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第23話 11日目夜 娼館都市の歴史
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「昔この都市は召喚都市と、呼ばれていたのです」
王女殿下が上品に紅茶を一口飲んでから語り始めた内容は、ぶっちゃけ同音異句でややこしかった。
「魔物を召喚する都市で召喚都市です」
当時は現在と比較にならないほど魔物を生み出す淀みが多数存在して、稀に大きくなって強い魔物を排出することがあったらしい。
驚いたことに淀みの中に入り込むことが可能だった。
たぶん今も可能だと思うけど。
魔物が淀みから出てくるのを待つことなく内部に侵入して殲滅するのがスタンダード。
内部のほとんどは洞窟で魔物の巣。
それは僕の知識にある所謂ダンジョンだ。
無数の魔物が蔓延る巣窟では倒した分だけ魔石と呼ばれるアイテムが入手できた。
魔石の価値が研究されて金銭でやり取りが開始されると、徐々に職業冒険者が集い始め、便乗して商いをする者が集まって小さな集落が発生し、更に人は増えて街になり、栄えて発展していった。
大物の魔物が潜む淀みの中は大地があり空があり大きな街レベルにまで発展した物まであったという。
ファンタジーの真骨頂。
緑の悪魔と称されて怖れられたゴブリンや、その十倍強いとされるオークが跋扈したのも、その頃に違いない。
年月をかけて各地につながる道が開かれ、街は国レベルの賑わいを見せた。
まさにヒロイックファンタジー全開の黄金時代の到来だ。
今なお書物に名を残す英雄が幾人も称えられ、美姫が群がり彩りを添えたらしい。
だけど、終焉は不意に訪れた。
淀みの方が先に絶滅してしまったのだ。正確には、淀みの発生が激減してポヨポヨスライムしか生み出さなくなった。
「人類を脅かす魔物の駆逐に諸手を挙げて喜んだ者など少数でした」
まるで見てきたように、沈ませた憂いの表情で王女殿下は色っぽいため息をつく。
鉱山の資源が枯渇した様そのままの状態。
生き残るために元々存在していた歓楽地域の色が増しはじめ、次第に色街にシフトしていき、やがて召喚都市は娼館都市として生まれ変わった。
発想の飛躍も甚だしいな!
「……そのような歴史を持つ都市なのです」
え? 以上?
あれ?
いやいや、そのパラダイムシフトは如何にして起こったのか、何が掛け違えられて馬鹿馬鹿しい娼館テーマパークと化したのか、めっちゃ知りたい部分がぼやかされて端折られたんですけど!?
「……その辺りの記述は曖昧と言いますか不明瞭といいますか、明確に記されてはいないので、ご容赦いただけますでしょうか?」
王女殿下は申し訳なさそうに目を伏せた。
都市発生の由来は分かったものの核となる部分は原因不明。
誰が発案したのか知らないけれど、下地はあったとはいえ馬鹿馬鹿しくなるほどの実行力に感服だよ。
「私達娼館都市を統治する王族は、当時功績を上げた勇者の血を入れて都市を統治してきた一族なのです」
ただの貴き一族ではなくて娼館都市を運営してきた経営者様でしたか。
つまり僕たちゲストをもてなすホスト役だ。
街の中央に鎮座ましますお城はつまり本社か。
ひょんなことから召喚都市の歴史を知ることになった。
でも疑問は欠片も解消されていない。
どうして僕はお城に招待されて昔話を聞かされたんだろう?
