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第1部
第9話 お山に登ったその後で
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009
たまに森で狩りをするという案内人の男性に先導されて、お山に向けて出発した。
大自然という程ではないまばらな木々は広葉落葉樹の集まりで、雑木林と呼ぶにふさわしい。
人が良く歩く場所は踏み慣らされていて、まるで田舎の私有地の林道みたい。
道なき道を蔦を払いながら進んでいくのかと想像していたけど、割とイージーな始まりだった。
「本当にお二人で向かわれるのですか?」
案内人の狩人は壮年の男性で、よく日に焼けた色黒で筋肉たくさんの体つきだ。
人が好さそうな男性だけど、さすがに驚いていて心配そう。
出発前に話した村長さんも同じようなお顔で驚いていた。
「うん。あまり大人数でお山に入るのも失礼かなって」
「そ、そうですか」
まぁ驚くよね。ちっちゃな性別男の娘と、似たり寄ったりのメイドで2人、大した装備もないのに山に登ろうなんて。
山を舐めてはいけませんとお説教される案件ですね。
さらに身分は尊き貴人。
護衛もつれずに山歩きとか正気の沙汰とは思えないよね。
何かあったら責任問題。
村長さんも心配だろう。
姉様ズの証人もいることだし。
幾人か護衛の兵士はいたけれど、村で姉様たちについてもらっている。
出奔してきた姉様ズのお世話係にシーラとビビィをつけたから、同行するのは気合十分のアンひとりだけだ。
「見た目は細いですけど、がんばります!」
「ご立派です、若様」
根性論の男の娘と、褒めるときでも無表情のメイドのコンビに男性は頬を引くつかせていた。
子供のお守り、ご苦労様です。
「空気がひんやりしてるね」
「お身体を冷やさないようにいたしましょう」
木漏れ日が心地いい道を歩く。
「いい運動になるよ」
「くれぐれもご無理はお控えくださいませ」
大丈夫。すでに息は上がり気味だから。体温は絶賛上昇中!
朗らかに答えているけど内心は焦りまくり。
というか、どういうこと!?
お山の入り口は、想像と違ってなんの変哲もない場所だった。
変哲がないことが変哲ではないというトートロジー?
村の側の林に入れば、すでにお山という判断らしい。
いやいや。
ぶっちゃけ想定外なんだけど?
お山とか神事とか聞いていたから、てっきり神社みたいな場所を想像してました!
するよね、普通。自分異世界人ですから!
神の社があって、境界線があって、ここから神域だから進入禁止ね? 神罰を食らうつもりで突破しますか? いえ、結構です。
そんな明るいやりとりの未来を描いていたのに、ただの山。泣きっ面に蜂のように登り坂。
モロ山。ホント山。
シーラの口にした言葉通りの「お山はお山」以外の何物でもなかった。
何も知らなかったのは僕の方でしたというオチは第3王子でも笑えない。
そんな山をメイドと2人で息を弾ませて登っている。
だけど仕方がなかったんだよ。
だってゾロゾロ護衛を連れて行くと、真面目に調査しなくちゃならないから。
護衛という名の監視になるから。
それだと当然サボれない。アンを含めてメイドたちだけならごまかせる。
王族関係者は出来るだけいてほしくなかったというのが本音です。
王妃様への報告が食い違うと不味いからね。
村長には、王家としてお山の視察と説明してある。開発前の事前現地調査だとか口が裂けても伝えられない。王家の評判が地に落ちそうだから。
案内人含めて、まあ、避暑地に気まぐれで遊びに来た王家の我儘王子様とでも思ってもらえればそれでいい。
10分くらい徐々にキツくなる坂道を登ったところで大きく息を吐く。
「若様、お顔の色が……お疲れですか?」
アンに気を使われるけど、疲れているのは心です。あと、浅慮だった自分の考え。身体の疲れはその後だ。
案内人の男も心配そうだった。
本当に行くんですか? そんな顔。
確かにベッドの上歴十五年のクロの体は病弱を克服したけれど、1月程度で体力がつくわけじゃない。
まだ平気だけど、いずれバテる。
足が動かなくなること必然だ。
だけど、まいったには少し早い。
「もう少し、頑張ります」
「無理はしないでくださいよ?」
男性は肩を竦めて先導に戻った。
気晴らしに話を聞く。
たまにお山からまるまると太ったイノシシが迷い込んで、村の狩人に討伐されるらしい。
「自分は農家なのですが、お山からのはぐれた動物は畑を荒らすので止む無くしとめています」
お山ではなるべく殺生はしないしきたりなのか。
農耕畜産が安定している温暖な気候のお国なので、狩りして獲物を糧にしているわけではない暮らしだ。
つまり害獣駆除係。
この何もない山から考えると、お山を守る特殊工作員の線は捨てたほうがいいのかな。
お山の使者とか、噂の亜人の鬼人族とかも遭遇したことはないという話だった。
「それにしても、王子にご用意いただいた薬品はすごいですね、まるで虫が寄ってこない」
「そうなのですね、さすが若様です」
アンが無表情で元気つけてくれる。
よもぎとお酒を使ったおばあちゃんの知恵です。上手く機能して良かった良かった。
異世界の知識なめるなよ?
