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第3話 ゲームスタート/姉の口
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意味を理解したくない告知が終了してゲームはスタートした。
示し合わせたように誰も動かず白い部屋は沈黙が支配する。
このくそったれな脱出ゲームを乗り切るために実に様々な検証や情報収集が不可欠だろう。
外にいるモンスターとはどの程度の強さなのか?
ポイントを使用することでモンスターに対抗出来るのか?
そのキモとなる部分が全員を沈黙させている。
さて、例えば俺がこの場で次の質問をしたとしよう。
「俺とセックスできるか?」
町中だとすぐにおまわりさんが飛んでくる事案だな。
「教師として、姉として、また人の妻としてお断りだ」
「無理。だって私トモくんの彼女だから。それに義理とは言え弟だし」
「真人さんを裏切るわけにはいかないから。真くんは弟。だからごめんね」
まず間違いなくそう返されるだろう。
誰を相手にしても禁断の関係なのだ。
誰が好き好んで背徳感と罪悪感に苛まれる心の傷を負いたがるもんか。
万が一俺が迫られたとしても旦那さんや兄や友也の顔がチラつくだろう。
出来ないとは言わない。だが、無事元の世界に帰還した後の事を考えると気が滅入る。どんな顔をして顔を合わせれば良いのか考えても想像すら出来ない。
男の甲斐性と呼ばれる浮気を形容するには16年の人生では足りないらしい。
初手から詰んでいる。
「ふむ。こうして考え込んでいても埒があかんな。体力のある内に試すだけはしよう」
一華姉が色々な物を振り払うように肩の髪を払い壁に歩く。
「どうするんですか一華先輩」
「挨拶だ」
一華姉はゲームがスタートしてから発光が収まった窓際に立ち外を窺う。
後に続いて覗き見ると、期待を裏切らず景色は匂い立つような深い森だった。
タブレットを確認しても家の周りに外敵を表す赤表示は近付いていない。
絶対安全な領域として家が守られていると思いたい。
一華姉が壁に立つと音もなく左右に開く。
近未来の自動ドアか。その格好良さに少し心が躍った。
「真二、お前は出るな」
「でも一華姉が行くのに」
「聞け。私はこのくそったれなゲームを認めたわけではない。だが打つ手が無くなった時にお前が怪我で動けない状態や或いは死んでいたらお手上げだ、分かるな? 男はお前しかいないのだからな」
ポイントチャージの条件を満たす為に必要なのは一人の男と二人の女。
「普通、逆だよな。男が一人しかいないから中でおとなしくしてろなんて」
「文句はこのゲームを考えた奴に言え」
一華姉は天井を睨み付ける。
「芹香、しっかりと見張っておけよ?」
「……わかりました一華先輩。でも、気をつけてくださいね」
「それもゲームを考えた奴に言ってくれ」
一華姉は俺を一瞥すると外に出て行く。
扉は音も無く閉まった。
窓から一華姉の姿を追う。
心配そうな芹香さんと詩も窓に張り付いた。
一華姉は森に落ちていた木を拾うと軽く振って強度を確かめている。
ないよりはマシの木刀代わりだ。
少し進むだけで森の木々ですぐに見えなくなる。
タブレットで確認すると白い点から青い点が上に進んでいくのが確認できた。
原理はともかく位置の確認は取れるみたいだな。
数分もせずに赤い光りがひとつ青い点に近付いてくる。
「一華姉!」
青い点と赤い点が重なり合った。
すぐに磁石の同極同士のように離れる。
二度同じような動きを繰り返した後、ある程度離れた状態で双方の動きが止まった。
ごくりと生唾を飲む。
程なくして青い点が少しずつ家に近付く。引き返してくるようだ。赤い点が窺うようにウロウロと距離を開けて着いてきた。
森から一華姉が小走りで出てくる。
去り際に半分ほどの長さになった木を森に向かって投げつけた。
2メートルは体長がある青黒い毛並みの狼のような動物は威嚇するように口を開けるとピタリと足を止める。
一華姉は確認するように振り返り足を止めると狼を観察した。
音も無く扉が開く。
「一華姉、怪我はない?」
「うむ。だが、歯が立たない事は確認できた」
確認できてしまうところが凄いんだけど一華姉だから納得してしまう。
「これ以上近付けないわけではないが、何かペナルティでもあるように警戒しているな、奴は」
扉を開けたままで一華姉は狼と対峙している。その間は約5メートル程だ。
その気になれば瞬き程度の隙で飛びかかってきそうな距離だが、見えない壁でもあるようにその場をウロウロと落ち着かない様子でこちらを黄色い目で睨み付けているだけで具体的な行動には出ない。
頭に角のような突起物があり、木漏れ日を受けるとキラキラと光っていた。
「見たこともない生き物だね」
「巨大な狼……みたいだけど」
芹香さんと詩は窓から観察している。
二人とも身を震わせているのか声もかすかに震えていた。
威嚇するように唸りながら狼は白い牙をむき出す。
一華姉が家に入いると扉が閉まった。
