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第1部

第3話 無表情メイドとお風呂 前編

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 003

 美しく整備された庭と星の多い夜空が一望できるバスルームには、埋め込み型の浴槽が設置され、お湯がたっぷり張られていた。

 さすが王族のバスルーム。
 洗い場だけでも大人が3人横になれる程の広さがあって、一日の疲れを十分に癒やしてくれる贅沢なひと時を過ごせる空間だ。感嘆以外の言葉が出ない。

 王妃様の要請によるお山の調査の調整が難航したので、今日は特にお風呂が嬉しい。

 この世界の作法では、お湯にのんびりつかる習慣はなかったのだけれど、病み上がりの湯治的な言い訳を用意しておねだりをしたら本当に出来上がってしまうから、お金持ちって本当に素敵。

「若様、明日本当にお山に登られるのでしょうか?」

 水捌けのいい革張りのマットの上でうつ伏せになり、湯気がたゆたう空間で心地よく微睡んでいると、身体を優しく洗ってくれていたアンが心配そうに聞いてきた。

 朝食の場での王妃様とのやり取りを聞いてから気になっていたらしい。
 思い返せば1日中、アンはソワソワしていた気がする。

 泡まみれのやわらかいお手々が体中を撫でまわしている。くすぐったいけど気持ちがいい。
 さすが王族。至れり尽くせり。

 寝転がっているだけで美人な年頃のおつきのメイドが身体を隅々まで洗ってくれる、ちょっぴり大人の風俗店的なおもてなしに肩のこる王族暮らしに疲れた身体も癒やされます。

「うん、そのつもりー」

 マッサージに近いからリラックス全開で返事をすると、不満だったのか手つきが少しだけ乱暴になった。可愛いなぁ。
 見えていないアンが食べ物をほおばった小動物みたいに頬を膨らませている顔を想像してしまう。
 やっぱり主人の目が届かない場所では、メイドたちも年相応の笑顔で過ごしているのかな?

 上半身はアンの担当。
 下半身は、ビビィとシーラ。
 体中を優しく優しく、われものでも扱うように磨かれる。

「アンは、心配でございます。お山の怒りに触れれば鬼人の天誅が下されます」

 国民のほとんどは伝承を信じているから、禁忌に触れることを極端に怖がっている。王族だって例外じゃない。

 ここは異世界、異界ならではの超常現象がないとは言い切れない。
 人間以外の亜人やモンスターがいるくらいだから、そんなことは百も承知だ。

「うん。だから慎重に行動するつもり」

 前向きと無謀は別物なのです。

「ですが……」

 アンはなんとかして思いとどまらせようと言葉を探している様子だった。
 心配させて申し訳ない。でも、誰かがしないといけない状況だから。
 王族の責任、みたいな?

 つい1月前まで寝たきり生活だった僕を知っているアンにとっては、驚天動地なイベントなのかも。
 ごめんねと謝ると、アンは滅相もございませんと慌ててから話題を変えた。

 ぬるぬるにされた体が、一旦お湯で流される。

「……若様、仰向けになって下さい」

 後ろは終わったらしい。
 身体をくるんと回転させると、そこには桃源郷が広がっていた。

 入浴を手伝ってくれているおつきのメイドの3人は、身体を隠す気もなく全裸だった。

 なんて大胆!
 初めて目にするメイドたちのおっぱいに目が奪われる。
 もちろん、第3とはいえ王子だから威風堂々とした態度は崩さない。

「どうして裸なの?」

 昨日まで、というよりさっきまで、しっかり浴衣を着用していた。
 これもしきたり。
 不用意に肌を晒し、欲情した王族にお風呂業務中に犯されてしまうのを防ぐため。

 だが待てよ?
 むしろ濡れて透ける浴衣に映る肌、浮き出る身体のラインはとにかくエロい。
 動く度に着崩れて、こぼれる肌と際どい場所のチラリズムも十分危険だ。
 いや、むしろそっちのほうが興奮する。

 性癖によっては全裸がマシという発想もありなのか。なるほど先を読む。
 メイド業って、意外とバランス感覚が試される奥が深い職業なのかも。

「浴衣はすべて洗濯中でございます」

 全裸より大胆な言い訳だった!

 どうして僕のおつきのメイドは、気遣いを無視した挙げく斜め上の行動に出るんだろう。
 契約上、お手が付いても結婚どころか愛人になる保障もないブラックなのに。

 お湯の熱気で少し肌をピンク色に火照らせた、色白の全裸の女子とご対面。
 うん、堂々とした態度と無表情だから、やっぱりこっちが恥ずかしくなる。
 さすが当家のメイドのしきたり。王族のプライドを利用した見事な抑制だった。

 とはいえ全裸の女子を目の当たりにしているから、むくむくとペニスが勃起しはじめた。
 健康になった男子だから。
 好奇心旺盛な、まん丸い瞳が3対、同じ場所に集中していた。
 無表情だから、またおったてやがった、とか思われているみたいで心が躍る。いや、沈む。

 負けずにこちらも3人のメイドを見比べる。ジロジロ見ちゃいます。

 アンのおっぱいは年相応の大きさで、小さな丸いふくらみがとってもキュート。
 なだらかな胸元だけど、アンダーバストに成長の兆しがある三角型の清楚なおっぱい。
 色素の薄いピンク色の乳首は小さく、ふにゃっとしている。少女のちっぱい。