ヒストリというのは実に感慨深いです。
でも、ごめんなさい。
滔々とよく通る殿下のお声も、歴史館のナレーション顔負けの講説も、にゅぷにゅぷという柔壁の粘膜が撫でる音が台無しにしていた。
「……んっ……はぁ」
白いヒップの媚肉がふるふると震え、僕の腰に打ちつけられる度にパツンパツンという音が思考力を奪っていく。
「く……ぅ……ひっ」
体重を預けるように奥までペニスを飲み込み子宮口を圧迫するたびに、女騎士のヴァギナは切なげにきゅうと全体をやわらかく包み込み、漏れ出た先走り液を味わうように淫らなひだで噛み付いてくる。
十人十色の女性器の味に舞い上がりそうに酔いしれる。
「す、凄い……私の中いっぱいに……広がっている……」
エロい時に際立つフィットのギフトが女騎士の初めての膣道を作り替えていく。
むっちりとしたお尻を震わせ肉唇からゆっくりと引き抜く時は、女の秘穴周りの白い肌が引っ張られて盛り上がり、ペニスを白く汚す粘液を拭き取るように密着してくる。
「……はしたなく……くうっ、はぁ、ぴったり張り付いて……いる」
熱く蠢く内部の壁は、態度に現れていた通り守ってきた貞節を証明するようにきつく絡みついて敏感な先端を嘲笑うかのように擦り上げる。
カリの窪みが擦られて女子みたいにうめき声を漏らしそう。
焦らすみたいにゆっくりと、ゆっとりとヌルヌルした淫汁でまぶされたペニスをいたぶるように刺激してくる。
「んはっ……んんっ!」
結構重要なお話なんだけど、頭に入ってくるのは跡切れ跡切れで断片的。
歴史の授業の合間にも娼館都市でお馴染みのサービスが続いているから。
しかも相手は高貴で勝ち気な女子。これでさらっと流して平然と話を聞けるなんて漢じゃない!
お尻を高く上げてポツポツと玉の汗を浮かべた鎧から覗く滑らかな背中を淫らに反らし、顎を絨毯に埋めた姿勢で芳しくも生々しい女の匂いを漂わせる。
男に従属するような格好で、アナルも丸見えにして誇りも打ち捨てて腰をくねらしペニスに奉仕するくっころ女騎士。
目を上げれば仕え守る主人が睥睨している。
破瓜の痛みで歪んだ顔も、男に貫かれた屈辱に噛み締めた唇も、だらしない甘い吐息を漏らす開きっぱなしの口内も、余すところなく見られている。
快楽に翻弄されている情けない女の顔を見られている。
主人の語りが一息ついた事に気付くこともなく、中で馴染み始めたペニスの感触と、熟した身体に芽生え始めたふしだらな痺れる気持ちよさに没頭している。
ペニスには隠しきれない白っぽく濁る愛液をまとわりつかせ、中から押し出された湧き出る新たな透明な淫水のしずくが幾筋も垂れて絨毯の色を変えていた。
「……ユリ、あなたが気持ちよくなるのではなくて、狭間様を気持ちよくするのですよ?」
「はぁ、はぁ――承知、して……おります」
「そのわりには……凄くいやらしい顔ね」
「くっ、そ、そのような卑しい顔はしておりません! ひっ、な、なにを、あっ……や」
強がる女騎士が愛らしいから、腰の上で切なげに揺れるお尻を両手でつかみ引き寄せて、ペニスを前に突き出しちゃった!
女騎士に突き立てた息子がイチャイチャを喜ぶように自我をなくして暴れ出す。
「おぐぅ……おぐにぃ……ふがいぃ!」
中のひだをかき回すように抉ると途端に歓喜の舞を踊るようにウネウネと締め付けてきた。
素早く引き抜くとおねだりをするように吸い付いてくる。
ソファーをギシギシと揺らしながら座った体勢のまま、いままでのご奉仕に報いるように激しく中を蹂躙する。
「い、いぐぅ! そごぉ、いぐぅ!」
弱い場所を連続して貫いたのか、ぴんと身体を硬直させて女騎士の白い身体が打ち震えた。
今までゆっくりとしたスローセックスで溜めて我慢していた悦楽が乱暴な動きで暴発しちゃった?
女騎士はガクガクと心配になるくらいに身体を痙攣させて、獣のようなうなり声をあげて絶頂している。
「下品なお顔……狭間様、如何でございますか? 私の護衛のちんぽしごき穴の具合は」
控えめに言って最高です。
冷静になった後がとっても怖そうだけど。
焦らされて我慢していたのは女騎士だけじゃない。
等間隔で膣の締め付けを繰り返す動きで、話を聞くために抑えていた衝動が制御不能に陥った。
「もっと、気持ちよくさせてよ!」
「ひっ……ま、待つのだ、いま、は……あぐぅぅぅっ」
そのままお尻を上下に乱暴に打ち付けさせてオナホで扱くみたいに自分勝手に気持ちよくなる。
「はげ、はっ……うぐぅぅっ、はげしい! お、おぉぉ……じ、じびれて……身体が……」
その雑な扱いがお気に召したように王女殿下は唇を赤い舌で舐め、今にも自慰行為に浸りそうな潤んだ瞳で女騎士を睨め付けていた。
気持ちよさで嗚咽をあげる女騎士は、抵抗するどころか腰を自分でも動かせて快楽を逃すまいと下品にきゅっきゅっと花弁を締め付けてくる。
絨毯の毛を引きちぎるくらいの強さで掴み、手の甲を白くさせていた。
「いぐぅっ、いぐぅっっ、いぐっっっっ!」
「あうっ、出るっ、出るよっ」
「あら……まだお話の途中だといいますのに、いってしまいますの?」
そもそも、このご奉仕って、話の途中にすることじゃないよね!?