俺は窓に移動して狼の動向を確認してみる。
狼は数分ウロウロしていたが、諦めた様子で森に姿を消した。
「すべてがあのクラスだと思いたくはないが、のんびりと歩いて出口を探せるような甘い森ではないようだな」
一華姉は手を払いながら息をつく。
主催者側の思惑が見えてくるな。
あんな凶暴そうな狼と丸腰で戦うなんて不可能だ。いや、武器だけ渡されても無理に近い。
チュートリアルでは少ししか見えなかったが、さぞかしいい武器やスキルがたんまりと載っていることだろう。
このピーピングトムめ。どうせどこかに仕掛けたカメラで覗いている筈だ。
下手したら公開されて賭けの対象にでもされているかも知れない。
「さて、これでやることは決まったな。生きてここから帰りたいのなら覚悟を決めるしかないようだ」
一華姉は俺たちを見回してそう言った。
覚悟を決めてパートナーを裏切って俺に抱かれろ、と。
俺も含めて二人の義姉は俯いてしまう。
「本来であれば、血のつながりの無い経験者と言うことで芹香を指名したいところだが……」
芹香さんが恨めしそうな顔で唇を尖らせるのを見て「何だ、その顔は」と一華姉は呆れたように溜息をつく。
「遅かれ早かれだろう、往生際が悪いな。仕方が無い。真二、こっちに来て脱げ」
「ええ!」
お前もかと一華姉が据わった目で俺を見る。
「何を恥ずかしがることがある? ここにいるのは裸を見せ合った仲だろう?」
お風呂で小さい時にだけどね!
ちくしょう。まさか自分で吐いた唾を飲むことになるとは。
ヒタヒタと足音を響かせて一華姉は近付く。
室内でいる時に拉致された俺たちは靴を履いていない。
一華姉は室内用のスリッパだけで狼と対峙に行ったのだ。とても真似が出来ない献身を目の前にしてどうして俺が我が儘を言える?
「仕方の無い奴だ」
ジーンズのパンツを下ろされて恥ずかしがる暇も与えられずにトランクスも下ろされる。
一切の抵抗も出来ない。
姉の目にさらされたペニスは当然ながら萎んでいた。
慌てて芹香さんと詩が赤くした顔を背けている。
「せ、先輩、何か他に方法は無いんですか?」
「ない」
「一華先生、いきなり?」
「なんだ? なにか前段階でもあるのか?」
一華姉の冷たい指がそっと添えられる。
ドクンと胸が鳴なった。
1回目の初恋相手で失恋相手の一華姉が俺のモノに触れている。
10も歳が離れているためか中々姉という感覚が持てなかった女性。
憧れの姉の手の中でその感触だけで、ムクムクとペニスは体積を増していく。
「ふむ」
「うわー」
「うわー」
詩と芹香さんが横目でチラ見しながら声を上げた。
もう目の前が真っ赤になるくらい恥ずかしくて顔が熱い。
躊躇うことも無く一華姉は屈んで横座りになるとペニスを口に近付ける。
確認するように俺を見上げると赤い唇を割り、あっという間に咥え込んだ。
本当にいきなりだった。
目の前の光景が信じられなくてチカチカする。
え、本当に?
一華姉の口の中にゆっくりとペニスが飲み込まれていった。
生暖かな唾液が絡む。柔らかい舌が先端を受け止める。
信じられないくらいの気持ちよさにペニスは意思を持っているように暴れた。
心音が激しすぎて息が詰まる。
「落ち着け真二、舐めにくい」
そう言うとぢゅっと強く吸い始める。
初めてのフェラチオ。夢にまで見た初めての女性の口を使った愛撫がまさか実の姉相手で、義理の姉二人の目が光る露出プレイとか拷問かよ。
強がりたくもなる。
しっかりと観察している二人は仄かに想っていた相手でもあるから。
温かい口の中に含まれた部分が舌で撫で回される。
「匂いが、青臭いな」
失礼な。正真正銘青い果実なんだよ。
ペニスにねっとりと舌が絡んでくる。気持ちが良い。
だけど暴発したりはしない。
一華姉の綺麗な顔が下から見上げてくる。確かめるように口が動く。
赤い唇を割ってペニスが出し入れされる度に色っぽく鼻にかかった息を漏らし一華姉は顔を前後させた。
いつまでも見ていたい一華姉のフェラ顔だ。
世の男子がスマホで撮影する気持ちが分かる。
「ふむ。口でするというのも中々難しいものなのだな」
同感です。一華姉に口でされたりしたらあっという間に爆発してしまうと焦っていた。だけど気持ちが良いけど快感度は絶頂するほどじゃない。
緊張しているというのもあるけれど気持ち良くなるタイミングが計れない。
というか一華姉が、あまり慣れていないというのが分かってしまう台詞だな。
「そんな顔をするな。仕方が無かろう、初めてするのだ。固いな……」
口から出して益々硬度を増したペニスを手で擦られる。
「ええ! 一華姉、結婚してるのに?」
「……結婚したからといって口でするとは限らないだろう」
そうなのか。
何故か一華姉が拗ねたように唇を尖らせる。
「あの……先輩、口に含むだけではなくてですね、その、バキュームを混ぜてですね、吸い付きながら出し入れしてみては如何でしょうか?」
「ふむ。芹香は経験者なのだな?」
「や、やめて下さいよぉ……」
芹香さんが顔を赤らめて両頬を手で押さえる。
そうだよな。あまり聞きたくないけど今時の夫婦ならするよね?