というか、話を総合するとお山では殺生は推奨されないのか。
このまま進んでお山の動物に襲われたら正当防衛が適用されるのかな?
こっも不死鳥のように蘇った身なので、黙ってやられるわけにはいかない。
お山の神様が裁判長? 弁護は誰れに頼めばいいのか、古い文献で調べておこう。
更に10分。雑木林を抜けると、なるほど雰囲気が変わった。
川のせせらぎが遠くに聞こえる。
渓谷の美しい景色に眼を見張る。
眼下には、壮大な森が広がりその先にはまた青々とした山が幾重にも連なっていた。
この先は立ち入り禁止。というより踏み込みたくない雰囲気の深い森だ。
人の手の入っていない大自然って圧巻です。
霧がかかる場所もある。期待していた場面に遭遇できて疲れも少しだけ癒された。
森の恵みが満載の小動物の楽園なのかもしれない。
「このあたりで、私共は足を止めます」
村の狩人も害獣駆除をする時でも矢をお山に向けて放たない程、徹底されているらしい。
杉の木が多いイメージなので、花粉症がちょっと心配。
神事なんて未経験だけど、見様見真似でやってみるか。
「アン、敷物をお願い」
「かしこまりました」
元気良く伸びる草地に敷いた敷物の上に膝をつく。
千早の袖が絡まる腕を払って、両手をつく。
深く深く頭を下げる。
この世界の人よりも、前世がある分、森や緑、自然の大切さとか恐さとか、色々と知っているから素直に頭を下げられる。
「お騒がせして申し訳ありません」
明日から少しの間お邪魔します。
お山は静かで、何も答えは返ってこない。自己満足といえばそうなのかも。
だけど、他人様の領域におうかがいするなら挨拶は必要だよね。
「うん。よし、帰ろう」
「かしこまりました。若様、下りは登りより気を付けなければならないと聞き及んでおりますので、差し出がましいとは思いますが、お手をつながせていただきます」
気遣うアンに素直に手を差し出す。
足がけっこうフラフラだから、ここは素直に甘えておく。
男の娘って意地を張らなくていいから楽でいいな。
案内人の男性は、ほけっとした顔だった。
え? もう帰るの? 何しに来たんだこいつとか思われたかな?
もちろん、王族なので堂々とした態度は崩さない。
最初から予定通りの行動でしたと強弁しよう。
「なんといいますか……神々しいお姿でした。王族のお方はお若いのにやはり私たちとは違いますね」
なんか予想外に感心されて褒められた。大変気分がいい!