「うん、可愛い」
「お、おそれいります」

 ビビィのおっぱいは釣り鐘型。少し下向きの乳輪と乳首が赤くて超エロい。揉みごたえのある張りでボリューミー。さりげなく手を頭の後ろに回し髪を直す素振りをして、突き出したおっぱいをぷるぷると揺らして誘惑してくる。ブレないねキミは。
 作業途中の泡が身体の所々についていて生唾もの。

「エッチなおっぱい、ごちそうさまです」
「……おそまつさまです?」

 シーラは見事な円すい型。これがうわさに聞くスライムおっぱいか!?
 重力を無視したような見事な胸筋で支えられたおっぱいは奇跡のような美しさだった。
 おっぱいに一目惚れすることってあるんだなぁ。

 不躾にジロジロと見ちゃったからか、おっぱいの先にある可憐な桜色の乳首がピンと固くなっている。肌を少しでも隠そうとしているのか、胸のふくらみの下に両手を当てているポーズに悩殺直前。

「シーラ……すごくきれい、これは、参りました」
「や、やだ、クロ様ぁ……」

 さすがにベタ誉めされて無表情が崩れてしまう。
 お顔をまっかにしたシーラはくねくねと身体を揺らす。ふるふると美乳も揺れる。
 なるほど、恥ずかしがる女子の顔って権力者には目の毒だ。

 見上げるおっぱいの三重奏。ビバおっぱい。
 これだけで異世界に転移して良かったと断言できる。

「シーラさん、表情! ほらっ、見ていないで、洗いますよ!」

 あ。アンが身体的な差別の視線に拗ねてしまった。
 王族として、女子のおっぱいは公平な目でないとね。反省反省。

 3人が泡まみれの手で身体に触れてくる。
 仰向けだと、リアルなエロさがダイレクトだ。

 メイドさんたちは寝転ぶ主人の身体を洗う関係上、体勢的に屈むことになり、さらにおっぱい格差が露わになった。
 全裸で四つん這いの女子が近くでウロウロする視覚攻撃の半端なき威力が凄い。
 ポロンと下にのびるおっぱいの揺れる様は催眠効果を発揮しそう。

「クロ様、手をお洗い下さい」

 シーラがゆれる美乳を差し出してきた。
 どういうこと!?

「私の胸を使って手を綺麗にして下さい」

 そっとシーラに腕を取られて、やわらかい胸に導かれた。
 この世界ではおっぱいで手を洗うのか! 非常識な。

 下からすくうように優しくおっぱいに触れる。ちょっとドキドキして手が震える。
 初めてのおっぱいの感触は、蕩けてしまいそうな不思議なやわらかさだった。

 泡が付いていてツルツルしている、だけどはっきりと押し返してくる弾力。
 掌だけではすくいきれないモチモチした美乳に指が埋もれる。

 これは、いいおっぱい。視覚だけではなくて触り心地も大満足の逸品だ。
 言われた通り、おっぱいを使って手を洗うみたいにまさぐってみる。
 固く尖っている乳首が何度も擦れてその度にシーラは身体を小刻みに震わせた。

「んッ、あッ……し、失礼しました」

 悩ましい息づかいで必死に無表情を演じるシーラを見ていると興奮でこっちまで息苦しくなってくる。

 おっぱいで手を綺麗にしていると、反対側からアンが上半身に屈み込んできた。
 可憐な胸のふくらみが目に入ったので、もう片方の手をアンのちっぱいに移動させる。

 青い果実という比喩がピッタリの、すこし控えめなやわらかさだけど、いい感触。
 コリっとした乳頭の感触が気持ちよくて、指でクニクニさせるとアンはぴくっと身体を反応させた。

「んッ、若様……いたずらをされたら、身体をしっかり洗えません」

 右手でアンのちっぱい、左手でシーラのおっぱい。
 無表情なメイド2人のおっぱい比べ。なにこれ癖になりそう。

「本日は恐縮ですが、ご健闘を祈らせていただきます」

 真面目に業務に取り組むアンの小言を無視しておっぱいに夢中になっているとそう告げられた。
 はて? なんの激励?

「やはり、戦に赴く殿方は猛々しくなるものですね……」

 ビビィが無表情でピンと立つ元気になったペニスを見て、ふとももを撫ではじめる。
 手つきがエロい。

 ああ、そういう意味か。理解した。
 お山に登るという決死の覚悟をした主人に対して、最後になるかも知れないサービスが全裸での入浴につながったらしい。

 お山までの移動手段の調整の最中にも執事が「なぜ若様が生贄に……」なんて苦悶の表情で目を潤ませていたのはそういう理由か。

 死地に赴く男子は本能で子孫を残そうと性的に昂ぶるという都市伝説。
 ビビィの目は鷹の目だ。命を落とす前に子種を頂戴したいです、そんな獲物を狙う目だ。
 だから、例え子供を孕んでも叙爵はないって。

「クロ様……お労しい……」

 シーラも場に流されるように目を潤ませていた。

 ごめんなさい。せいぜいピクニックの延長くらいにしか考えていないから、その元気な愚息の直立は純粋におっぱいに興奮したからです。
 なんて軽口を叩けないのが第3王子。

「必ず生きて戻るから、アンもビビィもシーラも心配しないで」

 細い女顔の主人の健気な態度が心に刺さり、メイド3人は打ち震えていた。
 罪悪感がすごかった。

「身を清めるようにと、王妃様より言付かっております」

 あの王妃様は、人身御供にでも出すつもりだったの?
 眉間のしわも頷けるな。

「そうか。お願いね、アン」
「かしこまりました」
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