「手でもう少し扱いて下さい……初めてで口だけでイかせるのは難しいと思います……お互いに」
もう消えてしまいそうな呟き声だった。
技術がいるものらしい。
「ふむ。……こうか?」
「はい、舌と唇で裏の辺りを擦ってみたり……」
「お姉ちゃん、詳しいね。お義兄さんにもそんな感じでしてあげてるの?」
「ち、違っ」
途端にいやいやと首を振る芹香さんだ。
聞きたくない。聞きたくない。セルフコントロールだ。
強く吸われて一華姉の柔らかい口の粘膜がピタリと張り付いてくる。
唇で敏感な部分が擦られるとビリビリと痺れるような気持ちよさが背筋を走り抜けた。
「う、うわっ。一華姉、今の凄かった」
「ん? そうなのか。では、続けてみよう」
じゅぽっじゅぽっとエロ動画のような嫌らしい音が鳴り始めると途端に気持ちよさは倍増した。
一華姉が髪を躍らせながら顔を前後させる。
その度に痛いくらいの気持ちよさが襲ってくる。
ああ何だか気持ちよくなるコツが掴めた。下半身に力が入る。
「何だ……苦いモノが溢れてきたぞ」
「わ、わっ。ごめん、一華姉っ出るっ」
「んむっ! おぶっ」
一華姉の口の中でどくどくと溜まったモノが迸る。
突然吹き出した粘液に驚いた一華姉が目を見開き動きを止めて震えている。
その姿も気持ちが良い。
またどくんとペニスが震える。
コクリ。と一華姉の喉が鳴る音がして更に気持ちが昂ぶってくる。
飲んでいる。
一華姉に、口の中に出した物を、飲ませている。
それは何か胸をすくような気持ちの良さだった。
「凄い……量と勢いなのだな……けほっ」
一華姉が顔を歪めて息を吐いた。
タブレットに2ポイントがチャージされた。
その後のことだ。
夢見心地から覚めるとぞっとした寒気がしてくる。
自分がしでかしたことに対する後悔が半端ない。
ごめんなさい、一華姉の旦那さん。
でも、口だけです。生きるためなので勘弁して下さい。
「んんっ……んんっ……何かまだ喉に張付いているような気がするな」
心の中で土下座をしているとナチュラルに一華姉が煽ってきた。
表情もエロい。ついさっきまでペニスを咥えていた赤い唇につい見とれてしまう。
なんかすいません。
「男の精というのはこんなにも飲みにくいものなのか……芹香はいつもどうしているのだ?」
「わざとですか先輩? ノーコメントです」
芹香さんは隣で赤いながらも期待混じりの顔をしていた詩を意識して回答を拒否する。
「だいたい、それは……真くんが若いからだよ」
拗ねたような呟きは俺にしか聞き取れなかったらしい。
「一華先生、別に飲まなくても良かったんじゃない?」
「なに?」
「だって、タブレットには飲めって書いてないし」
口内射精としか確かに書いていない。
「ふむ。そうか今更だな。次からは気をつけよう」
次もあるんですか。
「真二、お前は1日に何回出せるのだ?」
恥ずかしい質問が来た。
「さ、三回くらいはなんとか」
「何だと、三回も出せるのか……毎日か? そうか……これが若さと言う奴なのだな」
身内である女子の前でオナニーの回数を聞かれたような恥ずかしさだった。
それでもへーふーんーはーと詩と芹香さんは興味津々に頷いていた。
一華姉は性の悩みを抱える青少年の相談には乗らない方が良いと想う。
多分話をした後登校拒否になる。
「さて、ポイントはチャージされたな」
念願のお買い物だ。
一華姉はどんな武器を選ぶのだろうか?
やっぱり日本刀かな? 似合いすぎて怖いけど。
あとは戦闘に役立つスキルも取れるかな。
2ポイントじゃあたかが知れてるかも知れないけど。
タブレットが操作される。
「まずは、トイレだな」
は?
トイレ?
何言ってんの、一華姉。
だけど驚いたのは俺だけだったらしい。
芹香さんも詩も当然だと言うばかりにウンウンと頷いていた。
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