ちょっぴりアンが自慢げだった。可愛いなぁ。
初日の調査は終了した。
さて、村に戻ってからのことだ。
明日のために湯船に浸かり、アンに足をマッサージをしてもらう。
つかれた筋肉を解しておいたら筋肉痛になりにくいのです。
昨日に引き続いてアンは全裸。ふるふると揺れるおっぱいを眺めながら疲れを癒す。
向かい合って湯船に浸かり、のぼせないように温めで浅いお湯の量だから、せっせと動くアンのマッサージで水面が躍ってぴしゃぴしゃとお風呂らしい音が鳴る。
足がどうしてもアンの柔らかい身体に触れる。おっぱいもふともももお腹にだって当り放題。
湯船は2人で丁度良い広さだけど、どうしようもなく密着している。
たまに手を伸ばしておっぱいに触れても無表情で「若様、いまはお身体をお安めください」とつれなく返されてしまう。くやしいから足でアンの身体の色々な場所に触れてみる。
女子の柔肌を足で触るって背徳的だ。手ほども鋭敏じゃない触覚でも柔らかさと張りは伝わってくる。お風呂の匂いにアンの匂い。
「あ……若様、そこは……」
立て膝になっているアンの脚の間にお邪魔してみた。足の指だと傷つけちゃいそうなので、足の甲を割れ目にそっと当ててみる。感じるか感じない程度の若草の感触がくすぐったい。
僕の方から積極的にアンに絡むなんて初めてかも。
少しだけ目をまるくしたアンだけど、健気に反対側のふくらはぎを丁寧にマッサージを続けていた。
うん、気分は悪くない。
昨日の王妃様に偶然与えた女の悦びをビビィにズルいと嫉妬をされて、少しだけ考えが変わったのかも。
一線を越えなければ、メイドたちの将来にそれほど後悔を残さない。
なにより、王妃様が一瞬見せた女の貌。物凄く興味深くて忘れがたい。
男の娘だというのに性の目覚めをむかえちゃった?
「……ん……うぅ」
足の甲がふにっとした一番やわらかい部分に触れると、ひくっと控えめにアンは身体を揺らす。
無表情なのに甘い息が漏れる。
敏感な突起に当てたいけど、足の甲だと場所がいまいち掴みづらい。
「だめです、若様。まだ途中ですから……んッ……」
口とは裏腹にアンはそっとおしりの位置を直して足がしっかりと当たるように体勢を変えた。
伸ばした足の甲に座るみたいな格好になる。
水を弾くアンの白い肌がお湯と興奮でほんのりとピンク色に染まっていく。
「んくっ……若様……あっ」
くすぐったそうにアンは身じろぐ。
「次は、反対側です、若様」
片足が終了したので、反対側の新しい足のお清めだ。
「あれ?」
足の甲は、ぬるっとした感触で迎えられた。
アンの割れ目は、いたずらに反応して愛液を滲ませたみたい。
お湯の中でもわかるものなんだと感心してしまう。
「だめ……です、汚れますから……」
お湯に溶けてもこれだけはっきりわかるなんて、どれだけ濡らしているんだろう。
無表情で仕事を続けるメイドがいたずらをされて、大事な部分を濡らすとか。
かあっと頭と体が熱くなる。
「昨日は処女膜でお清めされたよ?」
シーラにめっちゃ擦り付けられた昨日の淫らな記憶が蘇った。
だからそんな言い訳は聞けません。
アンもきっと処女だよね。
「今日は、アンがお清めをして」
擦り付けていた足の動きをわざと止めると、アンの無表情は更に無表情になった。
「……かしこまりました」
アンの腰がひくひくと動き出す。足の甲に割れ目を擦り付ける。強制された自慰行為みたい。
女子にとっては屈辱的なのに忠義の厚いメイドは拒まない。
だけど、お清めだから仕方がないよね?
さらに足の甲には、ぬるぬるした体液がまとわりつく。
その内お湯がローションみたいに鳴っちゃうか心配です。
ビクビクとアンの身体の揺れは、次第に痙攣気味に変化していく。
呼吸の間隔が短くなって甘い嬌声が混じり始めた。
「あっ……うぅ……わ、若様ぁ……」
気持ちいい所にあたると魚みたいにびくっと跳ねてお湯が鳴る。
きっとこの甘いエッチ声は脱衣所まで聞こえている。また、ビビィが拗ねちゃうかも。
「くっ……若様……、若様っ……あっ、ぃ、くぅ……」
びくっと身体を大きく波立たせおっぱいをふるふると震わせると、アンは息を止めて身体を硬直させた。
あ。イったのかも。経験がないので分からないけど。
無表情だったアンの顔が、次第に弛緩していき恍惚な悦びに変わる。
潤んだ瞳で物欲しげに上目遣いで悩殺的に。こんなおねだりするみたいな貌も出来るんだな。ちょっと意外だ。女子って男の娘では敵わない何かを持っている。
深い息を何度も吐いて、噴き出した汗で額を光らせて、アンは目を閉じたまま足の甲に割れ目をしっかりと押し付けてきた。
「お清め、できた?」
「え? あっ。も、申し訳ございません! 若様に対してはしたない真似を……」
しまった。つい声をかけちゃった。夢はいつでもどこでもすぐに覚めてしまうものなのです。
よく出来たおつき筆頭のメイドはすぐにお顔を無表情に整えた。
「……まだ若様が出していませんから、お清めはできていません。いたずらするのは構いませんけど、せめて足のマッサージが終わるまでお待ち下さい」
ちょっとだけ、怒ったような無表情なアンが可愛かった。
のんびりとお風呂に入っているだけじゃなく、本日の行動の振り返りも忘れない。
問題は体力のなさだから、課題は筋トレ?
