉ちゃんが……んッ、それ、言う?」
気持ちいいところに当たったのかブルっと詩が体を震わせている。
感度の良さも相変わらずだ。
「そういえば、真くんは弟じゃなくなっちゃったんだよね。ごめんね?」
いえ、謝られても困ります。
「でもずっと私は真くんのお姉ちゃんだから安心していいんだよ?」
「私が、真二くんと結婚したら……あっ、姉になれるし?」
「うふふー。いい考えかもー」
「ふん。真二に結婚などまだ早い」
「子供三人も孕ませてまだ早いって……」
脱出ゲームは無事終了としたというのに、やっている事が変化していない気がする。だがそれがそこはかとなく嬉しい。
残念ながら、俺は未だに捕らわれたままらしい。
042 蛇足
静まりかえったロッジに残されたタブレットから声が聞こえる。
≪皆様、無事ご帰還されたご様子でございます≫
ちんまい体を寄せ合った幼児達がおーと舌っ足らずな声を上げる。
「えへへー。サンキューだよ、おませちゃん」
≪あの……いえ、もういいです≫
「……本当にここまでする必要があったのかな?」
「ふん。仕方あるまい。父上の不甲斐なさでは破滅的な未来しかなかったのだからな。今回もギリギリ及第点というところだ」
「でも睦月ちゃん、熱を出した日のやり直しだけで良かったと思うんだけど」
「ダメダメだよ弥生ちゃんダメダメ。パパを過大評価しすぎ。そうなったら元の木阿弥でー、最悪カワイイカワイイ弟ちゃんが生まれないかもなんだよ?」
「うむ、そうだぞ弥生。低い確率だが私たちの存在事態も怪しくなる」
「う。弟のこと出されると、そうなんだけど。でも……拉致監禁して無理矢理とか一生の心の傷に……」
「今まで観察していたが何処に無理矢理な場面があったというのだ? 皆、嬉々として励んでいたではないか」
「ちょ、睦月っちぶっちゃけすぎだっての、超ヤバ」
「あれくらいの荒療治をしないと三人同時に手を出せないだろ? 父上はあの母上を堕落させるほどの腑抜けなのだからな。最悪、私たちの内の誰かが生まれなくなってしまうではないか」
「私たちの生い立ちを鑑みればそうなんだけど……」
「まったく……旦那も彼氏もいるくせに無理矢理父上を犯して托卵状態の鬼畜にも劣る諸行に出る無茶振りだったからな、母上たちは」
「……」
「それにねー、この脱出ゲームの日々がないと、熱出した日にあんな大胆に出なかったって、パパの性格考えたらわかるっしょ」
「葉月ちゃん、口調」
「はいはいお姉ちゃん」
≪あのぉ、そろそろお嬢様方も戻られた方がよろしいのではないでしょうか? ≫
「そ、そうですね。ほら、睦月ちゃん葉月ちゃん、行くよ?」
≪ポイントチャージの件、お願いしますね? もうすっからかんでございますから≫
「わかってるわかってる! 感謝してるって、おませちゃん。弟からしっかりと搾り取るから任せておいて!」
「うむ。たっぷり出させてやる」
「も、もう、ふたりとも言葉選んで……」
「ホントホント、私たちって親孝行ものだよー」
「今回のはお父さんとお母さん達が溜めたポイントを使ったんだから何も孝行じゃないと思うけど」
「しかし、どれだけヤリまくったらあれだけのポイントが溜まるのだ」
「あ、睦月ちゃん、タブレット持って行かないと」
「む。そうだったな。これがないとポイントを溜められないのだったな」
「未来の私たちが救われなくなっちゃう」
≪あの、今回の歴史改変でお嬢様方は救われるのですから必要ないのではないですか?≫
「しー。おませちゃん。そんなこといったらタイムパラドックスおこっちゃうでしょ?」
幼児3人が人差し指をちっちゃな口に当てる。
「……あまり間借りしているとこの子達の教育に良くない気がします」
「自分の体じゃん、弥生ちゃん、心配ないって。送り届けるまでくらい平気だって」
「さあ、行くぞ。精々派手に泣いてやろう」
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