「当家のおもてなしでは、ご満足いただけませんでしたか?」
逆です。ご満足が過ぎたんです。
びゅるりと中で弾けてしまう。
手を離してしまったホースが辺り構わず水を放出するように、女騎士の壁という壁に精液をまき散らす。中を白い汚液で塗りたくる。熱い肉壁にペニスを擦り、当てて快楽をヘイストする。
「……っ? な、なんだ、この感触……」
「ああ……狭間様、無責任に中でお出しになったのですね……」
最高。至高の一撃に頭に白い靄がかかる。びゅるびゅると射精は続くよいつまでも。
「王家に連なる公爵家の次女であるユリは、古くからの掟に従いまして約定通り、享楽と豊穣と商売の女神様からの避妊の加護を受けておりませんのに、まぁ、そんなにたくさんお出しになるなんて……」
びびゅっと最後の気持ちよさに腰を震わせた後、それを聞いた。
射精の気持ちよさに躍っていた心臓が別の意味の動悸に変わる!
なんですと! え? つまり、中で出しちゃうと不味くない?
妊娠させちゃうの? 今日会ったばかりで想いを寄せたわけでもなく、勘違いで選んでしまった女性を孕ませちゃう!?
「か、神様、享楽と豊穣と商売の女神様! ぼ、僕に救いを!」
《……苦しいときの神頼み、かっこ悪い》
世界の言葉はいつだって残酷だった。
「くっ……まさか……膣内射精……だと……お前の子種を私に仕込んだ、だと……公爵家の次女である私を!」
女騎士が肩越しにこちらを睨みつけてきた。
くっ……いっそ殺せ。そんな光を灯した青い瞳は100万ボルトの痛みで胸を深く貫いてくる。
「さすが、英雄様でございます」
王女殿下は呑気に天晴と手を叩いていました。
もしかしてこれ、ハニートラップ!?
*
メイドさんに後始末を受ける間中、僕を100回は目で殺した女騎士の怒気にドキドキしながら、その後に王女殿下に説明をされたのは、冒険者ギルドの事だった。
「この娼館都市に残る形骸化した冒険者ギルドはアトラクションの一つなのです」
ああ、合点がいく!
遙か昔に猛威を振るった淀みの残滓から溢れてくる危険要素のないスライムをちまちま虐める、冒険者ごっこを体験できる出し物。小金を稼げる体験型。
あの場所に集うものは兵でも武士でもなく、中二病をこじらせた助平な飲んだくれだったと!
そこに、緑の悪魔と呼ばれる本物が現れたと知らされて大わらわだった訳か。
だけどその大半の冒険者たちも、演出のひとつだと勘違いをしたらしい。
一緒に戦おうと誘っても、なるほど、尻込みするわけだ。
冒険者ギルドで平和に酔っ払うおっさんたちが、僕が紡いだ英雄譚を聞いて手放しで囃し立てていたのはホストが用意した演出の一環を天晴れと賛美したからかよ!
「緑の悪魔が現れたと報告を受けた時は正直驚きました」
僕が近衛兵に連行される切っ掛けとなった理由。
「先ほど、冒険者ギルドより報告の上がりました魔石の調査が完了致しました」
あまりに突拍子もない頭を抱える事態にでっちあげを疑われていたけれど、王女殿下が横やりを入れた理由。
色々と誤解はあるけれど、ゴブリンの魔石に間違いはないからね。
「ゴブリンに立ち向かえる狭間様」
王女殿下は乙女が星に祈りを捧げるように胸の前で手を組んだ。
「200年ぶりに復活の兆しのある危険な淀みを潰していただきたいのです」
まあ、そうなるよね。
「最大限前向きに善処いたします」
これが世界の危機の切っ掛けだった。
応援ありがとうございます!
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