明日もあの山道を登るのかと思うとウンザリするけど、精一杯前向きに考えよう。
疲れたらメイドズにマッサージのご褒美がもらえるみたいだし。
明日も頑張ろうと考えていると、何やら脱衣所が騒がしくなった。
邸宅ほども広くないバスルームだ。それでも前世のユニットバスとは比べ物になせない広さだけど。
湯船もそれほど大きくないから四人で入るのは無理があるので、脱衣所ではシーラとビビィが待機中だったはず。なんでも1回ずつの交代制だと聞いた。
交代前提だと思われているのが斜め上過ぎる。お風呂は心身を癒やす所であって、エッチなことばかりする場所じゃないんだよ?
というか、順番的にどうしてアンなんだろう?
朝はアンで移動中はビビィだったのに、シーラは今回も三番手。
メイドの決め事に口を挟まないのが主たる選ばれし者の器の証だ。
メイドの序列は過酷なのです。
バタバタとしているのはメイド組じゃないな?
なんだろう? 事態急変でお山の使者が来たとか?
姉様ズを確保しに兵士が来たとか?
アンと一緒に首をかしげていると、扉が勢いよく開かれて、ぶるんと揺れたおっぱいが入ってきた。
「え? おっぱい?」
「……ララお嬢様、ただいまお風呂は使用中でございます。ご容赦ください」
アンが手を止めて、無表情で応対する。
「クロくんっ、お姉ちゃんとお風呂はいろっ」
「愚弟、目を開けたら潰す」
白いふわふわマシュマロおっぱいなララお姉さまと、スレンダーなパティお姉様の乱入だった。
たまに森で狩りをするという案内人の男性に先導されて、お山に向けて出発した。
大自然という程ではないまばらな木々は広葉落葉樹の集まりで、雑木林と呼ぶにふさわしい。
人が良く歩く場所は踏み慣らされていて、まるで田舎の私有地の林道みたい。
道なき道を蔦を払いながら進んでいくのかと想像していたけど、割とイージーな始まりだった。
「本当にお二人で向かわれるのですか?」
案内人の狩人は壮年の男性で、よく日に焼けた色黒で筋肉たくさんの体つきだ。
人が好さそうな男性だけど、さすがに驚いていて心配そう。
出発前に話した村長さんも同じようなお顔で驚いていた。
「うん。あまり大人数でお山に入るのも失礼かなって」
「そ、そうですか」
まぁ驚くよね。ちっちゃな性別男の娘と、似たり寄ったりのメイドで2人、大した装備もないのに山に登ろうなんて。
山を舐めてはいけませんとお説教される案件ですね。
さらに身分は尊き貴人。
護衛もつれずに山歩きとか正気の沙汰とは思えないよね。
何かあったら責任問題。
村長さんも心配だろう。
姉様ズの証人もいることだし。
幾人か護衛の兵士はいたけれど、村で姉様たちについてもらっている。
出奔してきた姉様ズのお世話係にシーラとビビィをつけたから、同行するのは気合十分のアンひとりだけだ。
「見た目は細いですけど、がんばります!」
「ご立派です、若様」
根性論の男の娘と、褒めるときでも無表情のメイドのコンビに男性は頬を引くつかせていた。
子供のお守り、ご苦労様です。
「空気がひんやりしてるね」
「お身体を冷やさないようにいたしましょう」
木漏れ日が心地いい道を歩く。
「いい運動になるよ」
「くれぐれもご無理はお控えくださいませ」
大丈夫。すでに息は上がり気味だから。体温は絶賛上昇中!
朗らかに答えているけど内心は焦りまくり。
というか、どういうこと!?
お山の入り口は、想像と違ってなんの変哲もない場所だった。
変哲がないことが変哲ではないというトートロジー?
村の側の林に入れば、すでにお山という判断らしい。
いやいや。
ぶっちゃけ想定外なんだけど?
お山とか神事とか聞いていたから、てっきり神社みたいな場所を想像してました!
するよね、普通。自分異世界人ですから!
神の社があって、境界線があって、ここから神域だから進入禁止ね? 神罰を食らうつもりで突破しますか? いえ、結構です。
そんな明るいやりとりの未来を描いていたのに、ただの山。泣きっ面に蜂のように登り坂。
モロ山。ホント山。
シーラの口にした言葉通りの「お山はお山」以外の何物でもなかった。
何も知らなかったのは僕の方でしたというオチは第3王子でも笑えない。
そんな山をメイドと2人で息を弾ませて登っている。
だけど仕方がなかったんだよ。
だってゾロゾロ護衛を連れて行くと、真面目に調査しなくちゃならないから。
護衛という名の監視になるから。
それだと当然サボれない。アンを含めてメイドたちだけならごまかせる。
王族関係者は出来るだけいてほしくなかったというのが本音です。
王妃様への報告が食い違うと不味いからね。
村長には、王家としてお山の視察と説明してある。開発前の事前現地調査だとか口が裂けても伝えられない。王家の評判が地に落ちそうだから。
案内人含めて、まあ、避暑地に気まぐれで遊びに来た王家の我儘王子様とでも思ってもらえればそれでいい。
10分くらい徐々にキツくなる坂道を登ったところで大きく息を吐く。
「若様、お顔の色が……お疲れですか?」
アンに気を使われるけど、疲れているのは心です。あと、浅慮だった自分の考え。身体の疲れはその後だ。
案内人の男も心配そうだった。
本当に行くんですか? そんな顔。
確かにベッドの上歴十五年のクロの体は病弱を克服したけれど、1月程度で体力がつくわけじゃない。
まだ平気だけど、いずれバテる。
足が動かなくなること必然だ。
だけど、まいったには少し早い。
「もう少し、頑張ります」
「無理はしないでくださいよ?」
男性は肩を竦めて先導に戻った。
気晴らしに話を聞く。
たまにお山からまるまると太ったイノシシが迷い込んで、村の狩人に討伐されるらしい。
「自分は農家なのですが、お山からのはぐれた動物は畑を荒らすので止む無くしとめています」
お山ではなるべく殺生はしないしきたりなのか。
農耕畜産が安定している温暖な気候のお国なので、狩りして獲物を糧にしているわけではない暮らしだ。
つまり害獣駆除係。
この何もない山から考えると、お山を守る特殊工作員の線は捨てたほうがいいのかな。
お山の使者とか、噂の亜人の鬼人族とかも遭遇したことはないという話だった。
「それにしても、王子にご用意いただいた薬品はすごいですね、まるで虫が寄ってこない」
「そうなのですね、さすが若様です」
アンが無表情で元気つけてくれる。
よもぎとお酒を使ったおばあちゃんの知恵です。上手く機能して良かった良かった。
異世界の知識なめるなよ?
というか、話を総合するとお山では殺生は推奨されないのか。
このまま進んでお山の動物に襲われたら正当防衛が適用されるのかな?
こっも不死鳥のように蘇った身なので、黙ってやられるわけにはいかない。
お山の神様が裁判長? 弁護は誰れに頼めばいいのか、古い文献で調べておこう。
更に10分。雑木林を抜けると、なるほど雰囲気が変わった。
川のせせらぎが遠くに聞こえる。
渓谷の美しい景色に眼を見張る。
眼下には、壮大な森が広がりその先にはまた青々とした山が幾重にも連なっていた。
この先は立ち入り禁止。というより踏み込みたくない雰囲気の深い森だ。
人の手の入っていない大自然って圧巻です。
霧がかかる場所もある。期待していた場面に遭遇できて疲れも少しだけ癒された。
森の恵みが満載の小動物の楽園なのかもしれない。
「このあたりで、私共は足を止めます」
村の狩人も害獣駆除をする時でも矢をお山に向けて放たない程、徹底されているらしい。
杉の木が多いイメージなので、花粉症がちょっと心配。
神事なんて未経験だけど、見様見真似でやってみるか。
「アン、敷物をお願い」
「かしこまりました」
元気良く伸びる草地に敷いた敷物の上に膝をつく。
千早の袖が絡まる腕を払って、両手をつく。
深く深く頭を下げる。
この世界の人よりも、前世がある分、森や緑、自然の大切さとか恐さとか、色々と知っているから素直に頭を下げられる。
「お騒がせして申し訳ありません」
明日から少しの間お邪魔します。
お山は静かで、何も答えは返ってこない。自己満足といえばそうなのかも。
だけど、他人様の領域におうかがいするなら挨拶は必要だよね。
「うん。よし、帰ろう」
「かしこまりました。若様、下りは登りより気を付けなければならないと聞き及んでおりますので、差し出がましいとは思いますが、お手をつながせていただきます」
気遣うアンに素直に手を差し出す。
足がけっこうフラフラだから、ここは素直に甘えておく。
男の娘って意地を張らなくていいから楽でいいな。
案内人の男性は、ほけっとした顔だった。
え? もう帰るの? 何しに来たんだこいつとか思われたかな?
もちろん、王族なので堂々とした態度は崩さない。
最初から予定通りの行動でしたと強弁しよう。
「なんといいますか……神々しいお姿でした。王族のお方はお若いのにやはり私たちとは違いますね」
なんか予想外に感心されて褒められた。大変気分がいい!
ちょっぴりアンが自慢げだった。可愛いなぁ。
初日の調査は終了した。
さて、村に戻ってからのことだ。
明日のために湯船に浸かり、アンに足をマッサージをしてもらう。
つかれた筋肉を解しておいたら筋肉痛になりにくいのです。
昨日に引き続いてアンは全裸。ふるふると揺れるおっぱいを眺めながら疲れを癒す。
向かい合って湯船に浸かり、のぼせないように温めで浅いお湯の量だから、せっせと動くアンのマッサージで水面が躍ってぴしゃぴしゃとお風呂らしい音が鳴る。
足がどうしてもアンの柔らかい身体に触れる。おっぱいもふともももお腹にだって当り放題。
湯船は2人で丁度良い広さだけど、どうしようもなく密着している。
たまに手を伸ばしておっぱいに触れても無表情で「若様、いまはお身体をお安めください」とつれなく返されてしまう。くやしいから足でアンの身体の色々な場所に触れてみる。
女子の柔肌を足で触るって背徳的だ。手ほども鋭敏じゃない触覚でも柔らかさと張りは伝わってくる。お風呂の匂いにアンの匂い。
「あ……若様、そこは……」
立て膝になっているアンの脚の間にお邪魔してみた。足の指だと傷つけちゃいそうなので、足の甲を割れ目にそっと当ててみる。感じるか感じない程度の若草の感触がくすぐったい。
僕の方から積極的にアンに絡むなんて初めてかも。
少しだけ目をまるくしたアンだけど、健気に反対側のふくらはぎを丁寧にマッサージを続けていた。
うん、気分は悪くない。
昨日の王妃様に偶然与えた女の悦びをビビィにズルいと嫉妬をされて、少しだけ考えが変わったのかも。
一線を越えなければ、メイドたちの将来にそれほど後悔を残さない。
なにより、王妃様が一瞬見せた女の貌。物凄く興味深くて忘れがたい。
男の娘だというのに性の目覚めをむかえちゃった?
「……ん……うぅ」
足の甲がふにっとした一番やわらかい部分に触れると、ひくっと控えめにアンは身体を揺らす。
無表情なのに甘い息が漏れる。
敏感な突起に当てたいけど、足の甲だと場所がいまいち掴みづらい。
「だめです、若様。まだ途中ですから……んッ……」
口とは裏腹にアンはそっとおしりの位置を直して足がしっかりと当たるように体勢を変えた。
伸ばした足の甲に座るみたいな格好になる。
水を弾くアンの白い肌がお湯と興奮でほんのりとピンク色に染まっていく。
「んくっ……若様……あっ」
くすぐったそうにアンは身じろぐ。
「次は、反対側です、若様」
片足が終了したので、反対側の新しい足のお清めだ。
「あれ?」
足の甲は、ぬるっとした感触で迎えられた。
アンの割れ目は、いたずらに反応して愛液を滲ませたみたい。
お湯の中でもわかるものなんだと感心してしまう。
「だめ……です、汚れますから……」
お湯に溶けてもこれだけはっきりわかるなんて、どれだけ濡らしているんだろう。
無表情で仕事を続けるメイドがいたずらをされて、大事な部分を濡らすとか。
かあっと頭と体が熱くなる。
「昨日は処女膜でお清めされたよ?」
シーラにめっちゃ擦り付けられた昨日の淫らな記憶が蘇った。
だからそんな言い訳は聞けません。
アンもきっと処女だよね。
「今日は、アンがお清めをして」
擦り付けていた足の動きをわざと止めると、アンの無表情は更に無表情になった。
「……かしこまりました」
アンの腰がひくひくと動き出す。足の甲に割れ目を擦り付ける。強制された自慰行為みたい。
女子にとっては屈辱的なのに忠義の厚いメイドは拒まない。
だけど、お清めだから仕方がないよね?
さらに足の甲には、ぬるぬるした体液がまとわりつく。
その内お湯がローションみたいに鳴っちゃうか心配です。
ビクビクとアンの身体の揺れは、次第に痙攣気味に変化していく。
呼吸の間隔が短くなって甘い嬌声が混じり始めた。
「あっ……うぅ……わ、若様ぁ……」
気持ちいい所にあたると魚みたいにびくっと跳ねてお湯が鳴る。
きっとこの甘いエッチ声は脱衣所まで聞こえている。また、ビビィが拗ねちゃうかも。
「くっ……若様……、若様っ……あっ、ぃ、くぅ……」
びくっと身体を大きく波立たせおっぱいをふるふると震わせると、アンは息を止めて身体を硬直させた。
あ。イったのかも。経験がないので分からないけど。
無表情だったアンの顔が、次第に弛緩していき恍惚な悦びに変わる。
潤んだ瞳で物欲しげに上目遣いで悩殺的に。こんなおねだりするみたいな貌も出来るんだな。ちょっと意外だ。女子って男の娘では敵わない何かを持っている。
深い息を何度も吐いて、噴き出した汗で額を光らせて、アンは目を閉じたまま足の甲に割れ目をしっかりと押し付けてきた。
「お清め、できた?」
「え? あっ。も、申し訳ございません! 若様に対してはしたない真似を……」
しまった。つい声をかけちゃった。夢はいつでもどこでもすぐに覚めてしまうものなのです。
よく出来たおつき筆頭のメイドはすぐにお顔を無表情に整えた。
「……まだ若様が出していませんから、お清めはできていません。いたずらするのは構いませんけど、せめて足のマッサージが終わるまでお待ち下さい」
ちょっとだけ、怒ったような無表情なアンが可愛かった。
のんびりとお風呂に入っているだけじゃなく、本日の行動の振り返りも忘れない。
問題は体力のなさだから、課題は筋トレ?
明日もあの山道を登るのかと思うとウンザリするけど、精一杯前向きに考えよう。
疲れたらメイドズにマッサージのご褒美がもらえるみたいだし。
明日も頑張ろうと考えていると、何やら脱衣所が騒がしくなった。
邸宅ほども広くないバスルームだ。それでも前世のユニットバスとは比べ物になせない広さだけど。
湯船もそれほど大きくないから四人で入るのは無理があるので、脱衣所ではシーラとビビィが待機中だったはず。なんでも1回ずつの交代制だと聞いた。
交代前提だと思われているのが斜め上過ぎる。お風呂は心身を癒やす所であって、エッチなことばかりする場所じゃないんだよ?
というか、順番的にどうしてアンなんだろう?
朝はアンで移動中はビビィだったのに、シーラは今回も三番手。
メイドの決め事に口を挟まないのが主たる選ばれし者の器の証だ。
メイドの序列は過酷なのです。
バタバタとしているのはメイド組じゃないな?
なんだろう? 事態急変でお山の使者が来たとか?
姉様ズを確保しに兵士が来たとか?
アンと一緒に首をかしげていると、扉が勢いよく開かれて、ぶるんと揺れたおっぱいが入ってきた。
「え? おっぱい?」
「……ララお嬢様、ただいまお風呂は使用中でございます。ご容赦ください」
アンが手を止めて、無表情で応対する。
「クロくんっ、お姉ちゃんとお風呂はいろっ」
「愚弟、目を開けたら潰す」
白いふわふわマシュマロおっぱいなララお姉さまと、スレンダーなパティお姉様の乱入だった。
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「小説家になろう」ノクターンノベルズにも掲載しています。表紙はあっきコタロウさんに描いていただきました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
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